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日本では株が長期低落で年金基金は死んでいるが
投資先がインフレ連動債では量的緩和で逆鞘になって、さらに悲惨なことになるな
給付を減らすか、徴収金額を増やすか、税金で補てんするかだが、いずれにせよ
茨の道だ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/25967
2011.10.18(火)
The Economist
年金プランには巨額の不足がある。
年金の穴は大きくなるばかりだ。年金制度が保有する資産の評価額が全体に減り続ける一方で、年金債務はひたすら増加している。その元凶の1つは、景気を回復させるために各国中央銀行が実施している量的緩和(QE)だ。
年金関連の数字には唖然とさせられる。コンサルティング会社マーサーの推計では、米国の最終給与比例方式の企業年金制度の積み立て不足額は9月末時点で5120億ドルに達した。これは第2次世界大戦以降の最高額だ。
企業年金は平均して、積立率(資産の裏付けがある債務の割合)が72%に過ぎず、2010年末の81%から低下している。
英国の年金保護基金(PPF)は10月11日、同基金が保証する各年金の積み立て不足額が9月末時点で合計約1960億ポンドに達したと発表した。これらの年金の平均積立率は約83%だった。
恐ろしいほど大きい公的年金の積み立て不足
これらの数字も、公的年金の積み立て不足に比べると実に小さく見える。 2009年にノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のジョシュア・ラウ氏と当時シカゴ大学ブース経営大学院に所属していたロバート・ノービー・マークス氏は、州および地方政府の年金制度の積み立て不足額を3兆1000億ドルと試算した。
現在の不足額は4兆4000億ドルに達しているとラウ氏は計算している。つまり、この2年間に1兆3000億ドルも増えているわけだ。
誰もがこの数字を認めるわけではない。多くの州では、いまだに保有資産の想定利回り(多くの場合、8%前後)で年金債務を割り引いている。これは大いに疑わしい想定だ。政府機関は、この利回りを達成するしないにかかわらず、年金を払わなければならない。
ここではむしろ、ウォーレン・バフェット氏流の原則を採用すべきだろう。将来誰かにカネを払うという約束が債務でないのなら、それは一体何なのか? そして、債務を借り入れコストで計上しないのなら、それ以外にどのような計上方法があるというのか?
結局のところ、企業は工場を建設するために債券市場から5000万ドルを借りるかもしれないが、借り入れコストよりも高い利益がその工場から期待できるという理由で、5000万ドルより安い価格で債務を計上することはできないのだ。
公的部門の雇用主なら、年金に相当する価値の保証を市場で購入し、そこから生まれる利回りを被雇用者に支払うことで年金の代わりとすることができる。多くの州では年金の保証は法律(場合によっては憲法)で保護されているため、相当する保証とは国債のことだ。
ゆえに国債の利回りこそ、公的部門の年金債務の割引指標として適切だというのが、ラウ氏とノービー・マークス氏の主張だ。
インフレ連動債で年金支給をまかなうイングランド銀行
英中銀1.5%の大幅利下げ、欧州中銀は0.5%下げ
イングランド銀行の量的緩和が年金のコスト増に一役買っている〔AFPBB News〕
イングランド銀行はこの問題を認識している。同行の被雇用者はインフレ率に連動した年金が保証されているので、同行はインフレ連動債を購入することで年金支給をまかなっている。
現在のコストは人件費の55%で、大半の雇用主の積立分をはるかに上回っている。
一部の雇用主は、自社の年金基金への積立額を低く抑え、あとは株式市場が埋め合わせてくれるだろうとの賭けに出ている。こうした雇用者は事実上、従業員に対し、将来の株式市場のパフォーマンスを保証として渡していることになる。これは買おうとしたら非常に高くつくものだ。
奇妙なことに、そのイングランド銀行が、英国のほかの年金のコスト増に一役買っている。量的緩和の目的は債券利回りを引き下げることだ。これが年金債務を増加させている(同じ年金額を支払うのにより多くの原資が必要になるからだ)。
保険業者のペンションズ・コーポレーションは、第1弾の量的緩和で英国内の年金の積み立て不足額が740億ポンド増えたと見積もっている。
規則により、この不足分は10年以内に解消しなければならないと定められており、企業には年間74億ポンドの費用が課せられることになる。これは本来であれば工場を建てたり新規雇用を増やしたりするのに使えたはずの資金だ。
年金基金協会(NAPF)は規制当局との緊急会議の開催を要請している。ここでは拠出金の規則が多少緩和されることが期待される。
同じ問題は、個人年金や確定拠出型年金にも当てはまる。資産市場の不振は、年金基金の積立額の減少を意味する。また、債券利回りが低いと、その積立金から生じる年金給付額も小さくなる。
3年前に退職した人より3割も受給額が少ない
その結果、コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によれば、現時点で退職する英国人が受け取る年金額は、3年前に退職した人よりも30%少なくなるという。
退職時期が迫っている労働者は、低金利への対応として、貯蓄を減らすのではなく、むしろ増やす必要がある。第1の理由として、退職後に希望する収入額を得るために積立額を増やさなければならない。第2の理由は、投資のリターンが小さくなるため、設定した積立額を達成するにはより多くの元本が必要になることだ。
全体で見れば、こうした量的緩和の副作用は、低金利によって借り手にもたらされる救済に比べれば小さな問題だと言えるかもしれない。だとしても、これは不幸な巻き添え被害であり、しかも当局はこれまで、この問題に対する対応策を講じていないのである。
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