http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/635.html
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金融危機防止のためだろうと、無制限に中央銀行がマネタリーベースを増やせば、通貨安は起こるし、必ずインフレになるから、そう楽観はできないが、
それでもその方が援助国にとってもトータルでメリットが大きいかどうかの判断になる。
つまり、これまで、より厳しい税負担と社会保障、そして効率化と歳出削減を負ってきた他の地域、特にバブルの恩恵を受けなかった北欧やドイツが、
モラルハザードで楽をしてきた南欧を救うために、さらなる負担とインフレを許容できるかどうかが問われている。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/10/14/014006.php
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
欧州危機は資産査定がカギ
2011/10/14 (金) 14:09
本日の日経のトップ記事は、欧州危機についてです。銀行の資産査定が危機回避の分かれ目になるであろう、と。
確かにそのとおり! 皆さんも、そう思われることでしょう? かつての日本も、不動産バブルの崩壊後、もう少し時間が経てば不動産価格も下げ止まり、そうなれば慌てて不良債権を処理することもなかろう‥なんて淡い期待を抱いて、資産査定をいい加減にした経験があるのです。
まあ、そういうことは、金融機関の関係者なら当然に知っていることですし、だからこそアメリカもリーマンショックの後の金融危機を、ストレステストを経てどうにか乗り切ってきた訳なのです。まあ、アメリカは未だに失業率は9%台と、高止まりしたままではあるのですが、金融危機に関しては、ストレステスト後の資本増強策などが功を奏して、落ち着いた状態になっているのです(但し、中小の金融機関の破たんは続いていますね)。
で、そうした経験を踏まえて、アメリカのガイトナー財務長官は、欧州勢にストレステストの実施を勧め、そして欧州勢もそれを受け入れ、これまでに2度ストレステストを実施しているのです。つまり、形の上では厳格な資産査定を行ってきた、と。
しかし、実際にはどれほどの人々が、欧州が実施したストレステストが厳格なものだと信じていたでしょう?
恐らく、欧州のストレステストの厳格性を最も信じていなかったのは、銀行自身であったと思うのです。何故ならば、ジャンクボンドになってしまったどこかの国の国債を大量に抱えておきながら、決算内容がこの程度で済むことはないと分かっていたからです。少なくても、公表されているよりも、自分たちの銀行の内容は遥かに悪い、ということを認識していたのです。だとすれば、あそこの銀行も、そしてそこの銀行も、決算の内容がそんなにいい筈はない、と。
つまり、疑心暗鬼が絶えなかったのです。で、そうなれば、銀行間でのお金の貸し借りにも当然高いプレミアムがつき‥或いは、噂が噂を呼んで預金者のお金を引き出しが始まるのです。
先日、解体処理が決定されたデクシアは、これまでの2回のストレステストに無事パスしていたのです。つまり、過去に行ったストレステストの信頼性が、このデクシアの破綻でまったく崩壊してしまったとも言えるのです。政治家たちの言うことなど、何も信用はできないというムードが一層強まったでしょう。
いい加減なストレステストでお茶を濁すようなことをしてきたから、こんなことになってしまった。だったらどうするのか? 3回目のストレステストをすべきなのか?
問題は、銀行自身が厳しい資産査定をするかどうかにかかっているのです。つまり、現実を直視する、と。銀行自身が厳しく資産内容を査定し、そして、処理すべき不良債権はこの際思い切って処理をし、そして同時に、資本の増強策を発表するようなことをしなければ、市場の信頼が戻らないことをやっと実感し始めているのです。
ただ、仮に思い切って多額の不良債権を処理したとしても、問題は、どうやって同時に資本を増強し、銀行の体力を維持することができるかということです。多額の不良債権を処理する必要のある銀行の増資に、誰が喜んで応募するというのでしょう?
そうなると、結局、自国の政府を当てにするしかなくなる訳ですが‥本日の日経には、こんなことが書かれているのです。
資産査定を厳しくすれば‥課題が2つ発生する。1つは、個別の金融機関が思い切った不良債権の処理に耐えうる体力があるのか? そして、今1つは、仮に政府が公的支援を行おうとしても、財政難のために対応が困難であるかもしれない、と。
政府が公的資金を投入することは、どこにおいても不人気な政策であるのです。何故、銀行だけを救済するのか、と。しかし、今は公的資金の投入を躊躇している場合ではないのです。幾ら財政赤字が膨らみ、ユーロ加盟国に課せられた制限を守ることができなくなったとしても‥というか、金融危機に対応するための財政出動について、今は例外扱いすべきでしょう。
確かに、対GDPとの比較で、それぞれの国の財政赤字を抑えようという工夫は平時では大切なことと言えるでしょう。でも、それは、よく考えたら、将来のインフレを回避するためのものであるのです。果たして、民間銀行の資本強化を助けるために、政府が国債を発行し、それで得たお金を
各銀行に投入したとして(そして、その結果、対GDP比の債務残高が増加したからといって)インフレにつながることになるのでしょうか?
