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株式日記と経済展望
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TPPの、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、
自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。
2011年10月25日 火曜日
◆米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 10月24日 中野剛志
http://diamond.jp/articles/-/14540
まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。
そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。
だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。
では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。(中略)
このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。
たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。
また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。
メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。
要するに、ISD条項とは、
各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。
気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。
ISD条項は毒まんじゅうと知らず
進んで入れようとする日本政府の愚
米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。
ところが信じがたいことに、
政府は「我が国が確保したい主なルール」の中に
このISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。
その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。
それ以上に、愚かしいのは、
日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、
国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。
政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。
しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。
それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。(後略)
(私のコメント)
TPPのことについて連日書いていますが、中野氏が書いているように参考になるのは米韓FTAである。TPPも実質的には日米FTAであり、オバマ大統領が持ちかけてきたTPPの目的が日本にあることは明らかだ。菅前総理にも野田総理にも強く持ちかけているのは、TPPで日本の主権を放棄させることが目的だからだ。
TPPにはISD条項と言う毒薬が盛り込まれており、NAFTAにおいて導入されてカナダやメキシコが毒薬条項で酷い損害を受けているようだ。具体例については中野氏の記事を読んでいただければわかりますが、カナダ政府やメキシコ政府が訴えられて損害賠償金を支払わされている。TPPに参加したら最後、日本は抜け出せなくなりアメリカ企業やアメリカ政府のやりたい放題になる。
米韓FTAでもISD条項が盛り込まれて「自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」となってしまう。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。」まさにアメリカにとっては一粒で二度美味しい条項であり、アメリカの悪徳弁護士も商売の種として期待している。
日本政府もマスコミもTPP参加に前のめりになっていますが、肝心のその内容については情報を開示しようとはしない。ネットがない時代ならそれでっも通用したのでしょうが、現代では「株式日記」が政府やマスコミの陰謀を毎日書きたてるから思い通りには行かなくなって来ている。政府は公務員制度改革といったやるべき事はやらずに、やってはならない消費税増税やTPP参加などをゴリ押ししようとしている。
TPPは90年代からの日米構造協議の総仕上げであり、日本は主権をアメリカ政府に取り上げられて、自国民の安全や健康や福祉や環境などの問題についての主権を放棄して、アメリカのサービス産業のやりたい放題の条項を飲まされる。バカな外交評論家等が韓国に米韓FTAに後れを取ってしまったと煽っていますが、米韓FTAの内容のあまりもの酷さに韓国国内でももめている。
中野氏によれば、「このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。」としていますが、韓国のネット市民は何をしていたのだろうか? 韓国はネットによって大統領選挙にも大きな影響力を持つのですが、米韓FTAについての情報が十分に議論されていなかったようだ。
中野氏も「それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。」としていますが、郵政民営化の時のマスコミと良く似ている。テレビ局の司会者が中立ではなくTPP参加が平成の開国と宣伝している。むしろ今は平成の鎖国をすべき時であり、グローバリズムに対する批判はニューヨークから世界に広がってきている。
もちろん鎖国といっても江戸時代の鎖国ではなく、グローバリズムの弊害に対する修正であり、アメリカ自身も保護主義になりつつある。フランスのエマニュエル・トッド氏は次のように警告している。グローバリズムや自由貿易が行き過ぎればやがては中国を破滅させるだろう。
◆未来への提言:エマニュエル・トッド
http://blog.goo.ne.jp/11hadley_wood/e/caa87ef25fa724820b0457de969fe487
【自由貿易の問題点】
アメリカ発の経済危機が明らかにしたのは、これが自由貿易のなれの果てだということだ。自由貿易という言葉はとても美しく響く。何しろ「自由」という単語が使われているから。もちろん自由貿易は有益なものになり得る。しかし今はすべての人を巻き込む激しいビジネス競争となっている。保護主義は平和だといっても信じてもらえないかもしれないが、自由貿易は戦争だということは信じてもらえるはずだ。
企業は外国市場向けの生産を始めた途端、労働者の賃金を単なるコストだと考える。従来の内需を中心とする経済では、企業は賃金の引き上げが生産性を高め、利潤を生むことを知っていた。輸出においては、賃金は単なるコストとなり、絶対的な競争原理のもと、コストの引き下げ圧力がかかる。もし世界中の企業が賃金をただのコストでしかないと考え抑制したら、世界規模で需要不足が起きるのは明からだ。
現在アメリカの消費はすさまじく、アメリカは8,000億ドルの貿易赤字を抱えている。不道徳かもしれないが、これが地球規模の需要を生んでいたのだ。アメリカは消費し続けることで、自滅するだろうが役には立つ。
産業と経済の復興には需要の喚起が必要だ。ヨーロッパの場合は、保護主義を基本とするブロック経済に戻るべきだと、私は考える。保護主義という言葉がタブーなのは私もよく知っている。しかし、もしヨーロッパが地元贔屓に戻れば、賃金を回復し、グローバルな需要を増やすことにもつながる。
保護主義の危険性については、フランスでも常に議論を呼んでいる。保護主義は外国人の排斥や外国敵視につながるという意見は確かにある。しかし、私の言う保護主義は全くそうではない。あくまでも需要を増やし、貿易を健全な形に再活性化するツールに過ぎないのだ。むしろ自由貿易は、世界の工場中国を破滅へと向かわせている。例え保護主義を導入しなくても、欧米の需要が崩壊すれば中国も崩壊する。
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