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株式日記と経済展望
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「なぜアメリカがこれほど強硬に日本のTPP参加を要求するのか?」という、
アメリカの行動の内在的なロジックを冷静に解析した記事がない。内田樹
2011年10月26日 水曜日
◆グローバリストを信じるな 10月25日 内田樹
http://blog.tatsuru.com/2011/10/25_1624.php
Againの定例経営会議で箱根湯本に集まり、平川くん、兄ちゃん、石川くんと日本の行く末について話し合った。
EUの先行き、日本のデフォルトの可能性から、TPPが「空洞化したアメリカ産業の最後の抵抗」という話になる。
いったいアメリカは自由貿易によって日本に何を輸出して、どういうメリットを得るつもりなのか?
この中心的な論点について、メディアは実はほとんど言及していない。
「TPPに参加しないと、『世界の孤児』になる」とか「バスに乗り遅れるな」というような、「自己利益(というよりは「自己利益の喪失)」にフォーカスした言葉が飛び交うだけで、「なぜアメリカがこれほど強硬に日本のTPP参加を要求するのか?」という、アメリカの行動の内在的なロジックを冷静に解析した記事をメディアで見る機会はほとんどない。
まさか、アメリカが自国の国益はさておき日本の国益を守るために完全な市場開放を日本に求めているのだと思っている国民はいないと思うが、メディアの社説を徴する限り、論説委員たちはその数少ない例外らしい。
TPP参加は日本の国益のためだ、と推進派の人々は言う。
だが、それではアメリカが日本に市場開放を求め理由を説明したことにはならない。
アメリカが他国に市場開放を求めるのは、自国の国益がそれによって増大するという見通しが立つからである。
(中略)
「バスに云々」のような、人を情緒的に不安にしておいて、その虚を衝いてガセネタをつかませるあくどいセールスマンのような安手の語り口は採るべきではないと私は思う。
誤解して欲しくないのだが、私は市場開放や自由貿易に「原理的に」反対しているのではない。
その点については、ぜひご理解を頂きたい。
ただ、市場開放や自由貿易は「主義」として採用すべきものではなく、国民経済に資する範囲で「按配」すべきものだという下村治の立場に与するのである。
貿易政策の得失については、「これでいいのだ」と包括的に断定したりしないで、個別的に吟味した方がいいと申し上げているだけである。
とりあえず私たちが知っているのは「アメリカは必死だ」ということである。
ここでTTPに日本を巻き込むことができるかどうかが「アメリカ経済の生命線」であるかのような悲壮な覚悟でアメリカは日本に迫っている。
別に、日本の国運を案じて悲愴になっているわけではない。
アメリカの行く末を案じて悲愴になっているのである。
アメリカの貿易について考える場合に、私たちがまず前提として理解すべきことは、「アメリカには、日本に売る工業製品がない」ということである。
アメリカの製造業は壊滅してしまったからである。
「ものつくり」という点について言えば、もうアメリカには世界のどんな国に対しても国際競争力のある「もの」を輸出する力がない。
自動車も家電も衣料品も、なにもない。
一応作ってはいるけれど、クオリティについての信頼性が低く、割高なので、買い手がつかないのである。
(中略)
情報と教育の他、あと、アメリカが商売にしようとしているのは司法と医療である。
これについては、専門家が的確に危険性を指摘しているから、私の方からは特に付け加えることはない。医療については、前にご紹介したYoo先生の『「改革」のための医療経済学』をご一読いただければよろしいかと思う。
そして、アメリカの最大の売り物は農産物である。
驚くべきことに、アメリカが「かたちのあるもの」として売れるのはもはや農産物だけなのである(あと兵器があるが、この話は大ネタなので、また今度)。
農産物はそれは「その供給が止まると、食えなくなる」ものである。
Googleのサービスが停止したり、Appleのガジェットの輸入が止まると悲しむ人は多いだろうが(私も悲しい)、「それで死ぬ」という人はいない(と思う)。
日本列島からアメリカの弁護士がいなくなっても、アメリカ的医療システムが使えなくなっても、誰も困らない。
でも、TPPで日本の農業が壊滅したあとに、アメリカ産の米や小麦や遺伝子組み換え作物の輸入が止まったら、日本人はいきなり飢える。
国際価格が上がったら、どれほど法外な値でも、それを買うしかない。そして、もし日本が債務不履行に陥ったりした場合には、もう「買う金」もなくなる。
NAFTA(North America Free Trade Agreement)締結後、メキシコにアメリカ産の「安いトウモロコシ」が流入して、メキシコのトウモロコシ農家は壊滅した。そのあと、バイオマス燃料の原材料となってトウモロコシの国際価格が高騰したため、メキシコ人は主食を買えなくなってしまった。
基幹的な食料を「外国から買って済ませる」というのはリスクの高い選択である。
アメリカの農産物が自由貿易で入ってくれば、日本の農業は壊滅する。
