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“EU離脱なし”のギリシャ救済は本当に可能か ソブリンリスクを高める「ユーロの構造的欠陥」
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/789.html
投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 27 日 03:42:44: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/14587
“EU離脱なし”のギリシャ救済は本当に可能か ソブリンリスクを高める「ユーロの構造的欠陥」

――元米大統領経済諮問委員会委員 ジェフリー・フランケル氏に聞く 

ギリシャに端を発した欧州債務危機問題がスペインやイタリアなどに飛び火し、欧州全体に危機が波及する懸念が高まっている。混迷を極めるこの問題の背景に横たわるのは、ユーロ体制そのものが抱えた深い構造的欠陥だ。では、危機の解決を困難にしている構造的欠陥とは一体何か。そして、その欠陥を前提とした解決策は未だに残っているのか。クリントン政権下で大統領経済諮問委員会(CEA)委員を務めたジェフリー・フランケル ハーバード大学教授に袋小路に入った欧州債務危機への処方箋を聞いた。(聞き手/ジャーナリスト・瀧口範子)
ギリシャ救済はもはや期待薄に
ユーロ体制が抱える深い構造的欠陥

――ギリシャ債務危機のゆくえをどう見ているか。
ジェフリー・フランケル
(Jeffrey Frankel)
ハーバード大学ケネディー行政大学院教授。MIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学の博士号取得。1999年より現職。NBER(全米経済研究所)の国際金融とマクロエコノミックス・プログラムのディレクターを務め、景気後退を公式に宣言する同研究所の景気循環日付委員会メンバーも兼任。カリフォルニア大学バークレー校教授(1987〜1999年)、クリントン政権大統領経済諮問委員会委員(1996〜1999年)などを務め、現在は、ニューヨーク地区連銀、ボストン地区連銀アドバイザーなどの役職を兼務。

 ギリシャ救済については、現段階となっては期待できないと考える。遅かれ早かれ、債務は償却、あるいは再編が必要で、それをどうやるかのパズルがユーロ圏の課題だ。ギリシャ経済そのものについては、包括財政だけではなく基礎的財政の状態がかなり悪く、また労働者の競争性が低いという深い問題がある。従って、たとえ債務が償却されても事態は向上しないだろう。

 ユーロ圏から追放すべきという議論もあるが、法的に不可能なため、それもない。唯一できることがあるとすれば、構造的な再建を行い、職業の門戸を外国人に広げて少しでも成長を確保することだろう。

――ソブリン危機は、なぜ繰り返し起こっているのか。ユーロ体制にシステム上の欠陥があるのか。

 もちろん、各国における直接的な問題はある。ギリシャはひどい財政赤字だが、アイルランドは銀行システムに問題があった上に、2008〜2009年の金融危機の際には、政府が預金者だけでなく投資家の債務まで負っていた。他国にもそれぞれ特有の問題がある。

 しかし、根本的にユーロ体制には深い構造的欠陥がある。そもそも金融危機であれ財政危機であれ、参加国のどこかで問題が起きることなく、ユーロ体制が100年も200年も続くと信じられていたとは考えにくい。だからこそ、ユーロ体制に参加するには財政赤字がGDPの3%以下、政府債務が60%以下でなければならないというマーストリヒト基準(経済収斂基準)を定めたわけだ。この基準の解釈はいろいろあるが、少なくともドイツの納税者たちは、モラルハザードを抱えた国が浪費をし、その挙げ句に中央政府に救ってもらおうとするのではないかと恐れていた。そして彼らが恐れた通り、マーストリヒト基準も、安定成長協定にある非救済条項も遵守されず、現在の危機が起こっているのだ。

――構造的欠陥を解消するには、どうすればいいのか。

次のページ>> 構造的欠陥を解消する「極端なふたつの方法」

極端な方法がふたつあるが、いずれも採用されることはないだろう。

 ひとつはユーロ体制を放棄することだが、これは起こらない。なぜならEU諸国のユーロに対するコミットメントは強い上、各国はユーロによって受けている恩恵の方が大きいからだ。

