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<日本医師会が批判> TPPで国民皆保険が崩壊する!(ジャーナリズム)
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/667.html
投稿者 ザ・真相 日時 2011 年 10 月 19 日 00:55:11: ff/rUy0mnT4Jw
 

<日本医師会が批判> TPPで国民皆保険が崩壊する!
http://journalism-blog.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-e732.html
(ジャーナリズム)

(転載開始)

政府・民主党が環太平洋連携協定(TPP)の参加を前のめりで進めようとしているなか、同党議員らでつくる「TPPを慎重に考える会」(会長・山田正彦元農水省)は12日、国会内で、日本医師会など4つの医療団体の幹部らを招き、勉強会を開催、

「究極の規制改革として危惧している」(日本医師会の中川俊男副会長)など参加への異論が噴出しました。

中川副会長は、TPPに参加すれば、混合診療の全面解禁による高額の自由診療の導入や医療の市場開放・国民皆保険の終焉(しゅうえん)などが危惧されると強調。「結果として、所得によって受けられる医療に格差がある社会ができる。日本医師会は、全力を上げて国民皆保険を守る」と表明しました。

日本薬剤師会の七海朗副会長は医薬品の安全性の担保などに懸念を示したうえで、「国民皆保険は憲法25条にうたわれている。

憲法の精神を曲げてまで参加するのはいいかがなものか」と述べました。

日本歯科医師会の宮村一弘副会長は「日本という風土でつくり上げてきた医療などの人間関係は、いったん壊れたら再びつくり上げるのは不可能だ」と語りました。

山田会長は冒頭あいさつで、「政府、党として早期に結論を出す動きが始まっている。(TPP参加は)単なる農業だけの問題ではない」と懸念を表明しました。

集会に参加した議員からも「農業ばかりが反対しているように見えるが、医療も危ないという危機感を共有した」「日本が米国の属国扱いされる国になるのではないか」などの意見が出されました。
【10月13日付「しんぶん赤旗 」に掲載】

日本の医療が危険にさらされている (日本医師会)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf

日本政府のTPP 参加検討に対する問題提起 (日本医師会)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101201_1.pdf


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米主導のTPP、主要な狙いは国民皆保険の解体
http://www.worldtimes.co.jp/col/siten2/kp110308.html

経済コラムー視点

米主導のTPP、主要な狙いは国民皆保険の解体

 環太平洋連携協定(TPP)の作業部会では24分野での関税・非関税障壁の撤廃を検討しているが、それに合わせる形で政府の行政刷新会議が6、7日に12項目にわたって最初の「規制仕分け」作業を行った。

 TPPの作業の中でも、国民生活に直結するのが農業と医療分野の障壁の撤廃である。

国民新党の副幹事長で医師でもある森田高総務政務官はこのほど、同会議で「病院経営に対するM&Aの自由化などが盛り込まれると聞いている」と明らかにした。

さらに、TPP作業部会では「病院経営の株式会社化、そして国民皆保険の解体、プライベート・インシュアランス(個人保険)の全面的な普及という、米国が日本に対して要求し続けた概念が相当入ってくると類推される」と指摘し、行政刷新会議がTPP作業部会と歩調を合わせる恐れがあることに強い警戒心を表明した。

 そのうえで、同じ医師である自見庄三郎金融大臣とともに、「毅然とした決意で医療人としても(国民の負託を受けた)国会議員としても反対していく」と国民新党の党是に従ってTPPを拒否する意思を明らかにした。

TPPに参加すれば、否応なしに日本の国民の生命を支えている国民皆保険制度は解体され、所得の格差どころか、生命(寿命)の格差まで引き起こされてしまうのである。

 これについては日本医師会も同じ認識だ。昨年12月1日に明らかにした見解によれば、「TPPへの参加によって日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない」と警告、事実上TPPへの参加に反対している。

その理由として日本医師会は、

(1)保険診療と保険外診療を併用する混合診療の全面的解禁になって公的医療保険の給付範囲が縮小し、社会保障が後退する

(2)自由価格制を導入するため医療品や医療機器の高騰を招き、所得によって受けられる医療に格差が生じる

(3)医療の事前規制から事後チェックへの移行で、公的医療保険の安全性が低下する

(4)営利追求の株式会社の医療機関への参入を認めれば、医療の質の低下(保険診療ではコスト圧縮と医療の質を両立させることは極めて困難)や不採算部門の撤退、公的医療保険範囲の縮小、患者負担の増大などを招き、患者の不利益が拡大する

(5)医師や看護師、患者の国際的な移動が医師不足、医師偏在に拍車をかけ、地域医療を崩壊させる−などを挙げている。

 米国主導のTPPの主要な狙いのひとつが、日本の国民皆保険制度を非関税障壁として解体し、代わりに医療分野に市場原理を導入して米欧日の医療機器製造会社や医薬品会社、生保・損保など保険会社が巨額の利益を獲得することにあることを見抜かねばならない。

国民の財産であるかんぽの宿を不当に買いたたこうとしたオリックス・グループが、病院経営や保険など医療のあらゆる分野に進出してきているのはその象徴である。

(関連記事)
日本の医療が危険にさらされている
http://www.jacom.or.jp/column/nouseiron/nouseiron110214-12528.php
ねらいは医療の市場化……世界の潮流に逆行するTPP参加
http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/110914tpp.html
TPP:医療団体も懸念 慎重議員ら会合に出席
http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20111013ddm005020125000c.html

(転載終了)  

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コメント
 
01. 2011年10月19日 10:20:31: YLoYRDFctQ
アメリカでは、金が払われず、病院に見てもらえず、又、入院者も、病院から放りだされ、病院の前で死ぬらしい。日本の政治家達は知っているのだろうか?                                                                                                                                                                                                                                                                       

02. 2011年10月19日 13:13:53: BNrEiS7LiE
(Yahoo 掲示板)

  TPPに先駆ける米韓FTAの実態

投稿者 :
anataha_utsukusii

26 名前:名無しさん@12周年[] 投稿 日:2011/10/13(木) 00:10:05.49 ID:hHvq5rbfO
日本に負けるな!
一足先に締結されそうな米韓FTAの内容

01.サービス市場は記載した例外以外全面開放
02.牛肉はいかなる場合であっても輸入禁止処置は行わない
03.他の国とFTAを結んだら、そのFTAの有利な条件をアメリカにも与える
04.自動車の売上下がったらアメリカのみ関税復活出来る
05.韓国の政策で損害を出したら米国で裁判する
06.アメリカ企業が思うように利益を得られなかったらアメリカ政府が韓国を提訴する
07.韓国が規制の証明をできないなら市場開放の追加措置
08.米国企業にはアメリカの法律を適用する
09.韓国はアメリカに知的財産権の管理を委託する
10.公企業を民営化

賛成する人はよく読め。
これをTPPの名目で通したいのがアメリカ。
植民地と一緒だ。

33 名前:名無しさん@12周年[sage] 投稿日:2011/10/13(木) 00:12:27.29 ID:HOUAu7rz0
>>26
なんじゃそりゃ、アメ公狂ってんな。
いまだに奴隷制が恋しいようだ。

42 名前:名無しさん@12周年[] 投稿日:2011/10/13(木) 00:16:51.28 ID:VVmc2bik0
>>33
こんなもん、まともな知能があれば絶対引っ掛からない「見え見えの釣り針」だよ。
しかしこんな露骨な罠でも引っ掛かる馬鹿が居るから、釣り針を垂らす奴も出てくる。

詐欺師が馬鹿を釣るんじゃなくて、馬鹿が居るから詐欺を考える悪党が出るって証拠よ。

460 名前:名無しさん@12周年[sage] 投稿日:2011/10/13(木) 03:58:34.62 ID:TY8UQZkN0
>>42
日本と締結しようとする内容は実際に議論に入るまでは公開されない。
今はカナダや韓国などのそれを見て予想するのみ。

そしてカナダの専門家は言う。
議論のイスにすら座ってはならないと。
座ったら抜けられないと。

農業が無くなるのはどうでもいい?
関税が無くなって取引しやすくなる?

バカか。
情弱以下だ。


――――――――――――――
以上、ネットのコピペです。
以下は参考リンクです。

サルでもわかるTPP
http://luna-organic.org/tpp/tpp.html

アメリカ側のソース
http://www.ustr.gov/webfm_send/3079



03. 無段活用 2011年10月19日 14:12:08: 2iUYbJALJ4TtU : ZgIt55eFaN
「国民皆保険」がなかった時代、たかが風邪で死んだおばあさんがいた。

そう、社会の先生は言っていた。

この制度は、先人が苦心の末に作り上げたものであり、日本が福祉国家であるという
証でもある。この制度のおかげで、「日本は世界で最も医療アクセスが進んだ国」と
いう評価を世界から受けている。ゆえに、この制度は日本の誇りでもある。

この制度を日本から無くしてはいけない。だから、TPPには反対する。


04. 2011年10月19日 14:50:54: DxgG4WjhwY
「国民皆保険」は、なくなったら逆にいい面も出てくるだろう。
いまは治療回数や日数が多い程より収益が上がる出来高払いだから、ヤブ医者や薬・検査浸けほど収入が上がる歪なシステムだ。

診断が曖昧であれこれ手当して、治るまでに手数が多いヤブほど流行っている医者になり、手厚い医療を施したと錯覚され易い。

TTP導入で、適格な診断で短期間に回復する効率の良い医療が、いまでとは違ってより優位に立てることになるだろう。
費用対効果というものだ。


05. 2011年10月19日 16:38:26: ULnwgHGaF6
<04.DxgG4WjhwY

ボ ケ


06. 2011年10月19日 19:21:28: kZH4PUBT6k
>>04
>いまは治療回数や日数が多い程より収益が上がる出来高払いだから、ヤブ医者や薬・検査浸けほど収入が上がる歪なシステムだ。
診断が曖昧であれこれ手当して、治るまでに手数が多いヤブほど流行っている医者になり、手厚い医療を施したと錯覚され易い。

まぁそういうこともいえるが、皆保険制度解体のほうが全国民のリスクは大きすぎる。
君の言い分は、国民の薬大好き依存病を変えていく啓蒙活動で直る。病院やら医師などの医療問題は、最新医療科学が進んできたので問題なく変わっていく。

皆保険制度あっての日本人だ。その他、まともな福祉なんてまったくない。これだけは最低限「死守」!



07. 2011年10月19日 21:42:02: ezqPTG9DzU
でも、金払えば適切な医療受けられるんだから問題ないでしょ
むしろ無制限に医療受ける老人のために若者の納めた税金が浪費されることのほうが大問題
金持ち老人をこれ以上甘やかせる必要なし

08. 2011年10月19日 21:59:53: v0jbSPhVzk
>7
まったく、その通りだ。

TPP参加で、大量の血液製剤や薬漬け医療が欧米並みに改善されるのではないか。
医療の質が良くなる可能性はある。
医療の閉鎖的なものが除かれるだけでなく、無駄な医療費が抑えられてかえって国民の選択肢が自由に広がる可能性はあるだろうね。


09. 2011年10月19日 22:03:21: BNrEiS7LiE
消費者生活センターは、TPPに反対している

食品添加物は、日本のほうが、アメリカより厳しい
遺伝子くみかえの表示をしてはならないと、アメリカはいってくるだろう。
血液製剤の問題、
医薬品の問題など

それでも、TPPになにがなんでも、参加したいという
民主党の参議院議員の吉田治は、最低


10. 2011年10月19日 22:12:23: c430yWrzoU
>04
あまりに軽率なのでマジレスするよ。

地域の中核をなす病院(なんとか市立病院とか)はほとんどDPCによる包括払いだよ。
手術や疾病によって定額が払われ、入院が長くなるにつれて点数が下がる仕組みになっているよ。
つまり、薬や検査を極力しない方向にインセンティブが働くようになってるよ。

ちなみに

民間保険が導入されたらどうなるか・・・
保険会社はわざわざ病気になるリスクの高い人を安価な保険料で入れないよね。
つまり1度でも病気になったら最後、保険に入っても高額、自腹で払っても高額という
病人=弱者に弱い仕組みがあっという間にできるね。
1度がんになったら最後、風邪でも病院にいけないかもね。

医療の「質」、「アクセス」、「価格」の相反する要素を医療従事者の犠牲の元
成り立たせているのがいまの日本の医療だよ。
(福島の産科医の事件はしってるよね)

イギリスのサッチャー改革が医療にどのような影響を与えたか、
調べてみてね。

最後>04さんへ
自分の専門外のことは少しぐらい勉強してから投稿しようね。
さいきんは「ウィキペディア」ってサイトでなんでもすぐしらべられるからね。


11. 2011年10月19日 23:04:22: bMH604md02
老人の介護や医療には、厚生労働省の補助金と天下りの
既得権があるます。老人を一人みるのに本来大したお金が
かかるはずがないのに、何故国からの補助金が莫大にでて、
実際に働いている介護士たちは薄給で働かされている。
施設を運営するものが、果てしなく儲かるようにできている。
ここに老人介護・医療のカラクリがあるので、老人を責める
よりは、そこに隠された官僚の既得権を責めるべきと思う。

12. 2011年10月20日 01:07:31: rz0OpGAP2A
地方の医師だけど

今後自由診療が導入されて、公的保険のカバーが少なくなると現場が困るな。

たとえば将来、心筋梗塞の人が運ばれてきても

「ステント治療は公的保険でカバーしてないので自由診療ならできますが、
あなたは民間保険に入っていないので自費になります。」

など一本20万円以上もするステント(入院も含めると250万ぐらい)
を使用できないがために死亡する人がでるのかな。

現場は家族とのトラブルが多くなりそうでいやだな。


13. 2011年10月20日 03:38:10: zpjbZvn41U
07,08
救いようのないボケ!
欧米の医療の何をあんた知っているんじゃ!
ボケはえらい罪でっせ!

14. 2011年10月20日 05:47:17: l9187iKIKw
健康保険はどこの先進国でも頭の痛い問題だ。しかしTPP
イコール国民皆保険がなくなるというのは少し短絡的。もう少し
言うと日本は既に国保では10%程度の保険料未納者がおり、そのうちの
半分ぐらいは保険が効かない無保険者になっている。皆保険というが
既に日本はそれが崩壊しているのだ。それに国保については保険料、
医療費支払いについても国庫や自治体の分担金が入っており、皆保険
というのは名ばかりになっている。日本の医療は半分は国営医療サービス
なのだ。
医師会はTPPに反対するのは医者の能力や実力がそのまま業績に反映するように
なってしまうからだ。医師会を構成する開業医は通常医学的な学力や
知識のレベルは低く、楽して儲けようとする考えがあるから、TPPに反対するのだ。既得権にしがみついている医師会の言うことを信じてはダメだ。
今の若者は今やこれからの年寄りを養うため約1億円の負担をしなければ
ならない。そのことを考えて、もっと自分たちにお金のかからない
医療を望むべきだ。今は高齢者というだけで年収数千万円の高齢者も
若者のお金を使って医療を受けている。

15. 2011年10月20日 06:19:04: IIzrsqmIno
>>14
TPP賛成の書き込み工作活動しているけど、時給いくらで働いているの?

16. 2011年10月20日 07:18:03: BNrEiS7LiE
>15
のいうとおり。

米国の保険会社、金融会社は、日本のマスコミに大金を支払っているから。やとって、宣伝が上手い。



17. 2011年10月20日 10:59:19: 27rlyKHdms
TPPは反対だが「日本医師会」も問題が大きい。
そもそも現代医学自体がまやかしの詐欺医療。(外科、歯科は除く)

それをありがたがっている奴隷根性の日本人。
自分の命は自分で守るのが鉄則。


18. 2011年10月20日 11:23:50: tIokBZtYhU
>17
がんばれ。

19. 2011年10月20日 11:42:18: 5hbYZkhzq2
薬漬けは堪らんぞ。
薬の量は世界標準でいいよ。
薬のTVでのCMも多過ぎるのは日本だけだろう。

20. 2011年10月20日 11:51:25: tzmi4UKous
アメリカってよっぽど経済やばいようですね!
アメリカ沈没かも

21. 2011年10月20日 12:33:12: tzmi4UKous
07( ezqPTG9DzU)よ!
「でも、金払えば適切な医療受けられるんだから問題ないでしょ」????
あんたが金持ちなら今でも特別治療してもらえば(笑)
なんなら今から無保険になれば、同じ状況が味わえる(笑)

いつ仕事がなくなるか
いつ会社が倒産するかわからない
いつ病気になって仕事辞めないといけないか!
予測がつくかい?
いつまでもあると思うな親と健康と金!


22. 2011年10月20日 16:01:05: lE9Fn0YNAI
TPPに関しては、F1、モンサントが排除出来るなら賛成。

ここらで買える種子は、限りなく全滅ぽいけど。

形残して、中身が無いなら、特権階級守ってもしょうがないとも、思えたり…

医療系全般で、まだ無駄な所は有るけどね、正直な所。
特に某病院。 

これからは、少し改善してほしいけどね。
銭ゲバは、勘弁です。 セクハラとね。

無いと信じたいけど、二個めはね。


23. 2011年10月20日 16:41:21: Zc4LsHROVM
野田は管と違って、皆で反対すればTPPを引っ込めるはずだ。
農協、医師会、郵政関係、保険業界と広がりが期待できる。
推進者の言い分をきいてみると、一旦参加を表明して,最初から参加して、ダメだと思えば取りやめればいいと。
しかしそんな度胸もないくせに、オバマの点数を一旦あげて、やっぱりやめますといったら、それこそオバマは激怒しますよ。
普天間問題で日米関係がギクシャクした比ではない。
国交断絶なんてことはなく、それならアメリカ国債カードを切ると脅かしてやればいいこと。

24. 2011年10月20日 18:29:43: ILiTPGkN7Y
子供の頃、「大映」映画で「母ものシリーズ」が人気があった。
その中で、終戦直後の日本、三益愛子の演ずる母親が我が子を医者に診察してもらう場面を思い出す。
「カネのない母親が、治療費の代わりに夫の遺品である大切な銀時計を医師に差し出す。母親の境遇に同情した当の医師は辞退する」。当時、この場面に私は子供ながら涙を流したものである。

今、このような場面が再び繰り返されるのであろうか。
「経済大国となった日本」とは、一体、何であったのか。


25. 2011年10月20日 19:03:38: YLoYRDFctQ
アメリカの医療費の高さは,ハンパでない。入院1日10万、出産150万、虫歯7万盲腸240万、胃腸をこわして入院5日間で140万。自己破産の50%が医療費がらみが原因。TPP賛成者は国民皆保険がなくなってホームレスになるか、病院の前で死ぬかの覚悟が必要。原発と同じく押し込まれて、恐ろしい事になる。外国の原発マフィアが日本に原発をおしこみ、今回もおなじくTPPは外資の市場確保のつゆ払いの協定だ。                                                                                                                                            

26. 2011年10月20日 20:06:33: BNrEiS7LiE
米英、ハゲタカ、リーマンショック以来の赤字銀行、赤字証券会社、赤字保険会社などが、集まって、
日本人の金、貯蓄を狙っている

最近、外資の保険会社のTVや雑誌などで、コマーシャルの多いこと

巨額の宣伝広告費を払い、マスコミを、封じ込め、TPP賛成、郵政完全民営化をすすめている

日本のマスコミは、米英から、巨額の宣伝費をもらっているからな


27. 2011年10月20日 21:38:21: qXc4KlPUB2
皆保険の崩壊と
それにつけこむ
アメリカの生命保険会社の、日本の医療市場への進出は
彼ら(外資)の長年の夢と欲望。

郵貯の200兆円市場と同じく、キャツラが
のどから手が出るほどにほしがっているのになぜわからないの?

