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2011.11.17
欧州債務危機とユーロの行方
世界経済
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欧州債務危機とユーロの行方
先週からオリンパスと野村証券のことしか書いていなかったので、本日はこの話題です。
もう1つTPPのことも気になるので、これについては一言だけ言っておきます。
TPP交渉は、まず「国益」の見地から大枠を決めてトップダウンすべきものなのですが、日本は「官僚」のそれぞれの「省益」が「国益」に優先する稀有(けう)な国のため、唯一の「国益」は参加しないことです。野田内閣が首を突っ込めば突っ込むほど、国民にとって不利な状況になるからです。
さて、欧州の方に目を向けますと、先週末にイタリアで財政健全化法案が成立してベルルスコーニ首相が辞任し、ギリシャでも新政権が発足して一時的に落ち着きを取り戻したのですが、イタリアやスペイン国債の利回りが再び上昇してきています。
本日(11月16日)午前中(現地時間)の各国の10年国債利回りを見てみますと、イタリアが6.96%、スペインが6.31%、最上格からの格下げが囁かれるフランスも3.63%となっています。ギリシャは24.7%です。
これに対してドイツ10年国債は1.82%です。
欧州債務危機には、2つの大きな問題があります。
まず、現在は世界中で景気が低迷しているためどうしても財政赤字が膨らみます。そこへ日本が10年以上前から間違っているように財政赤字を減らそうと緊縮財政をとると、ますます景気が低迷してさらに財政赤字が膨らむのです。
現在のユーロの仕組みは、ユーロ参加国が財政政策の節度を維持することで(インフレ率を低く維持することでも)「ユーロへの信認」を維持する仕組みのため、ひとたび財政問題を抱えるユーロ参加国が出てくると、余計緊縮財政を強いることになり結果的に一層の景気低迷と財政赤字の膨張を招くという構造的な矛盾点を抱えています。
財政問題を抱えた国は、明らかに割高な通貨(ユーロ)と、相変わらずインフレ警戒型の金融政策(先日、ECBが基準金利を1.25%へ小幅利下げを行いましたが、それでもゼロ金利の日米に比べて緩和度が少ない)のもとで、国債金利をはじめとする国内金利が急上昇するという、大不況型の経済運営を強いられるのです。
先日、欧州委員会が2012年のユーロ圏17か国の経済成長予想を大幅に下方修正して0.5%としました。内訳は、最も高いドイツでも0.8%、イタリアが0.1%、ギリシャやポルトガルはマイナスと、およそ財政赤字が減るはずがありません。
つまり、ユーロの仕組みそのものが、またユーロの仕組みを維持しようとすればするほど、構造的に不況となるのです。これが最初の問題です。
もう1つは、唯一のセーフティーネットのEFSF(欧州金融安定化基金)が、最上格付けを持つ6か国の保証額が与信の上限となるため、もしフランスが格下げになると仕組みがほとんど瓦解してしまうことです。
つまり、ユーロの命運が「無責任な格付け機関」に握られているのです。これが2番目の問題です。
ユーロ圏にとって唯一の処方箋と言えるのが「ユーロ安への誘導」です。
「ユーロ」そのものを安くしてしまうことにより、イタリアなどの債務問題国の景気を少しでも改善させ、さらに牽引車のドイツ経済ももっと改善させてしまうのです。つまりユーロ圏には「ユーロ安」に反対する理由がないのです。
9月15日付け「劇的に劣化する通貨・ユーロ」で書きましたように、来年3月くらいまでに1ユーロ=1.10〜1.15ドル、対円で85〜90円という予想は変えていません。
さらに、イタリア10年国債利回りが7%に乗せたとか、スペイン国債も6%台だとか、ギリシャは25%だとか大騒ぎしているのですが、よく考えると、これらの国債はデフォルトリスクのほかに、将来の通貨切り下げ(ユーロ離脱)のリスクまでが債券利回りに反映されているのです。
だから、どうしても統一通貨(ユーロ)内の債務問題国の国債利回りは、上昇幅が大きくなるのです。
ユーロについては、昨年11月16日付け「ユーロの話」、4月21日付け「ユーロの問題点 その1」、4月22日付け「ユーロの問題点 その2」に歴史的背景を含めて書いてありますので、時間のある時に読んでください。
最後に、昨日「オリンパスの闇・番外編」を書いたのですが、読者の方から「オリンパスも、大和銀行のように巨額の罰金を米国から科される恐れがある」とのご指摘を頂きました。
まさに、その通りなのです。
オリンパスは米国でADR(米国預託証券)を上場させているため、米国「当局」は「米国投資家を欺いた」と独自に刑事責任と巨額の罰金を科すことが出来るのです。そして、間違いなくそうしてくると思います。
だから日本の「当局」も遠慮しないで、オリンパス株を空売りした外資系証券に対し「強引な空売りで株価の急落を招いた」として課徴金ですべての利益を没収するべきなのです。
貴重なご意見ありがとうございました。
平成23年11月17日
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(新世紀人コメント)
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もう1つTPPのことも気になるので、これについては一言だけ言っておきます。
TPP交渉は、まず「国益」の見地から大枠を決めてトップダウンすべきものなのですが、日本は「官僚」のそれぞれの「省益」が「国益」に優先する稀有(けう)な国のため、唯一の「国益」は参加しないことです。野田内閣が首を突っ込めば突っ込むほど、国民にとって不利な状況になるからです。
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そうですね。戦前日本と同じく、議会政治のだらしなさと軍部官僚の暴走が国を滅ぼした事に似て、
現在は、
米国側の工作による議会政治伸張への打撃と各官僚組織の対米従属への自己保身的暴走が国を滅ぼす瀬戸際にまで追い込んできています。
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