★阿修羅♪ > 経世済民73 > 474.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
破壊的技術の犠牲となった米コダック  追いつかれた産業は二度と同じ姿には戻れない
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/474.html
投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 04 日 00:43:04: 6WQSToHgoAVCQ
 

家電や車など、日本御家芸の高度なすり合わせ技術が、デジタル化やブラックボックス化の進展で、単純な組み立てビジネスに侵食され、利益を失ってきたのと同じ構図

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/24466
Financial Times
破壊的技術の犠牲となった米コダック

2011.10.04(火)
フィルム時代には富士フイルムとともに世界を独占したコダック〔AFPBB News〕

先週、イーストマン・コダックの株価が6割以上急落した時にほとんど論評されなかったことは、残念だが意外ではなかった。

 何しろ、かつて一大企業グループを形成したコダックの凋落は長く続いてきた。株式時価総額が2億ドル余りまで落ち込んだ今、投資家はもう同社のことなど気にしなくなっている。

 通説に従うと、コダックは単にデジタル時代の新たな犠牲者に過ぎない。これは半分しか真実ではない。より有益なもう半分の真実は、デジタル時代とはやや意味が異なる破壊的技術という概念にかかわるものだ。

 正確に定義すると、破壊的技術とは、既存バージョンよりも安く、当初は性能が劣る技術のことだ。
既存企業に文化的な問題を引き起こす破壊的技術

 確立された大企業にとっては、破壊的技術は深刻な文化的問題を引き起こす。というのも既存企業は実現可能な最高品質で顧客が求める製品を提供することで、今の地位を築いてきた。安くて質の低い代替技術に直面した既存企業は、課題に取り組むかもしれないが、そうした新技術に経営資源をつぎ込むことは性分に合わないのだ。

 こうして機械式掘削機のメーカーはバックホー・ローダーの脅威に立ち向かえず、高炉大手はスクラップから鉄鋼を生産する電炉メーカーに不意打ちを食らった。どちらの製品もニッチ市場向けで、本物を買う余裕のない顧客のためのものだった。こうした技術が安さを保ちながら品質的に同等になる頃には、旧来メーカーが対応するには、もう手遅れだった。

 こうした事例は、米国の学者クレイトン・クリステンセン氏が1997年に名著『イノベーションのジレンマ』で列挙している。奇しくもコダックの株価は同じ年に94ドル25セントの史上最高値をつけた。9月30日の終値は78セントだ。

 コダックの窮状は、当時まだ同著に記されるほど進行していなかったが、クリステンセン氏の論題を完璧に説明するものだ。

 コダックは1世紀にわたって銀塩フィルム・印画紙を事業基盤としてきた。デジタル画像がもたらす脅威は認識しており、その研究に多額の資金をつぎ込んだが、有用な効果は得られなかった。
銀塩に固執したコダックの誤算

 筆者が1990年代半ばにニューヨーク州ロチェスターにあるコダック本社を数回訪れた時、同社の文化的な思考がはっきり示されていた。様々な幹部が、銀塩がいかに素晴らしいか語ってくれた。プロのカメラマンやハリウッドは、銀塩なしではやっていけない。デジタルは素人向けで、彼らでさえ常に、家族のアルバムやホームビデオのためにプリントを欲しがる、というのである。

 当時コダックの会長だったジョージ・フィッシャー氏は、本来もっと分別を持てるはずの格好の立場にいた。根っからの科学技術者で、モトローラの経営を離れてコダックに転身したばかりだったからだ。だが、頑固なコダックの現実に直面して、同氏は中途半端な苦しい立場を取ってしまった。

 フィルムはデジタルと共存する。少なくとも(クリステンセン氏の命題を逆さまにしたバージョンの論旨で)フィルムの方が安い、とフィッシャー氏は主張した。
ソニー、デジタル機器特許問題でコダックと和解 - 東京

最も安いデジタルカメラでも1000ドルした〔AFPBB News〕

 コダックの最上位機種のデジタルカメラで撮影された写真は、画質を全く損ねることなく、銀塩印画紙にプリントアウトできる。だが、カメラの値段は2万7000ドルもした。フィルムよりも画質が悪いコダックの最も安いカメラでさえ1000ドルした。

