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再びリーマンショック級の衝撃が襲うのか?
発火点はギリシャ、世界同時株安の行方は
欧州の信用不安が深刻化するとともに、米国での景気回復はかつてないほど鈍く、この夏は世界中で株価が下落した。日経平均株価とダウ工業株30種平均がともに18%、英FTSE100種総合株価指数は21%、独DAX指数は33%、上海総合指数は17%――。世界の主要な株価指数が今夏の高値から、直近の安値までのどの程度下落したのか、並べてみるとそのひどさが分かる。今や、その波は香港、インドネシア、韓国などのアジア新興国の株式市場にまで広がりつつある。
債券市場では質への逃避が加速し、これらに共鳴して外国為替市場ではユーロやドルが歴史的な安値をつけた。さらに国際商品市場では粗製ガソリンや銀、銅、小麦などの下落率は瞬く間に20〜30%にも達している。マーケットが怯え、震えているのだ。世界同時株安の理由は欧米にあるが、ではなぜこれほど大きく下げるのか。
米国では「毎日がフラッシュ・クラッシュ」のようとも
「この間、ウチが投資助言契約を結んでいるヘッジファンドが破綻してしまいましてね…」。国内証券系のファンドマネジャーが渋面を作る。
「契約を結んで2カ月しか経っていないのに、相場でやられたんです」
相場の荒波をチャンスに変えて高いパフォーマンスを誇るプロ集団が破綻するほど、今夏以降の相場は予測が難しく、値動きが荒い。
米国市場はさらにひどい。上場時価総額が巨大で、ちょっとやそっとの売り買いでは大きな値動きにつながりにくいはずの銘柄だけで構成されるダウ工業株30種平均が上下に200〜300ドルの値動き幅で揺さぶられる。多少大げさに言えば「毎日がフラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)の連続のよう」で、苦境に立たされているヘッジファンドは少なくないという。
国内外の株式市場を揺さぶっているのは、言うまでもなくギリシャの財政問題だ。ギリシャの財政再建がとん挫してデフォルト(債務不履行)を起こせば、米リーマンショック以来の激震になるとの論調が国内外で目立ち始めている。しかし地理的に遠く、震災後の復興需要に期待が高まる日本は経済環境的にも遠くに位置しており、我われのような一般庶民がこうした問題を皮膚感覚で捉えようとしても、いま一つピンとこない。
1997年に山一証券や北海道拓殖銀行が破綻した直後や、2008年にリーマン・ブラザーズが破綻した直後のように、現在の欧州では銀行間の資金の貸し借りが滞り、特にドル資金の調達が難しくなってきていると言えば、事態の深刻さが少し分かりやすくなる。ギリシャ国債を多く保有する銀行を国別に並べてみると、フランスとドイツが1位、2位を占める。ギリシャ国債がデフォルトにでもなれば、フランスやドイツの金融機関が被る影響は計り知れず、最悪の場合、デフォルトの連鎖が米国の金融機関にまで及びかねない。市場はそれを警戒しているのだ。
相場には様々な局面がある。景気動向が注目される局面、個々の企業業績に一喜一憂する局面、中央銀行の金融政策が市場参加者の耳目を集める局面。足元の市場は、信用力がフォーカスされる局面だ。ギリシャやイタリアなどで国債の格付けが引き下げられたと言っては株価が下落し、フランスの大手銀行の格付け見通しが引き下げられたと言っては売られる。
3カ月ごとに蒸し返されるギリシャ問題
ギリシャの問題はしぶとい。財政問題は一朝一夕に解決できる性質のものではないうえ、3カ月おきに蒸し返され、金融市場の動揺を誘うようになってしまった。欧州各国がギリシャに対する融資の可否を決めるうえで、財政状態やその改善に向けた取り組みを3カ月ごとに評価し直す。そこで財政改善に疑問符がついてしまうと株式市場や金融市場の動揺も3カ月おきに沸き起こってくるのだ。
ポートフォリオの大半がユーロ圏の国債や国際機関債で占められる、ある投資信託。その運用概況や運用報告書によると、財政危機にさらされているイタリアやスペイン、ポルトガルといった国々が発行した債券の組み入れ状況は今年に入ってからも一様に比重の低下が続いている(ギリシャ国債については、2009年10月の第一次欧州危機時に組み入れをゼロにしてある)。
こうした投資信託が組み入れるのは格付けがA格以上の銘柄だけ。米格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズがイタリア国債をA+からAに格下げし、見通しについては弱含みとしたのは9月のことだ。投信の投資対象としてはほとんど後がなくなった。さらに同月に実施された国債入札では調達額は約65億ユーロにとどまり、目標としていた70億ユーロの調達がかなわず、イタリアも尻に火がつき始めている。これらの国々では「自国の信用力に不安を抱いた年金基金までが自国の国債を売却して(格付けの高い)ドイツ国債やフランス国債を買っている状況」(準大手証券)なのだ。
米国も雇用状況が一向に改善せず、消費の沈滞ムードも長期化。失業者がデモ行進し、「ウォール街を占拠せよ」と気勢を上げる光景は、米国の現状を雄弁に物語る。
株式市場の関心は、欧州の信用不安と、なかなかエンジンに火が入らない米国経済の間を行き来しつつ、相場は中期的にダウントレンドを形成している。加えて欧米経済の視界が不良となるなかで、中国経済の先行きにも暗雲が垂れこめるようになり、リーマンショック後の景気回復を支えたような新興国のような存在は見当たらないのが現状だ。
ある大手証券の株式ストラテジストは国内外の機関投資家から相場見通しについて意見を求められ、「年末を見通すことさえ難しいとしか答えられない」と打ち明ける。9月にゴールドマン・サックスが米国株式相場の展望についてまとめたレポートも相場の方向性を明確に指し示すことができず、「ゴールドマンでさえ…」と市場の驚きを誘った。
株価は経済の先行指標。株価の先行きが見えなければ、景気の先行きも見通しが利かない。リーマンショックの直後、ある大手商社の財務担当副社長は「経済の先行きはレーダーが利かない状態で、企業経営も分厚い雲の中で有視界飛行にならざるを得ない」と嘆いた。世界同時株安の様相を呈し始め、この先、当時と同じ状態に見舞われるのかどうか予断を許さない。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111003/222983/?mlh1&rt=nocnt
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