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日経新聞に連載されているウォール街をネタにしたコラム的記事である。
途中までは、「当初は巨額の稼ぎを上げるが、いずれ大きくつまずく。結局、税金を使った救済や景気低迷で国民が尻ぬぐいさせられる。そんな現象が「どの金融危機にも通ずる」」というような阿修羅の投稿であってもおかしくない内容である。
ところがオチが良くない。
米国や欧州で吹き荒れている金融業界の首切りをもって、「デモ隊が攻撃するまでもなく、市場がウォール街をいさめている形だ」と結んでいる。
市場がウォール街を諫めているといっても、億ドル単位の所得がある金融家は、金融危機につながるビジネスモデルで荒稼ぎをしてため込んだ富を吐き出したわけでもなく、国民にケツを拭いてもらった後でさえ、非難を浴びても蛙の面に小便で莫大な所得を手に入れ続けている。
日本でも年収1億以上を稼ぐディーラーがいるが、金融家の稼ぎに較べれば子どものおもちゃ代でしかなく、金融家が自分たちの利益のために高給取りを含む従業員を解雇したことをもって、「市場がウォール街をいさめている」というのはチャンチャラおかしい話だ。
恥ずかしくなるようガス抜き記事である。
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デモより早い市場の答え
「市民を殴るとは何てやつらだ」警官ににじり寄る男性ら。「向こうに行きなさい」。完全武装の警官らも負けじとにらみ返す。17日午後、ウォール街近くの路上。デモ参加者が拘束され搬送された直後のことだ。
冷たい霧雨が降り続けたこの日、ウォール街は険悪な雰囲気に満ちた。反格差を叫ぶデモは、行動範囲をニューヨーク証券取引所や地下鉄に広げ、大量の逮捕者を出した。取引所に通じるウォール街の入り口には検問が設けられ、警官が通行者に身分証明書の提示を
求めるものものしさだ。
15日未明、市当局が拠点のズコッティ公園からテントなどを強制排除したのを機に攻撃的になったデモ。今後の展開は読みにくいが、ウォール街をめぐる世間の議論が深まったのは間違いない。
まず「過剰な収益追求が金融危機を招き、そのツケを国民に負わせた」との主張。これに関して「利益独占とリスクの社会化」との経済学者らの言葉が身近になった。
つまり少数の銀行家らが高リスク・高リターンの取引に多額の資金を投じる。当初は巨額の稼ぎを上げるが、いずれ大きくつまずく。結局、税金を使った救済や景気低迷で国民が尻ぬぐいさせられる。そんな現象が「どの金融危機にも通ずる」と指摘するのは、元国際通貨基金(IMF)主任エコノミストのサミュエル・ジョンソン氏だ。
「格差拡大」とウォール街との関係はどうか。国の格差の度合いを示す「ジニ指数」をみても、米国は1960年代後半から直近まで格差が一貫して広がった。この間、国内総生産(GDP)に占める金融分野の報酬と利益の合計額は3%から7.6%に上昇。金融部門が成長を加速した面はあるが、社会一般をしのぐ稼ぎを上げていた。コロンビア大のステイグリッツ教授は「やたらともうかる金融分野に優秀な人材が偏るなど資源配分をゆがめた」と話す。
ただ、それも過去の話。直近でもバンク・オブ・アメリカが3万人、シティグループが3000人のリストラを決定。残った人々の報酬も減り続ける。経済学者なら肥大化した金融部門の調整と呼ぶだろうか。デモ隊が攻撃するまでもなく、市場がウォール街をいさめている形だ。
(ニューヨーク=西村博之)
[日経新聞11月18日夕刊P.3]
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米欧金融 人員削減急ぐ シティ3000人・バリバ1400人
欧州危機 打撃一段と
【ニューヨーク=蔭山道子】米欧の金融機関が人員削減を加速させている。約3万人を削減する米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に加え、米シティグループが約3000人、仏BNPパリバも約1400人を削減する可能性が出てきた。欧州債務危機による金融市場の動揺がさらなる打撃となって足元の収益が伸び悩んでいるのに加え、金融規制強化で収益力が長期的に低下する可能性が高いためだ。
複数の欧米メディアは16日、シティが機関投資家向け証券業務を中心に全従業員の1%に相当する約3000人の削減を検討中と報道。シティも「コスト圧縮策の一環として、幾つかの業務で人員削減を進めている」との声明を発表した。
7〜9月期決算が赤字となったゴールドマン・サックスも7〜9月期中に約1300人を削減。
住宅関連の損失処理が続くバンカメも今後数年間で全従業員の1割にあたる3万人を減らす。米雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米国内の金融機関の人員削減規模は年初から10月末までで5万4500人と前年同期の2倍を超す。
欧州ではクレディ・スイスが今月、1500人の追加削減を発表。従来計画と合わせた削減規模は全従業員の7%にあたる約3500人となる。オランダのINGグループもフルタイム勤務の従業員と契約社員、合わせて2700人の削減を発表。「コスト削減へさらなる努力をせねばならない」 (ヤン・ホメン最高経営責任者=CEO)と厳しい認識を示す。
8月に約3500人の削減策を発表したスイスUBSは17日、不正取引が発覚した投資銀行部門の再建策を発表。同部門の削減規模は従来計画から新400人増える見込みだ。
金融市場低迷が長引くなか市場取引部門や投資銀行部門の業績が振るわない。さらに、投資家は米金融大手に対しても、欧州国債保有による影響への警戒感を強めている。欧米系格付け会社フィッチ・レーティングスは16日付リポートで、米金融大手が欧州国債の保有で「打撃を受けるリスクが高まっている」と言及。格付け見通しを変更する可能性も示唆した。
金融規制改革を受けた事業構造の見直しも、収益力低下につながる可能性が高い。貿本規制が強化されたり、実入りの良い高リスクの取引業務が制限されたりするためだ。バークレイズ・キャピタルの銀行アナリスト・チームは「市場取引業務は長期的な構造変化に直面している」と指摘している。
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