 フィッシャー氏は、こうした状況が変わっていくことは認めつつも、「有名科学者たちはこうしたもののペースに夢中になってしまう」と述べていた。

 科学技術者であるうえ、思慮深く、定評のある経営者だったフィッシャー氏がこれほど状況を見誤ったことは、示唆に富んでいる。だが、消える運命にあったのは、フィルムだけではなかった。カメラそのものも概ね吹き飛ばされることになった。

 今では人は携帯電話で写真を撮り、ノートパソコンを使って遠く離れた親戚と向かい合っておしゃべりをする。

では、コダックの運命は避けられなかったのだろうか? 完全にそうだとは言えない。

 フィルムの時代には、コダックは富士フイルムとともに世界を支配した。コダックに対抗する日本企業として1930年代に設立された富士は最近苦境にあるが、コダックほど厳しい状況ではない。このため、過去10年間で富士の売上高が8%減少したのに対し、コダックの売上高はほぼ半減した。また、富士の純利益は20%減少したが、コダックが最後に利益を上げたのは2007年のことだ。
富士フイルムとの命運の違い

 そして極めて重大なことに、富士は昨年、まだネットで24億ドルの営業キャッシュフローを上げていたのに対して、コダックは2年連続でキャッシュフローがマイナスになっている。実際、先週の株価急落を引き起こしたのは、コダックがついに資金繰りに行き詰まるという懸念だった。

 この懸念は次第に現実味を帯びている。コダックは予想外に既存の与信枠から資金を引き出したばかりで、破産申請を検討していることは断固否定しながらも、リストラを専門とする弁護士を雇い入れている。

 しかし、これほど似て見える会社2社の命運が違うのはなぜなのだろうか?

 答えの1つは間違いなく、米国がIT(情報技術)の本拠地であるのに対し、日本は数十年にわたって、今ではデジタルカメラも含む家電製品の本拠地だったことだろう。一方で、コダックは減りゆく特許と、遅ればせながら進出したインクジェットプリンター事業で何とか生計を立てようとしている。

 ここから得られる教訓は、例の破壊的技術に追いつかれたら、会社は二度と同じ姿には戻れない、ということだ。
By Tony Jackson  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年10月04日 10:43:42: BTrK5w3USA
コダックの敗退は銀塩フィルムに固執したことだが、それなら富士フィルムも同じ結果となるのは間違いない。 同じ様に旧来のカメラが消えていくことになるのも仕方がないだろう。 現在は安泰のはずのパソコンも、携帯原話の発展形であるiPODに取って代わられるだろう。 パソコンと同じかそれ以上の機能を持った携帯電話に大型のスクリーンや大型のキーボードなどをジャックでつなぐことでより使い勝手の良いものになる。 企業の栄枯衰勢は何時の世にもあることだが、先を見通す能力のある経営者がいなければたちまち墜落してしまう。 大企業化すれば幹部経営者の官僚化が進み、新製品開発が出来なくなって競争から取り残されるのは、今のソニーを見ていれば良く解る。 ケインズが言ったように、企業経営者は単なる管理部門だけでなく、なんとしてもこう言うことを実現させたいと言うアニマル・スピリットが必要なのだろう。 アニマル・スピリットと言うよりも、空想力が必要だというべきではないかしら。 N.T

02. 2011年10月04日 11:36:35: FUviF2HWlS
写真技術は、銀塩フィルムから、CMOSセンサとフラッシュメモリへ進化した。フィルム市場を、コダックや富士フィルムから、東芝とサムスンが奪ったのだ。この変化は10年程度かけておこった。

フラッシュメモリは、個人向けモバイル機器の成長により急成長を遂げた。
しかし、フラッシュメモリ陣営も安穏としていられない。
次の変化は、モバイルからクラウド、だ。

モバイル機器は、軽薄短小に価値がある。
モバイル機器からサーバーへの大容量のデータアップロードが進めば、ストレージの価値はビット当りの単価の安さだけになる。
HDDが急進し、フラッシュメモリは頭打ちになる可能性がある。