野田ってのはそこまで馬鹿なの?
農業も郵貯も大事だけど
今は医療(皆保険=小泉・竹中の非正規化と医療費削減で、いまや瀕死)
の死守しか頭にありません、絶対許せん、ふざけるな
日医は大嫌いだが今は手を結ぶ、TPP参加を、ぶっ潰せ。

カネの亡者以外の医師は、全員立ち上がれ!
全国の医師会は不参加を早急に決議せよ、動いてくれ。
すこしでも患者を哀れに思うならば。


28. 2011年10月20日 22:53:16: U9b8HZ9Gw2

 医療は、当然TPPで取り扱われるべきサービスの定義に該当する。しかし、日本のスタンスは、現在各国と締結しているEPA(経済連携協定)においては、基本的に自由化の例外としている。
 
 アメリカ国務省と日本の経済産業省が2006年6月に公表した「2006年日米投資イニシアティブ報告書」によれば、アメリカ政府が日本政府に対し、医療機関による資金調達を容易にし、生産性を高めるとの観点から、病院、診療所経営に対する株式会社の参入拡大を可能とするよう要望したことが明示されている。
 
 さらにアメリカ政府は、日本では血液検査の外部委託により、かなりの効率化が図られたことを指摘したうえで、リスクの低い医療行為、特にMRI(核磁気共鳴画像法)やPET(ポジトロン断層法)、CTスキャン等、反復性のある医療行為については、株式会社に柔軟に外部委託できるよう求めたことも明らかになっている。
 
 つまり、アメリカ政府は日本の医療分野を自由化し、株式会社が医療分野に参入することができるようにすることを求めているのである。そして、当然のことであるが、この株式会社の参入とセットで、外国資本が日本の医療分野へ参入することが想定されている。

 日本では、基本的に医師が医療機関を設立し、その目的は医療の提供であって、収益を拡大することでない。たとえ収益を拡大することを目指したとしても、基本的には医療の提供に資するという枠内に制限されている。他方、株式会社であれば、医療の提供は、利益を最大化させるための手段となる。日本のこれまでの医療のあり方と、株式会社とでは、目的と手段が逆転することは避けられない。
 
 株式会社の目的に照らせば、医療サービスを提供する株式会社はコスト削減に努めることになるだろう。受診希望の患者は多数いるが、継続すればするほど赤字が出るコストに見合わないようなケースが地域や診療科目によってはあるかもしれない。そのようなケースでは、医療サービスを提供する株式会社は需要があるにもかかわらず撤退することが不可避になるであろう。
 
 もし採算を無視して撤退を拒めば、株主に対する義務違反になり、場合によっては株主代表訴訟で株主に賠償しなければならなくなることもあり得るからである。特に、小児科や長期入院を要する高齢者の治療は、需要がある一方、採算面では厳しく、株式会社の参入による影響が懸念される。つまり、株式会社の参入は、一部の患者の切り捨てにつながりかねないのである。
 
 この株式会社の参入に対し、日本医師会は、当然の如く反対論を展開している。その中で、株式会社の医療サービスの参入が「国民皆保険制度の崩壊」につながるとも指摘している。それはなぜか。

公的保険でカバーされる治療は報酬があらかじめ決まっており、利益率はそれほど高くはない。そのため医療サービスを提供する株式会社は、利益の最大化のためには自由診療を積極導入することとなる。それは、医療は自由診療で行えば良いという風潮につながり、公的保険による診療を中心としている病院の経営が立ち行かなくなる。その結果、公的保険は無意味となり、国民皆保険制度は崩壊するというのである。

 すでにアメリカ政府は「2006年日米投資イニシアティブ報告書」で、日本政府に対し、混合診療の解禁を強く求めていた。混合診療とは、保険診療と全額自己負担となる自由診療を組み合わせることである。アメリカ側は、解禁を求めるにあたって、混合診療の解禁により、国民の医療支出が減少し、結果、医療の効率化が進んで医療保険制度の財政上の困難を緩和すると指摘しているのだ。

 しかし混合診療が導入されれば、折からの財政難と相まって、新規の治療法等については、もはや公的保険でカバーする必要性はない、という判断に傾きかねない。また、これまで公的保険によってカバーされていた治療法や薬品についても見直しがなされ、自由診療の範囲になる可能性も出てくる。

 そして衛生植物検疫措置(SPS)に基づく認可基準の引き下げが行われ、これまで日本では認可されていなかった医薬品や保険補助栄養剤(いわゆるサプリメント)が一挙に流入することになるだろう。また、アメリカ製の先進画像診断機器や先進体外診断用薬品の導入が強制されかねない。と同時に、そうした先進製品の有用性や迅速性を評価する加算制度への移行も求められる。

 つまり混合診療の導入は、公的保険給付の範囲を狭くする引き金となり、国民皆保険制度の崩壊のきっかけにすらなりうると考えられるのである。日本医師会は、株式会社の参入が進めば国民皆保険制度が崩壊の危機に直面すると指摘しているが、混合診療の導入にも同様の危険が潜んでいると思われる。これは利用者である患者にとって望ましい事態ではないだろう。実際、医療の自由化が進んでいる英国では、公的保険で利用できる病院は限られ、受診するために何カ月も待たなければならないような事態も起きた。同じことが日本では起こらない、という保証はない。

 TPPに日本が参加するとなれば、サービス貿易の一環として、アメリカから医療分野について、「2006年日米投資イニシアティブ報告書」に沿った自由化を求められることは避けられない。では、なぜアメリカはそこまで日本に対して自由化を求めるのだろうか。

 一つには、アメリカ資本の医療サービスを提供する混合診療解禁=企業が日本に参入したいということである。日本には、資産1億円以上の富裕層が2007年末の時点で151万人おり、その数は世界でもトップクラスである。人口高齢化に伴い、富裕層に対する医療サービスへの需要は高まる一方と見られる。日本の富裕層に対する医療サービスはアメリカ資本の株式会社にとっては非常に魅力的な市場と映っているに違いないのである。

 もう一つは、アメリカ資本による保険サービスへの参入である。混合診療解禁と株式会社の参入により、自由診療市場が日本で拡大すれば、患者となりうる消費者を対象とした自由診療分のリスクヘッジとしての民間保険に対する需要が、当然、高まるはずだ。

 ところで、アメリカにはもともと国民皆保険制度がないため、医療費のリスクヘッジは当然のことながら民間保険でなされてきた。そのため、アメリカの保険会社は自由診療を対象とした保険のノウハウについては日本の保険会社に比べて一日の長がある。したがって、日本で自由診療市場が拡大すれば、アメリカの保険会社は多くの保険を日本人に売り、日本で莫大な利益を上げることが可能となる。そして、仮に国民皆保険制度が崩壊すれば、保険市場はさらに拡大し、保険会社の利益はさらに大きくなることが予想される。

 一方、もし国民皆保険制度が混合診療解禁や株式会社参入に耐えたとすれば、今度は、国民皆保険制度による国の保険給付が民業圧迫になり、サービス貿易を阻害するという主張すら出てきかねないことも懸念される。こうした要求は在日米国商工会議所(ACCJ)が「日本の健康増進、生産性向上に向けて」と題した政策提言としてまとめ、日本各地で啓蒙活動に活用している。

 実は、TPP参加による医療への影響はこれだけにとどまらない。サービス提供のために、ほかのTPP参加国から人が移動するということも認められるようになるのだ。そうなると看護師、介護士ひいては医師がほかのTPP参加国から来日し、日本の医療機関でサービスを提供するということも認められるようになる。

 日本では、すでにフィリピンやインドネシアから看護師、介護士の受け入れを開始してはいるが、日本語の能力が十分でないため、実際に日本で仕事をするためのハードルは高い。しかしTPPに参加すれば、資格の相互承認を求められる可能性が出てくるのみならず、「日本語がサービス貿易に対する障壁である」ということで、日本語ができなくても、英語ができれば日本で働けるようにするといった制度変更を求められることも十分考えられる。

 このような制度変更は、TPP参加国の資格保持者にとっては朗報かもしれないが、利用者である患者にとってはどうだろうか。症状の説明や治療に関する相談を英語で説明できる日本人患者は決して多くない。特に高齢者や子供についてはなおさらである。外国人の看護師、介護士、医師が日本語の微妙なニュアンスを理解できないために、十分なサービスを提供できないという状況も考えられる。つまり、外国人が医療サービスを提供することによって、日本人への医療へのアクセスが困難になる恐れが生じるのである。

 東京大学・医学教育国際協力研究センターの北村聖教授曰く「医療は社会共通資本である。市場経済に委ねるべきではない。必要な医療を提供するために経済はどうあるべきか、という視点が重要だ。質の劣る医師が大量に流入した場合、医療の質をどう担保するのか。医療レベルの劣る国の医師は、基礎学力が違うため研修医でも使えないほどだが、給料の安さを生かして、悪貨が良貨を駆逐してしまう恐れがある」。

 そんなことになれば、我が国の医療は崩壊するだろう。実際、英国ではEU諸国から英語のできない医師が大量に流入し、大きな社会問題に発展した。今では英国人以外の医師を法律で排除するようになっている。きめ細かな医療サービスを守るには、質の担保は譲ることのできない条件である。


29. 2011年10月20日 22:54:56: U9b8HZ9Gw2

 アメリカが日本のサービス分野の自由化を求めるに際し、最優先事項の一つとされているのが郵政民営化である。

 アメリカは「年次改革要望書」に基づき、長年にわたって郵政民営化を日本に対して求め続け、2005年の郵政解散とそれに続く総選挙を経て、ついに郵政民営化を実現させた。しかし、2009年の民主党を中心とした政権への交代により、特に郵政民営化に反対した国民新党が与党の一翼を担うことになり、郵政民営化に対する見直しの気運が高まった。こうした動きに対し、アメリカは懸念を強めており、郵政民営化のいっそうの推進を求めている。

 郵政民営化の要求の中でアメリカがとりわけ重要視しているのは、簡易保険の問題である。2010年4月に発表された米通商代表部の「外国貿易障壁報告書」では、簡易保険が民間の保険に比べて優遇されており、民業圧迫になっているという視点から、簡易保険と民間保険を同等に扱うよう、強く求めている。

 現在のところ、簡易保険で集められた資金の66%が国債で運用され、70%を超える資金が国債と地方債で運用されている。つまり、簡易保険の資金は国内に投資されているわけだ。これはある意味では安心材料といえよう。

 日本の民間保険は、契約者から払い込まれた資金の運用を外国の金融会社に委託することが自由に認められているため、アメリカの要求が認められれば、簡易保険の保険金も国債からシフトし、アメリカを中心とした外国の金融資本に流れる可能性が一気に高くなる。同様の議論は、郵便貯金についても当てはまる。

 もし、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の株をアメリカを中心とした外国の金融資本が購入すれば、それによって日本の国民資産をコントロールすることが可能となるわけだ。

 民主党の山田正彦元農水大臣は「アメリカの狙いは1200兆円ともいわれる民間預金やゆうちょの貯金ではないだろうか。おそらく、このことは24あるTPPの作業部会で話されているはずだ」とまで、アメリカの真意を疑っている。

 また、2010年のアメリカの「外国貿易障壁報告書」では、我が国の共済制度をも批判しており、共済に民間の保険会社と同様の義務を適用し、両者を対等に扱うよう求めている。これは毎年のように「年次改革要望書」において、アメリカから日本に対してアメリカのされ続けたところでもある。共済の存在を、アメリカの民間保険会社が日本の保険市場に参入する際の障壁と見なし、共済の優位性を削ぐことがアメリカにとっての至上命題になっていることの表れであろう。

 もし、共済に民間保険会社と同様の義務が適用されれば、共済は保険会社として求められる積立金の義務などを果たさなければならなくなる。そうした場合、共済は体力がもたず、民間の保険会社には勝てない公算が高くなり、潰れることにもなりかねない。アメリカの要求は、実質的な共済潰しとも言えるものではないだろうか。

 共済でも運用先は国債や地方債が多い。共済が潰れれば、その分の掛け金が外資を含めた民間の保険会社に流れるため、これまで国債や地方債に流れていた資金が外国の金融資本に流れることになるだろう。

 TPPに日本が参加することになれば、アメリカはTPPを利用して、サービス分野の自由化の一環として、保険分野への自由参入を求めるに違いない。そして、アメリカは対等な競争条件の確保の名目で、「外国貿易障壁報告書」で取り上げた事項をサービス貿易への障壁として扱い、簡易保険や共済を民間保険とまったく同様に扱うよう求めてくるはずである。

 さらに医療サービスのところでも述べたが、TPPに日本が参加すれば、自由診療の費用に対するリスクヘッジとして、アメリカの民間保険会社がさらに上陸することになり、このような保険を通じても、国民資産が外国に流出することになりかねない。


30. 2011年10月20日 23:00:48: yZxrPRJuSI
TPPは、アメリカが切望していた、年次改革要望書の内容を実現させるための物、その中で特に欲しいのが医療市場と通信市場ハッキリ明記してある。
二国間協定で十分だ!
ただ放射能汚染された食物をTPPにかこつけて、アメリカの利権野郎に食わせたいきまするが。

31. 2011年10月20日 23:30:30: T7jlTPMUrA
これから郵政民営化の時みたいにTPP賛成工作員が暗躍するのだろうか・・・。

32. 2011年10月21日 01:09:18: roaBypcaXo
今はどうか知らないけど少し前にはアメリカでは保険が無くて盲腸の手術に200万円かかったと聞いたことが有るけど本当ですかね〜?
日本もそうなっちゃうって事?
盲腸が無くてよかった^^
胆嚢も無くてよかった^^

33. 2011年10月21日 02:00:04: ezqPTG9DzU
日本医師会は患者の利益ではなく医師の利益団体ですからその団体が反対しているということはTPPで日本人医師にとって儲けが少なくなると考えるべきでしょう。
つまり、競争相手が参入してくるために医療の単価が下落するということです。
それを隠して、「アメリカは医療費が高いから大変だ」とデマを流すことで国民をだまそうとしています。
誰も病院に行けなくなれば参入したアメリカ人医師もくいっぱぐれてしまいます。
アメリカはそこまで馬鹿じゃない。むしろ世界最先端の医療現場から超優秀な医師が日本になだれ込むのです。
日本医師会はそれが怖いのでありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょうう。
国民ももう少し賢くならないと。既得権益団体と監督官庁にダマされてしまいますね。
アメリカが参入しないことで一番得するのは既得権益団体と監督官庁なのですから。

34. 2011年10月21日 04:44:51: B3xSy8epLs
>>33
国民はいいからまず自分が賢くなったほうがいいのでは?

アメリカ人医師が入ってきても日本語を話せない医師にかかりたくないですよね?問題は超優秀(笑)アメリカ人医師が来ることではなく、皆保険の解体による保険への参入と、民間病院への参入でしょう。

今の制度では医療の値段は点数で一律になっていることはご存知ですか?
アメリカの超優秀(笑)医師の報酬に比べれば恐ろしく低い値段が設定されてますよ。薬剤だって薬価制度で叩かれて世界最安レベルですよ。

2700円で超優秀(笑)な医師が初診してくれるわけないでしょ?

