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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/27858?page=3
1人はユーロを葬り去る恐れがあり、もう1人はユーロを救う可能性がある。
イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相は今年8月、冷ややかな書簡を受け取った。
書簡は同首相に「イタリア当局による迅速な行動が投資家の信頼を回復するために不可欠だ」と警告し、民営化と経済自由化のための青写真を示したうえで、計画より1年早い2013年に財政を均衡させるよう政府の歳出削減を要請していた。
この絶対的命令は、欧州中央銀行(ECB)総裁のジャン・クロード・トリシェ氏と、11月1日に総裁の座を引き継ぐイタリア人、マリオ・ドラギ氏によって署名されていた。脅しは明らかだった。ECBは、ベルルスコーニ首相が巨額の債務を減らす行動を取った場合に限り、イタリアを助けるというのだ。
ベルルスコーニ首相は新たな緊縮予算(一部怪しい数字も含まれる)を採択したが、イタリアの硬直化した成長を加速させるための措置は事実上何も取らなかった。
そのため10月23日、ユーロの危機に対処するための2度の欧州首脳会議(サミット)の最初の会合で、ベルルスコーニ首相はドイツとフランスから、3日後の次回サミットに間に合うように確実な改革案を用意するよう求められた。「イタリアは自身を救わなければならない」とドイツの高官は言う。イタリアが滅びれば、ユーロも死んでしまうのだ。
****サミットでの屈辱
こうした事情もあり、欧州の指導者たちはイタリアに対して大きな影響力を持っていない。だが、屈辱には一定の効果があった。最初のサミット後の記者会見で、ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領は、ベルルスコーニ首相の約束で安心したかと聞かれた。両首脳は答えをためらい、互いをチラッと見やり、作り笑いを浮かべた。会場は大爆笑になった.
一国の首脳、それも、ほかでもない欧州連合(EU)の創設メンバーである国の首相が、他国の首脳たちによってこれほど軽蔑的に扱われることは滅多にないことだ。ギリシャのヨルゴス・パパンドレウ首相は、怒りというよりは同情の目で見られている。スペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、首相の座を犠牲にして遅ればせながら改革を断行したことで再び尊敬を集めている。
こうして、ユーロの将来は2人のイタリア人の行動によって決定される可能性がある。ユーロを葬り去ってしまうかもしれない道化者のベルルスコーニ首相と、ユーロを救える最後の人物となるかもしれないテクノクラートのドラギ氏である。
ドラギ氏は財務省勤務の経験もあり、民間部門(ゴールドマン・サックス)で働いたこともある。ただ、イタリア銀行を去る総裁として、能力と独立性という中央銀行独特の雰囲気を身につけている。
ドラギ氏は危機時にECB総裁を務めることになる。トリシェ氏は、窮地に陥ったユーロ圏諸国の国債を買い取り、自らの責務を限界まで引き延ばした。各国政府に負担を肩代わりするよう要請して、不本意ながらそうしたのだ。
だが、各国財務省は資金が不足しており、イタリアのような大国を守れないかもしれない。防火壁が役に立たなければ、★火を消せるのはECBの無制限の流動性だけだ。ドラギ氏は、ECBの「筆頭株主」であるドイツの意向に反してまで、それを利用するだろうか?
(投稿者comment)
ジョージ・ソロスやルービニが「ドイツにお金があるんだから、早くやらないと、ギリシャだけですまなくなるよ」言っている。
ユーロの解決策は、ドイツ(正確には貿易黒字国)がお金を出すかどうかだ。
ユーロという統一通貨によって、各国が自国通貨を持っている場合と比べて
*ドイツなど・・ユーロは、自国通貨より割安だから、貿易黒字が大きくなる
*ギリシャ/イタリアなど・・ユーロは、自国通貨より割高だから、貿易赤字が大きくなる。EUグローバリズムが産み落とした、この通貨不均衡を是正しなかぎり、ユーロ危機は終わらない。金融市場は永遠のタイトロープのうえの焼けただれた猫である(終り)
*****哀れなイタリア
ベルルスコーニ首相が生み出した怠惰な政治世代は最終的には追い出されるかもしれないが、その世代に代わる人がいない。1つの考え方は、過去にも行われたように、テクノクラート率いる政府に助けを求め、あらゆる方面から支援を得ながらEUに触発された改革を実行することだ。
つまり、イタリアは外国の支配を脱して独立を勝ち取ってから150年が経ちながら、まだ「vincolo esterno (外的拘束)」を必要としているわけだ。しばらくの間、この役割は米国と欧州が担っていた。今は、ドラギ氏というイタリアの名前を持つ人物が「拘束」になる。
★ユーロが生き残るためには、ECB新総裁は、市場からだけでなくイタリアの政治家からも母国を守る必要があるのだ。(中略)
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■ドラギECB新総裁:初会合で利下げ−国債購入拡大による救済は拒否
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920015&sid=all_PQwtlV5U
11月3日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)はドラギ新総裁の就任後初の政策委員会で、予想外の利下げに踏み切った。ドラギ総裁は一方で、悪化の一途をたどる債務危機がユーロ圏分裂の脅威をもたらす中でも、ECBが国債購入拡大によって高債務国を救済する考えはないことを示唆した。
同総裁は政策委員会後の記者会見で、「ECBが政府への最後の貸し手となることがユーロ圏を分裂から守るために必要だと、なぜ考えるのか」と問い掛け、「それはECBに付託された権能ではない。ECBに求められているのは中期的な物価安定を維持することだ」と語った。
ECBはこの日、政策金利を0.25ポイント引き下げ1.25%とした。利下げ決定は全会一致だったとドラギ総裁は述べた。ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、55人中49人が据え置きを予想。0.25ポイント利下げ予想は4人だった。2人は0.5ポイントの利下げを見込んでいた。
ユーロ圏の首脳らは2日遅く、ギリシャの通貨同盟離脱の可能性を受け入れる姿勢を示唆した。フランスとドイツは第2次救済についてのギリシャの国民投票をユーロ圏にとどまるかどうかを決める投票と位置付け、ギリシャの決定までは救済融資の実行を先送りすると表明した。
域内景気の落ち込みや投資家の懸念の高まりで、ECBは政策を反転させることを迫られた。ECBは今年2回の利上げを実施していた。
***寄せられた期待
アイルランドのヌーナン財務相は2日、同国のRTEラジオで、ECBは「市場に向かって、『ECBには幾らでも資金がある。どれほど投機を仕掛けようと、イタリア債や脅かされているユーロ圏国の国債を買い続けて支える』と宣言する」必要があると語っていた。
ドラギ総裁はそのような期待には応えず、トリシェ前総裁の文言を踏襲した。債券購入は「一時的であり、量には限度がある。金融政策浸透の機能を回復させるという基本の上においてのみ正当化される」と語った。
利下げについては、「低成長から緩やかなリセッション(景気後退)へと向かっているとみられる」現状が一因と説明した。
HSグローバル・インサイトの欧州担当チーフエコノミスト、ハワード・アーチャー氏(ロンドン在勤)は「ドラギ総裁は大胆な行動に出た」とした上で「大胆な行動を恐れないことが、現在の環境では必要とされている」と指摘した。
ドイツの失業者数が2年余りで初めて増加しユーロ圏の製造業活動は3カ月連続で縮小と、域内経済がリセッションに向かっている兆候には事欠かない。インフレ率は3%とECBの目安(2%をやや下回る水準)を大きく上回っているものの、景気の弱さが物価上昇圧力を抑える見込みだ。ECBは現在、2012年のインフレ率を1.7%と予想している。
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