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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/27024
日本株、相場安定の陰に隠れた逆風
2011.10.26(水)
Financial Times
市場における「リスクオン、リスクオフ」の荒っぽい動きに投資家たちは次第に苛立ちを強めている。しかし、8月半ば以降、ユーロ圏の債務危機や世界経済の見通しに対するムードの変化のために世界中の株価が乱高下する中で、日本株のボラティリティー(変動性)は際立って小さい状況が続いている。
つまり、各国の株価が急落する一方で、日本株は最も恐ろしくない動きを見せていることになる。ブティック型リサーチ会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのマネジングディレクター、ペラム・スミザーズ氏によれば、これは日本株が諸外国の株式に比べて割安な証拠の1つだという。
PBRも配当利回りも魅力的だが・・・
日経平均終値、5年ぶりの8000円割れ 円高急進とソニー急落を嫌気
日本株は多くの指標で見て割安に見える(写真は東京証券取引所)〔AFPBB News〕
日本株が魅力的なことを示す指標は少なくない。ブルームバーグのデータによれば、東証株価指数(TOPIX)の株価純資産倍率(PBR)は現在1.09倍で、米国のS&P500株価指数の2.01倍や、欧州のFTSEユーロファースト300種株価指数の1.43倍を下回っている。
またマッコーリーがまとめたデータによれば、TOPIXの配当利回りは2.31%で、欧州の3.68%を下回るものの、米国のわずか1.87%に比べれば魅力的に見える。
しかし、こうした材料は、たとえ低ボラティリティーの理由になるとしても、日本株をアウトパフォームさせるには力不足かもしれないとアナリストたちは指摘する。
日本での株式取引で大きなシェアを占めている外国人投資家が最も多く売買するのは、景気敏感株や電機・精密株、自動車株、さらには資本財メーカーの株式であることが多い。
こうしたセクターは世界の景気循環に影響されやすい。また投資家は現在、今後の経済成長や、ユーロ圏債務問題に解決策が示される可能性について、見方が分かれていたり確信を持てなかったりする状況にある。おまけに、投資家はまだ世界中でデレバレッジ(負債圧縮)を進めている最中で、売買高も減少している。
円高のブリヂストンよりはユーロ安のミシュラン
円高には「断固たる対応」、安住財務相
アナリストは円売り介入に身構えている(写真は安住淳財務相)〔AFPBB News〕
1ドル=75円82銭という戦後最高値を先週後半に記録した円相場も、株式市場(特に輸出株)にとって悪材料になっている。
円高の進行を受けて安住淳財務相は強い表現でこれを牽制するようになっており、先日は、円高は輸出全般、特に自動車の輸出に打撃を与えていると述べて「断固たる措置」をちらつかせた。
そのためアナリストたちは、政府による円売り介入が再度実施されると身構えている。
「円高のブリヂストン株を買うより、ユーロ安のミシュラン株を買った方がよいのではないか」。マッコーリー証券の日本株チーフストラテジスト、ピーター・イードン・クラーク氏はこう語る。
「市場に資金が純流入する最大の要因は、世界の景気循環の変動だ。欧州に行けば配当利回りが7%もある本当に退屈な通信株が買えるこの時期に、世界の景気に敏感に反応する日本企業の株式なんか誰も欲しがらないだろう」
また、日本政府が財政再建の一環で増税に踏み切るとの見通しが株価に悪影響を及ぼす可能性も投資家は考慮している、とイードン・クラーク氏は指摘している。
日銀に追加緩和を求める声
こうした困難に対処するために、投資家やアナリストの多くは日銀に金融緩和措置の追加を求めている。日銀は昨年、投資家にもっとリスクを取るよう促すために、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)といったリスク資産の買い入れに踏み切った。一部のアナリストによれば、日銀による発表直後の昨年11月前半にはこの施策が株価の下支え要因になったという。
しかし野村証券のチーフストラテジスト、岩沢誠一郎氏は、日銀はETFの買い入れ上限額を現在の1兆4000億円から2兆円に引き上げ、金融をさらに緩和すべきだと考えている。
「日銀は、自分たちがやっていることを正しいと思っていないのではないか。市場参加者は私も含めてそんな印象を持っている」と岩沢氏は指摘する。「もし本当に自分たちがやっていることが正しいと思っているのなら、もっとやるべきだ」
こうした日銀の施策にもかかわらず、TOPIXの24日の終値は755.44ポイントで、昨年の安値803.12ポイントをも下回っている。今年3月11日の震災と津波の後に2営業日で16.3%急落した時の安値すら下回っているのが実情だ。
底値はまだ先?
それでも、日本株はまだ底値に達していない可能性がある。スミザーズ氏によれば、日本では昔から、日経平均株価の裁定取引に伴う現物買い残高が5億株前後に減少することが株価底打ちの1つのサインになっており、近年では1992年や1998年、2003年、2009年にその現象が見られたという。
ブルームバーグのデータによれば現在の残高は10億株を超えており、投資家がまだ比較的弱気なことが示唆されている。
この数字からは「日本株がまだ下落の最終局面を迎えていない可能性がある」ことが読み取れるとスミザーズ氏は話している。「日本株は、まだ吠えていない犬なのだ」
By Lindsay Whipp
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