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経産省が国家戦略会議に提出したという日本経済の「リスクシナリオ」は、評論家レベルの考察で、増税や原発再稼働を煽るとんでもない代物である。
「現状の円高水準が続くと、産業の空洞化が急激に進み、2010年代半ばには貿易赤字が定着する恐れがある」と考察している。
しかし、根拠になっている肝心の円高水準は、けっして異常なものではなく、インフレ率の差に照らせば理にかなった水準であり、今後も日本でデフレ基調が続き、米国やユーロ圏が不況のなかでも緩やかなインフレならば、円レートの水準はさらに高くなる。
円高により、「日本経済の基盤を担う素材産業も含め、サプライチェーン(部品供給網)全体が海外移転する「根こそぎ空洞化」が進む恐れがある」と考えるのなら、総需要を増大させて緩やかなインフレ(米国やユーロ圏を超える)に転換させるしかない。
それとともに、今後の産業構造のあるべき姿を示し、産業界と突き詰めた論議をし、産業革新機構などを活用した再編を実現しなければならない。
恒常的な貿易収支の赤字は、願わないかたちでのインフレへの転換になる可能性がある。そうなると、同時に、願わないレベルの円安に向かうことになる。「根こそぎ空洞化」後に円安になっても、国際競争力が甦るのは困難である。
日本は置かれたポジションからいって、どんなことがあっても、貿易赤字になるような産業空洞化を招いてはならない。
「21年には国債が国内で消化できなくなる可能性があり、「日本売り」が強まりかねない」と分析しているが、21年あたりに、貿易赤字につづいて経常収支レベルでも赤字になるということなのか?そうなるというのなら、産業空洞化にとどまらず、優良企業の脱出や対外収益の非還流がはびこるということを意味する。
それが起きないということはできないが、それを防ぐために、法人税減税が必要というのなら、敗戦から65年、国民が耐えながら企業の成長に貢献した戦後日本史はなんだったのかということになる。
「原子力発電所の早期再稼働が実現しなければ、火力発電向け燃料の輸入増で、来年は08年度以来の貿易赤字になる恐れがある」と言うが、福島第一原発の事故の渦中にある日本にとって、貿易赤字を防ぐために原発再稼働という論理と判断は成立しない。
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貿易赤字、10年代半ばに定着の恐れ…経産省
経済産業省は21日、国家戦略会議(議長・野田首相)に日本経済の「リスクシナリオ」を提出した。
現状の円高水準が続くと、産業の空洞化が急激に進み、2010年代半ばには貿易赤字が定着する恐れがあると指摘した。21年には国債が国内で消化できなくなる可能性があり、「日本売り」が強まりかねないと警告した。
経産省は1ドル=80円を上回る円高水準が続けば、日本経済の基盤を担う素材産業も含め、サプライチェーン(部品供給網)全体が海外移転する「根こそぎ空洞化」が進む恐れがあると指摘。国内で新たな事業や産業が育つスピードが追いつかず、自動車産業だけで60万人程度の雇用が失われると試算している。
また、原子力発電所の早期再稼働が実現しなければ、火力発電向け燃料の輸入増で、来年は08年度以来の貿易赤字になる恐れがあるという。
(2011年11月22日03時02分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111121-OYT1T01478.htm
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