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ゴールドマン赤字転落で、次の懸念は米国経済に
ギリシャへの一応の対策は見えてきたが、市場では“恐怖指数”が上昇
山口義正 2011/10/20
主要20カ国の中央銀行総裁と財務相が集まってパリで開かれたG20が15日に閉幕し、欧州に対して財政問題を早期に解決するよう求める共同宣言を採択した。その内容に対しては「問題の先送りが大好きな欧州が、またしても先送りした」(市場関係者)などと辛口の評価が多い。
欧州の銀行に資本増強を求めると言っても、「資金の出し手がどれだけいるのか」「民間から資本調達ができない場合でも、金融機関は公的資金の注入を嫌うのではないか」――といった問題が残る。
しかし、11日にギリシャに対して欧州連合(EU)などの合同審査団が80億ユーロ(約8300億円)の融資を決め、当面のデフォルト(債務不履行)懸念が払しょくされたことなどもあり、週明け17日の東京株式市場では買い安心感が広がり、日経平均株価は前週末比131円高の8879円で取引を終えた。およそ1カ月半ぶりの高値水準を回復したのである。
では、このまま世界同時株安に歯止めがかかるのだろうか?
市場参加者の警戒感はいまだ強い
そう筆者が問うと、あるファンドマネジャーが1枚の手書きのグラフを引っ張り出してきてくれた。米国の株式市場で最も代表的な株価指数、ダウ工業株30種平均のチャートだ。コンピューター売買が全盛の今日で「手書きのチャートなど古臭い」と思われるかもしれない。だが、値動きを皮膚感覚で捉えるためにはこうしたアナログなツールは有効で、いまなお物差しでグラフ用紙にチャートを日々、書き足す市場参加者は少なくない。
そのファンドマネジャーが自作のグラフを指さして言う。
「夏に入る前と、夏に入ってからとでは1日当たりの変動幅が全然違う。こんなに荒っぽい相場では、コンピューターを使ってプログラム売買をしている連中といえども、誰も儲けなんか出ませんよ」
さらに別の市場関係者は9月に入ってからの値動きを指して、「一定の値幅の中で、上下に激しく動くようになっているのは、極端な高値と安値では売買が成立するけれど、その中間の価格帯では売買がほとんど成立していないことの表れ。取引を避けたがる市場参加者の警戒感がはっきり表れている」と指摘する。
市場心理の改善が進んだとは言えない状況なのかもしれない。
それを裏付ける金融商品がある。近年、金融・資本市場で注目される指数に“恐怖指数”と呼ばれるものだ。株式投資を少しかじったことのある読者なら、耳にしたことがあるだろう。正式には「ボラティリティ・インデックス(VIX)」と言い、S&P500株価指数のオプション価格が、どの程度ブレやすくなっているかを示す指標だ。金融商品の1つとして市場でも売買される。
やや専門的になってしまったが、この指数(価格)が値上がりする時には「相場の先行き不透明感が強く、市場参加者が不安心理に駆られている」と覚えておけばいいだろう。
そして、この恐怖指数とその理論価格のかい離が今も拡大しているという。理論価格よりも実際の価格の方が割高に取引されているのは、株価の急落リスクを回避するための金融商品、つまりVIXに対する需要がまだまだ多いのだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111018/223297/?mlh1&rt=nocnt
東京市場も同様だ。株価指数の動きだけを見れば、そろそろと値上がりし始めているが「大きく値下がりした局面の後で薄商いの中で株価が戻り始めているのは、それだけ売り物が少なく、相場の需給環境がやや改善しているため。市場心理が改善したとはまだ言えない」(大手証券ストラテジスト)状況だ。つまり好調に見える市場を一皮むけば、鳥の羽音にも震え上がるようなマーケットの現状が浮かび上がってくる。
市場の焦点は米国経済か
市場で次の焦点は当面、米国経済に移る公算が出てきた。この数カ月間、市場の関心は欧州の信用不安と米国の景気動向の間を行ったり来たりし続けてきた。G20で危機感が共有され、欧州金融安定基金(EFSF)などの道具立てが一応整ったことで、市場の関心が再び米国に向きやすくなるからだ。
その米国では、欧州の信用不安に世界の耳目が集まっている間、米国議会でオバマ大統領がぶちあげた大規模な景気てこ入れ策を巡って与野党間で対立が続き、ついに進展らしい進展はみられなかった。
しかも今週は米国主要企業の決算発表が多く、中でもシティ・グループやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど、大手金融機関の決算発表に注目が集まる。米国経済の減速や欧州の信用不安の影響がどの程度なのか、見極める必要があるためで、その度合いによって株式市場は一喜一憂する局面に入る。
特に一部の投資銀行の株価は10月に入って、欧州向けの貸し付けが多いとして急落した。そして、社員の動揺を鎮めるために最高経営責任者(CEO)が「誤った情報が流布されている」とのメッセージを発して火消しに追われた。株価下落に押し潰されていったリーマン・ブラザーズや山一証券のことを思いおこさせる状況が再現されそうになっただけに、目が離せない。
そうしたなか、ゴールドマンが18日に発表した第3四半期決算は、リーマン・ショックに揺れた2008年第4四半期以来の赤字に転落。金融規制強化の影響があるものの、業界最強の呼び声が高いゴールドマンでさえこうである。この夏の事業環境がいかに厳しかったかを物語っている。
市場が小康状態を保ってはいるのは、「不安心理が後退したというより、需給がやや改善したため」(大手証券)だ。薄商いの中で、株価が上昇しているのは、パニック的な売り物が少なくなったのが影響しているという。市場の動揺が収まるかどうかは予断を許さないのである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111018/223297/?P=2
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