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「駅前総理」だけでなく、この御仁の発言も「壊れたレコーダー」のようだ。
日銀の白川総裁は20日、本店で開いた全国支店長会議の冒頭挨拶で、日本経済の現状について生産や輸出は回復ペースが緩やかになっているが、増加を続けていると指摘し、「持ち直しの動きが続いている」との毎度お決まりの認識を示すと同時に、先行きについても「緩やかな回復経路に復していく」との聞き飽きたような見通しを示した。
さらに、景気のリスク要因にとして「欧州のソブリン問題の動向や、バランスシート調整が米国に与える影響について引き続き注意が必要」と強調。「敵は海外にあり」とばかりに「新興国・資源国は物価安定と成長の両立が可能かどうか不透明感が強い」と語り、景気減速リスクを海外経済に転嫁する布石を打った。そして、海外情勢の不確実性を背景にした「為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については引き続き丹念に点検していく必要がある」とも指摘し、日銀が「か弱き被害者」であるかのような演出をした。
「物価の下落と成長の鈍化」をただただ放置し続け、「物価の安定」にも、「成長」にも無策な日銀が、日本経済のリスク要因について「新興国・資源国は物価安定と成長の両立が可能かどうか不透明感が強い」とコメントするのはBlack Jokeに近い。
「為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については引き続き丹念に点検していく必要がある」というが、一体何を「丹念に点検」するつもりなのだろうか。
日本の名目GDPは2007年の515兆5204億円をピークに、約4年間で470兆円を割り込む水準まで約9%減少して来ているし、ドル円は2007年6月の123円台をピークに、足元では77円前後まで約37%も円高が進んでおり、「為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響」についての答えはとっくに出ている。
この4年間、これだけ名目GDPが減少し、大幅に円高が進行する中、日銀は「為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響」について、「丹念に点検」して来なかったというのだろうか。もし「丹念に点検」して来たというのであれば、もうその研究成果を出さなければならない。
同じく20日、日本経済新聞社と日本経済研究センターは景気討論会を開催し、足もとの円高が日本経済に及ぼす影響について議論した。
この検討会でリコーの桜井会長は、歴史的な円高の原因を「欧米のしつこい構造問題が背景にある」と指摘、今後も「対ドルで円の高止まりが続く」との見通しを示すとともに、日本政府に対しては「いかに円高を食い止めるか、世界協調の中でやっていただきたい」との期待を表明した。
さらに日本経済研究センターの岩田理事長も「2007年からの円高はペースが速すぎた。もう少し円安の方が日本のファンダメンタルズに見合っている」と分析した上で「(政府・日銀は)介入もしっかりやっていくべきだ」と主張した。
日銀も財界も、円高の原因は「海外要因」とし、その対策として「協調介入」が有効だという共通認識を持っているようだ。
為替レートは「相対比較」で決まるものであり、「海外要因」によって大きく変動するものである。「経済成長」「ソブリンリスク」「資金供給量」の3つの面でのこれまでの円の「相対優位性」を考えてみると、「経済成長」は円安要因、「ソブリンリスク」は円高要因、「資金供給量」も円高要因(FRB、ECBに対して日銀の量的緩和が相対的に不足)となっている。つまり、この3つの要因のうち、2つは為替市場での円高圧力となって来た。2つある円高要因を、せめて1つに減らすことが出来れば、為替市場での円高圧力を低下させることが出来るはずである。
重要なポイントは、「経済成長」や「ソブリンリスク」の「相対優位性」は一朝一夕に変えることは出来ないが、「資金供給量」面での「相対優位性(円高圧力)」は日銀のやる気さえあれば、明日にでも解決出来るものであるというところ。
もし、日銀に大規模な量的緩和によって「資金供給量」の面での円高圧力を抑える意思が無いのであれば、政府が「ソブリンリスク」面の「相対優位性」を薄めることで円高圧力軽減させる方法もある。
対GDP比でみて、ギリシャを上回る公的債務残高(gross debt)を抱え、格下げリスクに晒されている日本が、「ソブリンリスク」の面で「相対優位」に立っているのは、世界で唯一「増税によるデフォルトリスク回避」を宣言しているからである。これは、日本国民が日本国債の「連帯保証人」になっているようなもの。
先のG20で「素人事務相」が勝手に行った「でっちあげ国際公約」を撤回し、政策変更の姿勢を示し、日本国債には日本国民の「連帯保証」が付いていないことを明確にすることは、「ソブリンリスク」面からの円高圧力を抑制するために考えられる一つの方策である。
国際的な理解を必要とする「協調介入」以外に、円高圧力を軽減させる有効な手段を有しながら何時までも「丹念に点検」する姿勢を崩さず、円高の要因を「海外要因」に責任転嫁し続ける日銀。
政府・日銀が、自国で出来る対策に手を付けず、国際社会の理解が得難い「協調介入」を唯一の円高解決策であるかのような国内向け演出を続ける限り、国際社会から「協調介入」の理解を得ることは難しい。政府・日銀が「丹念に点検」を続ける姿勢を見せる間、為替市場は櫻井会長の「対ドルで円の高止まりが続く」という予想通りの展開になるのかもしれない。(近藤駿介)
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