http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/593.html
Tweet |
現状の人口構成や生産力、コスト構造などが続くという前提で、
既に支払っている金額に、上乗せする金額の話らしいな
何となく見積もりが甘い感じがあるし、既に50兆円以上の歳入欠陥だ
そして結局、消費税増税の話になりそうな予感が。。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110920/222708/?ST=top&rt=nocnt
国民の誰もが医・食・住を保障される国づくり
生きる不安を取り除くことが新しい社会インフラ
波頭 亮 【プロフィール】
2011年10月14日(金)
前回までの本コラムで、日本は人口的にも経済的にも成熟社会に入ったことと、だからこそ従来型の景気対策や様々な経済政策がたいした効果をもたらし得なかったことを説明してきた。そして、ダムや道路を造ったり強引に金融緩和をしたりするよりは、医療や介護サービスを充実させる政策をとった方が経済活性化に有効であると提案した。
新しい国家ビジョンの必要性
しかし、我が国がこれから本格的な成熟社会に入っていくに当たって、「医療・介護産業を充実させましょう」という政策だけでは不十分だと考えている。これから迎える成熟社会は高齢化比率の高さにおいても、人口減少のスピードにおいても、歴史上これまでどの国も経験したことのない未曾有の事態なのである。毎年人口がどんどん減っていき、老人だけが今後30年以上も増え続ける事態がもたらすインパクトは、かつてのバブルの崩壊やリーマンショック以上であり、人々のライフスタイルや経済の仕組みを根本的に変えてしまうであろう。
そうした事態を迎えるに際して、そもそもどういう社会を作り上げるべきなのか、その社会の中で人々はどういう生活を営んでいけばよいのかという、国家ビジョン/社会ビジョンを描き出さなければならない。
80年代までは通用した “一億総中流社会”を築き上げる方法論――公共事業で産業インフラを整備して経済のパイを拡大し、経済成長がもたらす配当を国民全員に分配する――は完全に過去のものである。
成熟期に入ったら、成長期だったからこそ成立した政策もライフスタイルも通用しなくなると覚悟しなければならない。
では、どういう国家ビジョンを描き、どういう政策を実施し、どういう社会でどういう生活を営んでいけばよいのか? これらについて「成熟日本のアジェンダ」として提起していこう。
「国民全員に医・食・住を保障する」という社会インフラ
そもそも国家の使命とは、国民に安心・安全で豊かな生活を提供することである。それは成長期も成熟期も変わらない。そのために国は税金を集め、そのカネで社会インフラを整え、公共サービスを行い、法律や制度を制定して世の中を回しているのである。
では人口も経済も成熟した社会において、国民に安心・安全な生活を提供するために国家は何をすればよいのか。
その答えを端的に言うと「国民全員に、医・食・住を保障すること」である。
人が生活の中で最も深刻な不安を感じるのは、食べることの不安、住むことの不安、病気になった場合の不安、そして老いて介護が必要になった場合の不安である。逆に言えば、もし失業しても、病気になっても、食べること、住むこと、そして病院にかかることが、国民全員に保障されていたならば、どれほど安心して人生を送ることができるだろうか。
医・食・住が国家によって保障されていれば、人はこの国で安心して生まれ、育ち、働き、老後を送ることができる。国民がこの国で安心して人生を送っていくための「医・食・住の保障」というサービスを提供することこそが、これからの時代に求められる公共財であり、新しいタイプの社会インフラだということができる。
「医・食・住の保障」という社会インフラは国民の生活を豊かにするという目的に対して、経済の面でも国民の満足度の面でも、これまで行ってきた産業インフラへの投資よりも明らかに効果が大きい。経済成長を通して国民の生活を豊かにするという方法論が効力を失った成熟社会においては、手元にある経済資源を産業インフラの整備に投入するのではなく、国民の医・食・住を保障するために使う方が合理的である。
成熟日本が目指すべき国家ビジョンとして「国民の誰もが医・食・住を保障される国家」を掲げて、その実現のためにお金の集め方と使い方を変え、新しい社会インフラ/公共財として整備していくべきなのである。
しかし今でさえ年金は破綻の危機が議論されている。医療保健の赤字が心配され、子供手当てですら1年で打ち切りになったほどに財政状態が悪化している。このような時に、国民全員に医・食・住を保障することが本当にできるのか、信じ難いと考える向きも多いと思う。
5兆円あれば、医療も介護もタダになる
まず、どれくらいの費用が必要になるのか試算してみよう。
まず「医」について。現在の日本の医療費は年間約34兆円である。この金額は莫大ではあるが、実はそのうちの86%はわれわれ国民が支払っている社会保険料と税金で既にカバーされている。残り14%の4.9兆円(注:概数化による誤差あり。以下、同)足らずの財源さえ用意すれば、現行の医療サービスはすべてタダで受けられるようになる。
同様に「介護」を見てみよう。現在の総介護費用は7.2兆円である。こちらも約9割は介護保険と税金によってカバーされている。従って医療費の場合と同様に、あと7000億円の財源さえ手当てすれば利用者の負担は無料になる。
このように、国民の最大の不安の種である医療と介護を完全に無料化するために追加的に必要となるコストは合計5.6兆円で済むのである。
9.6兆円あれば、貧しい家庭の生活を保障できる
次に「食」と「住」を保障する生活保障についてみてみよう。
現在生活保障の対象となる家計として、相対的貧困者世帯(その世帯の収入が、国民の平均年収の半分に満たない水準=年収114万円以下の世帯)が720万世帯存在する。別のデータで見ると、現在生活保護手当てを受給している約200万世帯は、生活保護手当てを受ける条件を満たしている人たちの2割にすぎないと言われている。従って生活保護を必要としている所得水準の家計は、実際には約1000万世帯程度存在する。そのうち約800万世帯は生活保護を受けられる水準の所得しか得ていないにもかかわらず、生活保護手当ての支給を受けていないことになる。こうしてみると、現状では720万世帯〜800万世帯が貧困状態にあり、この世帯に対して生活を営むための手当てを支給すれば、日本の全世帯に対して食べることと住むことの保障ができることになる。
現状では生活保護手当てを受けていない800万世帯に対して月額10万円ずつ支給するために必要な金額は9.6兆円である。もちろん月額10万円の追加では楽な生活は難しいかもしれない。だが、毎月10万円の支給があれば、最低でも年収120万円にはなる。生活保護手当てを受けていない今の状態でも何とかしのいでいることを考えると、少なくとも相対的貧困者世帯に入ることはなく、生活の不安は随分と薄らぐことであろう。
15兆円あれば、国民全員に医・食・住を保障できる
以上が「国民全員に医・食・住を保障するという公共財」を整備するための主要な項目である。医療と介護を無料にするためのコストが5.6兆円、生活保障を十分な水準に整えるためのコストが9.6兆円、合わせて15.2兆円である。
この15.2兆円という金額を意外に小さいと見るか、大きすぎてとても賄えないと見るかは、人によって判断が異なるかもしれない。私は「これくらいの金額であれば簡単に捻出できる」という立場である。
次回は15.2兆円という金額をどのように捻出すればよいのか、その財源について説明する。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。