03. 2011年10月22日 09:28:59: 8H9nIxVLIY
これまでの技術が時代遅れになり、全く見向きもされなくなる現象は日本でも高級オーディオ機器の分野で見られた。かつて、よい音楽を楽しむためには何十万円もの投資が必要だった。アンプ、スピーカー、チューナー、レコードプレーヤー、カセットデッキなど単体でも3万円はする製品を揃えて総額20万円で入門コース。本格派なら100万円は投資していたものだ。

これがパソコンの普及でネットからyoutubeなどダウンロードして、itunesでCDに焼いたりiPodに転送することで簡単に音楽を楽しめるようになったが、それ以上に費用が殆どかからなくなったことが大きい。これにより高級オーディオ機器のメーカーは多くが行き詰まり、存続している企業でもコンピューター関連の副業で生き残っている惨状である。また、一時期あれほど繁栄したカーオーディオの世界でも、CDオートチェンジャーなるものは見かけなくなった。iPodに音楽を詰め込んでおけば、もはやいらないからである。

オーディオ機器がパソコン関連機器に分類される時代だ。これにより、これまで生き残ってきたコンパクトカセットテープが淘汰される気配が出てきた。既に店頭の主流は、訳の分からない中国製が占めている。オーディオコムとかヤマゼンとか。この分野をリードしてきたソニーは、かつては革新的な製品で知られていたが、いまでは守旧派に区分けされている。著作権に配慮しすぎて革新的な製品を投入できず、その間にアップルにやられたのだ。

パナソニックも、アップルのiPod Touchが大ヒットするので、これを模倣したSV-MV100を発売した。ところが製品の完成度が低く、動きがもっさりしているとか、アンドロイドのバージョンが低く、しかもバージョンアップすらできないと言う、iPodに勝ち目のない戦いを強いられているのが実情だ。これを招いた原因は、パナソニックも社名を変えただけの「マネシタ電器」そのままの企業体質であったところにあろう。長所は同社製のディーガからの転送ができると言う程度で、このあたりが日本企業の得意とする「囲い込み戦略」の発想から抜けられなかった限界を思い知らされたような感じがする。

アップルがウィンドウズ機でもitunesが使えるようにしたおかげで、ウィンドウズパソコンユーザーに浸透することができ、自社製のiPodを買ってもらいやすくしたのがジョブズ氏の偉大なところだ。これによりMP3プレーヤーでは、iPodに並ぶものはないのである。ソニーのウォークマンは日本国内では健闘しているが、海外では忘れられたも同然である。

ソニーは今なお多くの種類のカセットテープ機器をカタログに載せているが、どれも改良する気もなく、のんべんだらりと続けているだけである。ビデオテープの規格で散々批判されたから、こればかりは撤退できないと思っているのだろうが、他社はきっぱりと撤退してしまった。当社は責任を持ってコンパクトカセットテープを使える機器を生産しつつけますと言ったところで、このテープが切れやすいとかキャプスタンに絡まりやすいとか、散々苦労してきた世代から言わせれば、いつまでもこだわる必要はないと思うのである。

LPレコードも復活するとか言う人もいたが、あれは願望を述べただけで多くの人たちは全くそう思っていないから、無理な話である。針でなぞる再生方法が近代的とは思えない。振動で音が飛び、このレコードの溝が壊れてしまったとなれば、ここでお仕舞いである。CDに取って代わったのは当然なのだが、店で売っているために価格面の採算からなかなか安くならなかった。しかしYoutubeからのダウンロードで事実上無料となり、これに伴いレコード店がほとんどなくなっている。

著作権で稼いできた守旧派は、無料ダウンロードできるサイトを開いている企業を提訴しているが、彼らも時代遅れの存在になりつつある。中国や東南アジアの人々には音楽など無料だと思っている。彼らの力が増大し、著作権云々言う人たちは追い詰められていくだろう。これが時代の流れであり、街中の書店も本が売れなくて困っているのは、ネットの拡大で本屋に行かなくても情報が手に入るようになったからである。これらコンテンツ産業は消滅していくだろう。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民73掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民73掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