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中国は世界を救えるか1では覇権国家を目指す中国の海外投資の動向を明らかにした。では、世界を席巻する投資マネーを生み出す、中国国内経済の状況は確かなものなのであろうか?
これまで中国の国家財政に占める国際の依存度は40%程度と中国政府からは発表され「先進国経済と比して、全く安全であり健全」と言われてきた。しかしここには大きなからくりがあった。
■今や借金漬けの中国国家経済
ウォルター、ホーヴィ共著『レッド・キャピタリズム』によれば中国の財政状況は、2009年度においては中央政府債務の43%に加えて地方政府債務が23%、不良債権の推計が約10%と合計約75%に達し、2011年の推計では77%に達する。それだけではない。とりわけ負債額が拡大しているのは、地方(23,3%→28.1%)、及び不良債権であるである(9.6→15.5%
★すでにこれだけでも先進国の債務水準に達するのは時間の問題である。
■土地バブルが生み出す成長とその破綻
しかも地方の財政は土地の切り売りでかろうじて回転している。2009年の全国の土地譲渡収入は1兆5000億元(約30兆円)と同年の地方財政収入の46%に達した。北京や上海では単年度で土地譲渡収入が1000億元を超えている。一部の市や県では80%を越える地域もある。
中国経済は土地の切り売りというタケノコ財政によって、都市部でバブルを生み出した。そしてもともと財政基盤の脆弱な地方は一層土地収入への依存度を強めている。
■高速鉄道が命綱
それだけではない。次のような記事も報道されている。
「中国、鉄道建設に巨額の負債 専門家は懸念の声」より
>巨額の負債を抱える中国鉄道部は、さらに200億元(1元は約12円)の短期債券を発行することを決めた。応募は8日から始まる。英BBC(中国語版)が7日報じた。
鉄道部財務司が先週公表した最新の報告書によると、その負債総額は2兆元を超える。
先ほどの経済統計によれば鉄道関連の債務はせいぜい400億元である。つまり公式の政府収支以外の隠れ借金(おそらくは独立公社への融資)が存在すると言うことらしい。
この間中国は高速鉄道の建設に大きな力を注いできた。おそらくそれは高速鉄道網を全国に張り巡らせることによって、地方都市の地価を上昇させ、地方財政のモーターとする計画だと推測される。この鉄道省等の隠れ借金を含めれば財政に占める負債の比率は150%であると指摘する声さえある。
中国はもともとはアメリカを中心とした輸出によって、原資を確保し、それを成長のモーターとしていた。欧米経済の失速後は、さらに自らの土地の切り売りを加速させることによって、投資原資を獲得し、それを国内投資に振り向けることによって、産業を活性化させ、その余剰を海外投資に振り向けると言う構造で経済を回転させていた。
いわば中国の現在の成長のモーターは土地である。
もともとこの構造は売れる土地の限度と言う物理的限界を持っていた。しかもこの間海外需要が冷え込む中で、中国は財政の土地依存に拍車をかけている。
しかもこの高速鉄道計画も頓挫しつつある兆しがある。金がなくて業者への支払が滞り、工事があちこちで中断していると言うのだ。給与の遅配も起こり始めている。
それを受けて本年10月13日クレディ・スイスは、★中国の銀行の不良債権額が自己資本の6割に達する可能性があるという深刻な事態を明らかにした。
不動産会社や地方自治体の債務不履行が原因らしい。
もはや中国も完全な綱渡りの段階に来ていると見たほうがいいだろう。
■中国はアメリカを見限り欧州にシフトした?
綱渡りなのは中国経済だけではない。この間中国を世界最大の市場拡大のモーターとしてもてはやしてきた、欧米経済はもっと深刻である。
もともと中国の市場拡大の原資は、アメリカを中心とした輸出である。アメリカ側から見れば低迷する市場の拡大のために、中国にアメリカ国債を購入させ、それを原資に税金をバラ撒き、消費の拡大を測るという経済構造である。
しかし、2010年には中国サイドが投資先をアメリカからヨーロッパへ振り向け、米国債に対して欧州系の国債を増加させている。すでに中国は外貨準備の25%をユーロ資産で保有するに至っている。
このことはアメリカ側から見ればこの上記の蜜月関係が崩れ、中国の裏切りを食らったことを意味する。中国側から見れば、弱体化するアメリカを見限り距離をとったと言うことにもなる。今や中国の最大貿易相手はEUである。
しかし、この間のEUも決して安全ではないことはいうまでも無い。リスクを無視して積極的に中国がEUに投資しただけとも考えにくい。
この間のチベットの反乱→ダライラマとローマ法王の会見は、欧州貴族が中国に強烈な揺さぶりをかけていることをうかがわせる。中国の市場拡大の今や命運を握る高速鉄道に対する資金ショートも、恐らく欧州勢の貸し渋りが一因をなしている可能性が高い。
■中国を巡る欧米の綱引き 米中欧の危険な三角関係
その後、モナコ57カ国会議が開催された直後の9月14日、中国国有投資会社はイタリア国債の購入を表明。更なる欧州への救済策を表明した。
他方アメリカ側も、今年8月19日にはバイデン米副大統領が、中国を訪問、胡錦濤主席、次期主席と目される習近平副主席始め中国首脳部との面会を行い、米国債の引き続いての購入を強く求めた。
同時にアメリカの別働隊ともいわれる宗教集団「法輪功」を媒介として中国共産党からの脱党運動を働きかけ東京やシカゴでパレードを組織するなど中国に対する揺さぶりを強めている(法輪功によればすでに8500万人中3600万の共産党員が脱党宣言したという)。
★中国のマネーを延命の資金源として揺さぶりを強める欧米勢。EU延命戦略の中で主導権と、先端技術の確保を目論む中国。しかしその中国自体もそのマネーを生み出す打ち出の小槌たる土地バブルが崩壊しようとしている。
★中国を媒介としたドル・ユーロ崩壊を巡るチキンレース。しかも中国を巻き込んで崩壊すれば、それは金融秩序の崩壊にとどまらず大量の難民を日本にもたらす恐れが高い。
日本はいかなる道を進むべきか。それをこの国際関係の渦中に見定める上で、中国の動向にしばらくは目を放せない。
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