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欧州危機 超円高・デフレ是正のチャンスに
欧州ではギリシャ債務危機がイタリアなどに飛び火しつつあり、世界金融恐慌へと発展しかねない。そのあおりで、日本は超円高とデフレが止まらない。だが、悲観することはない。日本は欧州危機を、円高の流れを止め、日本再生のチャンスに変えられるのだ。
■韓国・ユーロ圏に資金提供
最近の円高は欧州危機に端を発しており、円相場はドルに対して比較的に落ち着いている半面で、ユーロや韓国ウォンや中国、ブラジルなど新興国通貨に対して高くなっている。欧州に基盤を持つ欧米の銀行がドル建て債務の決済に迫られ、ドル資金調達のために新興国などから融資債権を急速な勢いで引き揚げているからだ。
このため、韓国ではウォン相場が急落するばかりではない。一挙に外貨危機に陥った。ウォン安政策をとって、円高に苦しむ日本企業との競争で優位に立ってきた韓国だが、いかにも行き過ぎた。そこで韓国の浦項製鉄所は10月初め、日本で円建て債の発行準備に取りかかった。調達された円資金は韓国内でウォンに換えられるので、円はウォンに対して安くなる要因になる。
この際、日本政府は韓国に大々的に円資金を提供することで、恩を売ると同時に円を売らせるように仕向けられる。外国為替市場での円売り・ウォン買いでも、民間による円建て融資でもよい。外貨流出で窮地に立つ韓国はこの際、日本のおカネにすがるしかないはずである。
ユーロ圏の金融機関に対しても、円資金を融通すればよい。円資金のおかげで、在欧州の欧米銀行は信用不安を和らげられる。信用不安の連鎖による世界金融恐慌の防止にも役立ち、日本は国際金融界で存在感を高められるだろう。何よりも、二大国際通貨に対して円高の進行を止められる効果が見込める。欧州に流れ込んだ円資金は外為市場で売られ、ユーロやドルが買われるからだ。
ここで注意すべきは、どの円資金を提供するか、である。円資金には3通りある。1つは財務省が政府短期証券(FB)を発行して民間金融機関から調達し、外貨資産を買う、従来の外為市場介入方式である。2つ目は、民間金融機関が直接、投融資する。3つ目は、日銀が円資金を発行してユーロ債を買う。この際、財務省の従来方式は適用すべきではない。これは、実質的には民間貯蓄を損失リスクの大きいユーロ建て資産に換える操作であり、日本政府の債務を膨らませる。ならば、3つ目の日銀資金によるユーロ資産買いに徹することだ。日銀は円を刷って欧州連合が設定した欧州金融安定基金の発行債券を大量に買えばよい。
■増税路線撤回と量的緩和
ここで障害になるのが、財務省・日銀と経済・金融に無知な野田佳彦政権である。財務省は欧州金融安定基金債の購入に踏み切ったが、財源は手持ちのドル資金かFB発行である。ドル提供では、円高是正効果は見込めない。FBだと政府債務を増やすし、国民の貯蓄が国内で使われずに、為替差損リスクを被る最悪の選択である。
それでも、円資金活用だけでは、超円高の流れを逆転させられるには、不十分かもしれない。現在の円高は、世界最大の債権国、つまり貯蓄大国としてのゆとりがあるにもかかわらず、東日本大震災からの復興には増税で対応しようとする日本に対し、米欧の投資ファンドは円資産が世界でもっとも安全だと評価し、日本国債を買っているから起きている。円資産はしかも、デフレ経済のもとで実質的な利回りが先進国では最高水準に達している。消費を萎縮(いしゅく)させてデフレを悪化させる増税こそが超円高の底流にある。
欧州危機と米国の景気二番底不安、それに中国など新興国もすでに金融引き締め策に転じている。そこに日本のデフレ増税が重なると、世界的な株式・金融市場の不安はいよいよ増幅する。
ここで日本がとるべき政策は明らかだ。まず、政府が増税路線を撤回する。そして日銀が欧州危機対応と復興債買い取りのために、量的緩和(お札発行を継続的に増やすこと)政策に踏み切る。そうすれば、円高是正の見通しが立つと同時に、世界の金融不安は和らぎ、復興財源も確保できる。(田村秀男)
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