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先進国では中流階級が大衆を形成し、その消費がGDPの主要な部分になっているが
格差が大きい途上国の場合、軍や富裕層の消費が大きいから、本当に光量が正しい指標になっているのか怪しい部分もある
しかし物理測定で経済規模を直接推定するというのは」面白いアイデアだ
いろいろ改善の余地もありそう
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110927/222839/?ST=print
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人工衛星の写真でGDPをより正確に 光量データを使うことで公式値がより正確に
2011年10月11日 火曜日
平口 良司
GDPは経済状況を示す統計として最も一般的だ。その国で1年間に作られた生産物の総額を表すので、経済成長と言えば通常はGDPの増加率を指す。しかしながら途上国においては、GDPを算出する組織、ネットワークが未発達であることも多い。
米ペンシルバニア大学は、ウェブ上に世界各国のGDPの推移をまとめた「ペンワールドテーブル」というデータセットを公開している。その中では各国のGDP統計の正確性がAからDのランキングで表記されているが、途上国、特にアフリカのほとんどの国では低ランクとなっている。疫病や内戦など内情不安を抱えている国では調査にまで手がまわらないのも仕方ない。
ならば、地上にいる人間以外に調べてもらおうという壮大な取り組みが進行中である。人工衛星が撮影する地球の画像からGDPを把握しようというものだ。米ブラウン大学経済学部のヘンダーソン、ストアガード、ウェイルの3氏による試みは、昨年来ウォールストリート・ジャーナル誌などでも話題となっている。
本稿では、アメリカンエコノミックレビュー誌に掲載が決定した彼らの論文 (Measuring economic growth from outer space) の内容を紹介したい(※)。
※当該論文はまだ雑誌に掲載されていないが、ウェイル教授のブラウン大学公式ホームページにてワーキングペーパーとして読むことができる。
光量データを組み合わせGDPを正確に計算
ヘンダーソン教授らは地球画像から、夜間に各場所から発せられる光量のデータに着目している。その量の推移が真のGDPの変化を反映しているというのだ。そして、不正確とされる既存のGDP統計と、光量データをうまく組み合わせ、より正確な経済成長率を導出しようとした。あらゆる文明社会では日没時は照明が使われているので、光量の変化が経済活動の変動に密接に関係しているという考えは自然である。
当然ながら、衛星データにも測定誤差がある。しかし、その誤差とGDP統計の誤差は発生原因が全く異なる。つまり両者には相関がなく、この場合両者を組み合わせると誤差が互いに打ち消し合う。ヘンダーソン氏らは光量のデータとGDP統計をうまく組み合わせる手法を開発し、より正確なGDPの値を計算した。その結果いくつか判明した事実がある。
まず、先進国では、推計結果と従来の値にほとんど差はなかった。これは、先進国の調査に信頼がおけることを意味する。途上国の場合、推計されたGDP成長率は、公式の値と大きく違っていた。
ミャンマーを例に取ってみると、公式統計では1992年から2005年までの13年間の年平均経済成長率は10%であったが、推計によればその成長率は6%程度しかなかった。国発表の公式データに比べ、実際の成長は年間4%も低かったのである。
その一方でコートジボワールなど、推計値の方が政府発表のデータより高い国もあった。これらの国においては、衛星データの情報を使うことで、GDP統計の誤差をかなり減らせた。
ヘンダーソン氏らはさらに、衛星データを使い、国とは違うレベル、例えば県などのより小さな行政単位、あるいは国を超えた地域レベルでの経済成長率を推計した。
例えば彼らはサハラ砂漠以南における海岸地域と内陸地域を比べ、実は内陸地域の経済成長率の方が高いということを明らかにした。またマラリアの発生しやすい地域と、そうでない地域を比較し、後者の成長率がより高いことも突き止めた。
衛星画像からの情報によって、途上国のGDP計測の正確性は高まる。そうなれば、日本の途上国援助の政策立案にも役立つはずだ。2010年度の日本のODA(政府開発援助)の予算総額は約6000億円であったが、長期債務が膨れ上がる中、開発援助に拠出できる額を今後増やすのは難しい。限られた予算の中で支援のあり方を決めるに当たり、各国や地域の経済状況を正確に把握できれば、より効果的な政策が立てられるのではないか。
被災地の実情を知る手段にもなる
途上国だけでなく、日本にとっても衛星写真による経済状態の把握は2つの点で有用かもしれない。
1つ目は、地域レベルでの状況把握である。東日本大震災により、東北地方の産業は甚大な被害を受け、また強制避難も含め人の流出も続いている。被災地域においては、今後統計調査ができない状態が続く可能性が高い。こうした地域の実情を知るため、衛星画像など外部のデータを援用する取り組みには大きな意義がある。
2つ目は、経済成長率の速やかな把握である。GDP成長率の計算は時間がかかる。ほぼ毎日地球に送られてくる衛星データを援用することで、リアルタイムに近い推計が可能になる。マクロの政策立案、特に証券市場を相手とした金融政策の企画立案にも役立つはずだ。
このコラムについて
「気鋭の論点」
経済学の最新知識を分かりやすく解説するコラムです。執筆者は、研究の一線で活躍する気鋭の若手経済学者たち。それぞれのテーマの中には一見難しい理論に見えるものもありますが、私たちの仕事や暮らしを考える上で役立つ身近なテーマもたくさんあります。意外なところに経済学が生かされていることも分かるはずです。
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著者プロフィール
平口 良司(ひらぐち・りょうじ)
平口 良司立命館大学経済学部准教授。2000年東京大学経済学部卒業。2004年米ジョンズ・ホプキンス大学経済学部大学院修士課程修了、2008年米スタンフォード大学大学院修了(Ph.D.)。2009年から立命館大学経済学部准教授。専門は経済成長論。(写真:福島 正造)
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