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日経新聞に掲載されている米国に関するFPの記事だが、日本でも、深刻な就職難と就職後の低所得が続いていることから、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金返済が滞り、事業費9305億円・貸与人数120万人の規模でありながら、昨年の滞納金額が797億円、滞納者はおよそ約33万6千人に達するという。
滞納は日本学生支援機構が取り立て強化に乗り出したあとのもので、親が(連帯)保証人になっている場合が多いことから、親にも肩代わりできる所得がないケースがほとんどと推測される。
育英会とは別に、親が銀行などでローンを組んで工面した学資もあるから、就職難と低所得は家族全体を巻き込んだ金銭的災厄につながっているケースも多いはずだ。
大学などの学資を投資と考えると、90年代後半から現在までの就職難と低所得状況は、割がある人と合わない人が半々という事態を生み出しているのかもしれない。
「大学は出たけれど」という状況がここまで続けば、勉学意欲はあっても、大学への進学希望者が減っていく可能性が高い。
文系は勉強のしかた次第だからいいが、設備面から進学が有利な理系に金銭的条件のために有能なひとが入れないという事態は、ボディブローのように国家社会を弱らせることになる。
米国の学資ローン残高は5500億ドル(約41兆円)あり、学資以外のローンを含めると1兆ドル(約75兆円)に達するという。
FPがこの問題を記事にしたのは、「不動産サブプライムローン危機」と同じように、債権を証券化して投資家に販売しているという実態があり、新たな金融危機が発生しかねないからである。
FPは、「推定2兆5000億ドルとされる高リスクのサブプライムローンに比べるとまだ規模は小さい」と書いているが、学生向けローンには保証人はいても、不動産ローンのような担保があるとは思えないので、経済全体が弱体化している米国の現状ではどっちのリスクが高いか微妙な話とも言える。
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米で学資ローン滞納急増 サブプライム危機を連想(日経新聞10月18日朝刊P.6)
米国の大学生や卒業生は、学資ローンの返済と高い失業率の二重苦に見舞われている。ニューヨーク連邦準備銀行によると、学資ローンは2011年6月末に残高が5500億ドルに達し、1999年の7倍に増えた。
一方、20〜24歳の失業率は15%に近く、米国全体の9.1%を大きく上回る。このため学業を終えても返済のメドが立たず、債務が膨れ上がる可能性がある。州政府の歳出削減策で多くの公立大学が授業料の引き上げに踏み切ったため、学生は負担が増すばかりだ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の博士課程に在籍するアルベルト・グティエレス氏(38)は住宅ローンの返済額が毎月3000ドル。窮状を乗り切るため、さらに融資を申し込んだといい、「修了する頃には借金が2万5000ドルほどになる。こんなにお金を借りたのは初めてだ」と話す。
学資ローンの滞納急増を、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題と重ねる見方もある。当時はデフォルト(債務不履行)の急増が経済危機を招いた。学資ローンは他の債務に比べて融資基準が緩やかで、多くの債権を証券化して投資家に販売している点が、サブプライムローンを連想させる。
学生向けローンが近く総額1兆ドルに達する(教育省の予想)としても、推定2兆5000億ドルとされる高リスクのサブプライムローンに比べるとまだ規模は小さい。住宅所有者がローンの不履行手続きを進めることができるのに対し、学生はローン返済から逃れることはできない。
民主党系の市民団体「ムーブオン・ドットトオーグ」などの活動グループは、学生への債務免除を米政府や金融機関に求めてきた。「ウォール街を占拠せよ」をスローガンに金融業界などへの抗議運動を繰り広げてきた勢力からも、この提案は支持を得ている。
06年にオレゴン美術工芸大学を卒業したアニ・モンテレオネ氏は、10月5日にウォール街で行われたデモに参加し、学資ローンの免除を訴えるメッセージを掲げた。「銀行は救済されたのに、なぜ人々は救済されないのか」と問い掛けた。
だが、そうした計画は対象を間違えて救済しかねないと話すアナリストもいる。経営学修士(MBA)の名門ペンシルベニア大学ウォートン校のジャスティン・ウルファーズ氏は「公平な所得再配分が問題なのではない。経済的に苦しんでいるのは高校中退者であり 必ずしも大卒生ではない」と指摘する。 (17日付)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
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