http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/666.html
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日本は敗戦でも天皇制と官僚性という国体は残り、効率的な復興とキャッチアップに成功した。(今は、逆に、巨大な既得権層と結びついて改革を阻害している)
しかしTPPを明治維新や戦後の既得権改革と比較するのは完全な過大評価だ。
多少、経済は効率化するが、根幹となるシステムの硬直性が変わらない限り
良かれ悪しかれ、ほとんど大きな影響は生じないだろう
多くの人々は農業崩壊や、高度サービス業への侵略、三橋などは投資の自由化を恐れているようだが、実際は、生保の自由化を見ればわかるように、多少、国民の利便性が上昇し、余計な保険営業への人的コストが削減できたくらいだ
TPPなど自由化は進めた方が良いのは確かだが、日本経済への影響は残念ながらかなり小さく、
別に政治的な圧力で中止になっても、グローバル企業の海外進出が加速する程度だから、大したダメージはないだろう。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51749459.html
2011年10月18日 09:30
経済
TPPは「第三の開国」か
永田町ではTPPが政局化して大騒ぎになり、ネット上でも「アメリカの陰謀」とかいう話が盛り上がっているらしい。しかし、その急先鋒である中野剛志氏の本を読めばわかるように、この種の陰謀論には具体的な中身がない。
これは日本人が変化を拒むとき、いつも出てくるおなじみのストーリーである。80年代の日米構造協議のときや、小泉政権の郵政民営化のときも「外資が日本を乗っ取る」という陰謀論が騒がれた。歴史的にも、このような抵抗は尊王攘夷など繰り返されてきたが、丸山眞男も指摘するように、むしろ日本の特徴は、こうした外来の制度を受容しても「古層」の部分が驚くほど変わらないことだ。
日本はアジアの端っこで、中国という世界の最先進国から文化を輸入しながら、海で隔てられて平和を守れる恵まれた位置にいた。太平洋の島国のように離れすぎると未開のまま残り、朝鮮半島のように中国に近すぎると併呑されてしまうが、適度に離れた日本は「いいとこどり」ができたのだ。
それを可能にしたのが、丸山のいう「古層」の独特な構造である。儒教や仏教やキリスト教は、それぞれまったく別の世界観であり、どれを選ぶかで宗教戦争が繰り返されてきた。しかし日本は、世界的にみても異例な速度でこうした新しい文化を受容し、土着の文化に取り入れた。それは日本人の同質性や文化的な連続性が高いため、こうした宗教の形を取り入れても中身は「古層」のままだったからだ。
たとえば律令制を取り入れたが中央集権的な官僚制度である科挙は導入せず、実質的には地方豪族の連合という性格を残した。仏教は輸入したが、その経典は漢文のまま読み上げられる呪文になり、教義は「神仏習合」して土着文化とごちゃ混ぜになってしまった。明治以降に西洋の文化を取り入れたときも、憲法などの形はまねたが、実質的には地主の割拠的な支配が残った。
こうした構造が根こそぎ変えられそうになった最大の危機は敗戦だった。地主も財閥も解体され、それに寄生する政治家も追放されたが、結果的には「古層」は生き残った。GHQでさえ、日本的連続性の象徴である天皇制を廃止することはできなかった。戦後の急速な成長は、「古層」に新しい技術を接ぎ木することによって可能になった。それは先進国をまねることに適した構造なので、手本が中国からアメリカに変わっただけだ。
だから、まねるべき手本がなくなった今は日本の史上最大の危機といってもよい。経産省が「第三の開国」としてTPPを推進しようとする気持ちもわかるが、ニューズウィークにも書いたように、よくも悪くもTPPはそんなに大きな変化はもたらさない。日本はもはや輸出大国ではなく、開放すべき障壁も(産業としては意味のない)農業分野ぐらいしか残っていないからだ。アジアの市場開放は重要だが、TPPには資本自由化は含まれていない。
GHQでさえ変えられなかった日本的構造が、TPPぐらいで変わる可能性はない。カーネマン的にいえば、この「古層」はシステム1の最深部のhard-wiredのレイヤーであり、10年や20年で変わるはずがないし、変えることが望ましいかどうかもわからない。おそらく、これを前提にしてシステム2のレイヤーをどう変えるかを考えるしかないのだろう。
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