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ジョブズが持ち上げられ過ぎていたのは多くの人も薄々勘付いていたとは思うが
さすが中国人だけあって死者に鞭打つのに躊躇いがないな
TPPに関しては、今参加すれば、多少、日本の衰退や貧困化を遅らせる程度で、
しなくても、いつかは、何らかの自由化に踏みださざる得ないのは時間の問題だが
低賃金の移民を増やすのは明確に反対だな。
先進国だけでも、もっと人口が減り、貧しくなって資源の浪費や環境負荷を減らした方が、長期的なヒトの生存戦略としては望ましい
(結局、焼石に水だろうが)
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2011.10.28(第185号)
1. ジョブズの傲慢(論長論短 No.152)
2. TPP議論について (夏野剛さん連載コラム「アタリマエが大事」第4回)
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1.論長論短 No.152
ジョブズの傲慢
宋 文洲
突然、家内のメールにiTunesから8千円ほどの引き落とし通知が届けられました。
驚いた家内がアップルショップに「子供は無料ゲームでしか遊んでいないのに
なぜ?」と聞きましたら、店員が淡々と答えました。「無料でも途中からパー
ツなどが有料になるのでたぶん知らないうちに買ったでしょう」。
そういえば、たしかに無料ゲームをダウンロードしようとした時、クレジット
カードの情報を聞かれました。不思議に思ってやめようとしましたが、背中か
ら聞こえた子供達の「土日しかやらない。無料しかやらない。」の「誓い」に
押されて面倒な設定をしました。
店に抗議する気にもなりません。この手のサイトはいくらでもあります。しか
し、「クローズした安全性」を売り物にしたジョブズの宣伝がなければ、私は
そんなに簡単に騙されることはありませんでした。
「終了のためにスタートボタンを押す。」ジョブズは且つてこのようにWindows
を嘲笑いました。「無料のためにクレジット情報を聞く。」これは私のお返しです。
ペプシを砂糖水と揶揄し、マイクロソフトを真似会社と扱き下ろし、アンドロ
イドを盗作と決め付け、海軍を海賊以下と馬鹿にする。極め付けはジョブズが
作ったビルゲイツの初夜話:「初夜を過ごしたゲイツの新妻がゲイツに言った
『なぜマイクロソフトと呼ぶかよくわかったわ。マイクロ・アンド・ソフトだね。』
(小さく軟い)」
MACファンに申し訳ありませんが、私のようなITツールに弱かった人はアップ
ルよりずっとWindowsに感謝しています。いろいろと腹が立つところもありま
すが、そのオープン性がPCを家電に変えました。そのずっと前からMACはあり
ましたが、その閉鎖性はMACを一部のプロの道具に閉じ込めました。
ジョブズが世界を変えたという論調に非常に違和感を覚えるのはこのためです。
ジョブズはスタイルやイメージの演出が卓越していることは認めますが、
iPhone、iPad、iTunesが世界を変えたと思わないのです。ジョブズ後のこれら
のツールはその閉鎖性の故に衰退するに違いありません。
「私は巨人の肩で遊んでいる子供。」偉大なニュートンが言ったように、どん
な発明も人類のさまざまな文明蓄積、社会のさまざまなバックアップ環境の下
で生まれるのです。ジョブズがやり遂げたことは個性があっても発明はないは
ずです。
Windowsなどが増やした膨大なIT人口がなければ、Googleなどが広げた広大な
ネット空間がなければ、FIXCONなどが作った巨大な工場がなければ、デザイン
とマーケティングのパートナーがいなければ・・・一つでも欠ければアップル
の成功はありえないのです。ジョブズはスビルバーグのような優秀な監督では
ありますが、その閉鎖性と嫉妬心が世界の進歩に貢献したとは思いません。
いかれた変わり者(天才と同義)と思えばそこまでですが、死後も伝記や映画
を通じて子供の英雄になる人物にほど遠いのです。営業とマーケティングを専
