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独仏首脳が銀行支援策の策定を公約し、ギリシャをユーロ圏内に維持する姿勢をあらためて示したことに加え、ベルギーとフランス両国政府が危機に陥った金融機関デクシアを、所謂「バッドバンク」を設立して支援することを決定したことを受け、金融市場ではユーロが買い戻され、株式市場も反発局面に入って来た。
これまでの欧州政策当局の対応は、金融市場の流動性危機を回避するものが中心であった。そこに今回「バッドバンク設立」という具体的な支援策が打ち出され新しい局面に入ったことを金融市場が好感した格好。しかし、今回の「バッドバンク設立」はギリシャ危機が解決に向けて動き出したことを示すと同時に、今後金融市場がユーロ財政危機解決に向けて「ルビコン川を渡った」ことを意味するものでもある
ギリシャのデフォルト(所謂ヘアカット:債務減免)がいよいよ間近に迫ったということである。ドイツのDPA通信は、ユーロ圏の財務相らは最大60%のギリシャ国債のヘアカットを協議していると報じた。これは、ギリシャの債務減免幅が7月にまとまった救済案での21%よりも大きくなる可能性があることを示唆するもの。
大手格付け会社はギリシャのヘアカットについて「民間債券保有者が信用損失を被ることは今や事実上確実だ。債務交換が実施された場合その時点で、ムーディーズはこれをギリシャ政府が公的債務でデフォルトしたと判断する」という立場をとっており、政治的に「秩序あるデフォルト」という表現を用いて「私的整理」を装っても、CDS等金融取引においてはイベント条項によって「デフォルト」と定義される可能性は高い(通常「私的整理」はイベント条項に抵触しない)。
さらにギリシャ国債を大量に保有するECBは大幅なヘアカットに反対しており、ギリシャの「秩序あるデフォルト」は、CDS取引を通しての金融市場の混乱と共に、中央銀行の財務内容の悪化という、金融市場がこれまで経験したことのない事態に直面する可能性を秘めたものである。
また、政府が銀行支援策を強めれば、金融危機を回避することは出来るが、同時に支援国が格下げ圧力に晒されることで、新たなソブリンリスクを生むものでもある。これは、財政危機に陥った国が、緊縮財政政策を余儀なくされることでさらなる財政悪化を招くというジレンマに陥っていることと同様の構図である。
デクシアの「バッドバンク設立」による解体は、欧州財政危機が「ルビコン川を渡った」ことを示すものである。しかし、これは問題が解決し市場が安定化に向かうということではなく、今後金融市場は「未知との遭遇」による不確実性を増す局面を迎えると考えるべきである。解決までの道のりはまだ遠く、険しい。(近藤駿介/中略)
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■ギリシャの債務削減(ヘアカット)・・後戻りできないヨーロッパ合衆国への覚悟
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/10/12/013983.php
ギリシャを支援するために、ギリシャの債務を大幅に削減する案が浮上しています。なんと元本の半分以上、50〜60%も削減してあげよう、と。
ギリシャにとっては、まさに恵みの雨といっていいでしょう。何故ならば借りたお金の半分以上をチャラにしてもらえるからなのです。銀行にとっては、貸したお金の半分以上が返ってこないなんて。それも、貸した相手が倒産とか、破綻したというのなら分かる訳ですが‥ヨーロッパの政治家は「ギリシャを破綻させることはない」と今でも言っているのです。
破綻もしていない融資先の債権を何故半分以上もチャラにしてあげなければいけないのか? 破綻に至っていない場合には、償還時期を延長したり、金利を引き下げて上げる程度ではないのか?
つまり、ギリシャを破綻させることはない、なんて幾ら政治家が言っても、実態としては破綻しているから、債務削減の話が浮上してくるのです。それに、実質的に破綻しているからこそ、IMFが救済に乗り出してもいるのです。
・・・何故そのような決断をもっと先に行わなかったのでしょう?
そのように、ギリシャにお金を貸している銀行側の応分の負担を伴うことなくしては、ギリシャ危機の解決が不可能なこと位予想できたはずなのです。何故、問題を先送りにしてきたのか?
それは、政治家が現実から目を背けたからであるのです。つまり、銀行が債務削減に応じることになれば、金融危機に発展しかねず‥それが怖かったということです。で、その一方で、政治家はIMFを自分たちの都合のいいように利用したのです。
本来であれば、IMFはギリシャの救済に手を出すことはなかったのです。何故ならば、肝心の銀行団の負担が何も決まってもいないのに、ラストリゾートのIMFが先に救済に名乗りを上げることなど、オーソドックスな考えに従えば、ありえないからです。しかし、ヨーロッパの政治家たちは、IMFのトップである専務理事がヨーロッパから輩出されているということもあって、IMFにイージーな対応をさせたのです。
考えれば考えるほど、政治家たちが事態をより混乱させたとしか思えません
ユーロ圏の一員であるギリシャが財政破綻を来したということは、言わば、アメリカ合衆国のカリフォルニア州が破綻したようなものなのです。そのようなときに、アメリカはIMFに助けを求めるのか?
そんなことはあり得ないのです。仮にカリフォルニア州を助けるというのであれば、連邦政府がカリフォルニア州にお金を融通してやればそれで済むからです。そして、連邦政府はいざとなれば、幾らでも連銀にお札を刷らせることができるのです。
ギリシャの場合には、取り敢えずユーロ紙幣を渡せばそれで救済が可能です。そして、そのユーロは欧州中央銀行がどれだけでも印刷が可能ですから、本当はIMFに助けを求める必要もなかったのです。
しかし、ヨーロッパの政治家たちは、そのような判断はしなかった。プロであるIMFに頼んだ方が、何かと都合がいいと判断したのです。
ユーロ圏を作り、ヨーロッパの統一を実現しようとするのであれば、そのくらいのことで外部の支援など仰ぐべきではなかったのです。また、ユーロに加盟している国々も、ユーロの目指す理想を今一度認識しなおすのであれば、自分たちは今やヨーロッパ合衆国なのだという位の認識を持つべきであるのです。(小笠原誠治/中略)
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