配当可能な民間病院が自由に作れるようになれば利潤が得られる医療だけを追求して、他の赤字分野は公的病院へいくことになるでしょう。もうかる医療はアメリカへ、もうからない医療は血税でという状況になりますよ。

もっとも、TPPで医療が自由化されれば医師個人の報酬は上がりますよ。国内の製薬会社もより儲かりますよ。

でも医療費が上がって国はつぶれますよ。必要な医療を受けられずに苦しむひとも増えますよ。


35. 2011年10月21日 05:37:40: u52ch6R8Ho
>>33
天下りには良いイメージないけど官僚が外資に天くだって変な利権作られると怖いな。
日本企業に天下ってくれる方がまだマシ。

高級官僚がこの制度の危険性に気づいていないバカとはとうてい思えない。
最近少なくなって規制されだした天下り先確保の動きだな。

早く気づけ。野田。


36. 2011年10月21日 05:49:26: IIzrsqmIno
>早く気づけ。野田。

野田や前原は、すでに全部、気づいています。
気づいていて、日本人抹殺を企んでいるのです。
小泉、竹中同様に、野田、前原、枝野らは、売国が成功すれば、アメリカから数兆円もらうことがわかっていて、売国しているのです。


37. 2011年10月21日 06:17:04: 9BIKqGLgX4
そもそも、公的医療保険の不在と法外な民間医療保険で米国の一般市民が苦しんでいる。高額の保険料が負担できずに医療保険に掛っていない人が多く、もはや人権蹂躙状態。多数の米国人高齢者が、縁戚を頼って高福祉の北欧になだれ込み、医療難民化している。

TPP参入 は、米国のハゲタカ保険会社に日本の医療市場を貢ぎ、米国で起きている公的医療破綻を日本でも引き起こすものだ。AIG など米国の保険会社は戦前中国の阿片ビジネスで巨額の利益を上げたのが保険事業の始まりだとか。成り立ちからして腐っている。

TPP は、傀儡小泉竹中で始まった日本社会「大量破壊」の最終段階となる。解体すべきは民主党政権だ。傀儡野田政権は直ちに解散せよ。


38. 2011年10月21日 08:13:18: C6Bx4DT5iQ
日本を植民地にしようとするのがTPP、彼らは莫大な投資で世論を作りますからいずれ彼らの手に落ちる。アメリカの先住民のように。

39. 2011年10月21日 08:25:40: IIzrsqmIno
ほとんどのアメリカ白人には、
・インディアン2000万人を抹殺
・アフリカから強引に黒人を売買して連れてきて奴隷にする(そしていまだに差別する。そのくせ、日本に住んでいる米国白人は、日本の文化の独特な点をついて差別差別と叫ぶ)
・さらに日本に原爆2発炸裂
しておいて、
いまも良心の呵責もない。

野田がTPPに参加宣言したら容赦なく日本人を騙して殺戮しますよ。
白人は嘘つきでエゴイストで殺人鬼ですから。

インディアンが出てくる良心的映画みても、ああそうだったんだなあっていつも思う。

アボリジニを虐殺したオーストラリア人とその子分のニュージランド人と協力して、日本を罠にかけるのは平気。


40. 2011年10月21日 09:19:35: roaBypcaXo
>04. 2011年10月19日 14:50:54: DxgG4WjhwY
>「国民皆保険」は、なくなったら逆にいい面も出てくるだろう。

ばか!


41. 2011年10月21日 09:37:44: roaBypcaXo
>07. 2011年10月19日 21:42:02: ezqPTG9DzU
>でも、金払えば適切な医療受けられるんだから問題ないでしょ
>金持ち老人をこれ以上甘やかせる必要なし

ばかだね〜、金持ちじゃなく貧乏人が医者にかかれなくなるんだよっ!
あんた今すぐ健康保険を脱退しなよ。
保険料を払わなければすぐにでも無保険者になれるよ。
他人まで無保険にしなくても良いんじゃないの?
自分だけ今すぐ無保険者になりなよ。
自分だけ実費で医者にかかれば良いでしょ。
そうすりゃあんたの払った医療費が無制限に医療を受ける老人の為に浪費される事は無くなるよ。


42. 2011年10月21日 11:21:23: roaBypcaXo
>14. 2011年10月20日 05:47:17: l9187iKIKw
>日本は既に国保では10%程度の保険料未納者がおり、そのうちの
>半分ぐらいは保険が効かない無保険者
>今の若者は今やこれからの年寄りを養うため約1億円の負担をしなければ
>ならない。そのことを考えて、もっと自分たちにお金のかからない
>医療を望むべきだ。今は高齢者というだけで年収数千万円の高齢者も
>若者のお金を使って医療を受けている。

だから何!?
もしあなたの言う事が正しいとしても、国民の10%程度が保険料未納者でそのうちの半分すなわち国民の5%が保険が効かない無保険者、だから全部保険でかかれ無くしちゃった方が良いっての?

貧乏人には死ねっての?
何言ってんの!

姥捨て山、希望?
あんたよっぽど裕福なんだね。
既得権益者?


43. 2011年10月21日 12:37:17: DSyvgspLX2
国保の未納保険者を大量に生み出したのは誰か、これを真っ先に見据えて手を打つのが当たり前だろ。同級生の小児科医(公立病院勤務)が子供達を見捨てられないけど小さな子供は大人の5分の1位しか薬を使わないから開業してもやって行けないと言う、薬の多少で小児科医が不足しているとは絶対おかしいだろ。 制度の悪いのを直さなくてはいけないのに、更に酷い制度をアメ公から貰ってどうするんだよ!!!

44. 2011年10月21日 13:59:42: nlrbPJeGJM
地震で日本壊滅かTPPで日本壊滅か
さてどちらを選びますか?

45. 2011年10月21日 16:01:06: 2aTyjf4Fw2
>地震で日本壊滅かTPPで日本壊滅か

TPPがそれほど心配なのか
地震で日本壊滅かTPPで日本壊滅かも問題だろうが、それよか日本医師会は福島原発事故後の国民の放射能汚染とかはどうみているの?

医療を担う周辺地の開業医なんかは相当な汚染被害を懸念しているんじゃないの?
死活問題のTPPだけが大事で、現状の放射能汚染には関心がないの?


46. 2011年10月21日 16:45:41: 6y7HDpB8hA

製薬業界などは(賛成・反対)どっち側なんだろう?
あの製薬業界のいうことなんだから、

すべてが逆だと思ったほうがよいかもしれない。


47. 2011年10月21日 17:23:06: ULnwgHGaF6
<45 2aTyjf4Fw2様

鋭い!
おっしゃる通り
福島県医師会、ホットスポット地区の医師会
ぐうの音も出ないでしょう。


48. thai_suki 2011年10月21日 18:42:39: jhIE9idozmDu6 : UrbnWInEwc
 国民皆保険の無い米国の医療の実態は、マイケルムーアの映画「sicko(「狂人」「変人」などを意味するスラングである)」で知りました。アメリカのドキュメンタリー史上第2位の動員。同時公開の「ダイ・ハード4.0(シリーズの中で私はこれが好き)」を上回る数字であったこともあり、直後に200館での拡大上映となった。

不覚にも私は感情がこらえきれず涙が出てきました。特に「9・11の英雄が救出時のビル塵肺の治療費が払えず自己破産する人がキューバの制度を知って泣く」Kシーン。

「自由」は正義と民主化への道と思っている方こそ見てほしい。

@医療費が払えず病院にかかれないので、自分で傷口を縫う人。
A仕事中に誤って指を二本切断。指をくっつける手術費用が薬指は12,000USドル、 中指なら60,000USドルと言われ、中指は諦めざるを得なかった人。
B医療費があまりに高額で家を売りに出し、こどもたちの家に世話になり静かな諍 いが起こる老婦人。
C高齢であってもなお、自分の医療費を払うために働かざるを得ない老人。
D複数の医師からなる病院の医療チームが「この検査と手術が必要」と言っている にもかかわらず、保険会社はそんな検査や手術は必要ないとして保険金の支払い を拒否し、結果として治療を受けられずに亡くなった人。
E保険金の支払いを(相手の命に関わる場合であっても)徹底的に減らそうとする 保険会社のエージェント。
F医療費の支出を抑えるため、命に関わる場合であっても十分な検査治療を認めな いことに同意し、それによって多額の献金を得て昇進した医師の、議会における 証言。
G複数骨折をしているのに入院治療費が払えずに病院を強制的に追い出され、車で 貧民街まで運ばれて路上に放り捨てられる女性の患者。
H議会における医療・保険業界との癒着や寄付金の実態。
Iヒラリー・クリントンがすすめていた国民皆保険制度が頓挫したのは医療・保険 業界の献金を受けた共和党の反対によるという疑惑。
Jニクソン大統領の、医療保険に関する会話の盗聴テープ。ニクソン大統領の「健 康保険制度になど興味は無い」という主旨の発言に対して、「民間の保険会社だ からお金になる」と述べる側近。それに「悪くない」と応じるニクソン大統領。
K9.11のとき、瓦礫(がれき)の山を取り除く救援作業にボランティアとして参加 したが、その影響で肺を悪くし、多額の医療費がかかるようになってしまった人

TPP参加後に日本上陸してくるやからは、同じくマイケルムーアの映画「キャピタリズム」と「ハゲタカシリーズ(NHKとしては異例、破格です)」と合わせて見ていただくと理解できると思います。

キャピタリズムのエンドロールです()。「ウォール街を占拠」しているアメリカ人たちの気持です(http://www.newsweekjapan.jp/column/machiyama/2009/09/post-60.php)。

「それはキリスト教的ではないよ」と反論する代わりに、ムーアはウディ・ガスリーの歌で映画の幕を閉じる。

 この歌はニューヨークで書かれた
 金持ちと宗教家と、その奴隷たちの街で
 そうだ、もしイエスが今、同じように演説したら
 奴らはイエスを逮捕して処刑するだろう

 Jesus Christ by Woody Guthrie

 イエスは金持ちに言った。「貧しい者たちに施しなさい」
 だから奴らはイエスを葬り去った
 イエスは病める者、貧しき者、飢えた者、傷ついた者を救った
 だから奴らはイエスを葬り去った
 イエスは宗教家や警官にも同じことを言った
 宝石を売って貧しき者に施しなさい
 ところが奴らはイエスを葬り去った
 イエスが町にやって来ると、彼の言葉を信じる労働者たちに歓迎された
 銀行家や宗教家どもはイエスを十字架にかけた

 ムーアは政治家でもアカでもなく、素朴なキリスト者なのだ


49. 2011年10月21日 22:06:56: MbUiP0ECmM
野田はスワップ決めた時見たいに、突然外国いってTPP公約するに1万点。
既成事実化して押しきるね。
ドジョウはステルスが作戦だ。

50. うり坊 2011年10月21日 23:05:37: Nkd/HgIoB5Xwk : gIWHI3jQrs
国民皆保険もいいシステムだけど、自由化されても医療が受けられなくなる事はないんでないの?まあ普通に仕事してる人ならだけど。 例えばアメリカは日本みたいな医療保険制度はないんだろうけど、俺が10年以上住んでた米カリフォルニア州では、不法滞在してる多くの低賃金で単純労働しているメキシコ人でも、詳しくは聞かなかったけど、医療を受けれる制度?かなにかが実際はあって病気になっても医者に見てもらってた人実際しってるよ。だからどんな時でも抜け道は何でもあると思う。高度な医療はうけられないだろうけど。たくさんの不法移民が道でばたばたしんでたらそれこそ問題だし、それが実際おきていたとも思えなかったし。日本が医療面で自由化されて町で人が本当にばたばた死んでいくのだろうか。俺には良くイメージできない。

51. 2011年10月21日 23:19:54: ezqPTG9DzU
TPPで安いコメが買えるようになる
安い肉も入ってくる、生活必需品が安くなる
法律家も安く雇える、会計士も安く使うことができる
従業員が多国籍化して会社が活性化する
高度な医療をアメリカまで行かずに受けられるようになる

そもそもアメリカが言い出したことにいくら反対しても無理
もうTPP参加は決まったも同然
アメリカはジャップのたわ言なんかいちいち聞かない
最後は強大な軍事力で脅しまくるだろう
アメリカはいつでもそうしてきた
何のために横田基地があるか知っているか?
首相の命はアメリカの手の内というメッセージだ


52. 2011年10月21日 23:21:45: cHI1q4gX2w

だがしかし 保険料方式の国保は崩壊したほうが良いわけであるが。

消費税などの税法式にすればよいのだ。

国保税は既に崩壊している。門真市をみろ。

TPPで崩壊したほうが良いシステムがあり 崩壊しては良くないものもあるのだ。

だからいっしょくたにして加入することが最悪の方法なのだ。

加入の可否について国内の議論で3年はかかるだろう。


53. 2011年10月21日 23:38:53: BNrEiS7LiE

アメリカは、これまで、国民皆保険がなくて、

今年、オバマ大統領が、国民皆保険に改正したと思いますよ

日本は、逆行して、せっかく今ある、国民皆保険を、なくすなんて、

改悪になる

時代に逆行している


54. 2011年10月22日 00:54:22: QWvmT9pcXE

医師会や農協が反対しているのは単に自分たちの利権を死守するためでしょう。
かといってTPPを推進する売国経団連その他の見方には絶対に付きたくないが。

ここでは、製薬業界が全体としてどういう立場を採っているのかが重要だと思う。
厚労省や医師会に絶大なる影響を及ぼしている製薬業界。

私はそこんところをしっかりと見て行きたい。

ちなみに、国民皆保険制度は色々と矛盾だらけだと思います。
なぜなら、保険適用されない医療行為が弾圧されているものであることが
多いと言えるからです。

例えばガン治療におけるビタミンC点滴療法などは今でも保険適用外だ。
どれを適用させて、どれをさせないかを決める権利は
加入者には与えられていないも同然だ。

TPPには反対ではあるが、そういう問題を解決する必要はあるだろうと思う。
国民は、損をしないように保険適用される医療を選択させられているのだから。

外部不経済は外資TPPではなく国民の力によって改善することができるはずだ。


55. 2011年10月22日 07:38:19: IIzrsqmIno
TPP賛成派って、アメリカの遺伝子組み換え食品やBSE牛を食いたい奴なんだろうけど

俺はゴメンこうむる。

TPP反対。

それに、アメリカの保険会社に毎月10万円も保険料払っても
盲腸の手術で150万円も払ったら、もう破産しちゃいます。

よって、TPP賛成反対。


56. 2011年10月22日 14:08:15: 5BUnxXer6I
こうしてコメント読むと

概してTPP賛成者は利権がどうのこうのと

頭よわい人が多いな。


57. 2011年10月23日 04:09:11: VeD5VPd3V2

 確かにTPPにおいて農業は大きな問題ではあるものの、それよりも医療、サービス、人的交流やその自由化によってもたらされる影響の大きさを知り愕然とした。そして条文案からは、TPP交渉・締結の裏にあるアメリカの世界戦略がまざまざと見て取れたのである。

 TPP協定の条文案や各国の対応に関する資料から、TPPは決して「平成の開国」などとのんきなことを言っていられるような代物ではないということである。

 アメリカが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の実現に向けて、官民を挙げた取り組みを強化していることはよく知られている。それはなぜか?我が国としては、TPP参加の是非を語るうえで、オバマ政権がTPPに傾いているその狙いと背景を、しっかりと把握しておく必要があるだろう。

 リーマン・ショック以降、アメリカでは景気の低迷が続き、失業率も9%を超えるという厳しい経済環境に追い込まれてきた。オバマ大統領とすれば、国内の景気浮揚と雇用の拡大に向けて、有効な手段を講じることができなければ、大統領としての再選も危うくなる。そんな危機感が高まっているに違いない。

 すでに、2010年11月の中間選挙では、オバマ人気はすっかり落ち込んでしまって、民主党は上院、下院ともに大敗を喫する結果となった。この流れを変えるためにも、オバマ政権とすれば国内経済にプラスとなる貿易戦略を構築する必要に迫られたわけである。その切り札が、TPPに他ならないのだ。

 カーク米通称代表の「日本がTPPに参加してほしいと真に望んでいる。菅前首相の(参加に)前向きな表明は非常に勇気のあることだ」という発言からは、オバマ政権の本音がよくわかる。
 TPP推進の旗振り役を演じている経済産業省は、アメリカ側の本音の問題に触れようとしないだけでなく、日本の平均関税率が、他国と比べても決して高くないということにもあえて触れない。同省の基本的な戦略は、貿易に占める2国間の自由貿易協定(FTA)発行署名済み国の数で比較すれば、日本が韓国に大きく出遅れていることを印象付けることにあるようだ。

 その背景にある論理は、このままいけば、韓国やアメリカやEUとの間で自由貿易協定を次々と発行することになり、我が国の輸出は、ますます不利な状況に追い込まれるというもの。その際、経済産業省が繰り返し使うデータの一つが、EUにおける主な高関税品目に関するデータである。しかし、平均関税率から見ると日本の非農産品の関税率は決して高くない。

*全品目、農産品、非農産品の順に関税率を表示(単位:%)
日本:4.9、21.0、2.5
アメリカ:3.5、4.7、3.3
EU:5.3、13.5、4.0
韓国:12.1、48.6、6.6
(WTOホームページより作成)

 経済産業省が実施した、「我が国の産業競争力に関するアンケート」を見ると、今後海外シフトを検討実施する日本企業がいかに多いかが明らかになる。本社機能のみ日本に残すものの、生産機能のみならず、研究・開発機能まで海外に移転することを検討する企業までもが増えている。
http://www.hkd.meti.go.jp/hokis/mono_kondan/data04.pdf

 こうした日本国内の厳しい情勢を打破するために経済産業省が主張する政策は、今後の成長が期待できるアジア太平洋地域に、日本企業がほかの国々と同様に市場参入を図る条件を整えることが欠かせないというものである。

 すなわち、「関税をゼロにする」という自由貿易圏構想を進めるというわけだ。

 では、なぜ日本は今、2国間交渉で進めていくFTAではなく、多国間で交渉するTPPに舵を切ろうとしているのだろうか。FTAとTPPの違いは何なのかについて、簡単に説明したい。

 国際経済を支える貿易の仕組みは、1945年に発行した為替に関する協定、すなわちブレトンウッズ体制から始まった。

 ブレトンウッズ体制とは、金1トロイオンス=35USドルを固定し、そのドルに対して各国通貨の交換レートを決めた金本位制を定めた協定のことで、これにより日本円も1ドル=360円と固定された。そしてブレトンウッズ協定(1944年)以降、1945年には国際復興開発銀行(IBRD)が、1947年には国際通貨基金(IMF)が、1948年には貿易制限措置の削減と自由貿易の推進を定めた「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」が発足したのである。

 GATTにより、原則として各国間での輸入禁止や数量制限措置が禁止され、すべて関税に置き換えていくになり、各国間の交渉で関税を引き下げられ、貿易環境が整えられていった。1986年から1994年にかけて行われたGATTのウルグアイ・ラウンドには123の国と地域が参加。1995年1月には、さらなる自由貿易の促進を目指す国際機関として、GATTに代わり世界貿易機関(WTO)が設立された。

 WTO設立以降、加盟国は153の国と地域にのぼり、モノやサービスなどの公正な貿易のために多国間貿易交渉を続けているが、WTOでは多くの国と一度に交渉しなければならないため、交渉成立までには時間も労力もかかかってしまうことが指摘されてきた。そこで、近年ではWTOを補うものとして、2国間で交渉する自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)が注目されているのである。

 FTAは、特定国や地域の間で物品関税やサービス貿易の障壁などを削減・撤廃することを目的とする協定で、EPAは、人の移動(労働)や知的財産の保護、競争政策、さまざまな協力など幅広い分野の提携で関係強化を目指すものである。