門にしてきた私からみれば実に生前も死後もうまいことをやると感心しきりです。
いま、日本にもジョブズのような人が増えました。他国や他人のちょっとした
進歩をすぐ真似だと言いたがる人達です。そもそも真似と学びは投機と投資の
ように区別が付かないケースがほとんどです。特許侵害と思えば正々堂々訴え
ればいいのに、立証できない限り、自分がもっと前に進むか、もっといい物を
真似するかでしかありません。
自分の学びを創造と言い、他人の学びを真似という。自分の運用を投資といい、
他人の運用を投機と言う。思うのも言うのも自由ですが、自分自身の「健康」
によくないことを忘れてはいけません。
(終わり)
今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
http://krs.bz/softbrain/c?c=1542&m=43118&v=425ae067
宋のTwitterはこちら↓
http://krs.bz/softbrain/c?c=1543&m=43118&v=e7d17069
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2. 夏野剛さん連載コラム「アタリマエが大事」第4回
TPP議論について(1)
夏野 剛
先にTPPについてTwitterに私見を投稿したところ、大きな反響があったので、
ここでも私の意見を述べたいと思う。
TPP議論は多くの日本人にとってふって湧いたような話であることは正直否め
ない。そもそもシンガポールやニュージーランドと言った自国の経済規模の小
さい国々が共栄を目指して提唱し始めたもので、関税や貿易の非関税障壁とな
っている規制を原則撤廃し、市場を共通化しようという試み。ところが米国が
これに参加することを表明した途端、世界最大の市場が組み込まれるとあって、
俄然注目を浴び始めたという経緯。さて、日本はどうすべきか、ということである。
TPPの議論が今、日本に問いかけているというそのタイミングが、国内に大き
な議論を呼び起こしている。なぜなら、これが高度成長期ならば、おそらく無
視されていただろうからだ。
高度成長期、日本は輸出をドライバーとして、国内市場の内需を一気に拡大し
てきた。徹底的な輸出産業育成と国内市場の保護を支えてきたのは、人口の増
加である。ベビーブーム、団塊の世代という言葉があるように、人口が増える
ことで大きな消費需要が国内に生まれ、世界有数の内需経済規模を誇ることになる。
良質な労働力は人口構成によるところも大きい。終身雇用と年功序列を重視す
る人事体系によって、生産性の高い若い世代の賃金を抑え(先回しとし)、極
めて価格競争力の高い、高品質な製品を輸出産業とすることができた。
この高度成長と内需の拡大が続いていれば、外の市場との統合も性急に考えな
くてよかったかもしれない。十分に成長する内需によって日本の成長が支えら
れ、巨大なインフラや社会基盤となる年金システム、医療保険システムも維持
できたかもしれないから。
しかし、それも今や昔の話。すでに人口の平均は45歳を超え、どの企業も賃金
が高く生産性の低い中高年ホワイトカラーを大量に抱え、しかも国全体として
の人口が減少傾向に転じている。年金システムは破綻し、保険組合も存続に四
苦八苦する有様。これらはすべて高度成長を前提とした仕組みが、経済縮小化
でそのままでは機能しなくなっていることに由来する。
そんな背景で突然出てきたのがTPP議論。
明言するが、私はTPP推進論者ではない。やみくもに他国との市場の一体化を
図ることは副作用も大きく、社会の混乱を招く可能性もあるからだ。
しかし、日本の将来をどうするか、という枠組みの中で考えると、TPPも一つ
の重要な選択肢であることは否定できない。そう、TPP議論を「今」するとい
うこのタイミングは、日本の将来をどう考えるかという議論をしなければいけ
ないということを我々日本人に迫っていると思う。
2004年から減少に転じている人口。総務省統計局の予測では日本の人口は2050
