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Financial Times
安全な避難所と崇められた金の急落
2011.09.28(水)
(2011年9月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
IMF、金準備403.3トンを売却へ
1トロイオンス=2000ドルの大台突破を視野に入れていた金価格が急落した〔AFPBB News〕
コモディティー(商品)のヘッジファンドを運用しているクリストフ・アイブル氏は先週、カナダのモントリオールで開催された金の業界団体の年次大会で講演し、この貴金属は「壊滅させられる」と予言した。聴衆はこれを真剣に受け止めようとしなかった。
「現在の状況を見ていると、1999年から2000年にかけての相場が思い出される」。ティベリウス・グループのアイブル氏は当時のハイテク株バブルに言及しながらこう語った。「金相場はさらに上昇するかもしれない。しかし、間違いなく、どこかの段階で壊滅するだろう」
会場にいたトレーダーや投資家、銀行家たちは、金価格は3カ月足らずで30%近く上昇しただけに短期的に調整する可能性はあると認めながらも、自分たちの強気な予想――1年以内に1トロイオンス=2000ドルを突破して史上最高値を更新する――には自信を持っていた。
究極の逃避先のはずなのに、リスク資産とそっくりな値動き
その自信がここに来て揺さぶられている。金は、投資資金の究極の避難先と喧伝されており、危機時には値上がりすると思われていた。ところが過去4日間に示した値動きは、リスクが最も高い資産のそれとそっくりなのだ。
ユーロ圏の債務危機に対する懸念が強まる中、今月21日以降の金の下げ幅は270ドルに達し、26日には1トロイオンス=1534ドル49セントまで落ち込む場面もあった。つい3週間前につけた記録的な高値、1920ドルから20%も下げた計算になる。
なぜこれほど急激に下落しているのか? これについては、米連邦準備理事会(FRB)が保有する債券を入れ替える「ツイスト・オペ」を行うと先週発表してからドル高になっているためだという見方がある。また、ほかの資産への投資で損失を被った投資家がその穴を埋めるために金の売却を強いられたとの見方もある。
さらに23日夜には、金の先物取引の舞台であるニューヨーク商品取引所(COMEX)を運営するCMEグループが、金先物の取引証拠金(取引に当たって預託しなければならない資金のこと)を21.5%引き上げると発表していた。
しかし、まさに今生じているような市場の混乱から身を守る保険として金を購入していた投資家にしてみれば、これらはいずれも今回の金急落の――この4日間の下落率は1983年以来の高い値だ――納得のいく説明になっていない。
価格変動があまりに激しいことから、これに懲りた投資家たちはしばらく金投資から手を引くのではないかと見るアナリストもいる。UBSの貴金属ストラテジスト、エデル・タリー氏は「ほかの資産への投資で生じた損失を埋めるための、追い証売りとして始まったかもしれない現象だが、今や貴金属市場の本質を根底から変えてしまう可能性を秘めている」と語る。
強気な見方を崩さない投資家
それにもかかわらず、大半の投資家はアイブル氏の悲観的な見通しを受け入れておらず、金相場への強気な見方も崩していない。この1週間で世界のマクロ経済情勢に何らかの変化があったとするなら、それは情勢が悪化したということでしかない、というのがその理由だ。
「金の上昇相場の反転を裏付ける証拠になるような出来事は、この3日間発生していない。マクロ経済情勢でも地政学的な情勢でも、それ以外の分野でも全く生じていない」。HSBCの貴金属ストラテジスト、ジェームズ・スティール氏(ニューヨーク在勤)はそう言い切る。
トレーダーたちは、危機がピークを迎えている時期に金価格が下落するのは今回が初めてではないと指摘する。例えば、2008年の金融危機の最も厳しい局面では、金価格は方向の定まらない動きを示していた。投資銀行ベアー・スターンズが破綻した翌日の3月17日から10月半ばの安値にかけて30%を超える下落を見せたが、その後の1年間で50%も上昇したのだ。
同様に、ドバイワールドのデフォルト(債務不履行)をきっかけに世界の金融市場に売り注文の波が押し寄せた2009年11月には、金価格もその後の10週間で12%下落したが、そこから先は史上最高値に向かって上昇している。
「このような状況下では、心配になった投資家からの注文は『金を除いて全部売ってくれ。そうだ、あれも売らずに残しておいてよ』とはならないことが多い」。バークレイズ・キャピタルの貴金属販売部門ヘッド、ジョナサン・スポール氏(ロンドン在勤)はこう言う。「『売ってくれ』の一言なんだ」
実際、26日には一部のトレーダーが底値を拾おうとしている兆候が見受けられた。ロンドン市場では午後までに、金価格は当日の安値から5%超上昇して1トロイオンス=1612ドルに達していた。
上場投資信託(ETF)を通じて金を買っている投資家も、この貴金属を手放すには至っていない。金ETFの地金保有量は、今では大半の中央銀行を上回るほどに増えており、最大規模を誇るSPDR(スパイダー)ゴールドシェアの地金保有量は先週、1252トンでずっと横ばいだった。
テクニカル分析に着目するトレーダーにとっては重要なことだが、金価格は26日、200日移動平均の1525ドルを上回る水準で踏みとどまった。200日移動平均は2009年1月以降突破されておらず、もしこれを下回れば下落の継続が示唆される恐れがあるとトレーダーたちは話している。
怖いのは価格下落よりもボラティリティーの高さ
しかし、トレーダーや投資家を最も慌てさせているのは金価格の下落ではなく、そのボラティリティー(変動)の大きさである。1日の価格変動が大きいこと、そしてオプション料(市場が将来の価格変動をどう予想しているかを示す指標になる)の急上昇は、年金基金や中央銀行のように投資の安定性を重視する投資家にとっては厄介な現象なのだ。
「安全な避難先だという金の魅力を損ないかねない要因の1つに、過大なボラティリティーが挙げられる」と前出のスポール氏は指摘する。
ボラティリティーが低下するか、あるいはマクロ経済情勢に新たな展開(例えば新たな量的緩和が始まるなど)が見られるまでは、多くの投資家が金の売買を手控えることになるだろう。
By Jack Farchy
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