そんなことにはならないのです。だから、この際、財政赤字のことは別にして、欧州勢は資本増強のために必要とあらば、財政出動した方がいいのです。
経営者の責任追及や給与問題は、切り離して考えればいいのです。
以上
ギリシャの債務削減
2011/10/12 (水) 14:32
ギリシャを支援するために、ギリシャの債務を大幅に削減する案が浮上しています。なんと元本の半分以上、50〜60%も削減してあげよう、と。
どう思います? この話。
ギリシャにとっては、まさに恵みの雨といっていいでしょう。何故ならば借りたお金の半分以上をチャラにしてもらえるからなのです。その一方、お金をギリシャに貸した銀行にとっては本当につらい話です。貸したお金の半分以上が返ってこないなんて。それも、貸した相手が倒産とか、破綻したというのなら分かる訳ですが‥ヨーロッパの政治家は「ギリシャを破綻させることはない」と今でも言っているのです。
破綻もしていない融資先の債権を何故半分以上もチャラにしてあげなければいけないのか? 破綻に至っていない場合には、償還時期を延長したり、金利を引き下げて上げる程度ではないのか?
しかし、どんなにギリシャに強く迫っても、返せないものは返せない! つまり、ギリシャを破綻させることはない、なんて幾ら政治家が言っても、実態としては破綻しているから、債務削減の話が浮上してくるのです。それに、実質的に破綻しているからこそ、IMFが救済に乗り出してもいるのです。
いずれにしても、何故ギリシャは借りたお金をちゃんと返そうとしないのか? 今すぐ全部を返すことはできなくても、幾ら時間がかかってもいいから、借りたものは全部返すべきではないのか? まあ、そんな疑問が生じると思うのです。恐らくギリシャ政府自身も、本当は全額返済することを望んでいるかもしれません。
でも、銀行側があくまでもそういう態度を取るのであれば、ギリシャの国民には途方もない犠牲が強いられることになるでしょう。これまでに実施された増税や年金の引き下げやリストラなどに加え、さらに今までの倍の犠牲を払えなどと言われると、もはや国民の忍耐は限界を超えて、多くの人々が海外へ脱出するかもしれません。もし、そんなことにでもなれば、ギリシャは、本当に国家とて破綻してしまうかもしれません。税収は益々落ち込み、事態は益々悪化するばかりだ、と。
だったら、余り過大な要求をギリシャ国民に求めるよりも実現可能な要求にとどめた方が、銀行側の損失を最小限度に食い止めることになるでしょう。
仮に1億円の借金があるサラリーマンがいたとして、1億円の完済を求めるのと、例えば4千万円ほどに元本を削減してあげるのとでは、どちらの方がより多く回収することができるか?
そのサラリーマンは、1億円と聞いて、そんな借金を返すことなど不可能だと思って自暴自棄になってしまうかもしれません。しかし、返済すべき元本を圧縮してあげると、いずれ完済も可能であると考え、働く気を起こさせる、と。
つまり、銀行側としては、100%要求しても、それは無理だと分かっているから、ある程度の債務削減に応じる訳です。何も慈悲深いから債務を削減してあげるのではなく、計算の上の話であるのです。だから、いろいろなシナリオを考えて100%と0%の間の適当なラインで手を打つことにある訳です。そして、具体的に何パーセントの削減になるかは、全てギリシャの今後の経済や財政の回復の見込み次第であるのです。
まあ、でも、何故そのような決断をもっと先に行わなかったのでしょう?
そのように、ギリシャにお金を貸している銀行側の応分の負担を伴うことなくしては、ギリシャ危機の解決が不可能なこと位予想できたはずなのです。何故、問題を先送りにしてきたのか?
それは、政治家が現実から目を背けたからであるのです。つまり、銀行が債務削減に応じることになれば、金融危機に発展しかねず‥それが怖かったということです。で、その一方で、政治家はIMFを自分たちの都合のいいように利用したのです。
本来であれば、IMFはギリシャの救済に手を出すことはなかったのです。何故ならば、肝心の銀行団の負担が何も決まってもいないのに、ラストリゾートのIMFが先に救済に名乗りを上げることなど、オーソドックスな考えに従えば、ありえないからです。しかし、ヨーロッパの政治家たちは、IMFのトップである専務理事がヨーロッパから輩出されているということもあって、IMFにイージーな対応をさせたのです。
考えれば考えるほど、政治家たちが事態をより混乱させたとしか思えません
ユーロ圏の一員であるギリシャが財政破綻を来したということは、言わば、アメリカ合衆国のカリフォルニア州が破綻したようなものなのです。そのようなときに、アメリカはIMFに助けを求めるのか?