年に1億人を切るという。経済のファンダメンタルの中で最も予測が外れない
のは人口である。出生率は簡単に短期に変化しないからだ。これに対して日本
は今、何をなすべきなのか、という点からTPPを議論しなければいけない。
日本に残された選択肢は二つしかない。
一つはTPPあるいはFTAの全面的推進によって、自国市場と他国市場の垣根をな
くし、競争力のある製品をさらに輸出しやすくすること。自国の人口が減ろう
とも、関税がかかること無く輸出できる地域が広がれば、その産業にとっては
自国のマーケットが広がるに等しい。ニュージーランド、チリ、シンガポール、
ブルネイという既締結国4カ国で2,500万人、参加表明しているオーストラリア、
アメリカ、ペルー、ベトナム、マレーシア5カ国で4億7千万人超、つまり5億
人規模の経済圏が出現することになる。
この巨大市場に関税なしでアクセスできるというのは日本にとって大きな意味
がある。よく批判されるアメリカ以外は大国がない、という意見を受け入れた
としても、人口的に言えば日本よりも大きな市場である。しかもTPP発効前の
現在も、アメリカに対しては輸出超過であることを考えると、アメリカ向けの
輸出もさらに増える可能性が大きい。
もちろん関税撤廃によって国内に影響が出ることも確実だ。よく言われるのは
農業。関税率が極めて高い農業製品は壊滅する、という見方もある。しかし第
一次産業の経済構成比は労働力で6%、GDPで2%と小さいことから、経済全体
に与える影響は限定的かもしれない。
もう一つの選択肢は、徹底的な内需強化である。TPPやFTAは自国外の市場を自
国内市場と同等に扱うことによって経済規模を大きくし、社会効率を上げよう
と言う狙いであれば、国内市場を大きくするというのは大きな対案となりうる。
この実現のためにはまず人口を増やさなければいけない。出生率を上げる試み
はもちろん最優先で行われなければならない。出生率を上げるためには税制と
社会システムの両面からの大幅なてこ入れが必要だ。現在の税制も社会システ
ムも経済成長、人口成長を前提として作られているが、ここを大転換すること
が必要だ。
いちいち施策を挙げることはしないが、私は(1)譲渡税の大幅軽減と相続税資
産課税の大幅強化による若い世代への所得移転の促進、(2)子育て支援の大幅
拡充により、子育てが仕事をするハンデとなることを大幅軽減する、(3)夫婦
別姓、シングルマザーなど多様化したライフスタイルを容認し、社会として受
け入れていくための制度改革、は必須だと思っている。もはや子づくりも子育
ても終わった世代の国会議員が夫婦別姓やシングルマザーに徹底反対している
姿は見るに忍びない。若い世代の問題は若い世代に任せて欲しい。
さらに移民の大量受け入れ。数十万人ではなく数百万から千万オーダーの移民
を受け入れるための社会システムの整備。出生率は短期で上がらないので、時
間を補うためには移民の受け入れも必須。賃金は安くとも国内の消費は確実に
上がるので、内需には大きく寄与する。
人口を増やすだけでなく、社会の効率性もさらに上げてゆかなければならない。
そのためには徹底的な規制改革が必要だ。不要な規制、自由な競争を阻害する
規制を徹底的に排除し、社会の効率性を上げる。活用の遅れている女性の雇用
環境を徹底的に強化する。これほど優秀な労働力を家庭内に温存している国は
珍しい。なにしろ、どんなに人口を増やしても経済規模ではTPP加盟国や中国
に勝てない。となれば質で勝負するしかない。競争力の無い企業やサービスが
生き残れるような社会にしてしまうとどんどん競争力がなくなってしまう。ま
さに今の日本が抱える課題を迅速に解決していくことが望まれる。
そう、新興国が台頭し、日本の相対的な競争力が着実に低下している今、TPP
を受け入れないとしても、大きな変革を行わなければ日本はますます競争力を
無くしていくというのが現実なのだ。
この意見に対して多くの反論が寄せられた。それに関しては次回ご紹介しようと思う。
(つづく)
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