http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/569.html
Tweet |
http://news.livedoor.com/article/detail/5927438/
フランス・ベルギー系大手銀行のデキシアが破綻し、解体されることになったと報じられています。ベルギー政府が40億ユーロ(約4200億円)でベルギー部門を国有化、フランス部門は仏政府系金融機関に、ルクセンブルク部門は、カタールの投資ファンドに売却することになりそうだ、と。
因みにデキシアという銀行は、どんな特色があるかと言えば、世界の中央政府や地方政府の発行する債券に多大な投資をしていたのだ、と。日本の地方自治体に対しても融資をしているのだとか。
結局、こういうことになるのですよね。どんなに事態を先送りしたくても、どんなに事態を隠そうとしても、市場関係者にはお見通しだということです。
でも、そうなれば、あのストレステストは何だったのか? アメリカのガイトナー財務長官が、欧州に対し勧告したストレステストは?
アメリカはストレステストを契機に金融危機が回復に向かった。確かに、アメリカでストレステストの結果を発表したときには、各テレビ局がストレステストの結果をお笑いの材料にまでしたほどだったのですが‥でも、それを境に次第に事態は収拾した、と。
その一方、ヨーロッパはどうかといえば、いつになっても疑心暗鬼がなくならないどころか‥では、アメリカとヨーロッパの違いは何か?
それは、アメリカの金融危機への対応は、完全とは言えないまでも損失額を相当程度明確にしたのに、ヨーロッパの場合には、ギリシャなどの不良な貸付先に対する債権を不良債権扱いすることを先延ばししているのです。
「ギリシャを破産させることは決してない」なんて台詞を今でも言い続けている訳なのです。
でも、おかしなことに、破産した国にのみお金を融資するIMFからギリシャは支援を受けているのです。それに、ギリシャにお金を貸しているデキシアのような銀行自身が、ギリシャが今後完済する
ことができるか、大いに疑問を持っているのです。
つまり、幾らストレステストを実施し、ヨーロッパの銀行の資本の傷み具合はそれほど酷いものではないと発表しても‥それによって、預金者や一般の人々を仮に安心させることができたとしても、金融機関関係者を安心させることはできなかったのです。何故ならば、金融機関の関係者自身が、もっとも疑心暗鬼になっているからなのです。
今回デキシアが破綻したきっかけの一つは、大量の預金の流出が起きたことにあると言います。
そして、預金の流出は、どれだけ資本の注入を行っても、疑心暗鬼が解消しない限り起こり得る
ものです。つまり、政治家たちのいうことを、国民があまり信用していないことの証拠であるのです。
今の欧州の金融危機を鎮めるためには、金融機関が保有する不良債権の額を明確にし、そして損失を計上することが先決です。そして、それと同時に、信用不安をこれ以上惹起しないようにするために、資本増強のための財政出動が必要です。
つまり、当然のことながら、膨大なお金が必要になる、と。しかし、今でも欧州の政治家は、インフレを起こさないことを最も重要視しているのです。インフレを起こさないことがユーロの安定と発展にとっては必要不可欠であるから、と。そして、インフレを起こさないことを優先するために、どうしても財政出動にブレーキがかかってしまうのです。
確かに、インフレを起こすような放漫財政は慎むべきでしょう。しかし、政府が民間銀行に資金を注入するために財政資金を注入しても、そうした行為がインフレにつながる可能性は極めて小さいのです。何故ならば、そうやって財政赤字が膨らんだからといっても、それによって、実際に様々なモノやサービスの購入に使われる訳ではないからです。
今のヨーロッパの政治家は、そうした理屈がよく理解できていないのではないでしょうか。そして、単に財政赤字が増えるのを怖がっているだけではないのでしょうか。
しかし、先ずはヨーロッパの銀行の不良債権の額を確定させ、そして、必要とあれば、財政資金を
投入すべきであるのです。そして、そのようにして信用不安を鎮めた後で、財政再建策を考えればいいのです。
金融危機を鎮めるために幾ら財政資金を投入しても、それによってインフレになることはないということをヨーロッパに教えてあげるべきなのです。(亀井幸一郎)
***************************************
■ベルギー政府のデクシア救済、コストは見かけ以上
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPJAPAN-23563320111011
ロンドン 10日 ロイター ベルギー政府による仏・ベルギー系金融大手デクシアの救済コストは、見かけよりずっと大きくなる可能性がある。政府は週末に大慌てで協議した結果、デクシアのベルギー国内資産を40億ユーロで取得することになった。
一見すると、政府にとってお買い得のように見えるかもしれない。デクシア・バンク・ベルジャム(DBB)の簿価は6月現在で79億ユーロだったからだ。しかしベルギーの会計規則では、デクシアは「売却可能資産(AFS)」の時価会計を回避できる。これら資産の損失も含めて計算すると、6月時点のDBBの簿価は57億ユーロだった。過去3カ月間に市場が大混乱したことを考えれば、時価計算した現在の企業価値はベルギー政府が支払う額を下回る可能性もある。
資産売却後のデクシアの自己資本が十分かどうかという問題もある。この部分についてベルギー政府は5.7%の株式を保有している。計画では、トルコ、ルクセンブルク、フランスの地方自治体向け事業を売却することになっているが、処分後もリスク性資産が600億ユーロ残る。つまりコアTier1(狭義の中核的自己資本)比率10%を達成するには少なくとも60億ユーロの資本が必要だ。
これには、デクシアが簿価を上回る価格で資産を売却できるかどうか次第といった部分がある。しかし要因として大きいのは、ベルギー政府が大規模なAFSの含み損を表面化させないで済まされるかどうかだろう。新銀行自己資本規制(バーゼルIII)では許されていないが、ごまかしが行われる可能性は十分ある。最終的に資本に穴が開いた場合、ベルギー、フランス両国政府がその穴を埋めるかどうかは不透明だ。しかし頭の体操として計算すると、ベルギー政府は30億ユーロの追加コストに直面することになる。
加えて、ベルギーはデクシアの資金調達の60.5%、総額540億ユーロを10年間保証するはめになった。すべてを合算すると、最悪の事態が起った場合にベルギーの納税者が抱える総コストは国内総生産(GDP)の17%に及びかねない。ベルギーは既に公的債務の対GDP比率が96%に達している。
ムーディーズがベルギーのソブリン債格付け引き下げを検討しているのも、同国の10年物国債利回りが1週間で3.6%から4.1%に跳ね上がったのも、無理はない。(以下略)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。