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11月18日に開かれた「過労死防止基本法の制定をめざす実行委員会」の結成総会に参加しました。総会の中で関西大学の森岡孝二教授が「今、なぜ『過労死防止基本法』か」と題した講演を行いましたので、その要旨を紹介します。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)
1991年、『広辞苑』に「過労死」という言葉が入り、「karoshi」は国際語にもなってしまいました。今年でちょうど20年が経過しましたが、問題が改善していくどころか、過労死・過労自殺は深刻化し増え続けています
とりわけ、深刻化するメンタルヘルス・クライシスの中で、若年層に過労自殺が多発しています
そして、性格は多少異なりますが、働く環境が悪化し就職難がますます深刻になっているなか、学生の「就活自殺」がこの1年で倍増しています
この20年間で、日本における年間労働時間は約250時間減少したとして、日本で時短が進んだかのような議論がありますが、それは「見かけの時短」に過ぎません。ここには2つのカラクリ、数字のマジックが隠されていることに注意する必要があるのです。
1つは、この数字は、事業者が賃金台帳に記入した労働時間を集計している「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)であり、1人あたり年間200〜300時間のサービス残業、不払い残業が含まれていません。
2つは、時短が大幅に進んだかのように見えるのは、パート・アルバイト・派遣など非正規労働者の短時間労働の増大がもたらした平均のマジックに過ぎないということです。「就業構造基本調査」(総務省)によると、非正規労働者は1987年の850万人(労働者全体の19.4%)から2007年の1,894万人(35.6%)と約1千万人も増加しています。たとえて言えば、年間2,200時間働いていた3人の労働者のうち1人が年間1,200時間の非正規労働者に置き換えられたとすると、平均労働時間は1,867時間に下がるということです。
2010年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(厚生労働省)によると、非正規労働者の割合は38.7%と、3年前の前回調査を0.9ポイント上回り過去最高を更新しています。非正規労働者の割合を年齢別に見ると、20〜24歳は男性46%で女性44%と、各種統計で初めて男性の方が非正規率が高くなっています。「働き過ぎ」と「貧困」、「過労死」と「ワーキングプア」という歪んだ両極が併存しているのが日本社会の実態です。
実際、正規労働者の長時間労働はまったく改善されておらず、加えて新しい過重労働環境の出現に見舞われています。新しい過重労働環境の出現というのは、@新自由主義による雇用・労働の規制緩和、A正規労働者の削減と非正規労働者への置き換え、B成果主義の拡大・浸透――ノルマ達成への締めつけとパワハラや職場の荒廃による精神的ストレスの増加、などを指しています。
過労死ラインとされる残業が月80時間以上の男性労働者の割合は、最新の統計(2007年「就業構造基本調査」)によると、全体で25.7%、25〜34歳28.3%、35〜44歳28.9%とここでも若年層の3割近くが過労死の危険と隣り合わせで働かされているのです。
“学者の国会”と呼ばれる日本学術会議も今年の4月、提言「労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を――働く人の健康で安寧な生活を確保するために」を発表しています。こうした動きも励みとして「過労死防止基本法」を制定させましょう。最後に日本学術会議の提言の一部を紹介します。
▼日本学術会議の提言「労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を――働く人の健康で安寧な生活を確保するために」から抜粋
過重労働と過労死・過労自殺を防止するための法的な整備を行う
国は、過重労働対策基本法を制定し、過重労働対策の基本を定め、過重労働に起因する労働者の健康被害の実態を把握し、過労死・過労自殺等の防止を図る。36協定などの制度を見直し、1日の最長労働時間、時間外労働の時間についての1日、1週、1月、1年単位での上限を設定し、併せて最低休息時間制度を導入し、時間外労働等の賃金割増率を引き上げるべきである。また、ILO第132号条約の批准を目指し、最低2労働週の連続休暇の取得を推進するための諸条件の検討を開始すべきである。
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