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株式日記と経済展望
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対米従属派も、米国の露骨な利権あさりのやり方を見て、米国との関係
を損ねてもTPPに入らない方が良いのでないかと思い始めている。田中宇
2011年11月3日 木曜日
◆TPPが日本の政界再再編につながる? 11月1日 田中 宇
http://tanakanews.com/111101TPP.htm
日本政府は、11月12日にハワイで開かれるAPECサミットまでに、米国主導のTPP(環太平洋経済協定)に参加するかどうかを決めねばならない。ここ数日、TPPをめぐる議論が政界やマスコミで激しくなっている。
私が見るところ、日本でTPPの参加に賛成している人々の本音は「米国は日本にとって唯一絶対に大事な国であるのだから、米国が日本のTPP参加を強く望んでいる以上、参加しない選択肢はない」というものだ。賛成派の多くは、対米従属論者である。日本が入った後のTPPの加盟諸国をGDPで見ると、米国が全体の7割、日本が2割を占めている。他の7カ国の加盟国・加盟交渉国は合計で1割にしかならない。TPPは事実上、日米FTAである。
日本がTPPに入る経済的な利得は少ない。農業産品については、米国や豪州から日本への輸出が増え、日本の農業が打撃を受ける。日本経済全体に占める農業の割合はわずかだが、地方の社会は、農業で支えられている部分が大きい。農業が成り立たなくなると、地方の社会がますます過疎になって荒廃する。食料安保の問題を外して考えたとしても、社会的、政治的、国家安全保障的に良くない事態が加速する。
金融については、ゆうちょ銀行つぶしが加速するだろう。全国津々浦々、コンビニがない集落にも、郵便局があり、金融サービスを提供している。この点も地方の荒廃を加速する。工業製品については、すでに日米間の関税がかなり低く、日本企業の北米での現地生産の割合も高いので、いまさら自由貿易体制を強化しても大してプラスにならない。TPP参加によって日本経済は10年間で2・7兆円の利得があるという。年間2700億円だ。約500兆円ある日本の経済全体(GDP)の0・05%の効果しかない。
米国の債券金融システムが隆々として、米国民が気軽に借金をして旺盛な消費をしてしいた以前なら、日本企業が製品を米国に輸出しやすくなることは、日本側の大きな利得となったが、リーマンショック後、米国民は借金できなくなり、米国は世界から大量に輸入できる体質でなくなった。オバマがTPPに力を入れるのは、米国製品を日本市場で売りやすくして、米国の輸出産業を復活させ、再選に向けた自らの政治的得点にしたいからだ。半面オバマは、日本などアジア諸国に対し、対米輸出で経済発展しようと考えるのはもうやめろ、と警告している。衰退しつつある米国は、日本を含む世界にとって、旺盛に消費してくれる経済覇権国でなく、逆に、政治と軍事の力で世界から利益をむしりとる存在になっている。(経済覇権国をやめるアメリカ)
日本がTPPに入ると、利得より不利益の方が大きい。それなのに、政府や外務省、マスコミなどがさかんにTPPに入った方が良いと言い続けるのは、米国が日本に入れと強く言っているからだ。TPPは、実は経済の話でなく政治の話、対米従属という日本の国是をめぐる話である。対米従属の話であるので、TPPの報道には、沖縄基地問題などと同様、マスコミ報道にプロパガンダ的な歪曲がかかっている。
たとえば、TPP反対論者である京都大学の中野剛志準教授が出たフジテレビの番組では、テレビ局側が「TPPの日本経済へのメリットは2・7兆円」と「10年間で」という条件をすっ飛ばした表記や「日本から米国へのテレビの輸出にたとえば100%の関税がかけられるとすると・・・」と、実際には10%である関税率を「たとえば」という言葉をつけて「100%」と誇張してしまう報道を行った。中野氏がこれらの点を語気荒く指摘し、テレビ局のプロパガンダ体質がその場で暴かれる番組の展開になっている(番組内で暴露されてしまう点は、国粋主義の側からの、別の演出がある感じもするが)。(TPP問題で中野剛志氏がフジテレビを論破!)(中略)
日本の財界はTPPへの参加を支持している。米国からの圧力で、日本市場での規制が緩和されていくと、日本企業にとってもプラスだとの思惑からだろう。だが実際には、米国企業がロビイ活動によって米国政府を牛耳ってやらせている米政府の産業政策が、TPPを通じて強制的に日本に導入されると、得をするのは米企業であり、損をするのは日本企業だ。
日本の官僚機構はこれまで、官僚の権限を維持するために、各業界に対して厳しい規制を敷き、日本企業はその規制を満たす努力をすることで、環境や安全の面で技術を磨いてきた。規制を満たせない外国企業は入ってこれなかった。今後、日本の規制が崩されて米国型に変質していくと、この点での日本市場における日本企業の優位性が失われてしまう。
同時にTPPは、農水省や厚生労働省など、日本の官僚機構の中でも現業官庁の既得権益を破壊する。半面、対米従属の国是を推し進める主役である外務省は、当初からTPPを強く支持している。外務省は、対米従属の国是を守るために、仲間であるはずの現業官庁の権限を削って米国に譲渡する戦略をとっている。(日本の外交官たちは、現業官庁の官僚を馬鹿にしており、仲間と思っていないが)
▼「対米従属vs国粋主義」の対立軸に転換する?
