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「金持ち課税」は広まるか?
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/477.html
投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 04 日 01:53:34: 6WQSToHgoAVCQ
 

日本の配当課税は低すぎるし、今さら大してマイナスの影響もないだろうから、早く上げた方が良いが
国債や預貯金などの金融資産への課税強化を行ったら、
短期的には円安になって空洞化防止に役立つかもしれない
長期的にどうなるかは見物だな

http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201110/2011-10-1.html
「金持ち課税」は広まるか?
2011年10月3日(月曜日)

先進国はいずれも財政赤字の拡大をどう抑えるかに苦悩している。ユーロ不安の原因を作っているギリシャを始めとする南ヨーロッパの国々、債務上限を巡って混乱し、国債の格下げを招いた米国、さらにGDPの2倍もの借金を抱え、財政再建待ったなしの日本などだけではない。今、先進国で最も好調なドイツですら、財政赤字の累積額がユーロ圏で決められた上限であるGDPの60%を超えている。今、先進国で財政赤字の問題が無いのは、ノルウェーやルクセンブルクなどの小国くらいだ。多くの国では、これから増税と歳出削減の両面から苦渋に満ちた決断を迫られることになろう。政治的には日本と同様に“ねじれ国会”となっていたり、政権与党の力が急速に衰えたりして不安定化が進み、これからどうなるのか、展開は見通せない。
米国では富裕層増税は最大の政治問題

こうした中で、米国で面白い動きが出てきた。おそらく世界でもっとも知られた金持ちの投資家であるWarren Buffett氏が、金持ちに対する所得税の課税を強化すべきだと唱え始めたのだ。バフェット氏の主張とは、「自分の連邦所得税は17.4%で、自分の秘書よりも低い。これは不公平であり、金持ちの所得税を引き上げるべきだ。」というものだ。何故こんなことになるかといえば、バフェット氏の所得の大半は配当や金利、キャピタルゲインなどの金融収入で、これには金額の多寡にかかわらず一律15%しか税金がかからない。これに対して、秘書の収入は所得税の対象となる賃金で、年収7万5千ドルとすると18%の税率となる。百万長者(Millionaire)、億万長者(Billionaire)と呼ばれるような富裕者はもっと負担してしかるべきだ、というわけだが、具体的な税率までは語っていない。

これはオバマ大統領にとってはかなりの追い風だ。彼は2008年の大統領選挙戦中からブッシュ前大統領が導入した年収25万ドル以上の金持ちに対する減税は2012年の期限切れとともに廃止し、元の税率に戻すことを公約に挙げていた。去る8月の国債の発行額の上限引き上げの際の合意に従って、これから財政赤字削減計画を策定することになっているが、そこで争点となるのが、この金持ち増税である。共和党はすべて歳出カットだけで達成すべきとするのに対して、民主党は金持ちへの増税や、ループホールと呼ばれる大企業向けの各種の免税措置の廃止による課税ベースの拡大をも求めている。

バフェット氏はごくありふれた中産階級の家庭に生まれ、自力で財を成した、アメリカン・ドリームの体現者のような人物だ。成功したアメリカ人にありがちな小さな政府の信奉者で、増税は悪、人生は自己努力で切り拓くもので貧乏なのは本人の責任というような、共和党でも右派の思想の持ち主のように考えがちだが、こと税金に関してはそうではないようだ。この発言は突然の思いつきではなく、彼は1年前からこのような発言をしている。米国には、「国難に臨んでは、金持ちは率先してより大きな負担をすべきだ」という考え方が昔からあるようで、特に第二次大戦中は所得税の最高税率は94%だった。Noblesse Oblige(高貴なる人の義務)の伝統かもしれない。米国には富裕人により1995年に設立されたUnited for a Fair Economy(公正な経済のための連合)という団体があって、現在も税負担の公平を求めて活動中である。クリントン政権下での財務長官ロバート・ルービン氏も入っているというから、民主党寄りの団体かもしれない。しかしメンバーの大半は企業トップや起業家たちだというから、バフェット氏とも通じるところがあり、金持ち課税には結構幅広い共感者がいるのかもしれない。
ヨーロッパの金持ちも「われわれに課税せよ」と言い始めた

