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「経済成長のために覚悟を持って財政健全化に取り組む」。
これは、12日午前、経団連の米倉弘昌会長と懇談した際に、安住「素人財務相」が語った言葉である。これは、南欧の債務問題が経済に悪影響を及ぼしている現状を踏まえた発言だったと報じられている。
尤もらしい解説が加えられているが、正に「素人財務相」の面目躍如といったところ。「素人財務相」は、経済が「非可逆反応」で成り立っていることを全く理解していない。ギリシャを筆頭とした南欧諸国の「放漫財政」によって引き起こされた債務危機は、単純に緊縮財政政策をとっても元には戻らない。これは、ユーロ崩壊の危機が叫ばれている今、ユーロを単純に廃止しても欧州がユーロ発足前の状態には戻らないのと同じ理屈で素人でも分かること。
さらに、財政の非効率さはあったにせよ、日本の財政赤字の根本的な原因は、ギリシャなどと異なり「放漫財政」ではなく、「名目GDPの減少」である。「素人財務相」は、財政赤字の拡大の原因を、各国の状況の違いに関わらず「放漫財政」であると決めつけてしまっている。この想像力の乏しさこそ日本の「名目GDP減少」をもたらす要因でもある。
11日に内閣府が発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は、地デジ特需の反動減と円高懸念が鮮明となったことで前月比2.0ポイント低下の45.3と2カ月連続で悪化、2〜3カ月先の先行き判断指数も0.7ポイント低下の46.4と、こちらは3カ月連続での悪化となった。
街角景気が悪化傾向を鮮明にする中、内閣府は、「円高の影響もあり、持ち直しのテンポが緩やかになっている」と円高の悪影響を表す文言を加えたものの、依然として景気が回復基調にあるとの認識を維持しており、国民生活と政府の判断に大きなギャップが生じて来ている。こうしたギャップが生じるのは、政府が調査結果を「結論ありきの歪んだ目」で見ていることによるもの。
経団連との懇談で「素人財務相」は、消費税引上げの関連法案について「来年、税と社会保障の一体改革と合せて必ず(国会に)出す」と語り、財政の健全化に向けて2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げるとしている消費増税の実現への強い意欲を示した。
日本では、経済が「非可逆反応」で成り立っていることすら理解していない知識不足の「素人財務相」に象徴される「素人内閣」の暴走により、財政悪化の原因を「放漫財政」であるかのように誤診をされた上、「結論ありきの歪んだ目」によって現状認識は捏造され、消費税にとても耐えられない状況にあるにも拘わらず「消費税増税による財政健全化」を課すという、悪夢のような政治が行われようとしている。
しかも「社会保障と税の一体改革」を謳っている「素人内閣」は、消費税の10%までの引上げと同時に「年金支給年齢を68〜70歳に引き上げる」ことも検討している。消費税引上げることによって、予定通り年金給付が出来るようになるのであれば、名目GDPが減少する中、百歩譲って「社会保障と税の一体改革」に伴う増税は許容されるかもしれない。しかし、消費税を引上げても年金給付年齢が引き上がるのであれば、「社会保障と税の一体改革」というのは「政治的詐欺」でしかない。
足下の経済は、海外展開によって「雇用の輸出」が可能な一部の大企業を除いて非常に厳しい状況にある。こうした経済状況下で、「素人内閣」は景気悪化と雇用不安に襲われている国民に増税を強いる一方、景況感が唯一改善している大企業に対して「消費税増税を財源とした法人税減税」「内容が定かでないTPPへの参加」という貢物を献上しようと躍起になっている。
こうした偏った政策がとられる限り、遠くない将来の「日本のギリシャ化」は避けられない。しかもそれは、国民が「放漫財政による宴」を楽しむことなく、「増税による苦痛」を散々味わわされた後の「ギリシャ化」である。日本を「将来への夢を持てない国」にしないためにも、「結論ありき」の政治から今すぐ脱却しなければならない。一度「将来への夢を持てない国」になり下がってしまえば、そこから這い上がるのは至難の業である。経済は「非可逆反」であることを忘れてはならない。
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- Re: 迫り来る「日本のギリシャ化」・・ギリシャ的放漫ではない「名目GDPの減少」のギリシャ化である。 ぺぇるぎゅんと 2011/10/13 19:22:34
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