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10日のNY市場の金価格は、前日比32.00ドル安とユーロ圏債務問題の不透明感を嫌気するかたちでファンドの売りに大幅続落となった。
ブルームバーグは、「ギリシャの次期首相が指名されたこと」、前日に7.4%まで急騰し市場に緊張感が走った「イタリア国債の利回りが低下したこと」からユーロ圏の債務危機が深刻化する懸念が後退し金が売られたとしていた。
日替わり的な相場解説ゆえに、そうした指摘もできようが、イタリア国債にしても下がったとはいえ6.8%台で危機的状況に変りはない。ギリシャの次期首相に決まったパパデモス前ECB副総裁は、現下の金融問題への対応能力と議員ではなく無所属という中立的立場から、政争からは離れた存在ということで選ばれたと見られる。政治家ではないので、ここからの政権運営となると未知数といえる。国民の不満の高まりの中、どこまで改革を断行できるのかは今後の話。ただし、ECB内部にいたことからECBのみならずIMFやEUの要求の勘どころはつかんでいると思われるので、支援を固めるには最適の人物といえるのだろう。いずれにしても第6次融資80億ユーロに路はつく形で、ギリシャのデフォルト(債務不履行)は回避されることになる。もちろん、そこからが約束の履行を求められるので、さらに大変だけど。
さて10日の急落の背景にあるのは、引き続き先物市場を舞台にしたファンドの資金移動と思われる。不透明さを嫌い様子見に徹していたファンドが、ユーロ圏での「包括戦略」の合意や11月に入りFOMCやG20サミットを超えたことで再参入した。ところが、今回のイタリア国債の想定外のスピードでの波乱で再び警戒感を高めたと見られる。
折しもヘッジファンドは、決算期に向かうタイミング。株価も急落したことから、利の乗っている金を売るという行動は十分考えられる。金に関しては、1800ドル超えから空売り筋の買い戻し(ショート・カバー)を交えて1820〜30ドルという方向も考えられたが、手前で押し戻された形になり、むしろ弱気に傾いた。そのヘッジファンドも運用成果は苦戦どころかマイナスが多いとされ、やはり環境の不透明さを嫌い安全策に走る投資家からの解約請求も増えていると見られる。解約申し出に関する「45日前ルール」からすると年内に現金化となると、ちょうど今頃のタイミングが期限となる。そうした、内部の事情もからんでいそうだ。この点では来週は、9月末の資金移動の結果がSEC(米証券取引委員会)から発表される。一時、金ETFの売却の噂が流れたポールソンのファンドの状況も明らかになる。
ユーロ圏の混乱拡大を見たファンドの益出し手仕舞い売りにフレッシュ・ショート(新規売り)が加わっての急落「とするなら、少し落ち着けばショートカバーという流れか。一方で、ETFの増加が連日続いている。10日も1.5トンほど増加した。これで5営業日連続の増加で累計25トンの増加となった。ファンドの“出たり入ったり” という動きで作られる派手な動きの陰で、こうした逃避マネーの流入も見られているのが今の金市場といえる。
足元のユーロ圏や米国金融の騒動だが、金融史という観点から考えると、ちょうど管理通貨制度(金本位の廃止)に移行し40年目にして、制度疲労が極まった・・という見方もでき、客観的には興味深い。・・・・とか面白がっている場合ではないか。
(亀井幸一郎)
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