目をヨーロッパに転じると、ドイツでも同様な動きが2年前から始まっている。2009年10月のドイツの新聞ターゲスシュピーゲルが財産税の導入を求める金持ち44人の署名入りの請願の内容を伝えている。これは1997年に廃止された財産税を再度導入し、最初の2年は5%、その後は廃止時の税率だった1%にするというものだ。5%にすれば1000億ユーロの収入になるという。フランスでは去る8月23日、大企業のトップの経営者や資産家がLe Nouvel Observateurに意見書を発表し、「われわれ恵まれた者は財政赤字削減のために“特別の貢献”(contribution exceptionnelle)を果たす用意がある」ことを公にした。内容は、課税対象所得が50万ユーロ以上の者は3%の特別税を、マーストリヒト条約で定められた財政赤字をGDP比3%以下とするユーロ圏の合意に到達するまで支払う、というものだ。サルコジ大統領もこの方向で来年度からの税制を改正する方向だが、対象25万ユーロ以上に拡大する案もあるようだ。スペインでは、純資産70万ユーロ以上を対象に富裕税を今年と来年に限り導入することで、去る9月に法案が通っている。フランスとスペインの場合、財政問題が解決するまでの一時的措置だが、ドイツでは恒久措置として財産税の復活を提案している点が違う。いずれにせよ、この程度の課税では財政赤字を解消するには程遠いが、厳しい経済環境に直面する中で国家の連帯(solidarity)を維持するためには金持ちは率先して特別の負担を受け入れるべきだ、という点で共通している。
日本では起こらない富裕層課税議論

翻って、日本はどうなのか? 3月11日の東日本大震災後、半年余りを経て、漸く復興のための補正予算がまとまりつつある。まさしく日本国民全体の連帯が求められており、「復興連帯税」という名前がつけられるそうだが、富裕層に対する特別課税という話にはなっていない。民主党と政府税制調査会でまとまった所得税は現行制度のもとでの納税額を所得水準に関わりなく一律に4.5ないし5.5%だけ上乗せするというものだから、まさしく平等主義だ。日本には自分は金持ちだ、と名乗り出る文化は無い。寄付文化が根付かないのも同じメンタリティだ。高度成長期を通じて一億総中流意識が広まり、特別の負担をしなければならないほど金持ちだと思っている人は少ないのであろう。

だが、日本人が思っているほど日本は平等社会ではないことは、そろそろ認識すべき時ではないか。何しろ日本は米国に次ぐ格差大国なのだ。これは税や社会保障による所得移転が十分に機能していないからでもあるが、ドイツやフランスよりも遥かに格差は大きくなっている(【図1】参照)。ドイツでもフランスでも年収50万ユーロ以上が金持ちとされているが、50万ユーロといえば5000万円強だ。日本でもその程度の年収を得ている人は結構いるのではないか。このような富裕層を対象にした震災復興のための一時的な増税が日本では議論すらなかったのは考えてみれば不思議でもある。
【図1】相対的貧困率と政府の再配分機能

http://jp.fujitsu.com/imgv3/jp/group/fri/column/opinion/201110/nezu111004-1.jpg
 出典:OECD Growing Unequal?
世界中で広がる所得格差

所得格差の拡大は先進国、おそらくは世界中のほとんどの国で見られる普遍的な現象だ。その中でも米国における所得格差は顕著である。OECDの統計では、米国は先進国の中でもっとも貧困率が高い。米国では現在トップ1%の金持ちが所得の25%を占めている。資産ベースで見ると、もっと高い数字になるだろう。しかもブッシュ政権下の減税措置により、トップ1%の平均所得税率は23%と、1985年の33%から10%ポイントも下がっており、税制面からも格差の拡大が加速したといえる。

オバマ大統領の作戦通り金持ちへの増税が実現するかどうかは、スーパー・コミッティと呼ばれる民主、共和のそれぞれから選ばれた3人ずつの議員による交渉を経て案がまとまることになっているが、どのような落ち着きになるのか、そもそも合意が得られるのかさえもよくわからない。だが、最近のギャラップ調査によると、3分の2の米国人は年収25万ドル以上の金持ちに対する増税に賛成とのことである。反対する共和党右派の主張する「金持ちの所得は投資に回り、ひいては雇用拡大になる」という説はあまり受け入れられてはいないようだ。2000年以降、実施されてきた高所得者向け減税は、結局のところ、成長や雇用の拡大には貢献しなかったことが知られているからである。
新たなパラダイム・シフトの始まりか?

