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ユーロ圏首脳会議が危機対策で合意!金融市場は最悪期は脱するも ユーロ圏債務危機の収束には10年が必要
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/833.html
投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 29 日 01:30:47: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/14653
ソブリン危機――歴史的難局の選択肢【第16回】 2011年10月28日

ユーロ圏首脳会議が危機対策で合意!金融市場は最悪期は脱するも ユーロ圏債務危機の収束には10年が必要

――野村証券シニアエコノミスト 岸田英樹

ギリシャ向け第2次金融支援の実施に目途
金融システム不安は後退へ

 10月26日開催のユーロ圏首脳会議は、27日未明、欧州債務危機克服に向けた包括策を決定した。その内容は、市場参加者のリスク回避行動に明ら かに歯止めを掛けるものである。声明文では、ギリシャ政府向け第2次金融支援の実施、欧州金融機関の資本増強、金融支援能力の拡大についての方針が示され たが、特に金融システム不安を後退させる上で、筆者が最も重要と考えていたギリシャ政府向け第2次金融支援の実施に向けて大きな前進が見られた。これに よって、ギリシャ政府の債務不履行に伴う金融システム不安も影響し、低下してきたドイツ10年債利回りの底は、事後的にみれば9月下旬になると考えてい る。
 何故、ギリシャ政府への第2次金融支援が金融システム不安の後退に最も重要なのか。理由として、第2次金融支援がなければ、欧州の金融市場が2008年のリーマンショック以上の大混乱に陥ると考えられるからである。
 2010年5月にIMF(国際通貨基金)、ユーロ圏諸国から延べ1100億ユーロの第1次金融支援を受けることになったギリシャ政府は、2012 年以降自力での国債発行を求められていた。しかし、2011年春時点のギリシャ10年債利回りとドイツ10年債利回りとの格差は1000bp(1ベーシス ポイント=0.01%)程度と、国債市場復帰の分水嶺である400bpを大幅に上回り、12年の国債市場復帰は絶望的となった。そのため、12年以降のギ リシャ政府の債務不履行を回避する上で、第2次金融支援が不可欠なのは明らかである。
ギリシャ政府債務不履行の場合は
リーマンショック以上の混乱リスク
 ギリシャ政府が債務不履行に陥る場合の影響は極めて深刻である。市場はユーロ圏諸国が域内諸国政府の債務不履行を容認と判断し、イタリア、スペイ ンといったユーロ圏の大国の国債価格が急落、イタリア、スペイン10 年債利回りの対独10年債利回り格差は共に400bpを上回り、両国が金融支援を要請せざるを得ない状況となろう。

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次のページ>> 市場が再度リスク回避行動を強めないためには民間部門関与の詳細確定が課題
 しかも、両国の今後3年間の必要調達額が延べ9000億ユーロ程度と、現在のユーロ圏の金融支援の残り枠を上回るため、この2ヵ国が金融支援を受 けることは困難であり、国債の借り換えに窮すると考えられる。さらに、債務不履行によってギリシャ国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の精 算が発生。世界の金融機関同士がCDSを介してつながっているため、世界的にどの金融機関がどの程度損失を被るのかとの疑心暗鬼が蔓延して、短期金融市場 が機能不全となり、流動性確保に窮した欧州金融機関が東欧諸国から急激に資金を引き揚げることも予想される。
 今回の首脳会議において、欧州金融機関が12年6月末にかけて延べ1064億ユーロ資本増強を進める方針が打ち出されたが、そもそも強制力を伴わ ないだけに十分な増資が進むのかは疑問であるが、仮に進んだとしてもギリシャ国債が債務不履行となれば、金融市場は制御困難な状態となろう。それだけに、 最大1300億ユーロの第2次金融支援の実施に展望が開けたことは極めて重要である。

