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The Economist
危機下での投資:隠れる場所はない
2011.10.17(月)
(英エコノミスト誌 2011年10月15日号)
ここしばらく投資家は恐ろしい状況に耐えてきた。今後も当面、ひどい状況は変わらないだろう。
世界中の貯蓄家に同情する。エコノミストをはじめとするおせっかい焼きは、貯蓄家が積極的にカネを使わないせいで経済が活性化しないと責めている。一方、年金制度は着実に厳しさを増している。ゆとりある老後を送りたければ、貯蓄を控えるのではなく、むしろますます貯蓄する必要がある。
英国では、私的年金の加入者で今年仕事を引退した人は、3年前に引退した人より受給額が30%少なくなる。お金を預ける先を探そうとしても、銀行の救済、ソブリン債務危機、新たな景気後退の可能性といったニュースばかりが目につく。
リスクの大きさを考えると、投資家は大した見返りを与えられていない。多くの先進国では、現金に付く金利は1.5%以下だ。最も流動性が高い国債市場(米国、英国、ドイツ、日本)でも、利回りは2.5%以下だ。いずれの利率も、意図的な政策の一環としてこれほど低く抑えられている。政府や中央銀行は、雇用を生み出せる企業に再び借り入れをしてほしいのだ。
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米国株にもあまり期待できない(写真はニューヨーク証券取引所)〔AFPBB News〕
ここ10年、惨めな状況にある米国の株式さえも、配当利回りは2.1%にすぎない。この水準は歴史的に、今後数年にわたってリターンが小さいことを示唆している。ドットコムバブルの真っ只中にウォール街が得ていた極端に高いバリュエーションの後遺症だ。
貯蓄家にとって危険なのは、期待外れのリターンだけではない。財産が壊滅的な打撃を受ける危険さえある。
第2次世界大戦の直後、英国債の利回りは現在と同等だった。当時、英国債を購入した人は実質ベースで、1974年までにそのカネの4分の3を失った。リスクを取りたがる投資家はもっとひどい目に遭うかもしれない。1989年に日本株を最高値で購入した人は、現在は額面で80%の損失を出している。
水晶玉を磨け
危機の展開をどう読むかによって、投資家の選択は変わってくるだろう。最も望ましい展開は、関係当局が「どうにか切り抜けていく」ことだ。具体的には、欧州のソブリン債務危機を安定させ、先進国の年間成長率を2〜3%まで戻すと同時に、中期的に公的債務を減らす現実的な計画を策定する、ということになる。
しかし、そうした明るい見通しが実現しなかった場合(その可能性は高い)、世界には3つの筋書きが待ち受けている。
1つ目の可能性は、先進国が、恐らく従来以上に大規模な量的緩和によってインフレを誘導し、自国の債務を解消しようとすることだ。2010年から2011年前半にかけてコモディティー(商品)価格が急騰し、G7諸国とブラジル、ロシア、中国(BRICsでもインドは例外)では1年前よりインフレ率が上昇している。
インフレ下では通常、投資家は金を選択すべきとされる。しかし、金の価格が高騰しているうえ、世界経済の減速につれインフレは落ち着いていくと大部分のエコノミストが考えていることから、投資先としての金の魅力は薄い。
2つ目の可能性は、欧州の関係当局が致命的な誤算をし、域内の銀行を十分に支援したり、イタリアやスペインといった経済大国を巻き添え被害から守ったりせずに、ギリシャを無秩序な状態でデフォルト(債務不履行)させてしまうことだ。
これが現実になれば、欧州の域内総生産(GDP)は急減し、世界中の先進国にまで波及しかねない。この筋書きでは、米国債が有利な投資先ということになる。
本誌(英エコノミスト)はあくまで、欧州の政治家がユーロを崩壊させるほど愚かでないと信じている。しかし、やはり才気に欠ける米国の政治家と同じく、欧州の政治家が欧米経済の成長を促すために思い切った対策を講じる可能性は低い。
そこで本誌は、先進国には3つ目の筋書きが待っていると考える。日本型の停滞である。
1980〜90年代に比べて景気後退が頻繁に訪れがちになり、全般的な成長率が鈍化する状況である。そうなれば、先進国が債務を減らすのは非常に難しい。多くの国が、日本が陥ったような債務の罠に陥ることになるだろう。
様々に異なる状況
表面的には、見通しが暗い時は国債が有利と見なされる。景気後退の局面では、一般に国債は良い投資先で、株式投資の平均リターンがマイナス15.3%であるのに対して、国債は平均10.4%のプラスのリターンをもたらしてきた。ただし、これはインフレ率がほとんどゼロの場合だ。
現在の米国はインフレ率が3.8%で、1900年以降の平均が3.1%であることを考えると、投資家にとってリスクは大きい。第2次世界大戦後に英国債の保有者から財産を奪ったのもインフレだった。
インフレへのヘッジとしては株式の方がふさわしい。しかし、米国企業の株式はそれでも割高に見える。過去10年間の利益を平均化した景気循環調整後PER(株価収益率)は、歴史的平均の16.4倍に対して、現在は19.4倍となっている。
平均して米国株よりパフォーマンスが悪かった欧州株の方が魅力的に見える。何しろ、ユーロ圏のPERは11倍だ。しかし、状況が好転する前に悪化する可能性があるという理由から、現金を保有する方がいいと考えることもできる。
もし市場の落ち込みが続けば、株は来年お買い得になるかもしれない。世界的に名の通った企業の一部は既に配当利回りが5%を超える水準で取引されている。多くの大企業が現金をため込み、アジアの持続的な成長の恩恵を得ている。
もっと単純な方法で新興国に賭けるとしたら、中国やインドの株を買うといいだろう。しかしアジアも決して世界的な景気の低迷と無縁ではなく、株式市場はいまだ不透明だ。
現時点では、最善の避難先の多くは社債の中に見つかるはずだ。欧州のハイイールド債は国債より10ポイントも利回りが高い。しかも、現在はデフォルト率が非常に低い。9月までの1年間で、わずか1.9%しかデフォルトしていない。ただし、繰り返しになるが、経済が失速すれば、社債でも値を下げる危険がある。
政治の迷走に終止符を
世界経済から見れば、貯蓄家たちには、朗報を待つのではなく、今すぐ貯め込んだ現金を株式や社債に投じてもらう方がいい。
しかし、欧州にせよ米国にせよ、政治の迷走を目にしている貯蓄家たちが、株式や社債を買いたがたがらないのも理解できる。欧州の政治家はギリシャの危機を解決できず、米国政府は短期的な景気刺激策と長期的な赤字削減策を組み合わせた計画を策定できずにいる。
こうした貯蓄家の反応もまた、政治家にとって、ばらばらな行動に一貫性を持たせるべき理由になる。そうすることで、貯蓄家たちはようやくマットレスの下から現金を取り出し、生産的な資産に投資できるのだ。
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