東日本大震災からの復興のための財源確保の議論は、概ね収斂しつつある。だが、中長期的に見れば、社会保障やそれ以外の経常経費の財源確保のために、更なる増税は不可避だ。グローバリゼーションが進むにつれ中間層の仕事は新興国にますます移転し、単純事務作業は情報技術の進展で置き換わるので、今後とも貧富の差が拡大することは疑いない。その際、政府の再配分機能を強化するのかどうかは大きな問題となる。1980年代以降、サッチャー、レーガン流の新自由主義的政策が主流となり、先進各国で富裕層の税負担を下げる方向での動きが続いてきた。日本でも1974年には75%であった所得税の最高税率が2000年には40%にまで下げられた。高所得層の税負担を下げれば、社会全体の貯蓄が増える。貯蓄が増えれば、金利は下がり投資が増え、経済は成長し雇用も増えるという目論見だ。だが、実際に起こったことは全く逆だ。金利はゼロにまで下がり、企業の貯蓄はかつてない額に膨れ上がっても、金は銀行で眠ったまま投資は起きず、失業は高止まったままだ。富裕層の課税強化を求める動きは、このような現実を受けての新しい動きと見られる。新たなパラダイム・シフトの始まりと考えるのは尚早だろうか。
注釈

* 相対的貧困率 : ちなみに、日本では、夫婦と子供2人の標準世帯の場合、中間的所得(median)は年収470万円であり、その1/2である年収235万円以下が貧困層となり、そのような世帯が全世帯の15%いる。
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根津 利三郎
 
【略歴】
1948年 東京都生まれ、1970年 東京大学経済学部卒、通産省入省、1975年 ハーバードビジネススクール卒業(MBA) 国際企業課長、鉄鋼業務課長などを経て、1995年 OECD 科学技術産業局長、2001年(株)富士通総研 経済研究所 常務理事、2004年(株)富士通総研 専務取締役、2010年 経済研究所エグゼクティブ・フェロー
【執筆活動】
通商白書(1984年)、日本の産業政策(1983年 日経新聞)、IT戦国時代(2002年 中央公論新社) など  

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コメント
 
01. 2011年10月04日 15:17:04: cOnYXdQbyY
■米富裕層への増税問題/もし、あの大富豪が日本に住んだら
アメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏は、
「私や私の友人たちは、億万長者を優遇する議会に甘やかされてきた」として、富裕層への増税を主張しています
(8月15日、ニューヨーク・タイムズへの寄稿)。
バフェット氏は、この中で、自身が支払った昨年の連邦税(693万8744ドル)は、所得に対して、
その税率が17・4%しかなかったと明らかにしています。
バフェット氏は「それは、私の事務所の20人の社員の誰よりも低い税率だ」と指摘し、
「100万ドル以上の所得がある世帯の税率を引き上げるべきだ」と主張しています。
先日、オバマ米大統領が提案した富裕層への増税を中心とした税制改革案では、
「年収100万ドル以上の世帯の税負担が中間層より低くならないようにする」ということを「バフェット・ルール」と呼んで、
税制改革の五つの原則の一つに掲げています。◇
ところで、このバフェット氏の税負担ですが、1ドル=80円で計算すると、
31・9億円の年間所得に対して5・55億円の連邦税を払ったという計算になります(注(1))。
アメリカの連邦所得税の最高税率は35%ですが、株式の配当や譲渡益については最高15%に軽減されています。
投資家であるバフェット氏の場合、所得のほとんどが株式投資などの利益として扱われるために、
17・4%の税率になったものと考えられます。
便宜的にバフェット氏の所得のうち、株式投資関係は15%、それ以外は35%の税率だったとして計算すると、
所得の88%が株式投資関係であるということになります。
金額にすると、株式投資関係が28・1億円、その他が3・8億円です。
これに対して、株式投資関係で4・22億円、その他で1・33億円の税金を払った結果、
前述のような結果になったということだと推測されます。
ところで、もし、バフェット氏が日本に住んでいたら、どうなるのでしょうか?
日本の所得税(国税)の最高税率は40%で、アメリカより高い(住民税を含めれば、必ずしも高くはない)。
ところが、株式の配当や譲渡益については、証券優遇税制が適用されており、国税だけなら税率は7%です。
バフェット氏の所得に日本の税率を適用すると、28・1億円×7%+3・8億円×40%=3・49億円ということになります。
バフェット氏がアメリカで払った5・55億円より、さらに2億円も低いということになります。
税率はなんと10・9%にすぎません(注(2))。
バフェット氏がこのことを知ったら、何というでしょうか?
「真に億万長者を甘やかしているのは、米議会ではなく日本の国会だということが明らかになった」と、びっくりするのではないでしょうか。◇
http://news.livedoor.com/article/detail/5883949/

