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日本に“債務超過”危機!揺らぐ国債の消化基盤
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110928/ecn1109280835001-n1.htm
2011.09.28 森岡英樹の金融スクープ :夕刊フジ
ギリシャのデフォルト(債務不履行)が現実味を帯び、ユーロ崩壊の足音が聞こえ始めている。市場の関心事は「ソブリンリスク」(国家の信用)に注がれ、先進国の国債にいつ火がついてもおかしくない状況にある。日本国債もその例外ではない。
18日のテレビ朝日の番組に出演した五十嵐文彦財務副大臣の一言は衝撃的であった。五十嵐氏は、日銀が放送後に発表の2011年4〜6月期の資金循環統計(速報値)で、個人の金融資産から負債を差し引いた「純資産」と、国と地方の中長期債務残高に政府短期証券などを加えた「借金の総額」が近づいており、「今年の(個人)金融資産は伸びていない。双方の数字がクロスする可能性がある」と指摘したのだ。
日銀の同統計によると、6月末の個人の「純資産」は1138兆3508億円に対して、「借金の総額」は1076兆4128億円。かろうじて個人の「純資産」が上回っており、依然、日本のバランスシートは資産超過の状態にある。しかし、五十嵐氏が指摘するように、両者は接近しており、近い将来「借金の総額」が個人の「純資産」を上回る可能性は極めて高い。
日本の貯蓄が取り崩されていくスピードは年々、速さを増していこう。実際、日本の貯蓄率はすでに先進国の中でも最も低い水準にある。
やや古い2009年の統計であるが、日本の貯蓄率は2・3%で、フランスの16・3%。ドイツの11・3%、イタリアの8・4%に大きく水をあけられ、英国7・0%、米国4・3%をも下回っている。リーマン・ショック後の金融危機から、欧米を中心に家計が防衛措置に動き、相対的に日本の貯蓄率が低くみえる部分もあろうが、「浪費する米国、ため込む日本」という古典的な見方は通用しないようだ。
そして、日本の貯蓄率の低下は、その副作用として日本国債の消化基盤を脅かすリスクファクターとして意識される。「JGB(日本国債)リスク」の顕在化である。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは8月下旬、日本国債の格付けを上から4番目の「Aa3」に引き下げた。このときに一部で言われたのは、「日本の国債は9割以上が国内で消化されているので大丈夫、7割超を海外投資家に買われているギリシャのようにはならない」というものであった。しかし、家計の貯蓄率が低下し、国全体のバランスシートが債務超過になった場合、このロジックは通用しなくなる。日銀の6月末時点の統計では、海外投資家の日本国債の保有割合が1年前の6%から7・4%に拡大する一方、家計の国債保有残高は減少した。
また、国債の最大の保有者である金融機関も、景気が停滞する中、融資が伸びず、もっぱら国債投資に資金を振り向けている。この最大の要因は「国際的な自己資本規制上、国債のリスクウエートがゼロにカウントされている」ために他ならない。そのリスクフリーの国債の信用が、欧米の金融危機を契機に揺れはじめているのは皮肉としか言いようがない。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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