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ストレステスト合格の巨大銀行が,あっという間に破綻。
欧州銀行のストレステストの信用度は,アメリカ格付け機関の信用と足並みを揃えた?
暗闇迫る世界金融システムの中で,次に破綻する銀行は?
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=ap3kbMGq3_II
10月14日(ブルームバーグ):ベルギー・フランス系銀行のデクシアがストレステスト(健全性審査)に余裕で合格したと欧州銀行監督機構(EBA)が明らかにしたのはわずか3カ月弱前。7月15日のデクシアの発表文には「2011年の欧州連合(EU)ストレステストの結果:デクシアは増資の必要なし」という見出しが掲げられていた。
健全性のお墨付きを得てから86日後の先週末、デクシアは破綻回避に向け、政府の救済を受け入れた。誰も驚く人はいなかったし、驚く必要もなかった。
1年前にアイルランド銀行とアライド・アイリッシュ銀行が合格直後に崩壊していることからもわかるように、ストレステストは茶番にすぎない。今回も一握りのどうでもいい銀行が不合格になるようルールはねじ曲げられた。注意を払っていた人なら誰でもわかっていたことだ。
それでもEUの銀行監督当局であるEBAは、茶番を続けた。昨年と同様、どこかの大手銀行が合格直後に崩壊し、関係者全員が恥をかくことになるのは恐らくわかっているはずだ。だからこそ「なぜ」という重大な疑問が生じてくる。
なぜ、誇りある規制当局者がこのような自らの名声を踏みにじるような自殺行為に参画するのか。問題は広範囲に及ぶ腐敗なのか、それとも愚行なのか。恐らく両方だろう。EBAと比べると米国の規制当局さえ良く見えてくるぐらいだから、やろう思ってもなかなかできることではない。
貸借対照表
EU21カ国の銀行90行を対象とするストレステストで使われた、デクシアの昨年末時点の貸借対照表を分析してみよう。デクシアの有形普通株主資本は67億ユーロ(約7100億円)、有形資産は5645億ユーロだった(どちらの数字にものれん代など無形資産は含まれていない)。これに基づくと自己資本比率は1.18%となり、デクシアは将来の損失を吸収できる有形自己資本がほとんどなかったということになる。
だが、デクシアが公表した自己資本比率は12.1%だった。これは、EBAが狭義の中核的自己資本(コアTier1)と定義付ける同行の170億ユーロの資本などに基づいている。
デクシアは、大部分の資産や、ギリシャ国債などの不良資産の何十億ユーロにも及ぶ累積損失を除外することによって、この比率を算出した。比率の分母が小さくなり分子が大きくなった結果、デクシアは見かけ上は欧州で最も安全な銀行の一つになった。
「悪いシナリオ」
デクシアの算定を基準にして、EBAは「悪いシナリオ」の下では、2012年のデクシアのコアTier1比率は10.4 %に低下するという寛大な試算を示した。
ここで得られた教訓は、欧州かそうでない地域か、ストレスの有る無しなどに関わらず、規制当局の資本関連の指標は全く信用できないということだ(シティグループは08年に2度目の米政府の救済を受けた時、「十分な資本がある」と分類されていた)。この教訓を世界はとうの昔に学んだはずだが、今でも学び直している。
ある意味、これだけ大失敗を犯したことで、EBAは人の役に立てたのかもしれない。一つの明確な評価基準ができたため、次に懸念すべき欧州の銀行を見極めるには、自己資本比率がデクシアと同じぐらいかどうかを調べればよくなった。
例えば、ブルームバーグのデータによると、今年のストレステストに合格した欧州銀行のうち、昨年末時点のコアTier1比率が10%以上、有形普通株主資本が2%未満だった銀行は4行だった。その4行とは、フランスのクレディ・アグリコル、ドイツのコメルツ銀行、ランデスバンク・ベルリン、ドイツ銀行だった。
コアTier1比率1位
もっと大きなサンプルが欲しければ、ここをクリックし、イタリアの銀行インテサ・サンパオロが今月6日(デクシアへの政府の介入が間近だとのニュースが伝わった日の翌日)の投資家会議で示したチャートを見てみるとよい。チャートはストレステストの結果を他の20行と比較したものだ。インテサは4位という成績を声高に宣伝し、「悪いシナリオの下ではコアTier1比率は上位に入る」と強調した。どこが1位になったのかというと、ほかでもないデクシアだった。他の欧州の銀行も危なくなったら、少なくとも警告してくれたことに対してインテサに感謝しなければならない。
結論を言えば、欧州の指導者が域内銀行への信頼をさらに損ないたいと思っているなら、過去何年もやり続けてきたことをそのまま続ければいい。過去2回のストレステストと同じような茶番をあと何回か実施すれば、世界金融危機はあっという間に本格的に息を吹き返すだろう。デクシアの解体は序章にすぎない。(ジョナサン・ワイル)
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