 もうひとつは、財政共同体を組織することだ。EUにあるのは通貨共同体であって、アメリカにある州を超えて連邦レベルで財務を概観するような(大統領、議会、財務省による)構造がない。もちろん、どこかの国で問題が起これば、財政状態のいい国が金を都合するといったようなことをやっており、これは今後もっと巨額になるだろう。だが、ドイツの納税者たちが20年間訴えてきた懸念が現実のものとなった今、それを押さえ込んできた政治家たちの言い分に、彼らがこれ以上従うとは思えない。従って、この中間の策が必要だ。
1年半前ならば防げた深刻なPIIGS危機
何が命運を分けてしまったか

――中間策には、具体的にどんなものが考えられるのか。

 最初にギリシャ危機が叫ばれた1年半前ならば、もっといい解決策があり得た。これは私だけの考えではないし、今から振り返ってそう言うのでもない。当時すでに述べていたのは、こうだ。

 ギリシャ危機はユーロ体制にとって完璧なテストケースで、優れた前例が築ける、と。つまり、とんでもないルール違反をすれば、誰も救済してくれないということだ。ところが、ブリュッセルやフランクフルトの政治家たちは絨毯の下に問題を隠し続けて、先送りを続けたのだ。そうしたのは、政治的な保身というよりは、他国に問題が広がることを恐れていたためだろう。だがそのせいで、今や問題は何倍も大きくなって戻ってきた。金はかかるし、政治家への信頼は失墜した。

 1年半前なら完璧なテストケースだったという理由は、ふたつある。ひとつは、政府はよく悪行を働くものだが、数字を曲げていたギリシャの前政権を陽の目にさらして罰することができたこと。もうひとつは、銀行や他国が保有するギリシャ国債の規模が限られており、金融システム全体に害が及ぶのを食い止められたからだ。まずはIMFへ助けを求めるよう働きかけただろう。

――今やスペインやイタリアなど、他のEU諸国の危機も懸念されているが、1年半前に対処していれば、これも防げたか。

次のページ>> ユーロ圏共通債は打開策になるか

 多分そうだろう。当時ならば、イタリアもスペインもアイルランドも基礎的財政収支はそれほど悪化しておらず、いわゆる「防火壁」を築けたはずだ。今やこの三国における対GDPの債務率ははるかに高く、国債はECB(欧州中央銀行)やEFSF(欧州金融安定基金)などの機関による保有が多く、負担の大半を民間セクターが担うことはできない。しかも、市場は政治家たちをまったく信用しなくなっている。

 私自身は、償却するしか方法はないと考える。民間セクターは7月、21%のヘアカット(債務元本の削減)で合意したが、今は50%でも不十分だと言われている。それがひとつの脱出策とすれば、もうひとつは、ヨーロッパ全体の金融危機へと拡大するのを阻止することだ。そしてヨーロッパ周縁国のソブリン危機につながるのを食い止める。もしポルトガルに広がったとしても、そこからスペインやイタリアに及ぶことを防ぐのだ。方策は何であれ、混乱したプロセスになることは避けられないだろう。
ユーロ圏共通債は打開策になるか
ブルーボンド、レッドボンド案の可能性

――ユーロ体制への長期的な改良策としては、何が考えられるか。

 先に述べたように、デフォルトするならばIMFへ援助を求めることだ。また、財政共同体構築に対して政治的なサポートがあれば歓迎だが、それはないだろう。

 一方、ブリュッセルのシンクタンクであるブリューゲル研究所が提案している「ブルーボンド、レッドボンド」案があり、これは私も評価している。EU共通債を求める声もあるが、これは財政共同体と同意なので、支持されないだろう。だが、同案は発行債券をマーストリヒト基準に添ったかたちで発行する共通債のブルーボンドと、それを上回る発行債券を各国債のレッドボンドとに分け、レッドボンドは各国の信用度に応じて市場で売られるようにするというものだ。そうすれば、市場はレッドボンドに対してプレミアムを要求するため、各国にとっては債務を削減するインセンティブとしても働くわけだ。しかし、安定成長協定を遵守させる、こうしたしくみが今まではなかった。

