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2020年の雇用情勢・労働市場 製造業で働く人は減り続け 失業率はさらに高まる IT・医療・福祉が増
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投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 28 日 02:33:22: 6WQSToHgoAVCQ
 

戸田淳仁 [リクルートワークス研究所研究員] 近未来予測!

2020年の雇用情勢・労働市場

発想を転換し暗い未来を明るく変える

「人口が減少し、膨大な財政赤字を抱え、経済も低迷し続ける。会社の業績も上がらないので、給料も増えてない。下手をすればリストラの憂き目に会うかもしれない。こんな世の中で住宅ローンや子供の教育費をどうすればいいのか……」

 将来に対して、このような不安を持っている人は多いのではないだろうか。確かにこのような不安を持ち、世の中に閉そく感が漂っている理由はいくつか存在する。日本は先進国の中でも人口減少社会を先取りし、人口減少の中でどうやって社会保障制度を持続させるかについて議論されている。さらには、「失われた20年」と呼ばれるように経済は低迷し続け、今後大きく成長する見込みも、今のところ見当たらない。このままが続くと未来はどうなってしまうのだろうか。

 ワークス研究所では、2020年の労働市場や失業率、産業構造の予測を試みた。残念ながら普通に予測を行うだけでは、未来は暗いという結論になる。そこで我々は暗い未来の中でどれだけ希望の兆しがあるのかについて探ってみた。以下では予測の成果をご紹介しつつ、暗い未来を変えていくためには、何をすればいいのかについて考えてみたい。

2020年を特徴付ける3つのポイント

 早速ではあるが、2020年予測結果のうち、主要なものは下記のようになる。

(1)人口減少により懸念される人手不足は起こらず、失業率はさらに高まる。
(2)製造業で働く人は減り続け、サービス業で働く人は増え続ける。
(3)団塊ジュニアに関する人材マネジメントが、企業にとって大きな課題になる。

 それぞれについて説明したい。

 まず、(1)について2010年の失業率が5.1%であるが、それが2020年には6.6%まで上昇する。失業率は0.1ポイント動いただけで6〜7万人の失業者の増減をするので、10年間で1.5ポイントも上昇すると、これは大きな変化である。さらに、日本では戦後の混乱期やそれ以前を除いて、いまだかつて失業率が6%を超えたことはないので、それだけ2020年の雇用は厳しくなるといわざるをえない。
次のページ>> 製造業・建設業の従事者はさらに減少する

 なぜ雇用はここまで厳しくなるのだろうか。大きな理由はこれからあまり経済成長が期待できないからだ。経済成長率は2000年代平均はマイナスであり、今後も経済成長率は+0.5%程度(2010年代平均)と見込んでいる。このように経済成長が期待できないと、多くの企業は収益増加が見込めないので、雇用を増やそうとする企業は少なくなる。

 むしろ生産性の向上などによる雇用減少の効果が強く見られる。日本は人口減少社会に入り、働く人の数も減るはずだが、それ以上に経済低迷や生産性向上による雇用減少が大きいと予測した。

 この問題に対しては、経済成長を促進させることが解決策だが、それはなかなか難しいのが現実だ。経済が停滞し続ける場合を前提として、雇用や働き方はどうしていくべきかを考える必要が出てくるだろう。
業種や職種をまたいだ
人材移動が活発化

 次に、(2)「製造業で働く人は減り続け、サービス業で働く人は増え続ける。製造業で働く人は男性が多いので、男性の働く場の確保が課題になる」について説明したい。我々の予測では産業ごとの働く人(就業者)の推移は図1のようになる。

 製造業・建設業は、2010年1550万人から2020年1149万人と約400万人減少する。製造業・建設業は大幅に減少するのに対して、情報・サービス業は2010年2824万人から2020年3098万人へと増加する見込みだ。また、職種ごとの予測では、労務職などのいわゆるブルーカラーが減少し続け、その一方で、専門職・技術職、サービス職は2020年にかけて増加する見込みである。

次のページ>> IT・医療・福祉産業の雇用者が増加

 製造業における働く人の減少は、これまでにも起こっていることだ。国際競争力を維持するために、徹底的に合理化を図り雇用を削減したり、あるいは海外に工場を移転することなどにより働く人は減る。

 一方で、情報・サービス業は今後雇用を増やすと予想しているが、その背景は、現在話題になっているスマートフォンを中心とした次世代型コミュニケーションツールの開発や、ITの高度化による新たな市場の開発などが見込まれるため、雇用吸収力が強まる余地がある。また、少子高齢化に伴う介護ニーズの増加に伴い、医療・福祉産業はこれからも雇用を吸収する可能性が高い。

 このようにサービス経済化が進む中で、業種や職種をまたいだ人材移動は、いま以上に活発になるだろう。それと同時に、製造業で活躍した人材は、成長著しい海外で仕事の場を確保するため「グローバル出稼ぎ」に行ったり、また、職種転換を促進させるような教育機関やビジネスの出現といった事象が、人材移動を後押しするかもしれない。
団塊ジュニア問題が勃発する!?

