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****パパンドレウ首相が突如上演した「ギリシャ四大悲劇」
パパンドレウ首相は、「ギリシャ三大悲劇詩人」として知られているアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスに続く、「四大悲劇詩人」として歴史に名を残すことになる。
パパンドレウ首相が演出した悲劇は、EFSF拡充を「絵に描いた餅」にしてしまったこと。EFSFの規模拡充に向け資金を提供する国が現れ、EFSFの規模を1兆ユーロに拡大出来たとしても、ギリシャに続く要支援国が現れた場合には、新たに資金提供をした国に損失が生じる可能性が高いということ。
従って、EFSFの拡充において最も大事なことは、「ギリシャに続く債務危機が起きる可能性は低い」ということを国際社会に示すことであった。しかし、同時に欧州各国は「ギリシャに続く債務危機が起きる可能性は低い」ことを証明するために、EFSEの拡充という「資金的裏付け」が必要不可欠である・・もともと「欧州債務危機の拡大の可能性の低下」と「EFSFの拡充」がこのような「ニワトリと卵」の関係だったところに、突如パパンドレウ首相自作自演による「悲劇」が上演されたことで、「ニワトリと卵」の関係が崩れ、「欧州債務危機の拡大の可能性の低下」が優先されることになってしまった。
これにより、EFSF債への追加投資の有力候補であった中国を始めとした新興国も、慎重姿勢に転じてしまったのである。
G20参加前の参議院本会議で、EFSF債の追加購入に前向きな姿勢を示した野田総理。どんなに「国際金融に疎い元財務相」といえ、この一連のギリシャ騒動による国際情勢の変化を受けてEFSF債の追加購入に関してどの様な見解を持っているのか、早急に考えを明確にするべきである。自らの「知識不足」で国民の税金がリスクに晒されるのを放置するのは総理として「職務怠慢」である。(ここにもいた!!東洋のギリシャ悲劇恣人)
****「日本のギリシャ化」か「日本のイタリア化」か
パパンドレウ首相が演出した悲劇によって、最も影響を受けたのがイタリア。EFSFの拡充が先送りされたことを受けて、金融市場に狙われるのは必至の情勢。
イタリアが金融市場に狙われるのは、公的債務のGDP比率がギリシャに次ぐ水準であることに加え、同首相に緊縮策を実行するつもりがあるのかを市場が疑い始めたこと。さらには、イタリア経済が「高齢化、既得権益の横行など問題を抱えるイタリアの経済成長率は過去15年間で年平均0.75%」と低調であり、財政悪化懸念が払拭出来ないこと。
★日本のマスコミは「イタリアの経済成長率は過去15年間で年平均0.75%」と、イタリア経済の低迷ぶりを強調しているが、日本の低成長ぶりがイタリアを上回っていることは殆ど報道されていない。
日本の過去15年間の成長率は、実質GDPベースで年率0.58%、名目GDPベースで年率▲0.48%と、イタリアにすら及ばない水準である。さらに、日本の名目GDP成長率は、過去10年間でみると▲0.58%、過去5年間では▲1.54%、2011年1年では▲2.0%(予想)と、その低迷ぶりは加速して来ている(実質GDPベースでも、過去10年間の平均成長率は0.64%、過去5年間で▲0.38%、2011年1年では▲0.47%(予想)と低迷ぶりは同様に加速して来ている)。
野田内閣や日本のマスコミは、日本の公的債務の対GDP比がギリシャを上回っている状況をことさら強調し、「日本のギリシャ化」を錦の御旗に立て「増税路線」を突き進もうとしている。しかし、★日本経済の問題は「経済低迷により財政再建の可能性が見えない」ことである。このまま「増税路線」を突き進めば、「経済の低迷」と「財政悪化」のイタチごっこを繰り返すことになる可能性が高い。
金融市場に家計貯蓄率が高く安全とみなされて来たイタリアが、「高齢化、既得権益の横行など問題を抱え経済成長率は過去15年間で年平均0.75%」という「低成長」を理由で金融市場に狙われ始めたということは、★日本が「日本のギリシャ化」ばかりに気を取られこのまま「増税路線」を突き進めば、そう遠くない時期に「日本のイタリア化」が最大の懸念材料となる日が訪れることへの警鐘と受け止めるべきである。(近藤駿介/中略)
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■ギリシャ問題がこじれている今こそ「スティグリッツ」を読もう・・世界を不幸にしたグローバリズムの正体
http://markethack.net/archives/51682155.html
『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』は南米の債務危機やアジアの通貨危機の後に書かれた本です。同書の英語のタイトルは『Globalization and its Discontents』です。この discontentsとは「不平、不満」の意味です。
グローバライゼーションの不平、不満の矛先はどこに向けられているかと言えば、それは国際通貨基金(IMF)に代表される、ワシントン・コンセンサスの考え方に向けられています。
同書が出る前の欧米の金融界における支配的な考え方は「通貨危機に陥る国は怠け者だからダメなのだ」ないしは「これらの国の後進性が問題だ」というものでした。
だから誰も国際通貨基金がそれらの国を救済する際にあてはめている処方箋が間違っているとは疑っていませんでした。
同書は救済される側の立場に立ってIMFの処方箋を押し付けられた国はどうなるか?ということを解説しています。
いままでIMFの言う事は神様のご神託と同じで、絶対厳守しなければいけないと信じてきた先進国の投資家の中にはこの本を読んで目から鱗が落ちた人も多かったです。(そういう自分もヘッジファンド仲間に薦められてこの本を読み、そのユニークな視点に感心しました。)
スティグリッツは世銀のチーフ・エコノミストを務めていたので救済の際にIMFが押し付ける処方箋がもたらすジレンマについて良く理解できる立場にありました。
それではそのジレンマとは何か?
★ジレンマのひとつは規律ある財政を取るか?それとも経済成長を取るか?という二者択一の問題です。
★IMFの処方箋は財政規律を優先しています。その結果、プロ・シクリカル(=景気循環的に引き起こされる不景気を、財政切り詰めで一層深刻なものにしてしまうこと)な効果をもたらしてしまうのです。
★現在のギリシャ財政危機問題やイタリアの問題はまさしくこのプロ・シクリカルな効果という悪魔との戦いに他なりません。
だから言われるままに政府支出をどんなに切り詰めても、不景気による税収の激減で収支のターゲットは達成できるどころかどんどん遠のいてしまっているのです。
11月から欧州中央銀行総裁に就任したマリオ・ドラギはこのプロ・シクリカルの悪魔的効果の危険を良く理解しています。だから思い切りトリシェ前総裁をdisるカタチでいきなり利下げを打ち出したのです。
ギリシャやイタリアでの政局混迷の理由はこれらの国がいつまでも苦い薬を呑むことを拒んでいることにあるのではありません。(それは既に実行に移しているからです。)
むしろいつトロイカが、これ以上の財政切り詰めの約束が取り付けられない場合でもデフォルトを避けるために無条件で融資を継続すると腹をくくるかという点にかかっているのです。(広瀬隆雄)
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