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http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_345529
【ロンドン】次から次へと訪れる危機にユーロが苦闘している今、負け組を特定するのは難しくない。
周辺国の国債は大きく売られている。株式も低迷しており、年初来のリターンはプラスに転じていない。ユーロ圏の主要銀行は保有するギリシャ国債の減損処理を余儀なくされ、銀行株は急落した。他の通貨に対するユーロの価値も下落し始め、今後さらに落ち込むことになるはずだ。
*****では勝ち組はどこにいるのか。逃避した膨大な資産はどこへ行ったのだろうか。
この混乱で最も顕著な恩恵を受けたのはドイツ国債である。ドイツの10年物国債の利回りは過去最低の1.7%にまで急落した。ユーロ圏の周辺国から引き揚げられた資金がドイツに流入していることは明らかだ。投資家は同国を欧州大陸で唯一の安全な避難先と見なしているのだろう。
しかしドイツは本当に安全なのだろうか。同国の公的債務の国内総生産(GDP)比率を見ると、そうは思えない。最新のユーロスタットの統計では、ドイツの公的債務のGDP比は現在83.2%で、2007年の65%から大きく跳ね上がっている。これはフランスの82.3%、スペインの65%よりも高い。フランスとスペインの国債は大きく売られているのに、なぜドイツだけが買われているのだろうか。決して安全な避難先とは言えないのだが。
ユーロ圏から逃避した資金の一部は英国にも流入している。ギルトと呼ばれる英国債の利回りも過去最低まで下落した。英国は比較的安全とみられているが、欧州へのエクスポージャーもそれなりにある。 英国は深刻な債務問題と低迷する通貨を抱えている。財政赤字は今年のGDPの10.4%と膨大で、ギリシャとほぼ同じレベルにあり、スペイン、ポルトガル、イタリアの水準を上回っている。ポンドはさらに下落する公算が大きい。英国を安全な避難先と考えるのは、火事が起きている建物から脱出するために、崖から身を投げるようなものである。
昔からいざという時の避難先として人気の高いスイスにも欧州の資金が大量に流入した。しかしスイス中銀はフランの価値の急騰を阻止するための市場介入を行っている。スイス当局は無期限の介入を明言している。
当然のことながら、新興市場にも膨大な資金が流入した。中期的には、開発途上諸国の債券市場の方が危機に陥っているユーロ圏のどの債券よりも有望な投資先に見える。 しかし、こうした国々へのキャッシュの流入にも限度がある。イタリアとフランスは世界4大債券市場に数えられているほどなので、欧州から逃避した資産がすべてポーランドやインドネシアに流入したら、そうした市場で巨大で危険なバブルが発生してしまうだろう。
*****実際、ユーロ危機の唯一の勝ち組になるのは金なのだ。 それはなぜか。
この壮大な危機は今も進行中だが、その終わり方には2つの可能性しかない。1つはマリオ・ドラギ新総裁の下、欧州中央銀行(ECB)がこれまでの規則や制限を撤廃し、ユーロ圏国債の大規模な購入を行うこと。もう1つは大混乱を招く無秩序なユーロの崩壊である。
こうした状況になったとき、金相場はどうなるのだろうか。
ECBがユーロ増刷によって危機を乗り越えようとすれば、その規模はかなり大きなものになる。2兆ユーロは必要になると予想するアナリストもいるが、それで十分だろうか。イタリアの債務残高だけでも1兆9000億ユーロある。フランスの債務残高はおよそ1兆6000億ユーロ。これにギリシャ、ベルギーなどの債務を加算すると、すぐに4兆ユーロに達してしまう。民間の投資家が逃げてしまったら、ECBはその穴を埋めなければならず、ユーロ増刷の規模も一段と大きくなる。
ちなみに、★米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和では、総額1兆8500億ドル(1兆3500億ユーロ)が注ぎ込まれた。これが昨年から今年にかけての金価格急騰の直接的な原因になったのだ。★ECBが救済を必要とするすべての国の債券を買い始めたら、市場にはその3〜4倍の資金が流入してくるだろう。これにより、金の価格は必然的に上昇する。
あるいは、統一通貨が無秩序に崩壊するかもしれない。1つ、または2つの国が離脱すると、ユーロという制度そのものが崩れてしまう。新しい通貨が急きょ導入され、いくつかの国では資金の国外流出を阻止するために資本規制が強化される。その他の国では損失の規模が明らかになった銀行が軒並み破綻する。
この想定でも金の価格は上昇する。大混乱は貴金属にとってプラスにしかならないからだ。実際、ユーロから離脱した国では一定期間、金だけが有効な貨幣になるかもしれない。新通貨の制度を確立してそれなりの信用を確保するには時間がかかる。その実現までは昔ながらの物々交換や硬貨での取引が行われるだろう。
現実的な解決策が見つからず、★この壮大な危機があと2、3年継続したとしても、金相場は好調を維持するだろう。人々のあらゆる紙幣に対する信用は、危機によって着実にむしばまれていく・・・。(中略)
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■ユーロ圏諸国の国債の連鎖安〜滞留長期化が妥当化する金の価格水準
http://blog.goo.ne.jp/msi021112/e/578e7943017a3d7b00129ac9ca825792
今週は連日にわたりユーロ圏諸国の国債の発行(入札)が続いている。本日もスペインが最大40億ユーロ、フランスが同じく82億ユーロの調達を実施する予定となっている。その発行条件の結果によっても、市場は揺れることになる。
先月末のユーロ圏の「包括戦略」でギリシャ国債の保有金融機関に対して50%の減免を求めたことが、金融機関サイドの自発的な行動とすることで「デフォルト(債務不履行)に当たらず」という、ユーロ圏金融当局の(無理を承知の)ゴリ押し的要求の影響が市場に及び始めている。
デフォルト発生時に代わりに償還元本を保証してもらえる「保険」にあたるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の有効性について疑問がユーロ圏債券市場にプレッシャーを掛けている。★結果的にCDSの機能に疑問を抱いた投資家は、手持ちの国債を手放しに掛り、これが不安のある国の債券は売りが加速し、さらにこれまで見られなかったフランスやオランダなども含む高格付けの国債の下げ圧力となっている(利回り上昇)。“危うきは手放す” というわけだ。認識していたルールが、「緊急避難」とはいえ曲げられた(と受け止められたツケの・・)意味は大きい。
ユーロ圏の混乱の他地域への悪影響を懸念する動きもさらに高まっている。16日は米格付け会社フィッチ・レーティングスがユーロ圏危機の悪化が米銀の信用力に「(耐えられるであろうが)深刻なリスク」をもたらすと指摘したと伝えられると、NY株は引けにかけて急落状態となり結局NYダウは前日比190ドル安となった。投資家の警戒感が高まりリスク回避姿勢に傾いていることによる。
★その中で金は、「Safety Asset(安全資産)」とする見方と、「リスク資産」とする見方が合い半ばする形で、結局方向感がつかめずレンジ取引に始終という展開にある。
★この価格水準での滞留期間が長引くほどに、水準自体が妥当化されるというのが、金市場の面白いところであるし、また特徴でもある。(中略/亀井幸一郎)
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