 そして、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、物品貿易については、農産品を含め、原則全品目について即時または段階的に関税撤廃、政府調達(いわゆる公共事業)、競争政策、知的財産、金融、電気通信、電子商取引、投資、環境、人の移動(労働)など、あらゆるサービス分野を協定の対象に含んでいることが特徴である。

 2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国による経済連携協定(通称「P4」協定)が発行され、現在はこれにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わり、9か国で交渉が行われている。2011年10月までに計9回の交渉を行い、11月にハワイで行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で妥結することを目指している。

 そこでもう一度初めに戻るが、日本がこの協定に加わる意味は何だろうか。

 なぜ、FTAやEPAでは駄目なのだろうか。

 政府によれば、TPPがアジア太平洋の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性があり、TPPのもとで決められた貿易投資に関する先進的なルールが、今後、この地域の実質的基本ルールになる可能性があるということなのだ。しかし、すでに述べたように、TPPはアメリカの経済政策という面を色濃くもっている。 
 
 アメリカは北米自由貿易協定(NAFTA)の締結によって、経済発展を遂げたメキシコとの貿易で莫大な利益を享受した。一方でメキシコの国内経済やカナダの農業は、アメリカ企業やアメリカ製品が大量に流入し、大打撃を受けていることは明記しておかなければならない。まさにアメリカは二匹目のどじょう、つまりは将来の可能性として中国を含む東アジア市場を狙っているわけである。

 実際のところ、アメリカ政府はWTOが公表した日本の貿易政策に関する審査報告書を通じて、日本政府が2011年6月をめどにTPP交渉参加を決めることを前向きに評価している。これでは、「出来レース」と言われかねない。

 それならなおのこと、メキシコやカナダの二の舞にならないために、日本にとってTPPに参加することのメリットは何か、デメリットは何かをきちんと検証していかなければならない。

WTO、FTA(EPA)、TPPの違い

WTO(世界貿易機関)
関税削減交渉、153カ国・地域が加盟、加盟国共通のルール作り(関税削減率、国内補助金の削減、輸出補助金の撤廃)、我が国はWTO農業交渉で多様な農業の共存を主張

FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)
2国間または複数国間で行う関税撤廃交渉
「実質上すべての貿易(一般的には90%以上と解釈)について、原則として10年以内の関税撤廃」とWTO協定で規定(10%は除外・例外が可能)

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)
太平洋を取り巻く9か国間のFTA
9か国間で行う関税撤廃交渉
除外・例外品目を認めず、全品目の関税を撤廃する
TPPもFTAだが、重要品目の除外・例外扱いを認めていない。「実質上すべての貿易」を最も厳格に解釈

 経済産業省では、我が国がTPPに参加した場合の実質国内総生産(GDP)増加、および伸び率の試算を公表をしている。その試算によれば、我が国のGDPは年間0.48〜0.65%伸びることになり、2.4〜3.2兆円の経済効果が期待できるという。そのうえで、同省はTPP早期参加のメリットとデメリットを挙げているのであるが、まさにその論調は「TPP参加ありき」で、TPP参加のデメリットに関してはまったく想像力が働いていないのである。

 経済産業省が主張するTPP早期参加のメリットの第一は、「ルール形成への参加」である。すなわち、関係国の間で自由貿易に関するルールの協議が進んでいるわけで、その協議にいち早く参加することで、日本企業にとって、有利な条件を整備できるというわけである。

 具体的には中小企業の輸出支援、すなわち輸出手続きに関する情報の一覧化や書類を統一する協議が進んでいるのだが、その際に日本のルールを主張することができるというのだ。また、新たな投資規律を強化する議論が進んでいるため、日本が早期の協議に参加できれば、強制的な技術移転や送金規制に関する抑制策を主張できるとも言う。加えて、成長分野の規制の調和を主張できるとも説明。万が一参加のタイミングが遅れれば遅れるほど、他の国々によって作られたルールを受け入れるだけになってしまう、と不参加のデメリットを強調する。

 そして農業などの困難な分野についても、早期にルール形成の協議に参加できれば、除外品目を主張したり、長期の段階的関税引き下げを働きかけたり、いわゆるセーフガードといわれる緊急輸入制限を勝ち取ることもできる。そのためにも一刻も早い協議参加が欠かせないというのである。

 しかも、原産地の表記や基準、知的財産権において、日本型ではないルールが導入されることになれば、日本企業にとっては新たな仕組みに対応するため、過剰なコスト負担を余儀なくされ、競争力がそがれることになりかねないとも説明するのだ。

 こうした貿易のルールに関する早期参加のメリットのみならず、経済産業省が主張する早期参加のメリットには、アメリカとの関係強化という政治的な考慮も強く織り込まれている。すなわち、経済面でアメリカとの関係を強化するおとで、日米同盟を補完できるという発想である。

 沖縄の普天間基地移設をめぐるぎくしゃくした関係によって、アメリカの日本を見る目が厳しくなっていることは間違いない。

 これに対して前菅政権の思惑は、2011年11月にハワイで開かれるAPECでTPPの協定合意を目指すアメリカを後押しすることができれば、日米の同盟関係が修復できるに違いないというものだ。また、このところの中国の不穏な動きを見るにつけ、レアアースの輸出制限など資源ナショナリズムに傾きがちな中国の動きを牽制するためにも、日本とアメリカはいっそう協力関係を強化することで、対中政策にも効果があると分析。そのためにも、現在のWTOを超えた高いレベルの新たなルール作りが重要になる。そんな発想が経済産業省には強いようである。

 しかも、アメリカが主導するTPPを日本が全面的に支えることになれば、TPPへの参加をためらっている中国や、ほかのアジア諸国が少なくとも経済連携協定(EPA)に参加する道筋はつけられるだろうとの目論見も見え隠れする。

 一方でEUも、日本のTPP参加が遅れることになれば、日本とのFTA並びにEPA交渉に関しては、様子見を続けるだけになる可能性がある。その間に韓国とEUがFTAを発行してしまうことになるだろう。また安全保障の観点を考慮すれば、アメリカとの関係強化がないままでは、中国とのEPAも進めにくくなってしまう。

 こうしたもろもろの背景説明をもとに、経済産業省はほかの省庁とは一線を画し、菅前総理のTPP前のめりの動きを強力に推進しているわけである。

 一方、内閣官房においては、我が国がTPPに参加した場合のメリットとデメリットについて、よりバランスのとれた分析を行っている。

 まず、我が国がTPPに参加した場合、すでに述べたように実質GDPを約3兆円押し上げる経済効果に加え、国を開くという強いメーッセージ効果が期待できるという。日本に対する国際的な信用と関心が高まるというのである。

 韓国がアメリカとの間で進めているFTAが実現すれば、日本企業はアメリカ市場で韓国企業より不利な戦いを余儀なくされることはすでに述べた。しかしTPPに参加することになれば、日本企業は韓国企業と同等の競争条件を確保できるわけである。

 もうひとつのメリットは、TPPがアジア太平洋地域の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性があるということである。TPPで協議の進む貿易・投資に関する先進的ルールが、今後この地域の実質的な基本ルールになることが想定されるからである。つまり、これまで我が国が各国と結んできたEPAにおいてはカバーされてこなかった環境や労働といった新しい分野が重要になるとの見方である。

 その意味で、日本がアメリカと歩調を合わせ、この地域の経済統合の枠組み作りを早い段階で進めることができれば、政治的意義は大きいと言えるだろう。もちろん、こうした目標を達成するためには、強い政治交渉力やリーダーシップが欠かせないことは言うまでもない。果たして今の日本の政府にそのような主導的交渉力があるかどうかは大いに疑問であるが。

 内閣官房においては、同時にTPP参加のデメリットも検証している。

 デメリットの最大のものは、あらかじめ特定セクターの自由化を除外したかたちの交渉参加は認められないという点に尽きる。

 すなわち、たとえ日本でもコメを聖域化するような交渉はあり得ないということだ。10年以内の関税撤廃が原則であるから、当然といえば当然のことであろう。

 農林水産省の試算によれば、コメや小麦など主要農産品19品目について全世界を対象にただちに関税を撤廃し、なんら対策を講じない場合の農業への影響は、農産物の生産額の減少が年間4.1兆円程度、カロリーベースでの食糧自給率の低下は現在の40%が14%程度に、農業・農村での多面的機能の減少は3.7兆円程度、農業関連産業も含めた国内総生産の減少は7.9兆円程度になるという。

 先に経済産業省の試算で述べられていたTPP参加によるGDPへの経済効果が最大でも3.2兆円だとすれば、この農水省による試算は、農業分野だけで15兆円を超える損失が出るわけで、輸出産業にとっては3兆円の新たな富を生み出す一方で、15兆円を超える損失が生まれる計算になる。

 農林水産省と経済産業省の試算がいずれも正しいとすれば、日本全体の経済のためには、TPPの参加は見送るべきとの結論が出るのは当たり前である。

 さらに、内閣官房では日本の消費者にとってより深刻な影響をもたらすと思われる問題を挙げている。それは既存の2国間の合意事項が加盟国すべてに波及する可能性があることだ。つまり、TPP参加国にうちある2国間で結ばれた合意事項に、日本も従わなければならないのである。

 特にアメリカからは日本に対して、牛肉の輸入やさまざまな非関税障壁に関して、これまで以上に厳しい要求を求められる可能性が高いと内閣官房では予測している。

 たとえば、2003年以降、牛海綿状脳症(BSE)の問題によるアメリカ産牛肉の輸入に制限が加えられ、現在も輸入制限が続けられているが、アメリカからは日本の輸入規制は科学的根拠に乏しいものだとして、早期の緩和措置を求めてくる可能性が高いだろう。

 また、公共事業の入札の際には、英語による情報開示が求められてくる可能性も出てくる。すなわち、一定金額以上の公共事業に関しては、国際的な競争の環境を整備する必要があるとし、入札条件が決定したのち、3日以内に英文でその情報を世界に公開しなければならないということだ。

 今の日本の自治体や建設業界では、そのような対応ができるケースは極めて稀と言わざるを得ないだろう。英語での公文書をわざわざ作成するとなれば、日本国内の公共事業はますます停滞することが想定される。

 現在、日本の地方で行われる公共工事に関しては23億円以下であれば、海外企業に門戸を開く必要がない。しかし、TPPがベースにしている「P4」協定では、一律7億6500万円以上の公共工事はすべて海外企業にも発注案件を公示しなければならないとされている。これによりアメリカの大手ゼネコンやコンサル会社が、アジアの安い労働者をまとめて日本に送り込む案件が急増するだろう。現に、東南アジアでは中国などの建設業者がそうした手法で次々と受注を獲得している。

 アメリカの大手建設会社にとっては小規模すぎるかもしれない公共工事であっても、TPPによって、「発注ロットの規模拡大」が現実化すれば、国際入札案件は一挙に拡大する可能性は否定できない。たとえば、日本海沿いで遅れている高速道路の整備(ミッシングリンク「未整備により途中で切れている高速道路」の解消)や新幹線網の拡大には、潜在的な50兆円規模の公共投資が想定されている。これなら海外の建設業界にとっておいしい話であろう。

 しかし、こうした国内の公共事業を海外企業に開放してしまえば、日本国内の建設業は崩壊してしまう。豪雪時には利益抜きで復旧に駆けつけてくれるのが地場産業であり、地元の建設業者である。「契約を優先する」海外の県建設業者にはとうてい望めない、日本的な’職人魂’を失ってよいのだろうか。TPPでは、こうした日本固有の文化的要素は「非関税障壁」として撤廃のターゲットにされる運命にある。

 地域を支えるのは、農業や林業だけではない。建設業も欠くことのできない役割を担っている。京都大学大学院の藤井聡教授(社会都市工学)によれば、TPPによる日本の建設業に対する経済的損失は「最低でも6000億円。最大では3兆円になる」という。となれば、さまざまな分野の専門的な知識や試算を総動員し、TPPのもたらす影響を個別の分野ごとに検証する必要がある。ところが、そうした検証作業がまったくといっていいほど進められていない。

 実は、こうした問題は氷山の一角であり、関税撤廃や自由貿易のもたらす様々なメリットとデメリットをどこまで容認することができるのか、十分な研究や議論が行われているとはとても思えない。

 しかしながら、我が国の主要メディアや経済界では、自由貿易に立脚した日本は早期にTPP参加の決断を下すべきだ、という流れが強くなっている。保守的なメディアと見られる産経新聞ですら、「6月などと言わずに早期参加を目指し、国内の構造改革を果敢に断行すべきだ」(2011年1月16日)と主張しているほどだ。

 産経新聞は、日米構造協議の重要性に言及しつつも、「日米FTAと同等の意味を持つTPPに参加するメリットは大きい」と議論を譲らない。その理由として掲げていることは、「日米の競争力を強化し、長期的な成長を促す基盤を築くだけでなく、世界の通商ルールについて両国のリーダーシップを発揮できるからだ」というのである。

 また、経済産業省の主張と軌を一にするかのごとく、「安全保障の面でもTPPは日米同盟を補強し、国際ルールを無視する動きが目立つ中国を牽制する意味合いがある」とまで主張する。「民主党は日米FTAの締結を当初の政権公約に掲げていながら、農業団体などの反発で、「締結」という表現を「交渉の促進」に後退させ、TPP参加の決断も先送りにした。こうした腰砕けの姿勢では国民の不信を募らせるだけ。だから菅(前)総理はTPP参加を日本の死活問題と認識し、党内や国民への説得を急ぐべきだ」というから驚く。

 産経新聞がこのような主張を掲げるほどであるから、ほかのマスコミは推して知るべしであろう。メディアにとって欠かせないスポンサー筋の大手輸出関連企業が軒並みTPPへの参加を求める緊急集会などを相次いで開催している。自動車や電機機器など関税撤廃の効果が大きいと見られる業界では、それなりのメリットが見込まれるのは確かである。しかし、それ以上に日本の経済界がTPPに期待を寄せているのは、やはり韓国への対抗意識からであろう。

 FTAで先行し、多くの分野で我が国にとって最大のライバルとなった韓国。その韓国と同じ条件で戦うためには、TPP参加が欠かせないという発想が経済界の主流になっているようだ。

 読売新聞が2011年1月に行った経営トップ30人を対象にした新春景気アンケートの結果から見ても、TPPについては29人が参加すべきだと答えている。ほとんどの経営トップが自由貿易の推進により、海外事業に取り組むことで活路を見出そうとしていることが鮮明にうかがえる。

 日本経済新聞が2010年末に行った社長100人アンケートにおいても、TPPに「参加すべき」との意見は8割を超えている。TPP交渉について、「参加すべきではない」という声はゼロであった。

 また、中小企業の経営者を対象に産業能率大学が2011年1月に行ったアンケートの結果も、「TPPに日本は参加すべきだ」と答えた経営者は、全体の83%に達していた。この調査は従業員6人以上300人以下の企業経営者、688人の回答に基づくものである。

 さらにいえば、帝国データバンクが行った2010年1月にかけての全国2万3101社を対象にした調査においても、「TPP参加は日本にとって必要だ」と回答した企業が65%。また、TPPに参加しなかった場合、72%の企業が長期的に見て景気に悪影響があると認識していることも明らかになった。

 これらの調査の結果を見る限りは、経団連に加盟する大企業から従業員10人程度の中小企業の経営者に至るまで、TPPに関しては、「日本の参加が望ましく、かつ避けがたい」との認識が広がっていると受け止めざるを得ない。

 まさに菅前総理の意向を受け止め、経産省が中心となって進めてきたTPP参加に向けての世論工作が大いに効果を発揮しているといえるだろう。しかし、これらのTPP参加賛成派の経営者がどこまでTPPの本当の中身を確認、理解したうえで賛成の回答を寄せているのか、疑問の余地が多分にありそうだ。

 その点については、菅前総理自身が述べている次の言葉が、その危険性を象徴的に示しているといえるだろう。それは2011年1月28日、参議院本会議の代表質問でのことである。「TPPが国内医療など個別の分野にどのような影響をもたらすものか、私から言うのは困難だ」と答弁したのである。

 TPPの中身は、農業のみならず、また製造業に限定されることなく、実は医療や福祉、教育、法律、金融、通信など様々な分野に影響するものである。その一つ、医療分野の交渉が国民の健康に関わる国内医療にどのような影響をもたらすのか、そのことについて問われた前総理の答弁がこれでは、あまりに寒々しいと言えるのではないだろうか。

 2011年1月24日の施政方針演説のなかで、「平成の開国」という言葉を11回も使い、貿易や投資の自由化、人材交流の円滑化まで踏み込んだ包括的な経済連携の促進を強調している菅前総理。「21世紀の日本のオープニング」と題した官邸のホームページにおいても、繰り返し日本が「第三の開国」に向けてTPPの参加への準備を進めていることを強調している。

 これだけ日本の閉鎖性を強調し続けていれば、大企業であろうと、中小企業の経営者であろうと、このままでは日本が世界の流れから取り残されるとの思いに駆られるのも当然であろう。しかし、TPPの問題に関しては、やはりその参加のメリット、デメリットを、国民に対し具体的な情報を示さなければ、全体として賛成も反対も、結論の下しようがないのである。

 正月の福袋を買うわけではないのであって、中身のわからないTPPに賛成しろと言われても、まともな判断力のある人々にとっては、何とも答えようがないというのが正解ではなかろうか。なぜなら、国会の場においても、メディアの場においても、TPPの実態はほとんど明らかになっていないからだ。

 にもかかわらず、2011年1月時点で、TPPへの参加について反対あるいは慎重な対応を求める意見書や特別決議を採択した都道府県議会は39道府県議会と、全体の8割に上ることが、日本農業新聞の調べで分かった。ブロックの知事会が反対要請を政府に提出する動きも出ている。菅前首相は今年を「平成の開国元年」と位置付け、貿易自由化を加速する姿勢を強めるが、地方では反発の声も急速に広がっている。経済界の反応との違いに驚かされる。これは一体どういうことであろうか。要は、情報の開示を拒みながらTPP参加へ前のめりになっている政府への警戒心の発露にほかならないと思われる。こうした不安や懸念に対して、政府は納得できる説明義務を負っているはずである。