農業団体から左翼系市民運動まで、TPPへの反対を強めている。だが、野田首相はすでに米国側に対し、TPPに参加しますと表明してしまっている。日本政府は、反対論を押し切って、無理やりにTPP参加を実行しようとするだろう。しかし、それは野田政権にとって、政治的に危険なことだ。自民党も民主党も、内部で賛成派と反対派にわかれ、反対派の方が多い。これまで対米従属が日本のために良いのだと思っていた人々が、米国の露骨な利権あさりのやり方を見て、米国との関係を損ねてもTPPに入らない方が良いのでないかと思い始めている。
これまで対米従属で一枚岩だったはずの日本の中心部分が、対米従属に残る勢力と、米国を見限ってもっと国粋主義(鎖国)の方向に移り出す勢力に分裂し始めている。これまで少数派だった反米主義の左派(社民党や共産党)と、国粋主義の右派(自民党)が「日本の農業や、市民生活の安全を守れ」という点で一致して、TPP反対集会で並んで座っている。
日本の政界は、これまでの「左派vs右派」「民主党vs自民党」という構図が崩れて「対米従属主義vs国粋主義(鎖国主義)」という対立軸に再編されていくかもしれない。米軍基地の存続に反対する沖縄の人々と、TPPに反対する本土(ヤマト)の国粋主義者が連携しうる。対米従属プロパガンダ機関であるマスコミは、TPPの本質を隠す報道に力を入れ、国民の怒りをそらす努力をしているが、それを超越してTPP問題で怒る日本人が急増すると、野田政権は意外と短命で終わる。日本の政治が、再び面白い時期に入っていくかもしれない。
前回、日本の政治が大転換したのは、09年秋に自民党が下野して民主党政権ができ、鳩山元首相が対米従属をやめる方向性を示したり、小沢一郎が大量の国会議員を引き連れて中国を訪問したりした時だ。あの時は、日本の国是を、対米従属からアジア重視に転換させようとする政治ベクトルが動き出し、すぐに官僚やマスコミといった対米従属派が全力で反撃して乱闘状態になった。当時は「対米従属vs中国重視」だった。今回は「対米従属vs鎖国(国粋主義)」である。これは、幕末の「尊皇攘夷」以来の事態になるかもしなれない。(「鬼畜米英」は米英に引っかかって始めた戦争でやむなく使った言葉なので、もっと底の浅い話だ)
フジテレビなどは、日本が米国から「日本は韓国ともっと仲良くして、日米同盟を米日韓の3国同盟にせねばならない」と命じられた結果なのか、韓国の芸能人をテレビに大量に出す韓流重視策をやっていた。しかし、それは「韓国人なんか嫌いだ」という排外的な国粋主義の反発にあい、フジテレビ前で韓流反対運動のデモが起きたりした。日本人の特性として、鎖国的な国粋主義はかなり強い。
(私のコメント)
TPPの問題は非常に広範囲の話であり、24分野にも渡ろ問題なのですが、マスコミは意図的に情報を出さずに「平成の開国」だどという政府のプロパガンダを繰り返してきた。フジテレビの「とくダネ」小倉智昭もTPP何が問題なのといった、問題意識のなさでしたが、京都大学の中野剛志準教授の反対論で雰囲気も変わってきた。
TPPは単に関税とか自由貿易の問題ではなく、経済統合同盟であり、米韓FTAやNAFTAなどに見られるように、投資保護協定でありアメリカ企業が投資して、その国の政策変更で被害を被ったら国際機関に訴えることができるISD条項という毒薬条項が入ることが日本政府の内部文書でも決められている。経済規模から分かりようにTPPは実質的には日米FTAであり、TPPの目標は日本にある。