 最後に、(3)「団塊ジュニアに関する人材マネジメントが企業にとって大きな課題になる」について、説明したい。団塊ジュニアとは1971〜74年生まれの人たちであり、その前後の年齢層よりも人口が多いのが特徴だ(図2)。
http://diamond.jp/mwimgs/7/9/600/img_793afed55faa9f819fdd9f9d3ef71e9e7294.gif

 2020年になると、団塊ジュニアの世代は40代後半となり、企業では管理職に就くなど主要なポジションを占める。ただ、予測では働く人のうち4人に1人が45〜54歳となり、企業の年齢構成のうち大きな割合を占めるのだ。

次のページ>> ポストと介護 団塊ジュニアが抱える2つの課題

 団塊ジュニアに対する課題が2つ出てくる。1つは彼らをどうやって処遇していくかということだ。多くの企業では管理職などの主要ポストはごく限られており、人口の多い団塊ジュニアの人たちを、すべて昇進させたりすることは物理的に不可能だ。その時に、どうやって彼らのモチベーションを維持していくのか、といった課題が出てくる。すべての管理職は部下なしという会社が出てくるというのは、冗談話ではないかもしれない。

 もう1つは、介護の問題だ。団塊ジュニアの人たちの中で仮に管理職になったとしても、この世代の人たちは介護を必要とする親が出てくる可能性が高い。昔と違い核家族化が進み、さらに共働きが進む中で、女性だけでなく男性も介護を担う必要が出てくる。

 介護休暇を取得しても、育児の場合と違って先を予測できないし、業務の支障を考えると長期の休暇は取れない。短時間勤務や週休3日制を導入するなど、働き方を柔軟にする動きは現在でも見られるが、今後、人口の相対的に多い世代がこのような介護の問題を抱えると、多くの企業で見過ごせない事態となるだろう。
暗い未来の中にある希望の兆し

 以上は予測結果の一部であるが、ここまで見てくると自分の将来はどうなるのだろうと余計に不安に思う方も多いのではないだろうか。しかし、閉塞感が高まっている現在においても、暗い未来を明るくしてくれそうな兆しがある。

 1つは、高齢者や女性などの活躍だ。高齢者は、過去の同年齢と比べて肉体的にも精神的にも若返っているといわれる。健康な高齢者が増え、長年の経験を生かしたスキルを仕事に活かすことができれば、彼らが企業を支えることにつながる。

 また、女性活用の促進はこれまでも言われてきたが、競争の激化が予想される中、ますますこれからの消費を支えるであろう女性の視点を経営に取り入れることが必要不可欠になる。女性が経営を担う企業が増えてきているし、これからも増えることはほぼ間違いないと考える。

次のページ>> 求められる「成熟型パラダイム」

 もう1つは、NPOや地元の有力企業など、新しい雇用の受け皿が台頭することだ。企業に雇用され企業のために働くのではなく、NPOで社会のため に働くという考え方が広がっている。もちろん企業で長年働いてきた人が、NPOで働くのはハードルが高いかもしれないが、今後ますますNPOで働く人が増 え、失業率の上昇を食い止める立場にまで成長することを期待したい。同様に地元の定着志向が高まっている中で、地元の有力企業やファミリービジネスなどの 価値が再認識され、雇用を吸収するプレーヤーに成長していくだろう。

パラダイムシフトを楽しむ

 今説明した「暗い未来を明るくする兆し」は、解決策としては短絡的だと思われる方もいるかもしれない。しかし経済構造の大きな変化や持続的な経済 成長が期待できないとすると、今説明した事柄に頼らざるを得ないと考える。では、これらの兆しを現実化させるためには、どうすればいいだろうか。結論を先 に言うと、私たちの考え方を、多様性を尊重するパラダイムにシフトさせることだ。
 高度成長期に、経済成長・人口増加・製造業主流を前提とし、雇用は男性・製造業・正社員が中心で、企業で働くことが主流とする考え方が形成され た。1980年代のバブル崩壊後、サービス経済化の進展などによりその考え方が崩れようとしたこともあったが、いまだにその考えが支配的であるといえる。 しかし、最初にも説明したように、前提がすべて成り立たなくなろうとしている今、このような考え方に固執してはいけない。もっと言うと、これらの前提は 1990年代初頭には成立しなくなっていて、ほぼ20年間日本は漂流していると言っても過言ではない。
 ではどうすればいいのか。「成熟型パラダイム」と我々が命名したような多様な社会が求められている。「男性だけでなく女性も同等に働ける」「正社 員だけでなく多様な雇用形態で働くことが認められる」「企業だけでなくNPOなどの組織で働く」といった価値観が認められることが、必要だと主張したい。 そのためには変化を楽しむ、パラダイムシフトを楽しむという姿勢が、我々に求められているのではないだろうか。
 以上は、2020年予測をまとめた報告書『2020年の「働く」を展望する 成熟期のパラダイムシフト』の一部を要約したものである。詳細はこちらをご覧いただきたい。
(ワークス研究所研究員  戸田淳仁)

質問1 2020年の日本の失業率は、今より高くなっていると思いますか?
58.2%
かなり高くなると思う
26.6%
少し高くなると思う
7.6%
横ばい
4.4%
低くなる
3.2%
わからない
 

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