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http://jp.wsj.com/World/Europe/node_332895
2011年 10月 28日 10:56 JST
【パリ】ユーロ圏17カ国首脳が27日合意した欧州金融安定基金(EFSF)の拡充策は、複雑な金融工学と外部資金に依存するものとなった。
EFSFのクラウス・レグリングCEO
EFSFは、ギリシャの債務問題の解決とともに、将来起こり得る危機への対処が可能であると投資家を安心させるためもので、融資規模は約1兆ユーロ(約107兆円)に拡大される。これにより、イタリアやスペインなどユーロ圏の大国への支援が必要になったとしても、対処可能と期待されている。
しかし、EFSF拡充計画には多くの空白部分がある。EFSFがどの程度の資金を自由に利用できるかは明確にされておらず、また、ユーロ圏外の官民の投資家を呼び込めるのかもはっきりしていない。
EFSFのクラウス・レグリング最高経営責任者(CEO)は28日に訪中し、中国からの支援を取り付けるため同国当局者と話し合う。関係者によれば、EFSFはブラジルや中東の産油国にも支援を働き掛ける計画である。ロシアは、EFSFへの資金協力について検討するとしているが、国際通貨基金(IMF)を通じた支援の方が好ましいとの立場をとっている。
ユーロ諸国が複雑な方法でEFSFの拡充を図ろうとしていることは、欧州中央銀行(ECB)を自由に活用できないユーロ圏の限界を浮き彫りにしている。ECBは債務危機に陥ったユーロ諸国の国債を買い上げているが、買い上げの期間や規模には限界があると警告している。
複雑になったことはまた、ユーロ圏の大国であるフランスの脆弱(ぜいじゃく)性も反映している。同国はトリプルAの最高格付けを失うことなく、EFSFに対する債務保証を拡大できないかと頭を痛めていた。サルコジ大統領は同日、経済成長がさらに鈍化することを想定した財政緊縮策を近く発表すると述べた。
ドイツはEFSFに対する債務保証を拡大できる能力を持っているが、同国議会は9月に、債務保証の引き上げは認められないとの立場を打ち出している。
EFSFの融資能力は4400億ユーロだが、EFSFはすでに欧州の銀行の資本増強向けに最高1000億ユーロを、またギリシャ、アイルランド、ポルトガル向け支援に約1000億ユーロを充てることにしている。残りは2000億ユーロ余りで、イタリアなどが債務危機に陥れば資金は足りなくなるのは明らかだ。
ユーロ圏諸国は、投資家を安心させるため、イタリアやスペインの国債がデフォルト(債務不履行)に陥った場合には損失の一部をEFSFが負担することを、投資家に申し出る方針だ。
この仕組みは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を使って債券投資のヘッジをするのと似ている。EFSFは、どの方法を選ぶかは投資家の自由だが、EFSFによる保証は、トリプルAの資産で担保されていると強調する。通常のCDSにはそのような担保はない。
ユーロ圏諸国はまた、1件から数件のファンドを設立することでも合意した。このファンドは、おそらくIMFの監視下に置かれる。ファンドは、EFSFが提供する資金を元手に、外部の投資家からの資金を集めることになる。
投資家がこうした呼び水に引きつけられるかどうかは大きな疑問だ。世界最大の債券運用会社PIMCO(ピムコ)のモハメド・エラリアンCEOは、実施には欧州の合意の具体化が必要だが、非常に難しい作業だと指摘する。
「実施は、仕組みを作るのと同じか、それ以上に難しい」とし、新興国の欧州への投資意欲に言及、「財布はあるが、今のところ、開ける気はない」と語った。
記者: David Gauthier-Villars
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