そんなことはあり得ないのです。仮にカリフォルニア州を助けるというのであれば、連邦政府がカリフォルニア州にお金を融通してやればそれで済むからです。そして、連邦政府はいざとなれば、幾らでも連銀にお札を刷らせることができるのです。
ギリシャの場合には、取り敢えずユーロ紙幣を渡せばそれで救済が可能です。そして、そのユーロは欧州中央銀行がどれだけでも印刷が可能ですから、本当はIMFに助けを求める必要もなかったのです。
しかし、ヨーロッパの政治家たちは、そのような判断はしなかった。プロであるIMFに頼んだ方が、
何かと都合がいいと判断したのです。確かに、財政再建のプログラムを作成する知識や経験はIMFが一番持っているとも言えるのですが‥でも、ユーロ圏を作り、ヨーロッパの統一を実現しようとするのであれば、そのくらいのことで外部の支援など仰ぐべきではなかったのです。また、ユーロに加盟している国々も、ユーロの目指す理想を今一度認識しなおすのであれば、自分たちは今やヨーロッパ合衆国なのだという位の認識を持つべきであるのです。
でも、そうはいっても現実には、人々の気持ちはそこまで行ってはいないのです。相変わらず自分の国のことを意識してしまう。だから、何故ギリシャを支援する必要があるのか、なんて発想になってしまうのです。
まあでも、そうやって紆余曲折を経ながら、ヨーロッパ合衆国になっていくのでしょう。
以上
デクシアの解体(ヨーロッパがやるべきこと)
2011/10/11 (火) 13:01
フランス・ベルギー系大手銀行のデクシアが破綻し、解体されることになったと報じられています。ベルギー政府が40億ユーロ(約4200億円)でベルギー部門を国有化、フランス部門は仏政府系金融機関に、ルクセンブルク部門は、カタールの投資ファンドに売却することになりそうだ、と。
因みにデクシアという銀行は、どんな特色があるかと言えば、世界の中央政府や地方政府の発行する債券に多大な投資をしていたのだ、と。日本の地方自治体に対しても融資をしているのだとか。
結局、こういうことになるのですよね。どんなに事態を先送りしたくても、どんなに事態を隠そうとしても、市場関係者にはお見通しだということです。
でも、そうなれば、あのストレステストは何だったのか? アメリカのガイトナー財務長官が、欧州に対し勧告したストレステストは?
アメリカはストレステストを契機に金融危機が回復に向かった。確かに、アメリカでストレステストの結果を発表したときには、各テレビ局がストレステストの結果をお笑いの材料にまでしたほどだったのですが‥でも、それを境に次第に事態は収拾した、と。
その一方、ヨーロッパはどうかといえば、いつになっても疑心暗鬼がなくならないどころか‥では、アメリカとヨーロッパの違いは何か?
それは、アメリカの金融危機への対応は、完全とは言えないまでも損失額を相当程度明確にしたのに、ヨーロッパの場合には、ギリシャなどの不良な貸付先に対する債権を不良債権扱いすることを先延ばししているのです。
「ギリシャを破産させることは決してない」なんて台詞を今でも言い続けている訳なのです。
でも、おかしなことに、破産した国にのみお金を融資するIMFからギリシャは支援を受けているのです。それに、ギリシャにお金を貸しているデクシアのような銀行自身が、ギリシャが今後完済する
ことができるか、大いに疑問を持っているのです。
つまり、幾らストレステストを実施し、ヨーロッパの銀行の資本の傷み具合はそれほど酷いものではないと発表しても‥それによって、預金者や一般の人々を仮に安心させることができたとしても、金融機関関係者を安心させることはできなかったのです。何故ならば、金融機関の関係者自身が、もっとも疑心暗鬼になっているからなのです。
今回デクシアが破綻したきっかけの一つは、大量の預金の流出が起きたことにあると言います。
そして、預金の流出は、どれだけ資本の注入を行っても、疑心暗鬼が解消しない限り起こり得る
ものです。つまり、政治家たちのいうことを、国民があまり信用していないことの証拠であるのです。
今の欧州の金融危機を鎮めるためには、金融機関が保有する不良債権の額を明確にし、そして損失を計上することが先決です。そして、それと同時に、信用不安をこれ以上惹起しないようにするために、資本増強のための財政出動が必要です。
つまり、当然のことながら、膨大なお金が必要になる、と。しかし、今でも欧州の政治家は、インフレを起こさないことを最も重要視しているのです。インフレを起こさないことがユーロの安定と発展にとっては必要不可欠であるから、と。そして、インフレを起こさないことを優先するために、どうしても財政出動にブレーキがかかってしまうのです。
確かに、インフレを起こすような放漫財政は慎むべきでしょう。しかし、政府が民間銀行に資金を注入するために財政資金を注入しても、そうした行為がインフレにつながる可能性は極めて小さいのです。何故ならば、そうやって財政赤字が膨らんだからといっても、それによって、実際に様々なモノやサービスの購入に使われる訳ではないからです。
今のヨーロッパの政治家は、そうした理屈がよく理解できていないのではないでしょうか。そして、単に財政赤字が増えるのを怖がっているだけではないのでしょうか。
しかし、先ずはヨーロッパの銀行の不良債権の額を確定させ、そして、必要とあれば、財政資金を
投入すべきであるのです。そして、そのようにして信用不安を鎮めた後で、財政再建策を考えればいいのです。
金融危機を鎮めるために幾ら財政資金を投入しても、それによってインフレになることはないということをヨーロッパに教えてあげるべきなのです。
以上
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