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第4258回
日本のお金は大挙して逃げ仕度
いま増税を一番恐れているのはお金を持っている人たちです。
国がギリシャのようになって、国債の償還ができなくなり、
デフォルト宣言でもやるようになると、
銀行はバタバタと潰れてしまうし、
オーストラリアと競争で通貨高で頭を抱えている日本が一転して
破産に瀕することもあり得ないことではありません。
もちろん、日本にその番が回ってくる前にヨーロッパでも、
いわゆる新興国でも前座をつとめる国々があるでしょうが、
そこに至る前に財政困難を救おうということになると、
増税に次ぐ増税は避けられなくなります。
一旦引き下げた税率を逆にあげることもあり得ますが、
さしあたり所得税や
相続税の税率を金を持っている人を中心に
増税することも視界の中にあります。
私は人より早く世の中の変化に気づく方ですから、
20年も前に今日の情勢を予測して日本でつくった財産を
よその国に移すことこそやりませんでしたが、
仕事の中心を台湾、香港、中国へと移し、
経済の成長するブロックで仕事をやるように切り変えました。
気がついたら日本でビジネスに属するような仕事は
すべて店じまいをしてしまい、
不動産の管理と執筆、講演の仕事しか残っていません。
なら大丈夫かというと、
不動産はその名の如く動かし様がないので、
財産税がかかるようになれば逃げ場はありません。
もちろん、それを覚悟の上でつくったものですから、
相続税はいくら、所得税はいくら、
ということも計算に入れています。
問題はお金を持っていて、
事業もやっている人たちがこうした環境の中で、
これからどう対処すればいいかということです。
これだけ円高になって、商売がしにくくなった上に
財産税の対象になりかねないということになると、
お金がおじけづくのはむしろ当然でしょう。
「お金は大挙して日本から逃げ仕度」というのが
いよいよ本番になってきたのではないでしょうか。
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- 2011年11月6日主要朝刊 (ブルームバーグ) 五月晴郎 2011/11/06 23:15:32
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