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安住淳財務相は、さきのパリでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、消費税率を10%に引き上げる法案を来年に国会提出、成立させると公約した。
欧州危機対策で頭がいっぱいのG20に日本の内政そのものである消費増税を持ち出すのは、一見すると唐突だが、米欧に歓迎されるだけの理由がある。
日本の増税は金融市場不安対策になるからだ。財務官僚には米欧の期待に応えることで国際金融コミュニティーから後押ししてもらい、国内の増税反対論を封じ込める深謀遠慮があるに違いない。
日本は、世界最大の国内貯蓄の国際金融市場への供出国である。日本所在の銀行の対外純金融資産は2009(平成21)年以来、増加し続けている。デフレ不況のために国内向け貸し出し需要は弱い。そこで預貯金の増加分と国内融資削減分の多くを海外融資に回しているのだ。
日本に次ぐ貯蓄提供国はドイツなのだが、08年9月のリーマン・ショック後、頻発する欧州金融不安を受けて急速に対外資産を減らしている。最近のギリシャ財政破綻やイタリア、スペインなどの国債相場急落のために、ドイツの銀行債権は大きく目減りし、もはや資金の出し手としてのゆとりはない。だから日本の銀行は、国際金融市場にとって今や唯一、最後の貸し手である。資金を引き揚げるようだと、国際金融市場はパニックになりかねない。
日本政府が大震災からの復興や社会保障財源のために、巨額の国債を発行し、国内貯蓄を吸い上げると、海外に回るおカネがその分だけ細る恐れがある。財務官僚はそこで、「いや、ご心配なく、われわれは増税して財源をまかないます。日本の銀行はこれまで通り、あなた方のご要望に応えるでしょう」というメッセージを、安住財務相の口を通じて流したわけである。
そういえば、国際通貨基金(IMF)は東日本大震災の後、「日本は消費税率を15%にすべきだ」「デフレ下でも増税を」と日本政府に勧告してきた。しかも東京やワシントンで日本の記者を集めたセミナーを開き、増税の必要性を説いてきた。
一方で、IMFのラガルド専務理事は金融不安のために世界景気回復が遅れるなかで、緊縮策には慎重になるよう加盟国に呼びかけている。なのに日本だけは別だと言わんばかりだ。日本の増税で利害が一致する日本の財務省とIMFはタッグを組んでいるのだろう。
だが、国内経済を無視した対外配慮優先のツケは日本に舞い戻る。
まず、増税は家計消費を減らし、デフレを進行させる。モノに比べたおカネの値打ちが上がるのだから、超円高は止まらない。それでも政府は円高はチャンスだとみなして、企業の対外投資を支援する。日本の官民合計の対外純資産はこの6月末で260兆円、05年末に比べ1・4倍になった。ところが、ドル建てでみると2・1倍に膨れ上がる。このギャップは円高・ドル安のために生じたわけで、ドル安に伴う対外資産の評価損は120兆円、国内総生産(GDP)の約4分の1に相当する。
日本の対外資産の源は家計の貯蓄である。政府はドル資産を買うための短期証券発行で、銀行は預金で、企業は社債などを通じて家計から借り入れる。このままでは日本国民は勤勉に働き、貯蓄しても巨額の富を失うばかりだ。原因の大半は、政府の政策によるのである。(田村秀男)
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