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つい10年前にデフォルトに踏み切ったアルゼンチンで、その後の対外交渉や財政・経済再建を担当したラバニャ氏の「ギリシャ危機」に対する見方である。
その前に、私見だが、「ギリシャ危機」と呼ぶのがおかしいのであって、「欧州銀行危機」と呼んだ方が実態を表していると思う。
ギリシャが国民生活をそれほど破壊しないで立ち直るための方策は、民間債務を含むデフォルトの実施とユーロからの離脱であろう。
(現在のような経済状況が続けば、当然ユーロ建てで借入れをしている企業も債務が履行できなくなる。ユーロから離脱すれば、その債務はさらに過重なものになるから、国内銀行の救済を考えながらデフォルトをするしかなくなる)
しかし、ギリシャは、“政治的統合”実験をより進めるために、EU(ユーロ)加盟国の財政主権を制限する政策を成立させるための生贄とされる可能性が高いと考えているので、ギリシャ国民の生活がどれほど破壊されようとも、お為ごかしの支援を受け続け、ユーロから離脱することは認められないと思っている。
なにより、1カ国でもユーロからの離脱を認めれば、ユーロのみならずEUという壮大な実験が挫折することを意味するから、なにがなんでも枠内に押しとどめることになるだろう。
ラバニャ氏の「緊縮財政は解決にならない。給与削減などが経済停滞を強めるためだ。アルゼンチンは1999年、01年に緊縮策を見返りに支援を受けたが、経済の悪化が進みデフォルトにつながった」という説明や、アルゼンチンは「緊縮策をとらなかったことで消費が維持され、企業の設備投資意欲が高まった。企業は国外に避難させていた資金を還流して投資した。こうした現象を国際通貨基金(IMF)は理解できなかった」という見方は、ECBなどユーロ(EU)の金融担当官僚も十分に理解しているはずだ。
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ギリシャ再建 緊縮では困難
インフラなど投資継続を
▼アルゼンチン債務危機 1990年代、1j=1ペソに為替相場を固定してインフレを抑えた半面、慢性的なペソ高で経済が停滞。政治の混乱が続く中で、2001年12月に当時のロドリゲス暫定大統領が公的債務の支払い停止を宣言した。同国発行の円建て外債(サムライ債)を購入した日本の自治体などにも損失が広がった。
【ブエノスアイレス=檀上誠】アルゼンチンは10年前に債務不履行(デフォルト)を発表し、世界の市場を揺さぶった。今はギリシャが債務危機の重大な局面を迎える。
アルゼンチンで2002年から05年まで経済財政相を務め、債務再編の交渉などに当たったロベルト・ラバニャ氏に聞いた。
−−ギリシャとアルゼンチンの類似点は。
「経済の停滞が長引き、財政赤字と経常赤字が続き、国債残高の国内総生産(GDP)比が高い点は共通する。通貨も類似点がある。ギリシャはユーロ圏に属し、アルゼンチンは当時1ドル=1ペソに固定していたが(ともに)割高な通貨が国内産業の停滞を招いた」
−−アルゼンチン危機の経験はいかせるか。
「緊縮財政は解決にならない。給与削減などが経済停滞を強めるためだ。アルゼンチンは1999年、01年に緊縮策を見返りに支援を受けたが、経済の悪化が進みデフォルトにつながった」
−−財政をどのように改善するのか。
「財政均衡は重要だが問題はその方法だ。ギリシャに必要なのは(返済繰り延べなどの)債務再編で、財政黒字を確保した上で返済を進めるべきだ。ギリシャは当時のアルゼンチンと違い国際社会の支援も手厚く、秩序ある形で進めれば大きな混乱は起きない」
−−アルゼンチンの債務再編は、民間債権者に元本の7割削減などの厳しい条件を示した。
「国際社会の支援があれば、そこまで大きな負担は必要ないだろう。債権者も受け入れやすい解決策が作れるはずだ」
−−アルゼンチンは03年から高めの成長率を確保した。主要輸出品の大豆価格の上昇などに支えられたのではないか。
「07年以後はそういえるが、02〜04年は世界的に景気が停滞し、大豆市況も決して高くはなかった。一方、緊縮策をとらなかったことで消費が維持され、企業の設備投資意欲が高まった。企業は国外に避難させていた資金を還流して投資した。こうした現象を国際通貨基金(IMF)は理解できなかった」
「ギリシャ問題も長期的な視野を忘れてはいけない。ギリシャの競争力をそげば、また必ず危機を招く。教育支出やインフラ投資などは絶対に削るべきではない」
−−ドイツなどの国民が反発するのでは。
「ドイツは多くの貿易黒字を欧州連合域内で得ている。政治家は経済が悪化すれば自分たちが困る点をよく説明すべきだ。ギリシャは独仏の防衛産業にとって輸出先であり、債務の一部はその購入資金でもあった」
−−アルゼンチンは今も国際金融界から孤立している。
「債務再編の際には、政府が14年まで国際金融界からの資金調達が得られなくてもしのげる方策を考えた。借り入れを増やさないことか重要だ。未解決のまま残る(各国政府機関などか債権者の)パリクラブ問題は早期に解決すべきだが、政府が資金調達するためではない。企業の資金調達を容易にするためだ」
日本経済新聞10月22日朝刊P.8
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