――ブルーボンド、レッドボンド案は現在、EU内では議論されているのか。

 その存在は知られているし、政策研究者たちの間では議論されているが、EUの政治家や役人がそれに積極的になっているという話は、今のところ聞かない。

――ギリシャのような国がEUから脱退するということはあり得ないのか。

 ギリシャ自身を含め、誰もが、そもそもギリシャがEUに参加したことが間違っていたと感じているだろう。もし、参加国が追放される、あるいは自主的に離脱することが許される合法的なしくみがあればそれが一番いいが、今はない。その代わり、基準に違反した国は投票権を剥奪されるという改良案は議論されている。そうなれば、ギリシャは投票権を失う資格十分だ。

 だが、これはEUを発足させたマーストリヒト条約を大きく変えない限り不可能で、EU諸国が条約自体を改革することはあっても、この選択はしないだろう。それに、投票権を失うというリスクが財政赤字を削減する十分なインセンティブになるかどうかは、疑問だ。

 

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コメント
 
01. 2011年10月28日 05:24:45: 3CNLte9sGM
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
ギリシャ債務の50%削減
2011/10/27 (木) 15:18

 やっとギリシャ債務の50%削減が認められることになりました。遅かったですよね。それに順序の間違いがある。言葉を換えれば手順前後。

 つまり、民間銀行側の大幅な債務削減を見届けたうえで最終的にIMFも協力するのが、モノの順序だというものなのに、ヨーロッパのリーダーたちは一大事になることをおそれて、IMFに先に関与させたところに大きな間違いがあったのです。

 最初から、こうすべきであったのです。しかし、民間銀行側の損失を少なく済ませたい‥なんてスケベ根性があったものだから、甘い見通しですませてしまったということなのです。

 しかし、そうしたリーダーたちの見通しが甘いということは、ストレステストの対象にされた銀行自身がよく承知していたので、何度も何度も危機がぶり返したのです。

 では、今後は巧くいくのでしょうか?

 この50%の債務削減策と、銀行の資本増強と、そして、EFSF(安定化基金)の増強の3つによって危機を乗り切る作戦だと聞くのですが‥問題は、今後ギリシャにお金を貸す人が現れるか、ということです。

 もし、貴方がバンカーだったとしたら、今後ギリシャにお金を貸すようなことを考えるでしょうか? つまり、ギリシャの国債を引き受けるか、いうことです。

 まあ、それは大変に困難でしょう。何故ならば、貴方はバンカーとして、ギリシャに対する債権を5割も帳消しすることが求められているのに、その一方で、新たな融資などできる筈がないからです。

 そうでしょ?

 恐らく、今回、ギリシャ債務の削減に応じる銀行団が、再びギリシャ国債を引き受ける日が来ると
しても、それは、相当先のことになるのではないでしょうか?

 では、ギリシャは、今後どうやって資金繰りを受けていくことになるのか?

 もちろん、税収で賄える範囲に歳出を抑え込むことができれば問題ないのですが、景気の悪化に伴い税収が落ち込むことも当然予想されるのです。もし、そうなったら、ギリシャは誰からお金を借りることになるのか?

 そうなれば、EFSF(安定化基金)やIMFの出番になるのでしょうが‥、しかし、そうした機関は、ギリシャの財政収支の改善が軌道に乗ることを条件とするでしょう。つまり、ギリシャの経済がまた巧く回るようになればいいのですが‥しかし、そう簡単にギリシャの財政事情が改善するとも思われないのです。

 最近のデモなどの影響で、今暫くは観光業の不振が続くことでしょう。国民の多くはリストラされたり、給与や年金をカットされているので、景気が落ち込むのは目に見えているのです。そうした中で一体全体、ギリシャ政府はどうやって資金繰りをつけていくことができるのか?

 20年ほど前のメキシコの債務危機のときには、そうしたニューマネーの供与の役割を日本政府が
果たしていたのですが‥欧州がそのようなことを日本に期待するなど、とてもプライドが許さないの
です。

 いずれにしても、この借金の棒引きの措置は、フランスやドイツなどの銀行が損失を被ることによって実現される訳であり‥そして、そうした銀行の資本が不足し、その結果、そうした銀行に公的資金が注入されることになれば、フランスやドイツの国民が、結局、尻拭いをすることになるのです。

 ギリシャ国民は、今回の措置をどう感じているのでしょう?