 ノーベル経済学賞の候補者とも言われる東京大学名誉教授の宇沢弘文氏は「世界各国はそれぞれの自然的、歴史的、社会的そして文化的諸条件を十分考慮して、社会的安定性と持続的な経済発展を求めて、自らの政策的判断に基づいて関税体系を決めている」と指摘する。その上でTPP反対の立場を鮮明に語るのである。

 曰く、「理念的にも、理論的にもまったく根拠をもたない自由貿易の命題を適用して、すべての商品に対する関税の実質的撤廃を「平静の開国」という虚しい言葉で声高に叫ぶことほど虚しいことはない」。

 日本学術会議の試算を見れば、宇沢教授が指摘する農村の社会資産の重要性が明らかになる。すなわち、洪水防止機能が3兆4988億円、水源滋養機能が1兆5170億円、土壌侵食防止機能が3318億円、土砂崩壊防止機能が4782億円と言われている。要は5兆円を超える農業、農村の多面的な機能がこれまでも十分働いているのである。これほどの資産価値を有する、我が国の地域社会が守ってきた共有インフラを失ってよいのであろうか。

 同じことは森林資源にも当てはまる。我が国は国土の75%が山に覆われている「森林大国」に他ならない。この森林のもつ貨幣価値も莫大である。先の日本学術会議の試算によれば、表面侵食防止機能が28兆2665億円、水質浄化機能が14兆6361億円、洪水緩和機能が6兆4686億円にも達する。

 こうした試算金額の妥当性については、様々な議論があるにせよ、我が国の自然や農山漁村が果たしてきた地域社会と、国民の食生活を守る役割については誰もが否定できないものであろう。「農業はGDPへの貢献度は1.5%に過ぎない」と述べ、「98.5%の輸出貢献産業のためにTPPを進める」と語る菅前政権の閣僚たちの創造力の欠如と、国家観のなさにはあきれるほかない。

 TPPへの交渉参加問題が提起しているのは、単なる「農業対輸出製造業」といった対立構図ではなく、我が国のあり方そのものなのである。しかも農業が自由化されることの意味はすこぶる大きい。というのは、人間生活に欠かせない「社会的共通資本としての農村」が事実上、消滅することにもなりうるからだ。

 そうした国家存亡の危機をもたらしかねないTPPを安易に認めるわけにはいかない。TPPがもたらす「光と影」の部分をしっかりと受け止める想像力と誤った政策を正す行動力が、我々国民一人一人に求められる。

 2011年3月に我が国は東日本巨大地震と大津波に見舞われた。戦後最大級の災害である。東京電力の福島第一原子力発電所にも被害が発生した。

 そうした国難に直面した日本に対し、世界各国、なかんずく同盟国のアメリカからも支援が寄せられている。しかし、自国の国益をいかなる場合においても最優先するのが超大国。アメリカの日本専門家で国防総省で日本部長を務めたジェームズ・アワー氏(現ヴァンダービルト大学教授)を通じて、日本の復興策の一つとして「TPPを早期に批准せよ」と申し入れてきたのである。曰く「津波で多くの日本農家が命を落とし、生き残った者も非常に苦しんでいるのは間違いない。TPPが批准されれば、日本経済全体を後押しするであろうし、ずっと延び延びになっている、意味ある農業改革をもたらすこともできる」(「産経新聞」2011年3月25日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110325/dst11032502560002-n2.htm

 巨大地震と大津波で危機的状況に陥った日本に対し、「海外からの支援を円滑に受け入れるためにもTPPは必要」との論調である。我が国の政府内にも、これに呼応する動きも出始めたようだ。火事場ドロボー的な発想に他ならない。こうした時だからこそ、食糧やエネルギーの自給力を高める方策をしっかりと練り上げるべきであろう。決して安易な「第三の開国」論に飲み込まれてはならない。


58. 2011年10月23日 04:11:32: VeD5VPd3V2

 TPPへの参加を巡って、国内では関税撤廃による製造業の輸出増大を期待する賛成論と、外国農産品、特にコメに対する関税撤廃、輸入自由化による国内農業への打撃を恐れる反対論が展開されていることは周知の事実である。

 しかし、TPPの実態を広い視点で捉え、日本への影響を慎重に分析するならば、輸出製造業対農業といった構図に単純化してしまうことにはならないはずである。

 TPPには24もの作業部会があるが、マスメディアの注目を浴びている論点は、製造業の輸出と農業という2点、つまり24分の2でしかない。TPPの問題は、むしろサービスを中心とした、これまでマスメディアの注目を浴びてこなかった分野にこそある。

 民主党の国会議員で農林水産大臣を務めた山田正彦氏ですら、「TPPは農業だけの問題ではない。国の形が変わるかどうかの大問題だ」と語っている。安易にTPPに加われば、「日本は米国の51番目の州になる」とまで危機感を露わにしているほどである。
 
 注目を浴びている農業に加え、医療、金融・保険、教育、法律・会計サービス、メディア、土地所有、中小企業などについて、TPPに参加することによってどのような影響が生じうるのかを分析してみたい。

 そして、この分析を通じて、TPPの実態が、輸出製造業対農業という構図ではとうてい捉え切れるものではなく、むしろ、日本の隅々にまで貿易自由化の波を及ぼすことで、日本のスタンダードをアメリカン・スタンダードに変えていこうとする意図が隠されていることを明らかにしたいと思う。

 TPPの作業部会

@首席交渉官協議 A市場アクセス(工業) B市場アクセス(繊維・衣料品)C市場アクセス(農業) D原産地規則 E貿易円滑化 FSPS(衛生植物検疫)GTBT(強制規格、任意規格及び適合性評価手続)H貿易救済(セーフガード等)I政府調達 J知的財産 K競争政策 Lサービス(越境サービス)Mサービス(金融)Nサービス(電気通信)Oサービス(商用関係者の移動)Pサービス(電子商取引)Q投資R*環境S*労働㉑制度的事項㉒紛争解決㉓協力㉔*分野横断的事項
(注)*印は、我が国EPAにおいて、独立の章として盛り込まれたことのない分野。
 2010年10月27日、農林水産省はTPPに日本が参加した場合の試算を公表した。同省の試算によると、日本がTPPに参加した場合、日本のカロリーベースの食糧自給率は、現行の40%から14%に下がるという。また、コメについて国産米のうち90%程度が輸入米に置き換わり、ブランド化に成功したもの、有機農法で育てたものといった差別化に成功した国産米だけが生き残るとの試算が出た。

 割合で見ればさらに衝撃的なのだが、TPP参加により国産小麦のうち99%が外国産に置き換わり、サトウキビやコン菜等は全滅するという試算であった。

 そしてTPPへの参加により、農産物の生産減少額が毎年4兆1000億円程度であり、関連産業を含めると、毎年7兆9000億円程度のGDP(国内総生産)が減少するとの見通しを明らかにした。また雇用面での影響しとして、約340万人分の就業機会が減少すると試算した。

 この数字の衝撃は大きく、TPP参加の負の側面として農業が突出して注目を浴びる原因となった。もし農林水産省の試算がTPP参加に伴う影響を正確に捉えたものだとすれば、日本の農業はほぼ壊滅に近い状態に追い込まれることになるといえよう。

 しかし、農林水産省の試算の前提は、主要農産品19品目(林野・水産を含まない)について全世界を対象に直ちに関税撤廃を行い、何らの対策も講じない場合としたもの。ところがTPPはアメリカ、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドなど9カ国を対象にしているものであり、全世界を対象にしているわけではない。農林水産省の試算は、対象国・地域という点でTPPの実態以上の関税撤廃を想定しているのである。

 次に、この試算は直ちに関税撤廃を行うことを想定している。しかし、既存のTPPの条文を見る限り、直ちに関税撤廃を行うことによる国内への影響が多い品目(センシティブ品目)については、長期関税撤廃という措置がとられており、チリの一部乳製品のように10年以上の猶予期間が与えられているものも存在している。

 したがって、コメのような関税撤廃による国内への影響が大きい品目については、長期関税撤廃が適用される可能性も残されているのである。ならば農林水産省の試算は、TPPにおける長期関税撤廃制度を無視しているという点では、実態以上の自由化を想定していることになる。

 さらにいえば、農林水産省は何らの対策も講じない事態を想定しているが、政治の側も、外国農産品を迎え撃つ農家の側も、無策でなすがままという前提が果たして現実的といえるかどうか。そんなことは通常、想定しにくいものである。

 このように、農林水産省は少なくとも三つの点であり得にくい前提を立てて試算を行っている。そして、こうしたミスリーディングな試算をすることにより、必要以上に悲観的なシナリオが独り歩きする事態を招いている点は否めない。つまりその結果、農業を守ろうとする農林水産省の立場に対する信用がかえって損なわれてしまっているかもしれないことも指摘しておきたい。

 それでは、実際にはTPP参加により、どのような影響が農業に生じるのであろうか。これには、良い側面と悪い側面があるといえそうだ。

 まず、良い側面から。TPPに日本が参加したとしても、野菜についてはほとんど影響がないと考えられることである。現在、野菜についての関税率は平均して3%程度にすぎない。そしてこの低関税率にもかかわらず、野菜の自給率は80%程度を維持している。野菜はカロリーが低いため、カロリーベースの自給率にはなかなか反映されないが、実際には関税がほとんどない状況でも、我が国の農家の人たちが非常にがんばっている農作物である。したがって、仮にTPPに日本が参加し、アメリカ、オーストラリアなどからの農産品の関税が撤廃されたとしても、国内の野菜生産が大きな打撃を受けることはなさそうである。

 他方、悪い側面もある。それは、コメ、小麦、砂糖類といった高関税品目については、TPPに参加することによる打撃が相当程度あると見込まれることである。

 コメは現在778%の高関税で守られており、その自給率は96%程度を維持している。日本としては、米韓FTAにおいて、韓国側がコメを関税撤廃の対象から除外させたことを参考に、関税撤廃の対象から除外するよう望むことは容易に想像される。しかし、その道のりは極めて厳しい。

 政府が2011年2月2日に発表した「TPPについての情報収集結果に関する報告書」によれば、センシティブ品目については、原則として除外や再協議は認めず、長期の段階的関税撤廃という考え方が基本であると明記されている。そうであるならば、例外としてコメを関税撤廃の対象から除外することが認められるかどうかが問題となるのだが、その場合、ほかのTPP参加国ないし参加予定国とコメについて利害が衝突しないことが肝要となる。言い換えれば、同じ船に乗ってくれる仲間を獲得できるかどうかである。

 TPP参加国ないし参加予定国の中で、農業大国といえるのはアメリカとオーストラリアである。このうちオーストラリアについては、仲間に引っ張り込める可能性は高い。なぜなら乾燥した気候という制約があるため、なかなかコメを大量生産することが難しく、コメの自給がままならない状態にあるからだ。実際、2008年10月、JA秋田おばこがオーストラリアに対して「あきたこまち」の輸出を開始したことが大々的に報じられたほどである。たとえTPPに日本が参加したとしても、オーストラリアが日本に対してコメを大量輸出する可能性はそれほど高くなく、コメについてはオーストラリアと利害が衝突することはなさそうだ。

 しかし、アメリカについては事情が大きく異なる。アメリカではカリフォルニア州を中心に「コシヒカリ」や「あきたこまち」といった日本品種のコメを栽培しており、こうした日本品種のコメは、日本市場をターゲットにしているからだ。当然、TPPに日本が参加することになれば、日本へのコメの輸出を本格化させることは容易に想定されるところであろう。つまり、コメについては、日本とアメリカでは利害が正面から衝突するのである。

 加えて、実際にTPPで関税撤廃の対象から除外されている品目を見ると、ブルネイの酒、タバコ、火器、花火およびチリの砂糖並びに同調製品の一部といった具合で、極めて限定的である。要は、除外品目になるのは「例外中の例外」といえる品目に限られているのである。

 したがって、コメを関税撤廃の対象から除外することはTPPでは困難と思われる。現実的には、コメは10年程度の期間で段階的に関税を撤廃することになる可能性が高いと考える必要がある。とすれば、どのようなことが起こるのか。

 コメを例にすれば、主にアメリカ産のコメが安い価格で日本に入るようになる。日本のコメの価格はアメリカ産に比べて高く、もし現状よりもさらにアメリカがドル安・円高に誘導した場合に国内コメ農家が取り得る手段としては、@農家への補助金を増やしてもらう、A経営規模を拡大する、といった方法によって生産価格を引き下げることが考えられる。

 しかし補助金については、現在の財政状況からすればどこまで国民の理解が得られるかは不透明であり、たとえ規模拡大を実施したとしても、アメリカと比肩する規模にまで拡大することは不可能であるから、価格面でアメリカに対抗することは容易ではない。

 その結果、遅くとも約10年後には国産米よりも相当安い、主にアメリカ産米が日本市場に流通することになるだろう。その際、国産のコメ農家がどの程度打撃を受けるかについては、消費者がどのコメを支持するかによって大きく変わる。消費者は様々な判断基準に従ってコメを選ぶことになるが、価格を判断基準にする消費者が一定の割合を占めることは否定しがたい。

 「国産米のうち90%が外国産に取って代わられる」という農林水産省の試算は極端であり、額面通りに受け取ることは難しい。とはいえ、それでも相当程度の国産米が主にアメリカ産米に取って代わられることは避けられない流れだと思われる。デフレが進行し、あらゆる商品の価格破壊が続けば、消費者も安い外国産のコメに流れる可能性は無視できない。

 他の高関税品目についても議論は類似しており、段階的な関税撤廃により、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドからの農産品に相当程度取って代わられる可能性が高い。やはりTPPに日本が参加することにより、農林水産省の試算ほどではないにせよ、国内農業が深刻な打撃を受けることは間違いないと言える。

 政府は2010年3月30日、「食糧・農業・農村基本計画」を閣議決定した。この基本計画のなかで、「2020年度をめどに、カロリーベースでの食糧自給率を50%にすることを目指す」ことが明記された。

 しかしTPPに日本が参加すれば、コメなどの高関税品目については相当程度外国産に取って代わられることになり、食糧自給率が14%になることはなくても、現状の40%から相当程度下がることは目に見えている。つまり、政府の食糧・農業・農村基本計画とTPPへの参加は両立しないのである。

 主な農作物の影響試算

品目名、生産量減少率(%)、生産量減少額(百億円)、今回の試算の考え方の順

米:90%、197、新潟産コシヒカリ、有機米のこだわり米等のみが残る
小麦:99%、8、国内産小麦100%をセールポイントとした小麦粉用小麦を除いて置き換わる
甘味資源作物:100%、15、内外価格差は3倍強であり、国産砂糖は壊滅
でん粉原料作物:100%、2、品質格差がなく、すべて置き換わる
牛乳乳製品:56%、45、乳製品では、鮮度が重視される生クリーム等を除いて置き換わる。引用乳では、業務用牛乳等を中心に2割が置き換わる。
牛肉:75%、45、一部の和牛のみが残り、乳用種の全て、肉専用種の半分が輸入品に置き換わる。

2010年12月農林水産省試算、「TPPに関するQ&A」(農林中金総合研究所、2011年2月)などにより作成

農家1戸当たり耕地面積(2006年)(ha/戸)
アメリカ83.4、カナダ227.7、EU8.3、オーストラリア296.9、中国0.8、韓国1.4、ブラジル12.8、日本1.6

 TPPに参加することにより国内農業は打撃を受け、日本の食糧依存度は現在よりも高くなることは間違いない。

 一方、世界に目を転じれば、近年は異常気象が続いている。

 ロシアは、2010年夏に猛暑と干ばつに襲われた。その結果、ロシアで小麦の生産が大幅に減少したことは記憶に新しい。思い起こせば、そのためにロシアは2010年8月から2010年末まで小麦の輸出を停止する措置を講じると発表した。そしてこの輸出停止措置は2011年6月30日まで延長され、2011年7月1日に再開した。

 また、オーストラリアでは2011年1月に大型サイクロンが上陸し、クイーンズランド州を中心に農産物に大きな被害をもたらした。このように、異常気象は農作物の生産に悪影響を与え、食糧生産に打撃を与えている。

 これらの異常気象を引き起こす原因として、地球温暖化が指摘されて久しい。仮に現在の傾向が続くとすれば、日照りや干ばつによる水不足という気候の変化に作物が対応できず、食糧生産にマイナスの影響が生じるだろう。

 他方、2003年にアメリカ国防総省が発表したレポートでは、地球温暖化が海流に変化をもたらし、逆に地球寒冷化を引き起こす可能性があることが指摘されている。このレポートによれば、地球温暖化のピークは2010年であり、その後、急速に寒冷化するとされている。そして、寒冷化した場合、食糧生産が影響を受けることは避けられないはずだ。

 今後、気候がどのように変化するかについての予測は困難であるが、安全保障戦略の一環として、あらゆるシナリオを検討し、対策を講じておくことは、当然ながら国家がすべき最重要課題である。

 さらに、国連食糧農業機関(FAO)が2008年7月に発表したデータによれば、「地球の陸地面積の24%(3750万平方キロメートル)で生態系の変化と生産性の低下を招く」土地の劣化現象が起きていることが明らかになり、今後、こうした土地の劣化によって食糧生産が減少する可能性が大きいことが判明している。

 このような気候変動のリスク、土地劣化のリスクを踏まえるならば、海外に食糧を依存することは安全保障上、看過できない問題となるだろう。特に食料の中でも穀物は生きていくために不可欠であり、食料安全保障の見地からは重要である。しかし、現状ですら日本の穀物自給率は30%を割っており、コメなどの関税が撤廃されれば、さらに穀物自給率は下がらざるを得ない。

 カロリーベースでの自給率が100%に達していないドイツやイギリスですら、生きていくのに不可欠な穀物の自給率は少なくとも100%に近いレベルで維持している。そうした国々と比べれば、日本の状況が厳しいことは歴然としている。

OECD諸国及び1億人以上人口国の穀物自給率
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0318.html

 この点について一部の専門家からは、「アメリカはTPPで日本に穀物を含めた農産品を輸出したいのだから、アメリカが日本への食糧輸出を止めることはないだろう」という楽観論も見受けられる。しかし現実はそれほど甘くないと認識すべきだ。

 1999年1月にNHKで放送された「地球・豊かさの限界 第1集 1頭の牛が食卓を変えた」の中で、ニクソン、フォード両政権の下で農務長官を務めたアール・バッツ氏がインタビューに答えている。

