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2011.11.16 オリンパスの闇・番外編
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オリンパスの闇・番外編
オリンパスは、本日もストップ高(100円高)の640円となり、6800万株近い買い注文を残しています。
オリンパスについては海外の捜査機関と報道機関が先行したため、いつもの経済事件のように「当局」から(当局の都合の良い)情報があまり入らないため、各マスコミが懸命に独自取材をしています。
最近はようやく「当局」からと思える情報に基づく報道が多くなったのですが、独自取材と思われる記事の中に「気になる」ものがありますので、3つほどご紹介します。
まず1番目は、「オリンパス本体の預金や有価証券を、ピークで1300億円も水増し計上する形でつじつまを合わせていた」という記事です。
実は、私がどうしても解けなかった疑問がありました。それは、オリンパスが損失をどのような形で「飛ばし」ていても、その最初の資金がオリンパス本体から出ている以上、必ずオリンパスの決算書の資産に何か「ないはずのもの」が「ある」と計上されていなければならず、いったい「何が」計上されていたのかということでした。
答えは極めて簡単で、決算書(つまり有価証券報告書)に計上されている「預金」や「ファンド」が「空っぽ」だったということなのです。
この報道が正しければ「重大な」意味を持ちます。
決算時には、監査法人が「資産」や「負債」の各項目について「残高確認書」を直接相手方に送付して回答を求めることになっています。たとえば、最大時に600億円あったことになっている「預金」が「空っぽ」だったとすると、「残高確認書」の相手(つまり銀行)が虚偽の回答をしたか、オリンパスが「残高確認書」を偽造したかのいずれかなのです。
これは明らかなオリンパスの「犯罪」で、監査法人も「加担した」か「重大な落ち度」があったことになるのです。
最近の「当局」からの情報と思われる報道では、「有価証券を5年分のみ訂正」し「監査法人に協力を求める」となっています。つまり「法人としてのオリンパス」と「監査法人」は犯罪の対象とは見ていないということを意味します。
この重大な報道には、なぜか全く追随記事がありません。
2番目は、オリンパスが2009年8月に臨床検査機器の製造販売の「分析機事業」を、ひそかに米国の会社に775億円で売却していたという報道です。
この「分析機事業」は予想利益が年間5億ドル(385億円)とされ、これを買った米国の会社が今年、別の米国の会社に68億ドル(5200億円)で買収されたそうです。
2008年にジャイラスを、年間売上高の5倍に相当する2000億円以上もの高値で買収し(さらに高額の報酬まで支払い)、一方では40年育ててきた「超有望事業」を明らかな安値で売却していたのです。
損失処理のための原資をひねり出したのでしょうが、明らかに「株主の利益」を損なう行為です。やや理屈っぽいのですが、オリンパスが過去の「負の遺産」を処理するために「企業買収」や「高額報酬」などで資金を流出させていたとしても、それは厳密に言えば新たな株主資本の毀損にはならないのですが、将来の会社の収益源まで「捨て値」で売却していたとなると、経営陣の責任の意味合いが非常に違って見えてくるのです。
3番目は、Goldman Sachsがオリンパス株式を大量に「空売り」していたという本日の報道です。「外資はすごいなあ」と報道されているのですが、「とんでもない」ことです。
Goldman Sachsは10月13日にオリンパス株を83万株も空売りし、空売り残はピークだった11月8日に194万株となり、翌9日にほとんどを買い戻していたのです。
しかし、ウッドフォード解任は10月14日なのです。
何故Goldmanは、その前日である10月13日に空売り出来たのでしょうか? 13日の出来高は311万株で、その中で83万株も空売りしたのです。13日の引け値は2482円でした。また194万株の空売り残をほとんど買い戻した11月9日の引け値は584円でした。
不毛の計算ですが22億円の利益が出ています。これはGoldmanが前日に解任を知っていたとしか考えられないのですが、難しいのは、これだけでインサイダー取引にあたるのか「微妙」なのです。社長を解任した方が株価にプラスのこともあるからです。
しかし、これはオリンパス事件という日本の株式市場にとって不幸な出来事に乗じて、一部の外資が収益を上げたという「日本にとって絶対に問題視しなければならない」出来事なのです。
ウッドフォードが「資料を海外の捜査当局と報道機関」だけにしか提供していないことと考え合わせると、結構奥が深い話なのです。
たまには「当局」も鉾先を外資に向けてほしいものです。別に外資だからとかユダヤだからと遠慮せず、いつものように「稀に見る悪質なインサイダー取引である」と「認定」すればいいだけの話なのです(少なくとも課徴金で利益全額を没収できます)。
これら3つの報道は、すべて「当局」からのリークではなく、各マスコミが独自取材で探したものだと思われるのですが、残念ながらそこから全く踏み込めていません。
だから、代わって「踏み込んで」みました。
平成23年11月16日
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2011.11.15 オリンパスの株価はどうなる? その2
