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【世界経済危機】残された時間はわずか…恐慌崖っぷち 欧州包括策に難題山積
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111016/fnc11101601400003-n1.htm
2011.10.16 01:38 産経新聞
【パリ=田村龍彦】15日閉幕した20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は、危機対応で後手に回る欧州にどれだけプレッシャーをかけられるかが最大の焦点だった。包括的な解決策をまとめるタイムリミットを10月23日のEU(欧州連合)首脳会議に設定したが、欧州の銀行から資産の厳格査定による資本増強に異論が噴出するなど難題山積だ。実効性を伴う解決策を示せなければ、市場の失望を招き、世界経済全体が恐慌の泥沼に引きずり込まれかねない。
「欧州の力強い結束とギリシャの問題解決に向けた具体的な取り組みを促した」
会議終了の会見で、安住淳財務相は、足並みの乱れや後手の対応が目立つ欧州に強くクギを刺したことを明らかにした。一方で、米国のガイトナー財務長官は会見で、「欧州には(解決の)十分な能力がある」と述べ、国際通貨基金(IMF)の拡充に否定的な見解を改めて表明し、欧州を突き放した。日米や新興国としては、「欧州の取り組みを見守るしかない」(交渉筋)のが実情だ。
包括策の最大の柱は、欧州の銀行が破綻し金融危機が世界に連鎖するのを阻止する資本増強だ。
各行が保有するギリシャなどの国債の損失リスクを厳格に査定。これまでより厳しい自己資本比率の基準を設け、未達の銀行には資本増強を事実上強制し、公的資金の注入も辞さない踏み込んだ内容だ。日銀の白川方明総裁も「回を追うごとに(危機への)認識は高まっている」と評価する。
だが、独最大手ドイツ銀行のアッカーマン頭取は14日の米テレビとのインタビューで、「資本の追加だけでは信頼回復に十分ではない。アジアや米国の銀行との公平な競争環境が失われる」と述べ、公然と反旗を翻した。公的資金注入による経営の制約を警戒しているためだ。
市場では「銀行は資本を増やすのではなく、分母の資産を減らそうとする」(アナリスト)と、貸し渋りや貸し剥がしを懸念する声が強まっている。
資本増強に必要な公的資金の確保も課題だ。国際通貨基金(IMF)は欧州銀行の含み損は2千億ユーロ(約20兆円)に上ると推計しているが、厳格査定を行えば、「その倍の約4千億ユーロが必要になる」(野村証券金融経済研究所の木内登英経済調査部長)との見方も出ている。各国の財政が一段と悪化し、国債が格下げされ、銀行の損失がさらに膨らむ「負の連鎖」の恐れが拭えない。
安易な税金投入に対し、“銀行救済”との国民の反発が高まるのも必至だ。実際、米ウォール街で発生した金融機関などに抗議する格差反対デモは全世界に広がり始めている。
「寄り合い所帯によるスピード感の欠如」というユーロ圏の弱点も大きな障害となる。G20の共同声明は「欧州金融安定化基金(EFSF)」の再拡充を要請したが、欧州各国には負担増大への抵抗が強く、合意や承認に時間がかかるのは確実だ。
いくつもハードルを乗り越え、包括策を打ち出せるのか。残された時間はわずかしかない。
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【世界経済危機】包括策、市場失望なら超円高・世界株安が再燃
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111016/fnc11101601360002-n1.htm
2011.10.16 01:35 産経新聞
世界の株式、外国為替市場の関係者も、欧州が打ち出す包括策を固唾をのんで見守っている。足元では、欧州委員会が打ち出した銀行の資本増強策や欧州金融安定化基金の拡充策承認を好感し、株価は持ち直し、ユーロも買い戻されている。だが、包括策に失望すればいっせいに売りに転じ、世界的な株安やユーロ安が再燃。超円高が進み、日本経済に深刻な打撃を与えるだけでなく、世界経済危機の引き金となる恐れがある。
G20が開幕した14日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が166ドル高と急騰し、約2カ月半ぶりの高値水準を回復した。外国為替市場でも円ドル相場が1ドル=77円台、円ユーロ相場も1ユーロ=107円台と円安で推移した。
だが、田中理・第一生命経済研究所主任エコノミストは「(包括策が)玉虫色の決着となり、問題を先送りすれば、市場は再び動揺する」と指摘する。
投資マネーは、損失リスクの高い株式やユーロなどの資産からの逃避姿勢を強めており、「消去法による円買いで再び1ドル=75円台の史上最高値を試す展開になってもおかしくない」(外為ディーラー)。
さらに市場は、「重債務国の国債を持つ銀行の連鎖破綻→お金の流れが凍り付く信用不安拡大→実体経済の停滞→世界同時不況に発展」という2008年のリーマン・ショック再来の最悪シナリオも想定。欧州への警告を発し続けている。
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【世界経済危機】円高是正、一国主義から戦術転換…「他人頼み」成果なし
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111016/fnc11101601330001-n1.htm
2011.10.16 01:30 産経新聞
【パリ=田村龍彦】今回の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日本は歴史的な円高が経済の下振れリスクになっていることを訴えた。最近の国際会議でひたすら円高是正への理解を求めてきたが、欧州問題で埋没。今回は円高の一因となっている欧州に債務・金融危機の早期解決を強く求める戦術に転換した。ただ、当事者の欧州が解決につまずけば、円高がさらに加速するのは必至で、円高是正の具体的な成果を挙げられなかったのが実情だ。
「残念ながら(円高は)相対的な問題だ。欧州は今の状況だし、米国も失業率が下がらず、堅調な回復を示しているわけではない」
安住淳財務相は14日の会議後、円高是正への積極的な賛同を得られなかったことを率直に認めた。
欧州危機でリスク回避姿勢を強めた投資マネーはユーロから逃げ出し、景気の二番底リスクが拭えない米国のドルも敬遠され、消去法で円が買われている。
円ドル相場は1ドル=77円台、円ユーロ相場も1ユーロ=107円台で推移。自動車や電機など輸出企業の想定レートとは大きく乖離(かいり)しており、業績を圧迫。東日本大震災からの復興を目指す日本経済の足かせになっている。
今回の共同声明には「為替相場の過度な変動」への懸念が盛り込まれる見通しだ。ただ、これは9月に仏マルセイユで開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議やワシントンでのG20会議でも確認された内容で、具体的な進展がなかったことを象徴している。
これまで日本は円高による日本経済の悪化が世界経済に悪影響を与えるという観点から各国に協調を呼びかけた。しかし、欧米は輸出に有利なドル安やユーロ安を容認しており、理解は得られなかった。
このため、今回は自国の都合だけを主張する“一国平和主義”を捨て、「欧州の安定が円高に歯止めをかける」(安住財務相)として、欧州問題の解決が最重要との認識を示す戦術に転換した。
日銀の白川方明総裁も「(欧州などの)世界経済の不確実性の増大が円高の形で表れており、不確実性を減らす努力が最大の円高対策」と援護射撃した。
だが、会議では新興国が投資マネーの流出による自国通貨の急落を受け、欧州批判を強めるなど、自国の利害を主張し合う一国主義がむしろ強まった。
日本が“優等生”になったところで、米国と欧州の経済情勢が円高の根本原因となっているだけに、「他人頼み」の状況は変わっていない。
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