日本にある非関税障壁をTPPに加盟させることで、アメリカ企業に有利な制度に変えさせようというのがオバマ大統領の狙いだろう。ところがテレビなどのマスコミは必死になって農業問題に話題を振り向けていますが、確かに農業には問題が多い。だから反対勢力の中心が農協などになりますが、TPPの本当の恐ろしさは、田中宇氏が指摘しているように「TPPは加盟国に、関税だけでなく、政府の監督政策、労働、環境、公共事業政策、安全基準など、規制や制度といった「非関税障壁」の撤廃を義務づけている。」
このことを政治家やジャーナリストやテレビなどのマスコミも注目していないのは不思議でならない。外務省は議題に上がっていないと言っているが、交渉に入っているオーストラリアやニュージーランドではタバコの表示などでアメリカと問題が起きている。トウモロコシや大豆などの遺伝子組み換え食品などに対しても問題になりつつある。しかし外務省はなかなか情報を公開せず、参加してみなければ情報は入らないとしている。
しかし加盟交渉に入ったら最後、今度は不利益な条項が押しつけられても抜けられなくなる。つまりこれはアメリカの罠であり日本の外務省や従米派政治家はアメリカの手先となってしまっている。玄葉外相も途中の脱退は無理だと発言している。そもそもTPPには離脱条項がない。このようの野田民主党政権は十分な内容の説明も方針も説明することなく加盟に突っ走ろうとしている。
同じことをしたのが韓国の李明博大統領であり、十分な審議もなく条約にサインをしてしまった。喜んだのはオバマ大統領であり国賓待遇で韓国大統領を迎えた。これで韓国はアメリカの経済植民地となり
田中宇市が書いているように「米国型の規制や制度を押し付けるかたちとなる」日本もそうなっていいのだろうか?
アメリカの国内制度は田中宇氏が書いているように「米国の規制や制度が、日本よりすぐれているか、日本と同程度ならまだ良いのだが、この10年あまり米国の政府と議会は、金融界や防衛産業、製薬業界、医師会、農業団体など、各種の産業のロビイストに席巻され、各産業界が思い思いに米政府を牛耳り、自分たちに都合の良い政策を政府にやらせる傾向が年々強まっている。」アメリカが日本より進んだ国ならいいのだが、アメリカは市場原理主義で弱肉強食の世界だ。
アメリカの環境保護政策もゆるいものであり、「TPPに入ると、日本政府が企業に環境保護や消費者保護、厳しい安全基準の遵守などをやらせるのは非関税障壁だという話になっていきかねない。」問題はこの非関税障壁という言葉の内容であり、アメリカ企業の都合で国際機関に訴えればアメリカに有利な裁定がくだり上訴することもできない。
おめでたいのは日本の経団連であり、TPP推進を主張していますが、アメリカの仕掛けてきた罠に気がつかないようだ。自動車などの産業も現地生産が進んでおり、かんぜいも2,5%しかないからゼロになったところでたかが知れている。それ以前に日本政府は1985年のプラザ合意の罠にはまって円高で苦しんでいるが、中国政府はアメリカの意図を見抜いて人民元の切り上げには徹底抗戦している。
私としてはTPP問題をきっかけとして、TPPに反対している左翼政党や保守愛国政党に至るまでの大連合体で反対勢力を結集すべきだろう。これに対してアメリカ大使のルース氏は民主党の幹部を呼びつけてTPP参加に圧力をかけていましたが、これな日米の力の差でありアメリカ大使は民主党政権の幹部よりも上位であり、実質的な日本総督なのだ。日本がアメリカ民主党政権幹部を日本大使館に呼びつけることがあるのだろうか?
普天間基地問題やTPP加盟交渉はアメリカのゴリ押し政策であり、日本の政府にはNOということが許されない。せいぜい時間の引き伸ばしだけであり、普天間では14年も引き伸ばし続けている。TPP推進派は日本に有利な交渉すればいいといいますが、それができれば66年間もアメリカに占領され続けることはなかっただろう。
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