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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/29416?page=3
ギリシャとイタリアで実務家が首相に指名されたことを誰もが歓迎しているわけではない。一部からは、ギリシャのルカス・パパデモス氏もイタリアのマリオ・モンティ氏も選挙で選ばれたわけではなく、両者の指名は欧州統合プロジェクトのエリート主義的かつ非民主的な性質を裏付けるだけだとの指摘が出ている。
*****実務家の利点
彼らはイールドカーブ(利回り曲線)や債務担保証券(CDO)といった概念が飛び交う世界に精通している。市場はもとより外国の事情も理解している。
欧州の実務家たちは、とてもよく似た経歴を持っていることが多い。
例えば、モンティ氏とパパデモス氏、そして欧州中央銀行(ECB)総裁に先日就任したマリオ・ドラギ氏の履歴書を比較してみると、3人とも米国で勉強した経済学者であること、欧州連合(EU)の官僚組織のトップを務めていたことなどが分かる。
また、モンティ氏とドラギ氏はともにゴールドマン・サックスに勤務した経験がある。
反グローバル化勢力は逆に困惑するだろう・・しかし欧州、そして世界全体が、モンティ氏とパパデモス氏に奇跡的な成果を上げてほしいと願うのは、実にもっともなことだ。なぜなら、もし実務家にそれができなければ、その次に控えているのは過激な政治勢力だからだ。
*****債務国や債権国で一様に勢力を伸ばす極右・極左政党
ギリシャでは今や、有権者の約4分の1が極左政党を支持し、8%が国家主義の極右政党を支持している。両者を合計すれば、過激な勢力が主流派の2党のどちらよりも大きな支持を得ていることになる。
シルビオ・ベルルスコーニ首相が辞任に追い込まれたイタリアでは、政治情勢がしばらく混乱する可能性が高い。だがこの国には、強力な共産主義勢力や極右勢力が誕生した過去がある。一方、北部同盟のウンベルト・ボッシ党首は、下野するのが楽しみだと話している。野党になればEU、移民そしてイタリア南部について不満を言い立てることが可能になるからだ。
政治の過激化は、欧州では債務国だけでなく債権国でも同じくらい目につくようになっている。フランスの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首は2012年の大統領選挙に出馬し、当選する可能性は低いものの旋風を巻き起こすことになるだろう。
オランダの現政権は、ヘルト・ウィルダース氏が率いる極右・自由党の票を頼りにしている。自由党は今や、2番目に高い支持率を誇る政党になっている。
オーストリアの自由党も極右政党だが、こちらは支持率で与党の国民党と拮抗している。フィンランドでは、国家主義の「真のフィンランド人」党がまだ勢力を伸ばしており、支持率も20%を軽く超えるようになっている。
勢力を増すこれらの政党は皆、相手がブリュッセルにいようが、ウォール街や自国政府内にいようが、「エリート」を激しく非難する。すべての党がグローバル化と移民(特にイスラム世界からの移民)を敵視している。
ハンガリーの「ヨッビク(ハンガリーのための運動)」など、欧州の極右政党の一部はいまだに伝統的な反ユダヤ感情に訴えかけている。だが、オランダのウィルダース氏ら一部の極右は、ユダヤ国家のことをイスラム世界との文明の衝突における味方と見なしてか、強力な親イスラエル派だ。
*****反移民から反EUへシフトするポピュリスト
しかし欧州のポピュリストたちは次第に、移民に対する敵意という孤立した選挙の争点から脱け出すことに懸命になり、代わりに、より幅広い層にアピールする経済問題や欧州懐疑派のテーマを強調している。
ポピュリスト的な政党は皆、EUに対してひどく懐疑的だ。EUは彼らが嫌う大半のもの、すなわち、多文化主義、国際的な資本主義、国境の浸食、国の通貨の消滅を促す存在のように思えるからだ。
ルペン氏は、フランスをユーロから離脱させ、関税障壁を設け、EU内の自由な移動を認めるシェンゲン協定を覆す運動を繰り広げている。かつては反イスラムを単一争点とする政治家だったウィルダース氏は先日、オランダがユーロを捨て、ギルダーに戻る可能性について調査していると発表したばかりだ。世論調査では、オランダ国民の半数以上が今、欧州単一通貨に参加したことを後悔している。
今のところ欧州には、選挙によって政権の座を勝ち取れるような極右・極左政党は存在しない。主要政党は大抵、一致団結して両極を締め出しておける。だが、それでもポピュリストと過激主義者を忘れ去ることは大きな間違いだ。
こうした集団は既に、議論に大きな影響を与えられるだけの力を持っている。フィンランド、オランダ、スロバキアといった債権国の主流派の政治家は、ギリシャ救済の後となっては、イタリアのための融資策に賛成票を投じるのは不可能だと話している。そんなことをすれば、有権者が反発し、過激な政治勢力に走ってしまうからだ。
フランスでは、移民と経済政策に関する議論は明らかに、国民戦線によって右に引っ張られている。
*****再び深刻な景気後退が起きたら
こうしたことはすべて、悪いとはいえ、まだ壊滅的ではない経済状況の中で起きている。だが、★銀行が破綻し始め、人々が貯蓄や仕事を失い、再び深刻な景気後退が起きたら、欧州の政治状況がどんなふうになるか想像してみるといい。★その時点で有権者は、大挙して過激主義の政党に頼るくらい死に物狂いになり、幻滅しているだろう。
このため、自国経済を安定させ、債券市場を落ち着かせ、新たな金融危機の発生と無秩序なユーロ解体を防ぐ実務家の能力に実に多くのことがかかっている。
問題は、モンティ、パパデモス、ドラギ各氏は、非常に有能な人物だとはいえ、奇跡を起こす人ではないということだ。★危険なのは、欧州の状況が既に、最も冷徹で才気溢れる実務家でさえ反転させられないところまで来てしまったかもしれないことだ。
(中略)
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■米ダラス連銀総裁:巨大銀行は解体を「危険過ぎて容認できず」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920015&sid=a9_IrbxmkjmI
11月15日(ブルームバーグ):米ダラス連銀のフィッシャー総裁は、いわゆる大き過ぎてつぶせない銀行が金融の安定にもたらすリスクを抑制するため、監督当局はこうした金融機関を解体するべきだとの見解を示した。
フィッシャー総裁は15日、ニューヨークで講演。事前原稿によると、「大き過ぎてつぶせない銀行は危険過ぎて容認できないと私は確信している」と発言。「巨大企業を慎重な管理や国境を越えた監督が可能になる機関へと時間をかけてスリム化することは、適切な政策対応だ。そうすれば、創造的破壊は金融セクターにおいて驚くべき成果を挙げることができる」と述べた。
総裁は「5つの金融機関の資産は合計で業界全体の半分を占めており、銀行業界は一段と集中化が進んでいる」と指摘。さらに「大き過ぎてつぶせない状態を維持し、保護という殻で維持することは非建設的で不経済かつ社会的にも問題含みである」と述べた。
フッシャー総裁はその上で、「元に戻せない減量手術あるいは胃バイパス手術に相当する金融的な措置こそ、金融肥満の病状を治療し、こうした銀行の絶え間ない拡大を抑制、また管理可能な大きさへとスリム化する唯一の方法だ」と続けた。
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