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“キリギリスの国”ギリシャ…デフォルトは必然か
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20111012/ecn1110120851001-n1.htm
2011.10.12 森岡英樹の金融スクープ :夕刊フジ
ユーロのギリシャ救済劇はイソップ物語の「蟻とキリギリス」を想起させる。暑い夏、冬に備えて額に汗して働き、せっせと食べ物を蓄える蟻。一方、キリギリスは蟻を嘲笑し、暑い日中は昼寝、涼しい夕刻に得意のバイオリンを弾き、毎夜、演奏会に興じる。
しかし、そうしたときは長くは続かない。秋は深まり、寒い冬が訪れる。食べ物がなくなったキリギリスは蟻に助けを求めるが、蟻は拒絶し、キリギリスは死ぬ。さしずめ蟻はドイツ、キリギリスはギリシャであろう。イソップ物語のように、冬はすぐそこまで近づいている。
ギリシャの窮状は起こるべくして起こったというのが素直な見方であろう。社会主義政権が長く続き、「できるだけ早くリタイアして年金生活を送るのが夢という国柄、公共部門の過剰人員は25%に達する」(エコノミスト)と指摘される。労働者の4人に1人が公務員で占められ、53歳から年金が支給されるなど、財政が行き詰まるのは時間の問題であった。
だが、ギリシャ危機はイソップ物語のようにキリギリスが死ねば片付く問題ではなくなっている。通貨は統一されたものの、財政政策は国ごとにバラバラという、ユーロがはらむ「構造的な問題」を浮き彫りにした。その意味でギリシャ危機は、ユーロが財政面を含むさらなる統合へと向かうための「生みの苦しみ」かもしれない。
グローバル化した金融市場を通じて危機は世界に波及する。ギリシャへの処方箋を誤れば、ユーロ発の世界恐慌の可能性すら指摘されている。はたしてギリシャの財政はサステナブル(持続可能)なのか。ギリシャに対し、ユーロはEU(欧州連合)、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)三者の「トロイカ体制」で財政の抜本的な改革を促しているが、政治的な思惑も絡み出口は容易なことではない。ギリシャのパパンドレウ政権は、9月21日の閣議で公務員の3万人の削減や年金支給額の削減を決めたが、ストやデモの多発など社会状況は深刻の度を深めている。
一方、市場は限りなくギリシャのデフォルト(債務不履行)を織り込みつつある。デフォルトの定義が難しいが、少なくともギリシャは外科的な手術が必要で、「債務の減免措置」という名のデフォルトが水面下で模索されている。欧州の金融機関は2020年までに期限を迎えるギリシャ国債について21%の債務削減に応じたが、市場は少なくとも5割超のヘアカット(債務減免)が不可欠とみている。
問題は、他の南欧諸国へのドミノ連鎖の可能性と、欧州銀など金融機関への影響にある。このため欧州金融安定基金(EFSF)の拡充を通じて、ユーロ圏金融機関への資本増強、融資金利引き下げ、期間延長など、予防的な環境整備を急いでいる。ギリシャデフォルトの影響が他に波及しないよう「防火壁」を構築するようなものである。それが整ったところで、ギリシャは「秩序だったデフォルト」に踏み込むのか。歴史上、最初にデフォルトしたのは紀元前377年、他ならぬギリシャであった。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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