「生産性を上げる努力をしてこなかったんだから、当然の報いだ」とうそぶくエコノミストは、もし気象変動でカリフォルニア米が凶作になって、金を出しても食料が輸入できないという状況になったときにはどうするつもりなのであろう。同じロジックで「そういうリスクをヘッジする努力をしてこなかったのだから、当然の報いだ」と言うつもりであろうか。
きっと、そう言うだろう。そう言わなければ、話の筋目が通らない。
でも、こういうことを言う人間はだいたい日本が食料危機になったときには、さっさとカナダとかオーストラリアとかに逃げ出して、ピザやパスタなんかたっぷり食ってるのである。
TPPについて私が申し上げたいことはわりと簡単である。
「生産性の低い産業セクターは淘汰されて当然」とか「選択と集中」とか「国際競争力のある分野が牽引し」とか「結果的に雇用が創出され」とか「内向きだからダメなんだ」とか言っている人間は信用しない方がいい、ということである。
そういうことを言うやつらが、日本経済が崩壊するときにはまっさきに逃げ出すからである。
彼らは自分のことを「国際競争に勝ち抜ける」「生産性の高い人間」だと思っているので、「いいから、オレに金と権力と情報を集めろ。オレが勝ち残って、お前らの雇用を何とかしてやるから」と言っているわけである。
だが用心した方がいい。こういう手合いは成功しても、手にした財貨を誰にも分配しないし、失敗したら、後始末を全部「日本列島から出られない人々」に押しつけて、さっさと外国に逃げ出すに決まっているからである
「だから『内向きはダメだ』って前から言ってただろ。オレなんかワイキキとバリに別荘あるし、ハノイとジャカルタに工場もってっから、こういうときに強いわけよ。バカだよ、お前ら。日本列島なんかにしがみつきやがってよ」。
そういうことをいずれ言いそうなやつ(見ればわかると思うけどね)は信用しない方が良いです。
私からの心を込めたご提言である。
(私のコメント)
TPPについて推進派と反対派の情報戦が続いていますが、マスコミは動きは報じてもTPPの中身についてはなかなか報道しようとはしません。しかしアメリカが何を要求してくるかは米韓FTAやNAFTAがどのようになっているかを報道すればいいと思うのですが、マスコミはこのことについては触れない協定を結んでいるのだろう。
内田氏が書いているように、NAFTAによってメキシコのトウモロコシ農家は壊滅しましたが、アメリカ政府はトウモロコシを燃料用に振り向けてしまって、メキシコ人は主食のトウモロコシが買えなくなってしまった。アメリカと言う国はそういう国であり、相手国の主食の農業を壊滅させておきながら、トウモロコシをバイオマス燃料に振り向けてしまった。この事を知っているエコノミストはどれだけいるのだろうか?
アメリカが要求するISD条項が毒薬であることは昨日も書きましたが、ISD条項はアメリカの仕掛けた罠でありアメリカの投資家を保護する一方的な条約だ。NAFTA(北米自由貿易協定)で、ISD条項を受諾したカナダで、ガソリンに神経性有毒物質の添加を禁止した法律が「差別的である」として、カナダ政府が訴えられて損害賠償を請求された。アメリカはカナダ人を神経性有毒物質中毒にしたいのだろうか?
カナダ政府はこれに懲りてTPPには参加しないようですが、日本政府の首脳たちはこの事を知っているのだろうか? アメリカ政府は日本に対して善意で日本に求めているのではなくアメリカの一方的に都合のいい事を求めているだけだ。アメリカの植民地である日本はアメリカの要求にNOと言うことはできないから、首相の首をとっかえひっかえしながら交渉の引き伸ばしをするしかない。
アメリカは既に手負いの獅子であり、失業率は9,6%にもなり若者の失業率はその倍にもなるだろう。だからウォール街から反グローバリズムのデモが全米に広がりを見せていますが、大統領選挙にも影響が出るだろう。来年あたりにはリーマンショックの第二波が起こりそうですが、カンフル注射を打ち続けなければアメリカは持たない。
アメリカ大金持ちたちは「自家用ジェット機買ったり、ケイマン諸島の銀行に預金したり、カリブ海の島を買ったり、フェラーリに乗ったり、ドンペリ抜いたり、アルマーニ着たりして使ってしまったのである。」決してアメリカの金持ちたちは雇用を増やすような事はしていない。企業もリストラで業績を上げることに一生懸命であり、これでは失業率は上がることはあっても下がることはない。
アメリカが一番恐れているのは、世界経済の中心である東アジア経済圏からはじき出されることであり、韓国や日本を橋頭堡にして利権を獲得しようと言うことですが、日本の経済界は目先のことしか考えない。韓国に後れを取ったと騒いでいるテレビキャスターがいますが、韓国の法律よりも米韓FTAの条項が優先されることを知らなかった。マスコミは大企業の言いなりだからTPP賛成で報道管制かかかっており、決して国民のことは眼中にはないようだ。
大企業の連中は国内の工場をたたんでタイなどに進出しましたが、大洪水で大きな被害を受けている。何のための海外進出か分かりませんが、自然災害以外にも政治的な混乱で海外の工場が中国政府に接収されるような事も考えられます。だから最近では日本人社員が海外勤務に行きたがりません。今朝のNHKのニュースでも商社ですら海外勤務を避ける社員ばかりで悩んでいる社長がいました。
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