以上


02. 2011年11月01日 17:58:51: cqRnZH2CUM

>>01 財政危機のスペインに投資銀行が群がる「理由」【第653回】 2011年11月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部 


スペインでは、国内で存在感の高い「カハ」と呼ばれる貯蓄銀行が地方に乱立、スペイン中銀(写真)が業界再編を推し進めている
Photo:REUTERS/Paul Hanna/AFLO

 欧州危機が深刻化するなか、財政赤字の大きさが不安視されているスペインに、投資銀行が触手を伸ばしている。狙いは不良債権にあえぐ銀行業界だという。

 今年7月、ギリシャの政府債務危機を受けて、欧州銀行監督機構がEU域内の90行に対し健全性テストを実施。なかでも資本不足が目立っていたのがスペインの銀行で、不合格8行のうち5行が同国の銀行という結果だった。

 その背景には、過去約10年にわたり地中海のリゾート開発など商業用不動産への融資に傾注、これがリーマンショック前後からブームの終焉で焦げついてしまったという事情がある。建設・不動産向け融資の不良債権比率は、じつに2割弱にまで上昇した。

 そこでスペイン政府と中央銀行は2009年以降、信用力の低下した銀行に対する資本増強と合併による経営効率化を図り、これまで業界再編を推し進めてきた。とりわけ厳しい地方銀行でいえば、その数は45行から18行へと約3分の1に集約されている。

 企業合併のアドバイザーを務める投資銀行からしてみれば、こうした状況はまさに絶好の収益機会。調査会社のディール・ロジックによれば、投資銀行に収益をもたらすスペインの金融機関のM&A(国内同士の合併またはスペイン側が国外に買収される案件)件数は、08年の65件から10年には137件とほぼ倍増。案件総額も66億ドルから343億ドルと5倍以上に拡大しており、規模の大きな銀行にまで再編が波及していることがうかがえる。

 これを受けて欧米の投資銀行が同国への人員シフトを図っているほか、日本勢では野村ホールディングスが投資銀行部門の人員を、旧リーマン・ブラザーズを承継した直後の10人体制から急拡大、いまや50人にまで増員して案件獲得に奔走。あるスペイン駐在の投資銀行担当者も「仕事がかなり増えている」と明かす。

 さらにここにきて、EU域内の銀行は7月時点よりもさらに厳しい健全性テストの実施によって資本増強を迫られる見込みで、「再編がまだまだ進む」(野村関係者)と見ているわけだ。

 もっとも、投資銀行に落ちる手数料ベースで見れば、総額は08年の7500万ドルから10年は6700万ドルへと1割減(ディール・ロジック調べ)。案件数は倍増だから、1件当たりの手数料は115万ドルから49万ドルへと4割に減少しているのが実情なのだ。

 それもそのはず。競争激化によって「シェア獲得のために採算度外視で引き受けている」(投資銀行関係者)からで、真の目論見は未上場の地銀同士の合併案件を手がけ、「最終的に上場させて儲ける」(欧州投資銀行幹部)ことだ。だが、このところの市況を鑑みれば、“取らぬ狸の皮算用”ともなりかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)


03. 2011年11月01日 18:04:39: cqRnZH2CUM
>>03 ユーロ圏を救う政策がEUを破壊する

2011.11.01(火)
Financial Times 

(2011年10月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
EUのCO2排出権取引サイトにフィッシング攻撃

ユーロ圏の救済策はEUの存続を脅かす〔AFPBB News〕

ユーロが挫折すると、欧州が挫折する――。ドイツのアンゲラ・メルケル首相はしばらく前からこう言ってきた。首相は正しいが、筆者なら一ひねり加える。ユーロが成功したら、欧州はやはり挫折する可能性が高い、というものだ。

 その理由は、ユーロ圏の危機解決に必要な政策が今の形の欧州連合(EU)を破壊するからだ。英国、スウェーデン、デンマークなどには特に大きな影響が及ぶだろう。

 ユーロは、ブリュッセルの無頓着な政策当局者がめったに疑わなかった2つの嘘に基づいて導入された。

 今では周知となった1つ目の嘘は、通貨同盟は政治統合なしで存在し得るというもの。ここから生じる2つ目の嘘は、EU内のユーロ加盟国と非加盟国は持続的に共存できるというものだ。

 これが「複数のクラブのクラブ」というEUの概念だった。加盟国はすべて単一市場を共有するが、ほかの点では、柔軟で変化する形状の枠組みの中で共存するというわけだ。
その他EU諸国と乖離していくユーロ圏

