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2011.11.04
日本国債が海外で買われると思う理由
世界経済
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日本国債が海外で買われると思う理由
今週は11月1日付け「円高に対する国家戦略とは その1」と、11月2日付け「円高に対する国家戦略とは その2」の中で、「円建て国債」を海外向けに発行する、もしくは日銀などの保有する国債を海外向けに売り出すべきと書きました。
そうすると、「日本の国家債務はすでにGDPの2倍もあり、日本の国債が海外投資家に売れるはずがない」、「外国人投資家に国債を売ろうとすると発行条件が悪くなり、財政負担が増える」、「外人投資家が日本国債を保有すると、空売りなどの材料になり相場が乱高下する」等のご意見を頂きました。
そこで、この辺をもう一度書くことにします。
まず、昨日(11月3日)の昼間のメルマガにも書いたのですが、世界の金融市場の緊張感の高まりの結果、ますます世界の資金が安全志向となっています。
つまり世界中の金融緩和の結果、世界中であり余っている投資資金が「リスクをとる方向」に向かっているのではなく、「我先にリスクから逃げ出して」いるので金融市場の混乱が増幅されているのです。
だからヘッジファンドのようにリスクをとる運用は、だんだん「割の合わない」投資ということになり、パフォーマンスの低下と資金の流出に苦しんでいるのです。
ゴールドマンサックスで債券トレーダーからCEOに上り詰めたジョン・コーザイン氏が主宰するMFグローバルが、先日あえなく破たんしたのをはじめ、昨年ヘッジファンド業界で最高所得を得たジョン・ポールソン氏が主宰するファンドも8%の資金流出(予想よりだいぶ少なかったのですが、それでも2000億円くらいの流出です)となりました。
通貨では唯一の安全通貨として「円」に資金が流入し(だから円高が続き)、資産では安全資産として「国債」に資金が流入しています。だから「円」で「国債」の「日本の国債」は世界中からの需要があるはずなのです。
そういう大雑把な理由ではなく、日本は経済規模が大きく、政情も比較的安定しており(暴動や革命が起きないという意味です)、日本の国債は発行額や流動性が非常に大きく、何より国際債券市場では比較的希少物件なので、こういう世界の資金が「我先にリスク資産から逃げ出している」状況では格好の受け皿になります。
確かに、日本の国家債務はGDPの2倍もあるのですが、今まで発行された国債のほとんどが国内で何の問題もなく消化されており、しかも利回りが現在も最低水準で10年債利回りが1%程度なのです。
同じく国家債務が急増しており、しかも海外投資家への依存度が50%もある米国の10年国債利回りも2%程度であり、ユーロの維持のためにこれからも発行が増えそうなドイツ10年国債も1.8%程度なのです。
つまり、世界中で財政赤字が拡大するなかで米国国債・ドイツ国債が「安全資産」であるのと同じように、これより利回りの低い「日本の国債」は世界的に見ても「安全資産」のはずなのです。海外に持って行った途端に利回りが上昇することもないのです。
問題は、国債発行残高が危機的水準にあり、今すぐ財政赤字削減をしなければならないという財務省の「脅迫」に日本国民が騙されているだけなのです。そう言っておくと予算配分権を持つ財務省の「発言力」が維持できるからで、国債が海外に大量に売れることが分かるとまずいので海外にオファーしようともしないのです。
これだけ財源がないと言いながら、為替介入に1日に8兆円(これも国債発行で賄うのです)も使ったり、欧州のEFSF発行に債券を購入することを安易に約束したり(中国ですら簡単に了解していません)、国策でウォン安を続ける韓国に対して為替介入のための外貨を提供してみたり、全然やっていることの辻褄が合わないのが財務省なのです。
もう1つ日本国債に対する世界の需要が大きいと思う理由は、世界の債券市場には巨大な裁定取引の市場があり、日本の国債は、新たに大きな裁定取引の機会を世界の投資家に提供出来るのです。裁定取引とは、債券間で割安と思うものを買い、割高と思えるものを売り、その関係が修正されると反対決済をして利益を確定させるものです。
大きな流動性を持つ日本国債が、新たに国際債券市場に登場すると大きな裁定取引の需要が発生し、かなりの額が市場で吸収されるはずです。
もちろん、裁定取引で日本国債が「割高」と見られるかもしれませんし、日本の財政赤字に目をつけて日本国債を「空売り」する投資家も出てくるかも知れません
これも心配いりません。
実はヘッジファンドはかなり以前から日本国債の空売り(普通国債先物の売り)を継続的に相当大量に仕掛けています。しかしヘッジファンドに国債先物が売り崩されたことは、2003年夏に1回あるだけです。大半は売り崩しが失敗して損失を出しているのです。
日本の国債市場は、皆さんが想像しているよりはるかに大きく洗練されており、十分に世界の投資家を相手に戦えるもので、また世界の投資家の信頼を引きつけることが出来る市場なのです。
長年トレーダーとして、世界の債券市場に参戦していた者としての確信があるのです。
決して自慢するわけではないのですが、6月19日付け「債券市場の行方」で、債券王ビル・グロス氏の見立てに反対しました。そして9月2日付け「米国債券王・グロス氏の敗北宣言の意味するところ」で書きましたように、グロス氏は間違いを認めたのです。
これも、長年の経験からの確信があったのです。
平成23年11月4日
追加ニュース
先程、ECB総裁に就任したばかりのドラギ総裁のもとで、ECBが予想外の0.25%利下げを行いました(1.25%へ)。
これは、ユーロの仕組みを堅持する方向は変えられない中で、景気回復とユーロ安に誘導するために非常に妥当な方法だと思われます。
また、円高要因が増えたことになります。
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