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オリンパスの株価はどうなる? その2
昨日の続きですが、本日(11月14日)のオリンパスはストップ高(80円高)の540円となり478万株ほど買い物を残しています。やはり週末の報道で「上場が維持できる」との期待が高まったからのようです。
本誌も、昨日の結論に「上場は維持できる」と書いたのですが、これについてもう少し詳しく書いてみます。
まず、東京証券取引所の上場規定によれば、オリンパスが上場廃止となるケースは、「粉飾決算が会社ぐるみで悪質であること」と「決算発表が1か月以上の遅延となる」の2つです。
それでは、「粉飾決算」がどれほど「悪質」であれば上場廃止となるのかを、過去の例で見てみましょう。
まず、2006年1月のライブドア事件は(偽計・風説の流布と、粉飾にあたる有価証券虚偽記載で2回の事件なのですが)、当時の堀江社長以下取締役5名が逮捕され(うち2人が実刑)、ライブドア株式は東京証券取引所の「稀に見る悪質な犯行」というコメントと共に即刻上場廃止となりました。
粉飾とされた金額は53億円で、これも「ない」ものを「ある」としたわけでもない「本当に粉飾なのか?」と思えるものなのですが、法人としてのライブドアも株主から700億円もの損害賠償を求められて支払い(うち310億円はフジテレビがせしめた!)、そのため堀江元社長はライブドアに208億円を支払うという和解をしています。
ライブドア事件については、6月23日付け「ライブドア事件の闇 その3」に、かなり詳しく書いてありますので、ぜひ読み返して考えて見てください。
あと、それより以前の2005年9月に事件化したカネボウも上場廃止になっているのですが、これは明らかに架空の利益を計上したりする「悪質」なもので、金額も2000億円を超えており上場廃止は当然だったと思われます。
ただ、当時の社長・副社長・監査を担当した公認会計士の3人が逮捕されたのですが、全員有罪判決でしたが執行猶予つきでした。
ライブドアと対比されるのが、2006年12月に表面化した日興コーディアル証券です。子会社化したベルシステム24を使い、はるかに高度なテクニックで「粉飾」した金額が187億円と巨額だったのですが、なぜか全く事件化せず(誰も逮捕されず)、東京証券取引所も「会社ぐるみでなく、悪質性がない」との奇怪なコメントと共に早々と上場維持を決め、証券取引等監視委員会も5億円の課徴金のみで済ませてしまいました。
5億円というのは大きいように思えるのですが、その「粉飾した」決算数字を使って500億円もの資金調達をしているので、これでも大甘の処分だったのです。
日興コーディアル証券は当時の社長が取引を主導し、しかも社長以下がこの「粉飾した」収益で巨額の成果連動報酬を得ていたのですが「会社ぐるみでなく、悪質性がなかった」そうなのです。
昨年11月17日付け「あの事件はどうなった? その2」に詳しく書いてあります。
長々と書いたのですが要するに言いたいことは、東京証券取引所は粉飾した上場企業の上場を維持するかどうかの決定については独自に判断することなく、すべて「当局の方針」に従っていることです。
だから、「当局の方針」を読まなければならないのです。逆に言えば、東京証券取引所が「当局の方針」に反して「独自に上場廃止にする」こともないのです。
今のところ、その「当局の方針」としては、前面に出る「証券取引等監視委員会」が課徴金賦課を目的とする「開示検査課」が担当するようで、そこへ刑事告発を目的とする「特別調査課」が相乗りすることは組織上ありえないため、少なくとも「法人としてのオリンパスは事件化しない」ということで間違いなく、東京証券取引所も「上場維持」とするのでしょう。
もう1つの「1か月以内の決算発表」もクリアーさせる方向のようです。
しかし、仮に上場が維持できたとして、オリンパスの「適正株価」はどれくらいなのでしょうか?
オリンパスの財務内容は、基本的には2009年3月期の巨額損失(1148億円)で「飛ばし」ている損失はなくなっているはずです。
しかし、1600億円台の「純資産」から、ジャイラスの優先株とか、その他の多くの「連結対象会社」の問題資産を償却していくと、かなり目減りします。
本日(11月14日)のストップ高で、「純資産」を1600億円のままと計算してもPBR(株価純資産倍率)が0.88倍となります。
PBRは、日本を代表する製造業のトヨタ自動車が0.78倍、パナソニックが0.63倍、ソニーが0.58倍なのです。
いくら、オリンパスが「内視鏡」という成長分野を持っていたとしても、適正PBRは最大1.0倍だと思われ、純資産の目減りを仮に1000億円までで止めたとして、時価総額で1000億円と考えます(株価は単純計算で369円)。
「適正株価」は300円台なのでしょう。
少し冷静になる必要がありそうです。
それから全くの余談ですが、「証券取引等監視委員会」というのは字のごとく「委員会」で、委員長(現在は佐渡・元福岡高検検事長)と他2名の委員で構成されています。
その委員の1人に野村証券OBの熊野氏がいたのですが、昨年12月に交代していました。
別に、熊野氏の「見識」が委員にふさわしいということもないのですが、そこにも野村証券の政治力が働いていたのです。ここにも現在の渡部・柴田体制の力不足があります。野村証券が「委員会」から「配慮」されることも、これでなくなりました。
平成23年11月15日
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2011.11.14 オリンパスの株価はどうなる? その1