 番組の中でアール・バッツ氏は、「食糧はアメリカが持つ外交上の強力な手段である。とりわけ食糧を自給できない日本には有効だ。日本に脅威を与えたいのなら、穀物の輸出を止めればいい。もちろん、それはあってはならないこと。しかし、何か事態が悪化して、そうせざるを得なくなれば、日本はひどいことになるだろう。日本は自国の農業だけで国民を養うことなどできないのだから」と述べており、アメリカが食糧輸出を戦略的に使っていることを端的に示している。

 つまり、TPPに日本が参加して主にアメリカ産の食料に依存することになった場合、日本は国家としての生殺与奪をアメリカに完全に握られてしまうことになるのだ。TPPに参加するか否かという問いは、これほど重要な課題を、我々に突き付けているのである。

 これまで、主に食糧自給率という観点からTPP参加による農業への影響について述べてきた。しかし、より一般的な食への影響という観点から検討すると、TPPには「食の安全」という問題も浮上してくる。

 TPP条文第7章や米韓FTA条文第8章では、「衛生植物検疫措置(SPS)」が定められている。SPSについてはTPPの24ある作業部会の一つで取り扱われているが、これは食品衛生を確保するための措置、動植物の病気を防ぐための措置のことを指している。具体的にはSPSで問題となるのは、食品添加物、残留農薬基準、BSE問題、遺伝子組み換え食品といったものである。

 SPSについては、すでに1995年発効のWTOにおける協定が存在しており、TPPでもWTOの協定を引用している。このWTOの協定では、各国が食品衛生を確保するための措置や動植物の病気を防ぐために講じる措置は認められている。ただし、これらの措置が貿易を阻害しないようにするため、「科学的原則に基づくこと」が要求されている。また、加盟国を差別してはならず、例えば、国産品と輸入品に対して異なる基準を設定することは許されていない。

 実際、日本とメキシコとの間の経済連携協定(EPA)においても、SPSに関する規定が定められており、そこでは日本もメキシコも、WTOで定められたSPSに関する権利義務を有することが確認されている。

 それでは、なぜ1995年からWTOレベルで存在している衛生植物検疫措置(SPS)に関する規定がTPPで問題になるのだろうか。それは、TPPにおけるSPSの運用が食の安全に影響を与えうるからである。

 米韓FTAでは、両国がSPSについて協力し、かつ協議することとされている。そしてその協議の内容には、貿易に影響を与え、または影響を与えうるSPSの適用に関する事項が含まれているのである。

 おそらくアメリカが入った形でのTPPでは、同様の規定が入るに違いない。そうすると日本がTPPに参加する場合には、日本がどのような衛生植物検疫措置を講じるかについて、アメリカと協議をする必要が生じてくることになる。しかもアメリカは、「対日年次改革要望書」において、我が国に対しSPSに関連する要求を繰り返してきたことを忘れてはならない。

 例えば、食品添加物について、2008年の年次改革要望書では、「食品添加物における新規並びに変更の申請が、科学的な原則に基づき、透明かつ迅速に完了するよう、国内および国際的な団体を含む既存の科学的審査と評価を最大限活用する」ことを要求していた。

 さらに、同要望書の農業に関する政府慣行について、「米国は、日本が農産物貿易において国際的義務を十分に満たしていること、またすべての農産物・食品の輸入制度において科学的知見に基づいた国際基準を採用することを期待する」と述べたうえで、具体的な要求として、「FAO(国連食糧農業機関)・WHO(世界保健機関)合同食品添加物専門家会議によって安全と認められており、かつ世界各国で使用されている46種類の食品添加物の審査を完了する」ことを挙げている。

 また、ポストハーベスト農薬(収穫後、主として保管中の防虫対策として使用する農薬)は、人体に有害な物質が含まれる恐れがあるという理由で日本では禁止されているが、同要望書は、特定のポストハーベスト農薬を食品添加物と見なさず、その使用を認めるよう要求しているのである。

 WTOのSPS協定において、科学的に正当な理由がある場合などは、国際基準や指針、勧告よりも厳しい衛生植物検疫措置(SPS)を導入することができるとされているが、日本はWTOのSPS協定を踏まえ、食品添加物についての規制を緩和してきた。当然のことながら、国民の健康や衛生を守るという見地から、日本は明らかに国際基準よりも厳しいSPSを導入している。

 しかし、TPPに参加するためにはアメリカとの協議が必要となり、アメリカのこれまでの日本に対する要求から考えれば、日本の現在のSPSを非関税障壁と見なし、現在のSPSを大幅に緩和するよう求めてくることは確実である。さらに、これまで日本では認められていなかった相当数の食品添加物が認可されることになり、輸入食品を通じて、日本の消費者が今まで以上に食品添加物を摂取することは避けられそうにない。

 残留農薬についても、ほぼ同様の議論が当てはまる。日本の残留農薬規準は、日本人の食生活も考慮したうえで定められており、アメリカの規準と比べると格段に厳しくなっている。ところがアメリカは、2008年の年次改革要望書において、「最大残留農薬規準に関して、できる限り貿易を制限することがないように、効果的な輸入措置を取る」ことを要求していた。すなわち、日本の残留農薬規準が非関税障壁であるとして、規準の緩和を求めているのである。

 したがって、アメリカとの協議では、残留農薬規準を緩和することがTPP参加の条件になることは想像に難くない。その結果、これまでより多く農薬を含んだ農産品が日本に流通することになると思われる。

 海綿状脳症(BSE)についても、食品添加物や残留農薬基準の問題と同様である。日本はBSE問題に伴い、2003年12月からアメリカ産牛肉の輸入を禁止していたが、2005年12月に輸入禁止を条件付きで解除した。アメリカ産牛肉で輸入が認められる条件は、月齢20カ月以下の牛であること、脳や脊髄といった危険部位を除去していること、輸出国の政府が輸出証明を発行していることである。この条件は現在も付されたままになっている。

 これについてアメリカは、牛肉の輸入禁止が条件付きで解除になった直後から、日本に対し月齢制限の撤廃を強く求めているのである。国際獣疫事務局(OIE)は、BSE検査については月齢36カ月以上の牛のみを対象にすれば良いとしており、月齢36カ月未満の牛についてはBSEのリスクが非常に低いと判断している。つまり日本の輸入基準はOIE規準よりも厳しいというわけだ。

 アメリカから見れば、日本の輸出に付された条件は非関税障壁そのものなのである。実際OIEは、かつては輸出入できる牛肉の条件として「生後30カ月未満の骨なし」という月齢制限を課していた。ところが2009年の総会で、アメリカの圧力によりこの月齢制限を撤廃してしまった。これがアメリカ式である。

 それゆえ、アメリカがTPPを利用して、日本に対して牛肉の輸入規準の緩和、具体的には月齢制限の撤廃を迫ってくることは確実である。その結果、日本はTPPに参加してしまうと、アメリカ産牛肉の輸入に月齢制限を付すことができなくなる。これは、日本の消費者にとって新たなリスクが生じることを意味している。

 実際、2011年3月8日、元米農務長官のジョハンズ上院議員(共和党)は、超党派27人の上院議員団が連名でオバマ大統領に対し、米国産牛肉の輸入制限緩和を日本のTPP交渉参加の前提条件とするよう求める書簡を正式に送付したことを明らかにした。アメリカはOIEの指針をてこに、日本政府に圧力をかけているわけだ。

 遺伝子組み換え作物の問題も同様である。日本はすでに遺伝子組み換え食品を大量に輸入しているが、食用の遺伝子組み換え作物の栽培は、商業ベースではまだ始まっていない。しかも、複数の都道府県では、条例により遺伝子組み換え作物の栽培に対する厳しい規制が行われており、商業ベースでの遺伝子組み換え作物の栽培を開始するためのハードルは相当に高いと言える。

 遺伝子組み換えをしていない在来種は、長い時間をかけて自然環境に適合しているので、次世代に種子を残していく。しかし、遺伝子組み換え作物の多くは一代限りであり、次世代につながるような種子を残さないよう設計されている。言い換えれば、遺伝子組み換え作物は、次世代に種子を残して自然環境に適合していくという大自然の摂理に反する性格を持つと言える。

 同じ問題点を農家から見ると、次のようになる。農家は在来種であれば、残された自家製の種子を次の年に蒔き、栽培を継続することができた。しかし一代限りの遺伝子組み換え作物については、栽培を継続するためには種子を毎年、種子会社から購入しなければならない。そのため、遺伝子組み換え作物は、農家が種子会社に依存せざるを得なくなるという状況を作り出す恐れがあると言えるのである。

 また、遺伝子組み換え作物から発芽する種子を採ることができたとしても、次の年にこの種子を蒔けば、種子会社が遺伝子組み換え技術に対して得た特許に違反しているとして、農家は種子会社から高額の損害賠償を請求されることになる。結局、農家は毎年種子を種子会社から購入しなければならず、種子会社への依存傾向は変わらないのである。

 さらに、何らかの自然的、人為的理由により、遺伝子組み換え作物の遺伝子が流出すれば、在来種と雑種交配をすることにより、在来種が淘汰されることにもなりかねない。ブラジルやインドの例でもあるように、これは在来種を栽培している農家にとっては脅威である。

 近隣の遺伝子組み換え作物栽培農場から花粉の受粉等を通じて遺伝子が流出すれば、自らが栽培している在来種と近隣の遺伝子組み換え作物栽培農場から花粉の受粉等を通じて遺伝子が流出すれば、自らが栽培している在来種と意図しない交配がなされ、気が付けばいつの間にか栽培している作物が遺伝子組み換え作物になっていたという思わぬ事態も想定される。

 その結果、種を採ることができなくなる、あるいは、意図せずして種子会社から特許違反で訴えられるというリスクを在来種栽培農家も抱えることにすらなりかねない。
 
 ところが、種子会社の視点からすれば、当然のことながら遺伝子組み換え作物の栽培は大きなビジネスチャンスにつながるのである。

 このような種子会社の中で最も大きな存在感を持っているのが、モンサントである。同社は、世界中で遺伝子組み換え作物の栽培を拡大させる戦略をとっている。特に同社の遺伝子組み換え作物は、同社の除草剤である「ランドアップ」に対する耐性を有しており、「ランドアップ」とセットにした売り込みに熱心である。このように、除草剤と遺伝子組み換え作物の種子をセットにすることで、さらに利益を増やすことができるのである。

 さらにモンサントは、同社が特許を有する遺伝子組み換え作物の種子を農家が勝手に蒔いていないかチェックをし、同社から種子を購入していない農家で遺伝子組み換え作物が育っているのを発見した場合、特許侵害を理由とした訴訟を農家に対して起こしている。

 実際、モンサントはアメリカ国内で100人単位の農民を提訴している。しかも、故意、過失あるいは受粉を含む自然的経過といった事情に関係なく提訴をしているのである。またモンサントは、アメリカの政治家をはじめ、各方面にロビー活動や献金を行い、強烈な勢いで政治的影響力を行使していることでも有名だ。

 アメリカは、2006年以降の年次改革要望書において、「バイオテク産品に対する関連諸規則が国際安全基準を反映したものとなるよう改定する」よう、日本に対して強く求めており、遺伝子組み換え作物の栽培がアメリカ、カナダ、中国、ブラジル、アルゼンチンなどで本格的になされていることを踏まえ、日本が遺伝子組み換え作物の栽培を全面的に解禁するよう要求している。

 こうした状況から、日本がTPPに参加する場合、アメリカはTPPにおけるSPS規定に基づいて、日本の遺伝子組み換え作物の規制を非関税障壁だと主張する可能性は高いと言えるだろう。その結果、日本は遺伝子組み換え作物の栽培を全面的に受け入れざるを得なくなることも考えられる。

 仮に、遺伝子組み換え作物の栽培が全面的に解禁されれば、モンサントのような種子会社は日本において莫大な利益を得ることができるようになる。その一方、日本の農業は、自発的な遺伝子組み換え作物の栽培への切り替えや、意図しない交配によって遺伝子組み換え作物に席巻され、種子会社に依存せざるを得なくなるに違いない。たとえ日本の農業が自給率の面で持ちこたえたとしても、それは遺伝子組み換え作物で持ちこたえているという厳しい状況になりかねないのである。こういった事態のもとで、果たして日本の食の安全が守れるのだろうか。TPPはこのような難題も突き付けているのである。


59. 2011年10月23日 04:16:03: VeD5VPd3V2

 TPPで定めるサービスの一環に、法律サービスがある。日本がすでに各国と結んでいるEPA(経済連携協定)では、相手国の弁護士が自由に乗り入れることはできず、あくまで、資格を有する国の法律に関するサービスを外国法事務弁護士として日本で提供することができるにすぎない。

 しかも、こうしたサービス提供には、1年のうち180日以上、日本に滞在することが義務付けられており、加えて、弁護士法人を設立することはできないし、訴訟代理を含む一定のサービス提供はできないといった制限が付けられている。つまり、日本は各国とのEPAにおいても、資格を有する専門職、特に弁護士業については、サービス貿易の自由化の例外に位置付けてきたのである。

 しかし、TPPに参加する場合には法律サービスを自由化の例外に位置付けることは困難と思われる。そして、弁護士が多く、’訴訟大国’でもあるアメリカが法律サービスの開放を強く求めてくることは確実視されている。

 アメリカ政府は2008年度までの「年次改革要望書」において、日本に対し、外国法事務弁護士が日本の弁護士と同条件で法人を設立するようにできること、外国の法律事務所を含むすべての弁護士事務所が、法人の設立にかかわらず、日本国内に複数の支店を設立することを認めること、日本以外の法律に準拠するすべての仲裁を含め、日本で行われる裁判外紛争解決(ADR)手続きにおいて、外国法事務弁護士が主宰者として活動することや当事者を代理することができるようにすることを要求し、アメリカの弁護士に対して日本の法律サービス市場を開放することをすでに求めてきている。

 さらに、在日米国商工会議所(ACCJ)が2010年に発表した政策提言「成長に向けた新たな航路への舵取り 日本の指導者への提言」でも、アメリカ政府が「年次改革要望書」や「外国貿易障壁報告書」で要求した事項と同様のことを提言している。官民一体化したチームプレーには驚かされるが、まさにアメリカは政府と業界が一団となって、日本の法律サービス市場の開放を求めているのである。

 既存のTPPではサービスの章には付属書が存在しており、そのうちの一つが専門的なサービスに関するもの。その中で、TPPの各参加国は専門的サービスを提供する資格について、相互乗り入れを認めることを奨励している。

 これもでの経緯に照らせば、アメリカはTPPにおける資格相互乗り入れの奨励を利用して、日本に対し、少なくとも「年次改革要望書」、「外国貿易障壁報告書」で要求した事項をすべて受け入れさせることを目論んでいるに違いない。

 こうした要求を日本が受け入れた後には、アメリカ各州の弁護士資格を有する弁護士が自由に日本に乗り入れることを認めるよう、要求をエスカレートしてくることも予想される。既存のTPPの付属書では、TPPにおける資格相互乗り入れに際し、教育、資格試験等に関する規定を作成することになっており、これらの分野で共通事項が多いほど、乗り入れは容易になるということが想定される。

 日本では、かつては大学の学部3年生になると司法試験の受験資格を有するものとされていたが、現在では法科大学院制度が導入され、法科大学院の卒業をもって司法試験の受験資格が付与されるようになった。法科大学院はアメリカのロースクールと同じ位置づけであり、法曹教育や試験については、すでにアメリカとほぼ同様の構造になっている。

 また、法的知識についてであるが、日本の法律はもともと大陸法系であり、ドイツやフランスの影響を強く受けていた。しかし第2次世界大戦後、英米法の影響も受けるようになり、アメリカ法に近い形での会社法も制定された。さらに、民法の改正作業が現在進行中であり、債権法ではアメリカも加入しているウィーン動産売買条約という取引法の国際条約に準拠した改正も検討されている。

 このように、商取引分野を中心にアメリカ法への接近が進んでいるのである。そして、日本国内でも、商取引の分野での英語による法律サービスの需要は現在でも相当程度存在しており、TPPに参加してアメリカのサービスや商品がいっそう日本に流入するとなれば、その需要はさらに高まるはず。

 他方、刑事裁判では2009年から裁判員制度が導入され、アメリカ法の陪審員制度とは異なるものの、陪審員裁判で必要となるスキルが刑事裁判でも要求されるようになっている。これは要求される知識という点では、「お金になる分野」を中心にアメリカの弁護士による日本参入へのハードルが低くなってきていると見られる。

 これらの各事情からすれば、TPPの資格相互乗り入れの奨励を利用すれば、アメリカ各州の弁護士資格を有する弁護士が自由に日本に乗り入れることが認められることは十分に想定されること。アメリカにとっては法律サービス市場拡大のチャンスであり、アメリカ政府がTPPに目をつけて、要求をエスカレートさせることは十二分にありうる話である。

 アメリカがここまで要求すれば、理論上、日本の弁護士も自由にアメリカに乗り入れできることになるはずである。しかし、アメリカの弁護士と対等以上に英語で勝負できる日本の弁護士がどれだけいるであろうか。また、アメリカ国内に日本法や日本語での法律サービスに対する需要がどこまであるだろうか。実際には、制度上乗り入れが認められたとしても、日本の弁護士がアメリカに乗り入れる例は極めて少ないと予想される。したがって、TPPの資格相互乗り入れはアメリカに一方的に有利に働くということになりそうだ。
 公認会計士も弁護士同様の専門職であり、EPAにおける現状やTPPにおける資格相互乗り入れについての事情は弁護士とほぼ共通している。

 さらに、公認会計士については、時価会計や国際財務報告基準(IFRS)の問題がある。日本の会計制度は従来簿価会計であったが、アメリカからの圧力により、アメリカ式の時価会計制度になった。また金融庁は、日本の上場企業約3700社の連結財務諸表への国際財務報告基準の2015年からの強制適用を検討しており、2012年には適用するかどうかの最終決定をする見込みである。