市場が再度リスク回避行動を強めないためには
民間部門関与の詳細確定が課題

 ただし、声明文だけを以って第2次金融支援の実施が確定したわけではないのも事実である。第2次金融支援の融資額が確定するには民間部門関与の詳細が判明、多くの民間金融機関がそれに応じることが必要であるが、現時点では詳細が不明という点で課題は残っている。
 今回の民間部門関与は、民間金融機関が自主的に旧債券の5割削減を伴う超長期ギリシャ国債への交換に応じ、交換後の債券の元本に対しユーロ圏諸国 が最大300億ユーロの担保資金を提供する内容になると予想される。しかし、民間部門関与の詳細が判明しなければ民間金融機関がどの程度自主的に債務交換 に応じるのかの目途が立たない。26日時点では第2次金融支援を通じた融資額は最大1000億ユーロとされているが、民間部門関与の実施に算段が付かなけ れば第2次金融支援額の正確な金額も確定しない。

次のページ>> ユーロ圏債務危機の収束には10年程度を要する公算
 もっとも、当局、民間金融機関ともに、これ以上第2次金融支援の決定を先送りすることは困難なだけに、筆者は今後の展開を楽観視している。比較的 早い時期に民間部門関与の詳細な内容と、非公式ながらも多くの金融機関がそれに応じる姿勢が判明し、11月7日開催のユーロ圏財務相会合では第2次金融支 援の詳細が明らかになるとみている。
 その後、金融支援に際し議会承認が必要なフィンランドやドイツでは、議会が第2次金融支援を可決、順調に進めば11月29日のユーロ圏財務相会合 では、第2次金融支援がユーロ圏諸国の全会一致で正式に決定され、予定通り12月末までに発動されると見込んでいる。市場が再度リスク回避行動を強めない ためにも、民間部門関与の詳細の早急な取りまとめが必要である。

ユーロ圏債務危機の収束には
10年程度要する公算

 ただ、民間金融機関が受け入れ可能な民間部門関与が決定し、ギリシャ向け第2次金融支援が実施されたからといって、ユーロ圏の債務危機が終わるわ けではない。ユーロ圏債務危機の収束とは、国債を自力で発行できないために金融支援を余儀なくされたギリシャ、アイルランド、ポルトガル政府の国債市場へ の復帰と定義できる。
 しかし、当局はギリシャの国債市場復帰は2020年と見込んでおり、債務危機の完全な収束には楽観的にみても10年程度要する。また、ギリシャ国 債に関する民間部門関与が1回で終了するとは限らず、ギリシャ政府の資産売却や財政赤字削減が進まない場合には、再度、民間金融機関が自主的に当該国の債 務削減を求められることも考えられる。
 さらに、2012年秋にはポルトガル政府向け第2次金融支援と、ポルトガル国債保有者への民間部門関与が検討されるリスクは否定できない。海外か らの多額の資金流入に依存してきた対外純債務国であるポルトガルは、引き続き経常収支の赤字が予想され、同国は海外からの資金流入に依存せざるを得ない。 この点は、既に経常収支が黒字化したアイルランドとは決定的に異なる点である。