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オリンパスの株価はどうなる? その1
やはり、このテーマで書かないわけにはいきません。
結論を先に言っておきますと、オリンパスの株価は「すべて当局の方針次第」となるのです。これだけだと何のことだか分からないので、順番にご説明します。
ポイントを必要最低限に絞っても書くことがかなり多くなるので2回にわけます。従って、肝心の「オリンパスの株価予想」については次回になってしまいます。
ここでいう「当局」とは、東京地検特捜部・警視庁2課・証券取引等監視委員会のことで、今回はこの3者が合同で実態解明を進めるそうですが、これは「極めて異例」のことです。これに、11月1日に発足した第三者委員会と東京証券取引所を含めた5者が「当局」ということになります。
第三者委員会とは、昨年12月に日本弁護士連合会が策定したガイドラインに沿って、オリンパスの調査対象となる時期に在任していなかった社外取締役によって委員が選任されており、一応独立性は維持されているようです。委員長は元東京高検検事長です。
また、オリンパスの株価にとって非常に重要な上場の維持については、東京証券取引所(民間会社のはずなんですがね)が、自ら策定する上場規定によって決定します。
以前書きましたように、本件は海外の報道機関や捜査当局の動きが先行したため、日本の「当局」としては「今まで放っておいた責任」を問われないためにも、異例の協力体制を敷いて「迅速」に調査することになるのです。
通常の場合、経済事件が顕在化するときは、「どの事件を取り上げるのか(逆に、どの事件を取り上げないのか)」や「誰をターゲットにするのか(往々にして、本当に悪い奴でないことが多い)」や、「どういう犯罪に該当するのか(いわゆる見立て)」が、あらかじめ「当局」によって決められてからマスコミにリークされ、初めて皆様が目にするのです。
決して「当局」は、国民のために「悪い奴を順番に懲らしめてくれている」わけではなく、そこにも官僚間の「計算」や「勢力争い」必ずあるのです。
これも本誌でいやというほど書いているのですが、とりあえず10月21日付け「あの経済産業省幹部のインサイダー疑惑はどうなった?」だけでも読んでみてください。
一方マスコミの方も、「当局」の方針が決まる前に海外からの報道が先行したため、いつものように「当局」からリークが来るのを待っているわけにもいかず、珍しく各社取材競争になっていたのですが、ここにきて「当局」からの情報と思える記事が目につき始めました。
「当局の方針」が決まりつつあるのです。
つまり、オリンパスの株価の行方は、ひとえにこの「当局に方針」にかかっており、それを各社の報道から「高度に推測」しなければならないのです。
「当局の方針」が決まれば、結論も「当局の方針」どおりになるからです。
今までのところの「当局」からの情報と思える記事から「推測」出来ることは、本件は海外主導で始まってしまったため、当局としては既に「敗戦処理」のような扱いになっているはずだということです。
つまり、本件は「当局」にとって「勢力拡大」や「存在価値を高める」目的に使えず、逆に「今まで放置しておいた責任」を問われないように、ひたすらゲームを終了させるだけなのです。
従って、「粛々と」「迅速に」「当たり障りなく」「捜査対象を出来るだけ少なく」「海外を含む世論の批判を受けないように」「それでもスケープゴートは出す」などの「方針」となるはずです。
この辺の事情をリアルタイムでお知らせすることが、本誌がオリンパス事件を取り上げている唯一の目的なのです(本誌は「暴露雑誌」でも「ブラックジャーナル」でも「相場予想紙」でもありません)。
前置きが長くなりすぎて紙面が少なくなってきましたので、重要なポイントだけ挙げて、詳しい解説は次回にします。
まず、「当局」で調査の前面に立つのが「証券取引等監視委員会」なのですが、実際動員されているのは「開示検査課」のようです。
「開示検査課」とは、上場企業の開示資料や有価証券報告書を検査するところなのですが、最大罰則が「課徴金」を課すように金融庁に勧告することで、最初から刑事告発・逮捕などを目的とする「特別調査課」とは違うのです。
これは、少なくとも法人としてのオリンパスは犯罪として扱わないという、重要なサインなのです。
一部の報道では、「偽計」の疑いで東京地検特捜部への「告発」を視野に入れているとされています。真偽のほどは不明ですが、旧経営陣など個人を対象にしていると思われます。
もうひとつは、上場が維持されるためには「第三者委員会の報告」「過去の決算訂正・訂正有価証券報告書の提出(全部やると20年分です)」「今回の決算の提出」を、すべて12月14日までに完了させなければなりませんが、物理的には絶対に不可能です。
しかし最新の報道では、「過去5年分の訂正」で済ませることと「訂正する決算に関わった監査法人に協力を依頼した」とあります。
これも、「とにかく間に合わせて上場維持を優先する」と、「監査法人の責任は問わない」という重要なサインなのです。
この2点については、次回により詳しく解説します。
現時点では「上場は維持される」と読めます。
平成23年11月14日
(新世紀人コメント)
このブログは結婚されたばかりの石川議員の奥様の父君が書かれています。
何時もながら尊敬に値する評論を書かれていて読んで楽しい思いがいたします。
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