 この最終決定の背後にはアメリカの存在がある。もともとIFRSはEUの会計制度の影響を強く受けていたが、アメリカの4大会計監査法人がIFRSに出資していることもまた事実である。言い換えれば、アメリカの監査法人がヨーロッパ経由で日本に新たな会計基準への移行を迫っているわけだ。そして、アメリカは2011年中にIFRSに参加するかどうかの決定をすることになっており、現状では参加する可能性が高い。

 そうすると、会計制度の日本とアメリカのコンバージョンはさらに進むことになり、公認会計士のTPPによる日米相互乗り入れは弁護士以上に容易になると考えられる。つまり、会計サービスに対するTPP参加の影響は弁護士以上に大きいといえよう。

 実質的にはアメリカ式会計基準の押し付けになりかねない。その基準とは、市場価値のあるものは時価会計し、そうでないものはコンピューター・シュミレーションで将来収益を予測するというもので、予測値や見積もり要素が多く、会社ごとの判断による会計処理の多様化が進み、日本企業にとっては莫大なこコスト負担となるだろう。特に製造業など、固定資産の多い業種にとっては全く不向きであり、結果的に雇用も設備投資も先細り、日本企業が安価に買収される道を開くことになりかねない。こうした、我が国の会計基準を脅かす理不尽な外圧に屈することがあってはなるまい。


60. 2011年10月23日 04:18:02: VeD5VPd3V2

 投資に関する章は既存のTPPには存在しないが、24の作業部会のうちの一つに投資に関する作業部会があり、新たに投資に関する規定を盛り込むことが想定されている。日本がこれまでに結んできたEPAや米韓FTAを見る限り、今後、投資についても、自国とほかのTPP参加国を対等に扱い、同じ条件で投資ができるようにすることが求められるようになると思われる。

 投資とは、単に他国の企業買収にとどまらず、多国にある財産の取得一般を含んでいる。そして、財産には土地も含まれるから、外国の土地を買収することも投資の一環になる。日本が各国と締結しているEPAの中には、シンガポールとのEPAのように外国人による土地所有を投資の自由化の例外に位置付けているものもあるが、こうした制限が明示されていないものも存在する。もちろん新たなTPPでは、外国人の土地所有が投資自由化の例外に位置付けられるという保障はどこにもない。

 このような懸念は、日本だけが持っているものではない。すでにTPPに参加しているニュージーランドでも、いろいろな懸念が示されている。ニュージーランドでは、現在、安全保障を含めたさまざまな理由から外国人による一定の土地に対する投資に関しては事前審査が課されている。しかし米通商代表部は、ニュージーランドに対し、このような事前審査が投資の自由に対する障壁になっていると指摘したのである。

 実際、オーストラリアは、米豪FTAにおいて8億オーストラリアドル以下の投資については事前審査の対象外とされ、アメリカ企業によるオーストラリアの土地所有も認められるようになっている。そのためニュージーランドでは、アメリカが参加するTPPにおいては、事前審査の撤廃を求められるのではないか、という懸念が広がっている。

 日本もTPPに参加し、参加国によるほかの参加国の土地への投資が自由化された場合、日本には少なくとも二つの点で大きな影響があると考えられる。一つは森林を中心とした水資源の問題、もう一つは農地の問題である。

 まず、森林を中心とした水資源の問題であるが、近年、中国人や中国資本が日本の森林を買収していることが問題となっている。中国はすでに慢性的な水不足に悩んでおり、今後、水不足はますます深刻化すると考えられている。そのため、日本の水資源とそれを育む森林を中国は喉から手が出るほど欲しがっているのである。

 確かに、中国はTPPの加盟国でも参加国でもない。しかし、現に中国人や中国企業は、中国籍以外の国籍でダミー会社を設立し、その会社の名前で諸外国の土地を買収したり、投資をしたりしているのだ。

 例えば、TPP参加国あるいは参加検討国のうち、中国系住民が多く存在するシンガポール、マレーシア、アメリカに中国人や中国企業が地元籍のダミー会社を設立したらどうなるだろうか。日本とこれらの国々がいずれもTPPに参加することになれば、TPP参加国にあるダミー会社を通じて、中国人や中国企業が日本の森林を買収し、日本の水資源を支配することがより簡単にできるようになってしまう。そうなると、中国人は日本の水を使い放題になる一方、日本人が自国の水資源を利用できず、水不足に苦しむといった事態すら想定される。

 次に農地の問題である。2009年の農地法改正により、農地の賃借が自由化され、外国資本を含む農業生産法人が日本の農地を賃借することができるようになった。

 しかし、TPPにより土地への投資制限が撤廃されれば、TPP参加国の資本が日本の農地を買収することは容易に想定される。特に、アメリカのアグリビジネスが日本の農地を大量に買収することが予想されていて、実際カナダでは、アメリカ、メキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)締結後、農業が全国規模でアメリカのアグリビジネスの支配下に置かれるようになり、その意向に逆らえなくなったという。

 もしアメリカのアグリビジネスが日本の農地を買収した場合、そこでできた作物を日本国内に流通させるとは限らない。アメリカは食糧を戦略物資として捉えており、日本がアメリカと何らかの理由で対立する、あるいは意見を異にするということになれば、日本国内の食糧流通を生産の段階からコントロールすることによって圧力をかけてくるであろう。そうすると、仮にTPPによって自給率がそれほど下がらなかったとしても、農地買収という側面から、日本の食糧安全保障が根底から脅かされることになりかねないのである。
 TPPの24ある作業部会の一つが政府調達に関するものである。

 既存のTPPにも政府調達に関する章があり、内国民待遇と最恵国待遇が各参加国には約束されている。そしてTPP参加国が拡大した場合にも、現在の政府調達に関する原則は維持されると考える。つまり政府調達に関して、ほかのTPP参加国の物品サービスを、日本の物品やサービスと対等に扱うことが義務付けられ、さらにTPP非参加国の物品やサービスよりも不利に扱わないことが義務付けられわけだ。

 さらにTPP参加国への開放への対象となるのは、中央政府に関する調達にとどまらず、地方自治体に関する調達も含まれる。このことは2001年3月9日、松本剛明当時外務副大臣が参議院予算委員会でようやく明らかにした。そして、対象となる調達の基準額であるが、物品およびサービスについては5万SDR(SDRとは「特別引出権」という単位で、5万SDRは(750万円)、建設は500万SDR(7億5000万円)となっている。

 実は、WTOの政府調達協定に基づき、日本はすでに地方自治体を含めて政府調達を一部開放しているが、解放の基準額は高い。具体的には、物品およびサービスについては中央政府で10万SDR(1500万円)、地方自治体で20万SDR(3000万円)である。建設関係コンサルタントのサービスについては、中央政府で45万SDR(6900万円)、地方自治体で150万SDR(2億3000万円)とされ、建設については、中央政府で450万SDR(6億9000万円)、地方自治体で1500万SDR(23億円)とされている。

 このため、日本がTPPに参加し、既存のTPPの政府調達基準がそのまま当てはめられると、特に地方自治体レベルでの公共事業案件で、TPP参加国に開放される基準額が大幅に下がるため、TPP参加国の企業が大量に参入することになりそうだ。そうなると国内の建設業者、特に地方の建設業者が落札してきた公共事業案件がTPP参加国の企業によって落札されるようになり、地方の建設業界が大きな影響を受けることは避けられないだろう。そして地方は農業のみならず公共事業の面でも打撃を受け、疲弊に拍車がかかることが予想される。

 さらに、日本がTPPに参加した場合の政府調達への影響として指摘されているのが、国際競争入札の対象となる案件については英語で作成された必要書類のみを受理しなければならなくなるという可能性である。

 既存のTPPのどこにも、国際競争入札の対象となる案件については必要書類を英語で作成しなければならないとは書いていない。しかし日本において、国際競争入札の対象となる案件の必要書類を日本語のみで受け付けるとなれば、日本語が国際的に使用されている言語ではないため、TPP参加国、特にアメリカの企業から、日本語での書類作成を義務付けることによって実質的に海外の企業を締め出しているという指摘がなされ、英語での書類作成を義務付けられる可能性が十分にある。

 つまり、日本語が非関税障壁だというのである。もし、そのような事態になれば、地方自治体は英語での事務処理に対応できなくなり、地方の建設業者は英語での書類作成ができず、入札から事実上締め出されることになりかねない。

  TPPに関する24の作業部会のうちの一つ、「分野横断的事項」とは、政府の説明によれば、従来の縦割り型の分野別交渉では手当されない複数の分野にまたがる規制や規則が通商上のハードルになって貿易や投資のコストを上げているとの企業の声に応え、TPP交渉において新しい交渉分野として取り上げられたものであり、中小企業にとっても使いやすいFTAを目指すとして、TPP交渉における重要分野の一つとされているとのことである。

 この説明を前提にすれば、中小企業をTPPにより深く関係づけるための作業部会であると捉えることができる。したがって中小企業に対する投資、つまり中小企業の買収を容易にする方策をTPPに盛り込むための作業がこの作業部会で行われていると予想されている。

 ところでアメリカは、2008年の「年次改革要望書」において、三角合併が活用されない理由を分析し、海外投資家が日本の企業をより買収しやすくできるように、M&Aに関連する既存の税制および法制度の体系的な見直しをするよう求めている。アメリカは三角合併を活用し、日本の企業買収を進めたいという意向をもっていることが「年次改革要望書」の内容からうかがえる。

 日本の中小企業は海外投資家から見てどのような魅力があるのだろうか。

 2011年1月、リチウムイオン電池ケースや痛くない注射針の開発で有名な岡野工業株式会社の「代表社員」である岡野雅行氏が、「町工場こそ日本の宝」と題するスピーチを自民党の党大会にて行ったが、その中で岡野氏は、「町工場がしっかり仕事をしているのは世界で5か国」であると指摘した。その5か国のうちの一つが日本である。日本の町工場、つまり中小企業は世界に誇れる技術を多数所有していて、リチウムイオン電池ケースや痛くない注射針はその一部であるというのだ。

 アメリカの意向、日本の状況、TPPの作業部会で中小企業が取り上げられていることを併せて考えると、アメリカは日本がTPPに参加した場合に、日本の中小企業の買収が容易になるような法改正を求め、アメリカ企業等が日本の中小企業を容易に買収できるようにしようとするのではないか。そうなれば、日本が世界に誇る中小企業の技術がアメリカを中心とした海外に流出し、日本の売りである「ものづくり」での優位性が失われることになる。

 現在のTPP賛成派の議論は、日本が生き残るにはTPPに参加して輸出増大の機会を逃さないようにすることしかないというものである。しかしTPPに参加して、日本が誇るべき技術が流出してしまえば何の意味もなくなってしまう。このようなリスクを計算のうえで政府はTPPに参加しようとしているのだろうか。はなはだ疑問である。


61. 2011年10月23日 05:24:19: VeD5VPd3V2

 放送を中心としたメディアも当然サービスの一環であるが、日本は既存のEPA(経済連携協定)においては、メディアを自由化の例外に位置付けている。現在、日本には電波法や放送法上の規制があり、EPAもこのような規制を踏まえているのだ。具体的には、地上放送では、外国人が業務執行役員に就任することや外国人が5分の1以上の議決権を有することが禁じられている。(電波法5条4項)

 また、衛星放送等の委託放送についても同様であって(放送法52条の13第1項)、衛星放送等の受託放送についても代表者を外国人にすることや外国人が役員の3分の1以上を占めること、外国人が3分の1以上の議決権を有することが禁じられている(電波法5条1項)。

 他方、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)では、放送を含むメディアはサービス貿易の一環として扱われている。現在行われている24の作業部会の一つに「サービス(電気通信)」があり、この中でメディアも扱われることになる。アメリカの参加する拡大TPPにおいて、電気通信分野の自由化が要求されることになれば、電波法や放送法上の外国人規制はサービス貿易に対する障壁であると認定されかねない。

 現に、サービス分野の自由化については、自由化の例外分野をリストアップする方式を採ることが予想され、放送分野を例外とする動きはTPPの中では特に顕著ではないことを考えると、この懸念が当たる可能性は高い。つまり、TPP参加国出身の外資のテレビ局が日本に誕生する可能性が濃厚となるのである。

 放送は番組を通じて自国の文化や価値観を伝えることができる。そのため、放送は文化的、政治的なツールとしての価値も高い。フランスがBBCやCNNに対抗してFrance24という放送局を開局したり、中国が国際放送を積極的に展開しようとしているのはその表れである。放送分野の外資への開放は、日本が文化的に外国に乗っ取られることにもつながりかねないと懸念される。

 また、TPPによる電気通信の自由化に伴い、日本の放送局と外資の放送局が対等な条件で放送電波にアクセスできるようにすることが要求されるであろう。そうなると、次に登場するのは電波オークションである。

 電波オークションとは、周波数帯域の利用免許を競売で電気通信事業者に売却して事業を行わせるもので、有限な公共財である電波を有効利用するための手法である。電波オークションについては、国家の財源を増やすために有効であり、公平な競争のためには必要である、といった議論がある一方、オークションで一定の周波数を落札し、放送を維持するためには膨大な費用がかかることも事実だ。イギリスでは、電波オークションを導入した結果、番組の質が下がったという指摘もあるくらいである。

 電波オークションの是非はともかく、TPPは電波オークションの問題にもつながっているという認識はもっておく必要があるだろう。多くのテレビ局が電波オークションに反対しながら、一方でTPPに諸手を挙げて賛成しているのは、何とも皮肉な話である。

 教育もサービスの一環であるが、現在のところ日本が各国と締結している経済連携協定(EPA)では自由化の対象から基本的に除外されている。

 2002年12月、内閣府の総合規制改革会議は、いわゆる構造改革特別区域において株式会社による学校経営の参入を限定的ながら認めることとなった。中等教育では2004年には初めて株式会社立の中学校(朝日塾中学・高校)が開校し、初等教育では2008年に初めての株式会社立小学校(LCA国際小学校)が開校した後、少しずつではあるが株式会社立の学校が開校。現在では日本国内に初等教育・中等教育を合わせて20校程度が存在している。

 TPPでは高いレベルでのサービスの自由化が求められており、参加すれば、教育サービスの提供についても外国資本の参入が認められることになるであろう。現に、TPPに参加するか否かを検討しているフィリピンは、アメリカとの交渉において、TPPに入る場合には教育に関する外資参入規制についての改正が必要であると告げられている。

 そうであるならば、TPPへの参加により、日本においても外国資本が教育分野に参入し、その中には株式会社の形態をとるものが現れる可能性がある。

 ところで、外国資本が参入してきた時に問題となり得るのは教育基本法との関係であろう。特に、第2条5号には教育の目標として、「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」ことが挙げられているが、外国資本の学校でこの目標を達成することができるのかについては、いささか疑問が残る。

 アメリカは、政府と産業界が連携し、日本に向けての情報宣伝活動を強化している。在日米国商工会議所(ACCJ)は、そうした活動の前進基地のような役割を演じていることで知られるが、2011年2月にも「成長に向けた新たな航路への舵取り 日本の指導者への提言」と題する分厚い意見書をまとめている。

 その中では、「教育のあり方」から「税制」「規制と法制度」「労働流動性」「移民政策」まで、日本再生のシナリオを日本人に代わって詳細に描いてくれているのだが、アメリカ政府がそこまで日本再生に情熱を傾けていることを、ほとんどの日本人は気づいていないはずである。一体、その真意はどこにあるのか。

 農業、食の安全、医療、金融・保険、教育、法律・会計サービス、メディア、土地所有、中小企業などの様々な分野について、TPPに参加することによってどのような影響が生じうるのかを分析してきた。この結果見えてきたのは、日本の農業、各種サービス、水資源、技術に至るまで、すべてアメリカにコントロールされる可能性が高くなるということだ。つまり、「TPP参加で日本は日本人のものではなくなる」恐れがあるのである。

 メディアで取り上げられているような「輸出製造業対農業」という単純化された構造からはまったく見えないところに、TPPを利用しようとするアメリカの真の意図が隠されているのである。こうしたアメリカの思惑を押さえたうえで、TPPが日本にとって参加に値する協定かどうかをじっくりと議論する必要があるはずだ。情報収集や徹底的な検証作業なくして国益は守れない。


62. 2011年10月23日 08:31:44: IIzrsqmIno
>>54
>医師会や農協が反対しているのは単に自分たちの利権を死守するためでしょう。

ほんと、こういう単純馬鹿な文章をわざわざ書いて、どういうつもりなんだろうね。
情けなくなるな


63. 2011年10月23日 10:04:19: c5a5du1dDs
これだけは言える。

あの利益追求の医師会がTPP導入に大反対しているという事は、少なくとも医師にとってはTPP導入に旨味がないという事。つまりTPPは医師側にとっては面白くのない制度であるということだ。

TPP導入で今までのように患者を金ズルにできなくなって金が儲からなくなるだろうし、手厚く既得権益が保護されてきた医師の世界も、厳格な国際競争にさらされることで、医師一人一人が今までのように漫然とした態度では生き残れなくなる可能性も高まる。医師会はそれを恐れているのだろう。



64. 2011年10月23日 10:33:47: VeD5VPd3V2

 日本ではほとんど報道されていないが、当初のTPPの参加国「P4」(シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ)のみならず、TPP加盟国を前提とした交渉に参加している国々の間では、実はTPPに反対、あるいは慎重な姿勢を政府に求める動きも活発化している。我々はアメリカの一方的な情報宣伝に飲み込まれることなく、各国の動きにも関心を向け、日本にとって国益や個別の業界の利益を守るうえで協力できる国々や組織との連携プレーを考えるべきではなかろうか。

 何としても、「バスに乗り遅れるな」といったアメリカの扇動的なキャンペーンに安易に乗せられる愚は避けなければならない。行き先や運転手の有無をしっかりと確認してから、乗るか乗らないかを決める必要がある。その観点から言えば、「P4」のなかではニュージーランドにおける動きが特に注目に値しよう。

 ニュージーランド各地では、TPPに対する反対の署名活動やデモ行動がすでに頻繁に展開されている。日本ではなぜか、こうしたTPP交渉参加国で発生している反対運動についての情報がまるで伝わってこない。まさに情報鎖国状態である。開国というならば、まずこうした情報面での開国から先鞭をつけるべきであろう。