■日本にも富裕税の導入を!年間所得100億円以上の富裕層は14%の税率でしか税金を支払っていない
復興増税、税と社会保障の一体改革は、富裕層にそろそろ負担してもらうべきです。
冒頭の図のように、日本では、高所得者優遇税制のせいで、
わずか2年間で富裕層は世帯数で4%増え、その資産は19%も増えています。
日本の所得税の最高税率は1983年には75%ありましたが、
小泉内閣以降の減税措置で大幅に引き下げられ、税収も低下傾向にあります。
景気の後退も相まって、所得税の税収は19兆円から現在では14兆円と、年間5兆円も減ってしまっているのです。
しかも、今の最高課税率は40%とされていますが、実際には年間1〜2億円の高額所得者は、
所得税を、最高でも26・5%しか支払っていないのです。
それは、証券取引についての課税を20%(いまはさらに特例として10%!)とする、
証券取引への優遇制度があり、しかも総合課税ではなく、分離課税となっているからです。
ほかで儲けて株に投資すれば税金が極端に安く上がる!ということです。
この分離課税を駆使することで、いま、所得100億円以上の人はかえって税率が減って税金14・2%しか払っていません・・・・!
所得税・相続税で累進課税率を上げるだけではなく、所得税はどうしても所得隠しでかいくぐられてしまいますから、
残った資産に対して、さらに富裕層への富裕税も創設すべきです
(戦後間もない頃にはあったのですがすぐ廃止されてしまいました)。
末尾のウォールストリートジャーナルの記事2本にあるように、
スペインでは富裕税を時限付きで復活する予定ですし、
アメリカのオバマ政権も、証券取引に関する優遇課税で超富裕層への課税率が低い問題を解消するために、
富裕税を課すバフェットプラン導入を検討しています。
冒頭の図にあるように、日本で純金融資産1億円(純でしかも金融資産だけですからね)を持つ90万世帯の資産250兆円!
に1%の富裕税をかけるだけで、毎年2・5兆円の税収が得られます。 …
数パーセントの富裕税で、日本の富裕層が海外に大挙して逃げ出すなどあり得ないのです。
さらに、バフェット氏も提案しているように、海外に資産だけ逃がした場合にも課税できるように法制度を整えればいいのです。…
日本の富裕層も、「私たちから税金を取って」と声を上げている欧米の富裕層と同じく、
この国のおかげで利益を上げているという現実に向き合うべきです。
祖国の緊急事態にこそ恩返しをするのが「愛国心」でしょう。
富裕税導入と共に、せめて所得税の最高税率60%にして、
そこまできめ細かく累進課税率を上げることで、
高所得者からの所得税歳入を上げて低所得者への歳出に回す所得再分配、格差社会の是正を図るべきです。
http://news.livedoor.com/article/detail/5873474/?p=2

■野田佳彦首相は、国家の非常事態を救うため「金持ち大増税」で富裕層の「愛国心」の有無を試せ!(板垣英憲)
「オバマ米大統領は19日の演説で、財政赤字の削減額について、
すでに法制化したものを除いて今後10年で1.5兆ドルとした7月末の与野党合意から上積みし、
2倍の3兆ドル(約230兆円)超とする提案をした。
その半分は富裕層への増税で賄う内容で、今夏の米債務上限引き上げを巡る論議と同様に、野党・共和党側との厳しい対立は必至だ。
大統領は19日昼、『富裕層や大企業を含む皆が、公正な負担を負わなくてはならない』と訴えた。
政権高官によると、3兆ドル超の削減の内訳は、
(1)高齢者向け医療制度での支出抑制を含む歳出削減で0.58兆ドル
(2)富裕層の増税などの増収分が1.5兆ドル
(3)イラクやアフガニスタンからの米軍撤退に伴う戦費の減少で1.1兆ドル、など」
ローマ帝国の衰亡ではないけれど、世界に冠たる米国帝国が滅んでは、
いかに「金持ち」でも、心安らかには生きていけないだろう。
平和で自由な国家体制という大きなフィールドがあってこそ、富裕階層も成り立ち得る。
それにしても、米国ばかりでなく、欧州、さらには日本を含めて、
経済不況、財政難という苦難に陥れているリーマン・ショックの大本となった
あのサブプライム・ローンで大儲けして金持ちになった連中がいるはずである。
世界で400兆円規模とも言われた大損害の反対側には、
400兆円大儲けした者がいてもおかしくないからである。
少なくとも米国ではオバマ大統領が苦労している。
このまま見て見ぬフリをして、放置しておけば、米国帝国の崩壊によって、富裕層も大変な目あう。
となれば、いま富裕層に求められているのは、これまでに増しての「愛国心」であろう。
富裕層が増税によって、真の愛国者であるかどうかが試されている。
この構図は、日本でも同様である。
「広く薄く公平に」というのが、税の大原則だが、
いまの国難とも言うべき、非常事態下では、「金持ち大増税により、
「愛国心ありや、なしや」を徹底的に試す必要がある。これを私は、富裕層対象の「愛国税」と呼ぼう。
http://news.livedoor.com/article/detail/5877481/
http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/cfb52fe06e5e19304ccac6c98362a4f1

