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日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>熊野信一郎のクロス・ボーダー
アジア最後の理想郷 「CLMB」の時代到来
2011年10月11日 火曜日
熊野 信一郎
「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」という表現が間もなく誕生10周年を迎える。生みの親で、当時、米投資銀行ゴールドマン・サックスのエコノミストを務めていたジム・オニール氏が初めてこの単語を使ったのは、2001年11月だった。
その後「VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ共和国、トルコ、アルゼンチン)」、「MIKT(メキシコ、インドネシア、韓国、トルコ)」などの単語も次々に生まれた。
そして今、日本の製造業の新たな生産拠点として注目されているのが「CLMB(カンボジア、ラオス、ミャンマー、バングラデシュ)」だ。
今や企業視察のメッカに
「CLMB」は日本貿易振興機構(JETRO)のカンボジア・プノンペン事務所の道法清隆所長が使い始めた造語だ。いずれも以前から縫製工場などの進出はあったが、最近では幅広い業種で関心が高まっている。
中でも注目度が高いのが、カンボジアとミャンマーだ。アジア各国には多くの日本企業の担当者が視察に訪れる。その目的地として人気急上昇中なのがこの2つの国。進出企業が少なく情報が乏しいこともあり、進出ツアーやセミナーなどが活況を呈している。
まずカンボジア。JETROによると、2010年は投資した日本企業は11社に過ぎなかったが、2011年は9月末時点で既に26社に達している。プノンペン市内のプノンペン経済特区では味の素の工場が稼働しており、ミネベアも小型モーター工場の建設を進めている。カンボジアの基幹産業である縫製業だけでなく、この1年で多種多様なメーカーが工場建設を決断している。
メリットはまずその安さ。各種手当も含めた従業員1人当たりの実質賃金は月90ドル(約7000円)以下で、ベトナムより3割近く安い。一定期間の法人税免除などの優遇措置に加え、日本や欧米への輸出品が免税扱いになる「後発開発途上国」としての地位が中国やベトナムにない魅力だ。
そしてミャンマー。人口約5000万人を超え、資源も豊富なだけに、以前からその潜在性はよく知られてきた。ただ、長く続いた軍事政権に対する経済制裁の影響から日本企業の進出は遅れ、中国や韓国、東南アジアの企業に先を越されていた。
そのミャンマーに転機が訪れている。4月に発足した新政権は「民政」を標榜し、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー氏との融和を進めるなど、変化をアピールしている。
今年1月には「SEZ(特別経済地域)法」が公布され、外資系企業の投資を促す規制緩和や優遇措置の導入が進んでいる。カンボジア同様、隣接するタイなどに工場を持つ日本企業が一部の工程を移す動きが加速しそうだ。
もちろんCLMBにも課題は多い。ラオスやカンボジアは人口が少なく、将来的な人材不足が懸念される。不安定な電力供給や未発達のインフラは、進出を検討する企業にとっては大きなマイナス点だ。
それでもCLMBへの注目がにわかに高まりつつある背景には、企業のアジア事業拡大という大きな方向性に、中国やベトナムなどでの急激なコストアップ、足元の円高などの諸条件が重なっているためだ。企業が海外投資を加速させる中で、こうした国々が新しい選択肢に入っている。
改めてアジアの地図を見ると、インド以東ではCLMBが工場進出先として最後のフロンティアで、残る候補は北朝鮮ぐらいであることが分かる。低コストを求めるアジアでの“流浪の旅”は、確実にその終焉が近づいている。
このコラムについて
熊野信一郎のクロス・ボーダー
日本では知られていない、しかし重要なニュース。知られているようで、本質が見過ごされているニュース。時に中国、時にASEAN(東南アジア諸国連合)、そして時には外から見た日本の姿を、アジアの「へそ」香港からボーダレスにお届けします。
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著者プロフィール
熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)
日経ビジネス香港支局特派員。日経BP社入社後、日経ビジネス編集部に所属。製造業や流通業を担当後、2007年に香港支局に異動。現在は主に中国や東南アジアの経済や企業の動き、並びに各地の料理やアルコール類の評価、さらに広島東洋カープの戦力・試合分析などを担当する。
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