 さて、日本では報道されない、そうした反対運動の最前列に立っているのが、「ウェリントンTPP行動グループ」と呼ばれる団体である。彼らの主張には我々日本人も大いに耳を傾けるべきものがある。特筆すべき問題点として、交渉参加国でありながら、同国政府が現在進行中の協議の中身について、議会に対しても国民に対してもまったく情報の公開を拒んでいることが挙げられる。

 建て前上、アメリカ政府はTPPにおいては交渉の透明性を確保すると高らかに宣言している。しかしながら、交渉に参加している国々の消費者や影響を受けるであろうと思われる業界団体に対しては、なぜか詳しい説明も情報の提供も拒んでいるのが現状である。そのため、ウェリントンの反対グループは、TPPは秘密交渉なのか。透明性が確保されていない。いわば交渉のプロセスそのものが非民主的と言わざるを得ないと厳しいアンチTPP活動を続けている。

 ニュージーランドの反対グループは、交渉中のTPPの素案を公開するよう迫っているのであるが、その背景には、TPPがニュージーランドの経済や社会、そして将来の環境を大きく左右するに違いない協定であるため、協定締結によりニュージーランドの国益が損なわれることは是が非でも阻止したい、という極めて当然の発想や危機感があると思われる。

 また、「ニュージーランド看護連盟」も、TPPの協定案をすみやかに公開するよう要請文を政府に出している。というのも、TPPへの加盟によりニュージーランドの医療制度そのものが根底から破壊される恐れがあるからである。

 「ニュージーランド看護連盟」会長のナノ・チュニクリオフ氏は、我々が多くの専門家を交えて検討した結果、TPPの加盟により我が国は独自のアルコール、タバコ、医薬品等の販売に関する規制を撤廃せざるを得なくなる可能性が懸念される。ニュージーランドの国民の健康と安全に責任をもつ医療従事者にとって、自国の安全基準を外国にゆだねるような協定は認めるわけにはいかない。その意味で、我が国の政府が国民に対しTPPのもたらす影響を明らかにしようとしていないのは極めて遺憾である。場合によっては国民の健康を大きく損なうのみならず、我が国の医療保険制度そのものが崩壊し、経済全体が奈落の底に追いやられる可能性すら否定できない」と語る。

 これほど厳しい言葉で、ニュージーランドの看護連盟は政府に対し情報公開を求め、各地でTPP反対運動を展開し始めている。そうした運動の理論面での中心的役割を果たしているのが、オークランド大学のジェーン・ケルシー教授である。

 彼女の専門は国際的な貿易協定。これまでも「政府にとって最も大切な役目は、外圧によって自国の政策を決定する権利を侵されないようにすることだ。たとえ、金融政策上の規制であっても、国民の意思を反映するのが政府の役割であり、海外の金融資本の利益を代弁するような圧力に屈してはならない」と主張してきた。ニュージーランドを代表する民間の’ステークホルダー(広い意味での利害関係者)’としての立場から、これまでのTPP交渉にオブザーバーとして参加し、目を光らせてきた人物である。TPPに関しても多くの著作や発言を通じて、警笛を鳴らしている。

 その彼女曰く「現在我々が見せられているTPPの協定案文は、アメリカの強烈な知的所有権に固執する姿勢を濃厚に反映している。もし、そうした中身が合意されることになれば、ニュージーランドにおける特許や知的財産はアメリカにより、瞬く間に収奪されかねない危険性を秘めていると言える。これまでもアメリカは著作権や特許に関する自国企業の権利のみを最優先する立場を貫いてきている」。

 具体的な問題点として、「現在の協定案文では、加盟する国々の書籍、音楽CD、DVDなどのコピーライトが発生するものに関し、その権利を撤廃ないし緩和することをアメリカは求めている。その一方で、協定加盟国がアメリカにおいて知的所有権の侵害を訴えることができないようにしたり、あるいは違反に対する訴えを厳しく制限したりする条項が織り込まれている。インターネットが急速に拡がり、ウィキリークスに代表されるような内部情報の流出や漏洩の問題も日常的に発生するようになってきた。そうしたネットを通じての知的所有権や知的財産の管理等について、この協定案文においては、アメリカの企業にのみ有利な保護条約が加えられている」というのである。

 さらに驚くべきことに、そうしたアメリカの一方的な利権を擁護する条文案が、アメリカの思惑とは別に、ネット上で流出しているという皮肉な状況も生まれている。

 TPP交渉を間近に捉えてきたケルシー教授自らの経験に加え、こうした内部告発ともいえる情報流出の流れを受け、アメリカが意図する「TPP情報の独占」並びに「自国最優先の知的保護の流れ」を食い止める必要があると、ケルシー教授は主張しているわけだ。

 例えば、たまたま誤って重要な知的情報をネット上に流出させてしまった場合や、あるいは外部からの侵入により情報が漏洩したような場合にも、その損害ないし責任をどのような形で訴え、回収できるのか。そのメカニズムと最終決断を下す機関がアメリカに集中することになるというのは、どう考えても納得できない。

 こうしたケルシー教授の指摘は、日本にとっても聞き捨てならないものであろう。

 また同教授によれば、アメリカは、自分たちの国では海外の情報コンテンツを自由に取引ができるようにしながら、海外の国々がアメリカのソフトや知財を利用する場合にはきっちりと対価を払わせるような一方的仕組みを考えているという。

 これまでのWTOやFTAの交渉においても、知的所有権に関しては一貫して自国の権利を守るアメリカの姿勢は強硬であった。TPPにおいてはこうした路線を踏襲するのみならず、よりいっそう強化しようとする姿勢を示しているようだ。

 この点からも、ニュージーランド政府は独自の知的所有権に関する案文を提出しているようだが、これまでの交渉過程においては、アメリカの強い姿勢に押され、ニュージーランドは自らの主張を貫くことができていない模様だ。もちろん他の国々も交渉に入る前から自国の国内事情や長期的な戦略に基づく協定案文を準備し、事前に提出している。

 しかし、各国が準備した協定案文を比較すれば、アメリカのみが突出して過去のWTOやFTAで合意されていた内容を飛び越え、はるかにアメリカの利益を拡大することのみを重点的に織り込んだ内容で押し切ろうとしているようで、ニュージーランドのみならずTPP交渉参加国の間でも対米不信と不協和音が生じ始めていると言われる。

 アメリカはオーストラリアとの間でFTAを結んでいるが、この2国間協定が必ずしも自国にとって有利な中身になっていないことに、アメリカは不満の意を表している。特に不正防止に関する分野に関しては、オーストラリアとのFTAは不完全なものであったと認識しており、アメリカが被った経済的損失を一挙に取り戻すため、今回のTPPにおいてはアメリカの知財擁護を最大限確保する条文が提案されているわけである。

 ニュージーランドだけでなく、「P4」の参加国、チリにおいても、こうした問題に関しては懸念を表明する識者や団体が数多い。さらには、オーストラリアの市民グループや教会、労働組合などもTPP反対の要請文を貿易大臣に届け、デモ活動を展開している。その理由は、アメリカがオーストラリアの健康、文化、環境政策を貿易障壁とみなし、それらの除去や変更を迫ろうとしているからということだ。具体的には、薬品価格の規制、遺伝子組み換え食品、映画などのメディア作品の保護を問題視している。つまりアメリカは、TPPを通じて公共の利益より企業の私益を優先させようとしている、との批判的見方をしているわけだ。

 ニュージーランドのケルシー教授をはじめ、民間の専門家として、TPP交渉の代表団の一部に加わっているメンバーの間では、アメリカが協定の中身に関して依然として秘密主義を貫いていることに対し、厳しい批判と不満感が渦巻いている。

 毎回、交渉終了後に開催されてきた記者会見、あるいは交渉期間中に開かれたマスコミ向けのブリーフィングなどの場においても、積極的な情報開示が行われていたとはとても思えない。ニュージーランドやチリのみならず、オーストラリアやマレーシア、そしてアメリカから参加した民間のオブザーバーたちは、それぞれの国のTPP反対派や慎重派と見られるグループから寄せられた要望書や反対意見書を協議の場に数多く提出しているが、こうした意見が交渉の場に反映されているとはとても思えないのが残念だという。

 こうした事態を打開するためにも、ケルシー教授などは交渉に参加している政府の代表や民間の有識者に対して、協議の中身をリークするように訴えているのである。

 なぜそこまで協定交渉が秘密裏のうちに進められているのか。交渉のテーブルでどのような取引が行われているのか。我々としても独自の情報収集に取り組む必要があるだろう。

 2011年2月、アメリカのTPP交渉担当者、通商代表部(USTR)副代表バーバラ・ワイゼル氏はニュージーランドが求めた情報開示の要望に対し、拒絶することを明らかにした。曰く、「ニュージーランドで起こっているTPP反対運動は誤った情報によるもので、実際にはこの協定は極めて開かれたものであり、何ら秘密のものではない」。

 しかし、こうした身も蓋もない回答を寄せられても、ニュージーランドの農業や医療、法律など、様々な分野で現実に危機感を抱いているグループは当然のことながら納得できていない。

 それに相前後するように、2010年秋以降、ニュージーランド各地でTPP反対運動が巻き起こっている。外務省や貿易省を取り囲むデモ隊が「民主主義を殺すようなTPPには断固反対。国民に情報を開示しないやり方は認めることができない」といったスローガンを掲げ、市民への関心を呼び起こす運動を展開中だ。

 我が国ではそうしたニュージーランドの動きなど一切報道されていない。大地震で日本人の犠牲者を含む多くの被害が出たことも重要なニュースではあるが、TPPに関するニュージーランドの対応ぶりもニュース価値が高いはず。それを無視するのは、これこそメディアの怠慢ではなかろうか。


65. 2011年10月23日 10:46:26: VeD5VPd3V2
63. 2011年10月23日 10:04:19: c5a5du1dDs
これだけは言える。
あの利益追求の医師会がTPP導入に大反対しているという事は、少なくとも医師にとってはTPP導入に旨味がないという事。つまりTPPは医師側にとっては面白くのない制度であるということだ。

TPP導入で今までのように患者を金ズルにできなくなって金が儲からなくなるだろうし、手厚く既得権益が保護されてきた医師の世界も、厳格な国際競争にさらされることで、医師一人一人が今までのように漫然とした態度では生き残れなくなる可能性も高まる。医師会はそれを恐れているのだろう。

⇒深読みしすぎて、歪曲して捉えていると思う。TPP導入で、「日本の医療崩壊、国民皆保険制度崩壊」で一番困るのは「患者」である「国民」なのだ。この点が最も重要な点である。

 この株式会社の参入に対し、日本医師会は、当然の如く反対論を展開している。その中で、株式会社の医療サービスの参入が「国民皆保険制度の崩壊」につながるとも指摘している。それはなぜか。

公的保険でカバーされる治療は報酬があらかじめ決まっており、利益率はそれほど高くはない。そのため医療サービスを提供する株式会社は、利益の最大化のためには自由診療を積極導入することとなる。それは、医療は自由診療で行えば良いという風潮につながり、公的保険による診療を中心としている病院の経営が立ち行かなくなる。その結果、公的保険は無意味となり、国民皆保険制度は崩壊するというのである。

 東京大学・医学教育国際協力研究センターの北村聖教授曰く「医療は社会共通資本である。市場経済に委ねるべきではない。必要な医療を提供するために経済はどうあるべきか、という視点が重要だ。質の劣る医師が大量に流入した場合、医療の質をどう担保するのか。医療レベルの劣る国の医師は、基礎学力が違うため研修医でも使えないほどだが、給料の安さを生かして、悪貨が良貨を駆逐してしまう恐れがある」。

 そんなことになれば、我が国の医療は崩壊するだろう。実際、英国ではEU諸国から英語のできない医師が大量に流入し、大きな社会問題に発展した。今では英国人以外の医師を法律で排除するようになっている。きめ細かな医療サービスを守るには、質の担保は譲ることのできない条件である。


66. 2011年10月23日 14:22:51: 8S4tam5rgb

 思い起こせば、郵政民営化を推進したのは小泉純一郎内閣であったが、当時は’民営化はニュージーランドに学べ’がスローガンになっていた。ところが実態は、規制緩和と民営化を柱とする構造改革路線によって、日本社会を市場原理主義に基づくアメリカ型社会に変えようとする、まさにアメリカの意を汲んで行った政策であった。

 そして’民でできることは民で’という嵐のもと、ニュージーランドの現実を分析することもないままに、郵政民営化に突き進んでしまったのが、日本の現実である。

 当時、ケルシー教授は「ニュージーランドがたどった、過激で後戻りできない構造改革の進め方は、社会全体に大きな負担をもたらした。それまでの社会システムを脆弱化させ、とりわけ社会的弱者、低所得者、高齢者にとっては、極めて過酷な社会システムにしてしまった。日本はニュージーランドの改革路線、とりわけすべての議論を排した過激な民営化のやり方、その失敗の経験から学ぶべきだ」と警告を発していた。

 実は、日本が小泉ブームの熱風に煽られ、民営化に躍起になっていた時、日本がモデルにしようと思っていたニュージーランドでは、過激な民営化の失敗を認め、すでに民間に売却していた国のインフラ企業である、航空、鉄道、電力などを再度国有化していたのである。外資銀行に売却された郵貯銀行(ポストバンク)もキウィ銀行として再生されていた。

 ケルシー教授によれば、「警告があったにもかかわらず、日本ではニュージーランドの失敗をそのまま踏襲した」という。

 まさに多面的な意見も聞かず、偏った意見に飲み込まれてしまったわけだ。

 TPPに関しては、決して同じ轍を踏まないようにしなければならない。その意味でも、ケルシー教授のアドバイスにはあらためて耳を傾けておく必要がある。

 2010年12月6日、「ニュージーランド・ヘラルド」紙にはケルシー教授をはじめ、同国を代表するオピニオン・リーダー13名が「TPP反対の意見広告」を掲載した。「緑の党」の創立者、大学副学長で経済評論家、オークランドの市議会議員、原住民マウリ党の国会議員、労組幹部など多彩な顔ぶれで、一人一人がTPPの問題点を指摘し、大きな反響を呼んでいる。


67. 2011年10月23日 21:47:38: GVgKlq0aw7
>63 吊し上げが好きだよな。ネオリベは。
厳格な国際競争→生命保険会社や製薬会社に都合にいい不公平な疑似競争。こいつらが患者を金ヅルにだけ。外資が既得権益を奪い取るのが目的。
それにしてもアメリカ工作員が多いことに驚くね。日本を売る奴がたくさんいるんだね。ピットクルーか何か知らんが、お前らも困るんだぞ。

>61 「イギリスでは、電波オークションを導入した結果、番組の質が下がったという指摘もあるくらいである。」

電波オークションをやる前に新自由主義を礼賛し、著しく劣化した日本のテレビ局とは一体何なのであろうか。


68. 2011年10月25日 01:12:38: sgolhP60mA
今の日本の医療保険制度(国民皆保険)はいろいろ問題を持っている。
しかし、少なくともアメリカの状況よりは、はるかにまし。
でも、TPPでほんとに今の制度が根底から覆るのか?

混合診療をなぜ医師会が忌避するか、理解に苦しむ。
_ カネの有無で診療の質が変わるのはいけないと言うが
_ 「地獄の沙汰もカネ次第」も多少はあっても良いと思う
_ 現在でも、カネのあるものは無いものよりはるかに上等の診療を受けている。
_ 要は、保険診療の対象と点数をどう決めるかの問題ではないか


69. 2011年10月25日 12:38:42: pAwMaxnqIE

62さん。

違うと思われるのなら堂々と反論されたらどうですか?
医師会や農協は融資先を通して国際金融財閥とも大いにかかわっているし、

決して国民に見方なんかじゃやないんです。
選挙のときも力を行使していることが多くあると思います。

TPPはそういう既得権益を壊すものではあるけど、
それが国民生活のことを考えた上のものではないことくらいはわかります。

ですから、農協や医師会が加入に反対しているのだけを見て、
国民に味方なんだなと錯覚するのはやめたほうがよいといっているに過ぎません。


70. 2011年10月27日 18:47:53: TvCPCBNJag
69さんの言われた通り、壊すべきものと残すべきものをしっかり見極める必要性があります。本当に。

医師会=白 ではない事は医療従事者であるならば百も承知のはずです。

TPPは日本の現制度を国民一人一人が真剣に見直す良いチャンスだと思います。時既に遅しと言わずに。そして、壊すべきもの残すべきものが見えてきたのなら、ハッキリと声を上げる(多くの人に知ってもらう)事が最重要だと思います。


71. 2011年10月28日 01:21:52: nW9LJ11Pa6
>>51. 2011年10月21日 23:19:54: ezqPTG9DzU
>TPPで安いコメが買えるようになる
安い肉も入ってくる、生活必需品が安くなる
法律家も安く雇える、会計士も安く使うことができる
従業員が多国籍化して会社が活性化する
高度な医療をアメリカまで行かずに受けられるようになる<<

51は、よほど、世間知らずのお子様だね

アメリカは、そんなに甘くない
関税がなくなれば、その分を、海外は、値上げができる

今でも、円高で、120円から75円になれば、

1000万円のものが、1.6倍の1600万円で、販売できている

さらに、関税11%なくなれば、

アメリカの利益は、ウハウハ、、おおもうけだ

その分、関税は日本の国に入らず、年金は、疲弊し、日本は、世界の最貧国となるだろう

日本の国民は、世界一の、貧乏人へ、つきおとされる

TPPで、関税が、なくなれば、アメリカ企業が、その分、おおもうけだ


72. 2011年10月28日 21:36:51: ezqPTG9DzU
痛いところを突かれたからってムキニなってもダメ。
同じ土俵でアメリカと競争すればいい。
既得権益層の日本医師会、日本弁護士連合会、JAは徹底的につぶすべき。
それをアメリカはやろうとしている。
大歓迎。
消費者は全く困らない。日本は最貧国になって当たり前。それだけの力しかないのだから。こっちは全く困らない。
民主党に早くTPP参加するようにメールしておいた。
地元選出の議員にもはっぱ掛けておいた。恐らく近々参加決定がなされるだろう。
これでやっと日本も普通の国になれる。

73. 2011年10月30日 16:55:19: CwIdHLg7KQ
>72 普通の国ってどんな国。 消費者ではなく経団連が困らないだけ。

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