次のページ>> ユーロ圏債務危機収束に必要な“4点セット”
 しかし、金融支援の主体となる国や機関以外の海外投資家が、ポルトガル経済を十分にファイナンスするのかは不透明である。ポルトガルは2013年 9月の国債市場復帰を目指しているが、ポルトガル10年債利回りと独10年債利回りの格差が市場復帰の分水嶺400bpを大幅に上回る中、2012年秋に は第2次金融支援と民間部門関与の議論が高まる可能性がある。
 それでは、ユーロ圏債務危機を収束させることは可能だろうか。筆者は、@民間部門関与、A金融支援、BEFSF(欧州金融安定ファシリティー)に よるECB(欧州中央銀行)への信用補完、CECBによる国債購入プログラムの継続、の4点セットが収束には不可欠と考えている。
 まず@の民間部門関与により、債務残高が高水準にある国の債務を民間の自主的な協力の下で減少させることが可能となる。同時に、強制的な債務再編 ではなく投資家の自主的な債務再編であればCDSの精算を回避できる公算が大きい。また、Aの金融支援を通じユーロ圏諸国政府が国債償還不能という事態を 回避できる。
 Bの信用補完は銀行の流動性破綻を回避する上で重要である。民間金融機関が民間部門関与を通じて、ある国債について自主的に債務削減に応じれば、 当該国の国債の格付けは選択的デフォルトというレベルに引き下げられる。そのため、通常ではECBは格付け上デフォルト格となった債券を担保に銀行に融資 を行わないことになる。しかし、当局への取材によると、EFSFがECBに信用補完を行うことで、ECBは選択的デフォルトとなった債券を担保に融資可能 とする模様である。これにより、ECBからの借入に依存しているユーロ圏周縁国の銀行の流動性破綻リスクは小さくなる。
 CのECBの国債購入についてはイタリア、スペイン国債相場の安定にとって重要である。EFSFは流通市場で国債を購入することが可能だが、購入 額に上限があり、購入にはユーロ圏諸国の全会一致の決定が必要であるため機動性を欠く。また、今回、ユーロ圏の実質的な金融支援能力の拡大を図るべく、投 資家のユーロ圏周縁国国債購入に対しEFSFがその一部を保証する構想が打ち出されたが、投資家がEFSF保証付きの周縁国国債の購入に応じるのかは不透 明であり、構想は絵に描いた餅に終わる可能性がある。それだけに、購入額に上限がなく、自身の判断で国債購入が可能なECBの国債購入の継続こそが、財政 懸念のある国の国債相場安定には重要である。

次のページ>> 流動性の確保が日本企業の経営上の課題
 無論、4つのプログラムだけでイタリア、スペイン政府による金融支援の要請という事態を回避し、最終目標である金融支援を受けている3ヵ国の国債市場復帰を図れるとは限らない。しかし、どれか一つでも欠ければ金融市場が混乱するのは必至である。

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流動性の確保が
日本企業の経営上の課題

 最後に、ユーロ圏債務危機の日本企業への示唆について言及したい。筆者は、ユーロ圏債務危機が今後も続くと予想される中で、日本企業が欧州市場で事業を進めるには、何に留意すべきかとの質問を多く受けるが、その際、手元流動性を厚めに保有することが重要と答えている。
 フランス、ベルギー系金融機関DEXIA(デクシア)は、保有しているギリシャ国債が5割削減されても損失を吸収できるだけの十分な自己資本を保 有しているが、フランス、ベルギー政府などから2011年10月に再度流動性支援を受けた。その主因は、預金という安定した流動性調達手段への依存度が低 く、市場での資金調達依存度が高かったことにあると考えている。
 筆者は中長期的にもギリシャ政府の債務不履行は回避されると見ているが、今後もユーロ圏の短期金融市場が逼迫して、欧州市場で流動性が逼迫する可能性があるだけに、欧州事業を展開する企業は手元流動性を厚めに保有することを検討する必要があろう。


*きしだ・ひでき/1974年生まれ。96年慶應義塾大学卒業、中央信託銀行(当時)入社。99年3月〜2000年2月日本経済研究センター出向、02年野村総合研究所入社、同年7月野村総合研究所シンガポールを経て、04年12月より現職。


質問1 ユーロ債務危機は峠を越え、良い方向に向かうと思いますか?
45.1%
安定するが一時的
41.8%
そう思わない
8.8%
そう思う
4.4%
わからない

 

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コメント
 
01. 2011年10月29日 05:47:35: Pijo5v1olc
将来の税負担を当てにして、負債を資産のように見せかける国家の粉飾会計は自動的に民間の会計も粉飾させる。欧州危機の解決策を見れば、粉飾会計のツケは必ず誰かが負担しなければならないということがマクロ経済学者にも理解されたであろう。これこそ経済学で無視されていた基本原理である。だから清算処理を意味する恐慌は防げないが清算処理に時間をかけて痛みを和らげることはできる。

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