■増税の優先順位
アメリカのオバマ大統領が、財政再建の手段の一つとして富裕税の増税を提案しているのが話題になっている。
富裕税は、個人の総資産から総負債を差し引いた純資産の大きい人に課税するもので、
年間所得のみに課税する所得税よりも、富の再配分に有効と考えられているようだ。
日本でも戦後の一時期にアメリカの勧告で導入されたことがあるが、
税務把握が困難などの理由で、所得税の一本化に戻された経緯がある。
日本はアメリカ以上に復興財源など緊急の財源が必要なのだが、
議論は法人税(実質は減税を凍結する現状維持)と所得税の定率増税が中心になっている。
菅・前首相が言及していた高額所得への増税案は、いつの間にか消えてしまった。
アメリカに追随して急進させた所得税のフラット化(高額所得への減税)を見直す議論が出てこないのは理解に苦しむ。
税制の基本は「余っているところから足りないところへ回す」再配分に尽きる。
つまり「痛くない増税」から優先するのがいい。
痛くない税金の典型的なものは相続税だろう。
本人にとっては生きているかぎり関係がない税金で、先祖の遺産で恩恵を受けるのは、せいぜい孫の代までで充分だろう。
つまりは「2回相続したらゼロになる」程度でよい。
「グローバル化」以前はそうだった。
企業活動や文化芸術で財をなした人の業績は、法人化によって継承できるから、個人に遺産を残す必要はないのだ。
相続税が引き上げられれば、生前贈与が盛んになって遊休資産が活用されることにもなる。
高額所得への累進課税も、以前は最高実質93%だった。
これも誤解されるのだが、9割以上を税金で召し上げるという話ではない。
何段にも控除して残る最高額の部分にのみかかる税金で、世間常識を超えるような高所得は社会に還元しなさいと、
富者の社会貢献を制度化したものと言える。
この制度の下で日本は高度成長していたのだ。
その他、当ブログは何度も書いているのだが、企業にとって黒字が出ているときの法人税は痛くない。
経理を駆使してすべての経費や法定積み立て、役員報酬まで支払った後に残る純益にしか税金はかからない。
企業にとって何よりも大切なのは、黒字決算ができるような経済環境なのだ。
企業の法人税を減税しても社員の給料が上らないことは実証されている。
法人税が高ければ、むしろ企業は経費としての人件費を増やすだろう。
(追記・「税率はどのように変ってきたか」をご参照ください。)
http://news.livedoor.com/article/detail/5875798/
>米国ウォッチャーは「茶会党(ティーパーティー)が『がん』 だ」(全国紙ワシントン特派員)と指摘する。

■税率はどのように変ってきたか
日本の税制はどのように変ってきたのか。
ネットで公開されている財務省の資料で見てみよう。
結論から先に言うと、昭和から平成に変った1989年から大きく様変りしたことがわかる。
最大の理由は「国際水準に合わせる」ことだったと思うが、
大幅な減税を強行する一方で、歳入の減少を補う工夫をした気配がない。
おそらく消費税の引き上げが視野にあったのだろうが、景気の回復を待つということで、
とりあえず国債の増発で歳入の欠陥を補うことにした。
その先送り政策を20年間続けた自公政権の結末が、現状なのだ。
個人の所得に対する日本の税金には、伝統的に強い累進性があった。
オイルショックに襲われた昭和49年、1974年当時、国税と住民税を合わせた最高税率は93%だった。
それ以前の税率も90%以上だったことを覚えている。
ただし年間1800万円程度以上の高額部分について適用されるので、所得の全部に最高税率がかかるわけではない。
1800万円以上も所得のあった人は、超過部分は1割ぐらいを自分のものにして、あとは社会に還元しなさいということだ。
保守党政権に支配されていた日本で、つい20年前までこのような税制が行われていたことは感動的でさえある。
一億総中流と呼ばれた高度経済成長は、このような税制の中で実現していたのだ。
日本の平社員と社長の給料の差は10倍ぐらいだが、アメリカでは千倍にも万倍にもなるという話が、
海の向こうからの噂だった時代である。
 個人所得税(住民税を含む)最高税率の推移
 1974年 84年 87年 88年 89年 95年 99年
  93% 88% 78% 76% 65% 65% 50%
http://pub.ne.jp/shimura/?daily_id=200911


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