 ユーロ圏の危機解決策は既に、これと矛盾した力学を明らかにしている。

 ユーロ圏諸国が欧州金融安定機関(EFSF)にレバレッジをかけることにした先週の決断は、ユーロ圏をその他EU諸国と乖離していく道筋に乗せる。この措置は、危機に対処するための以前の「包括策」と同じくらい不十分だ。だが、グローバルな投資家の懐疑的な反応が追加措置を強いるだろう。

 ユーロ圏諸国は最後の貸し手となる欧州中央銀行(ECB)を必要としている。各国は国債保証について個別責任から連帯責任へと移行する必要があり、場合によっては、最終的にユーロ圏債に至るかもしれない。

 根本的な構造問題を解決するためには、各国の金融セクターを調和させ、製品・サービス市場を強化し、今は聖域となっている労働市場の規則を協調させる必要がある。

 ユーロ圏諸国は租税政策を連携させ始めなければならないし、もしかしたら、いずれはユーロ圏レベルの税金を導入することになるかもしれない。

 筆者の要点は、ユーロ圏の利益が非ユーロ圏の利益と衝突するということではない。もちろん、利益は衝突する。それよりずっと重要なのは、ユーロ圏の危機の解決には、EUの政策、特に単一市場に関するEUの政策と正反対の政策が必要だということだ。
市場統合の意味
建設会社経営者、資金難で銀行強盗に「転身」 スペイン

ユーロ圏とユーロ非加盟国では、市場統合の必要性が異なる〔AFPBB News〕

 市場統合の必要性は、苦境に陥った通貨同盟と、主に自由貿易に関心があるより大きなクラブとでは異なる。

 ユーロ圏の観点からすると、単一市場の最大の失敗は、持続的な経済不均衡を断てなかったことだ。つまり、ユーロ圏は単一市場よりも、むしろ経済相に相当する人が必要なのだ。

 同じ論理は金融セクターにも当てはまる。ユーロ圏諸国は自国の金融システムに確実な支えを提供できるほど規模が大きくない。

 各国はそのうち、共通の預金保険、銀行破綻処理制度、銀行監督体制を構築しなければならないだろう。これは単一市場の論理ではなく、マクロプルデンシャルな安定を守る必要性から生じるものだ。

 一方、非ユーロ圏諸国は仲間内で同じような機構を設ける必要はないし、ましてや、ユーロ圏の利益に則り、ユーロ圏が運営する体制下に入る必要はない。
非ユーロ圏は団結するか?

 ということは、非ユーロ圏諸国が団結して、ユーロ圏が対立を生む政策を採用するのを止めると考えるべきではないか? 非ユーロ圏諸国はユーロ圏サミット(首脳会議)と平行して独自のサミットを開くべきだという提案は聞いたことがあるが、実現の見込みはないだろう。

 EUの非ユーロ圏諸国は数が少ない(ユーロ圏17カ国に対し、非ユーロ圏は10カ国)だけでなく、ユーロ圏ほど均質でもないからだ。


 非ユーロ圏諸国は、3つのグループから成る。英国など、間違いなくユーロ圏に加わらない国、リトアニアなど、絶対に参加したいが、まだユーロ加盟の基準を満たしていない国、そして両者の中間に位置する国だ。

 もちろん、ユーロ圏は欧州条約の改正を非加盟国に押し付けることはできない。拒否権は守られている。だが、ユーロ圏の危機解決策は本格的な条約改正に基づいて実行されることはないだろう。
EUからの離脱も

 リスボン条約で最も重要な新基軸の1つ(また、当時、最も議論が手薄だった側面の1つ)は、加盟国の一部のグループが選択的な政策領域で協調を強化する可能性だった。理論的には、非加盟国が団結して、ユーロ圏の政策に対抗できる。ただ実際には、そうはならない。

 ユーロ圏が危機を解決するに従い、ミクロ経済的な共同体はマクロ経済的な同盟に変わっていく。英国、スウェーデン、デンマーク、その他の非ユーロ圏諸国にとって、問題はもはや、単にユーロに参加すべきか否か、ではなくなった。問題は、次第に共通点が減っていく加盟国のクラブにとどまりたいか否か、だ。
By Wolfgang Münchau


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