http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/533.html
Tweet |
富裕層増税を主張しているバフェット氏は、低中所得者にとって“いい人”というわけではなく、自分の利益の源泉がどこにあるかを理解している人である。
利子や債券類の売買差益などで稼ぐ金融家は、「資本(お金)という資源の最適配分の担い手」という説明もされているが、端的には、ひとの活動成果を吸い上げて利益にする存在である。
農民のように自分の活動力で生きる糧を生産しているわけではないから、成果を部分的に吸い上げて自分のものにできる存在がどうしても必要である。
奴隷を手に入れたからといって、過酷な労働を強いて病気にさせてしまうような奴隷所有者は愚かである。
奴隷をうまく使いこなす方法は、“自由奴隷”である近代の賃金労働者に対する「労務管理」とあまり変わらず、ほとんどのひとが病気やけがになるような労働強化はせず、わずかな余禄やほめ言葉などでやる気を起こさせることである。
逆に、“代替品”が高価であったり希少であったりする本当の奴隷の方が、失業者や就業希望者が溢れている近代労働者より、“自由”は別として、過酷な状況から免れる可能性が高いとも言える。
低中所得者は、わずかばかり多くお金を手に入れても、タンスに溜めこむわけにはいかない生活条件だから、結局は消費支出や預金などで供給主体(企業や金融会社)にお金を戻す。
そのような循環こそが高額所得者や企業の利益の源泉なのだから、目先の利益で自分の金庫にお金をしまいこんでしまおうというのは愚かな所為なのである。
(世界がフラット化するまでは、外国で稼ぐからそれでも通用すると思っている人もいるだろうが、政治の問題もあることを忘れると命取りになる)
==============================================================================
[日経新聞 10月6日朝刊P.7]
米、「再分配」巡り論争: 富裕層課税、保守派は反発
【ニューヨーク=西村博之】経済格差の拡大が問題となるなか、誰から税金をとり、どう分配するかという再分配政策を巡る論争が活発になっている。信用不安で財政再建を迫られる欧州諸国ではイタリアやフランス、ポルトガルは富裕層に対する特別課税を打ち出した。米国でもオバマ大統領が富裕層課税を提案したが、企業経営者や保守派の反発を招いている。
「これは階級闘争ではない」。9月、オバマ大統領はそう断った上で、年収100万ドル(約7600万円)以上の富裕層には、最低でも中間層並みの税率を課すというルールを提案した。
富裕層の税率が低くなるのは、所得の多くを税率が低めの配当や株式の値上がり益に依存するためだ。著名投資家のウオーレン・バフェット氏が富裕層増税を主張してきたことから、新ルールは「バフェット・ルール」と呼ばれる。
低所得層や労働団体、リベラル派の論客は新ルールを「公平さが増す」と歓迎する。だが企業経営者や保守派は「米国の累進課税は既にきつく、経済の活力をそぐ」と猛反発。オバマ大統領の言葉と裏腹に、論争は階級闘争の色彩を帯びる。
景気低迷による所得と税収の落ち込みに急速な財政悪化が重なり、失業対策など社会保障費用も拡大。政府と納税者、さらに納税者閣での負担の押し付け合いが生じている。
「税金は、お金持ちから」−−。9月中旬に始まり、3週間目に入った米ニューヨーク・ウォール街近辺のデモ「ウォール街を占拠せよ」では若者が「Stop greed(貪欲をやめよ)」「企業主義ではなく、民主主義を」などのプラカードを掲げる。
大学で社会学を専攻するというモーゼス・アップルトン氏(24)は、9%台で高止まりする失業率を念頭に「大企業ばかりがもうけ、搾取される人が増えている。グローバル化で企業の選択が増えたこともあり、自国民がないがしろにされる傾向が強まっている」と話す。一体感を失う社会と定まらない政策。若者をデモに駆り立てるのも、そんな閉塞感かもしれない。
==========================================================================
[日経新聞10月8日朝刊P.3]
抗議デモ、全米に広がる リベラル派の影も
ニューヨークから全米に広がる経済格差是正を求める抗議デモには、大統領選をにらんだリベラル派の仕掛けが見え隠れる。ネットなどで参加だ呼びかける手法は中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春」と似るが、集会には労組の運動員も目立つ。オバマ大統領は「米国民のいら立ちの表れ」と共感を表明。野党共和党を勢いづける保守派の草の根運動「茶会党」の民主党版に育てる思惑が読み取れる。
6日、ホワイトハウスに隣接するフリーダム・プラザは「銀行家を投獄しろ」などのプラカードを掲げた人で埋まった。ウォール街デモに刺激された自然発生的な動きとほやや異なる。この日は2001年の米同時テロを受けて当時のブッシュ政権がアフガニスタン攻撃を最終決断してから10年。反戦団体などは抗議行動を準備しており、動員をかけやすかった。
民主党筋によると、オバマ氏は8月半ばホワイトハウスに有力な市民団体6組の代表を招き、大統領選に向けた共闘体制などを話し合った。熱狂的なオバマ・ケァンの映画監督マイケル・ムーア氏はニューヨークでのデモに参加後、1日にワシントンでデモ参加を呼びかける会合を開いた。
手本は昨年の中間選挙での共和党勝利の原動力となった「茶会党」だ。
「医療保険の保険料を払えない貧困層が医者にかかれないのは自業自得」などの極端な主張は批判を浴びたが、共和党が掲げる「小さな政府」への関心を高める役割を果たしたことは間違いない。
米国民の経済格差が拡大したかどうかは諸説があるが、民主党は抗議デモの広がりを所得再分配の正当性を訴える最大の根拠に据える考えだ。もっとも6日の集会では金融機関への規制強化が進まないオバマ政権への不満の声も聞かれた。自ら仕掛けたはずのデモに政権が押しつぶされるおそれもないわけではない。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。