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先週、ワシントンDCで世銀・IMF総会が開かれました。
その中で浮き彫りになった重要なポイントとしてはIMFのギリシャ危機に対する考え方に大きな変化が出たという事です。
具体的にはIMFはもはやワシントン・コンセンサスの危機対応法をギリシャに当てはめることを望んでいません。
ワシントン・コンセンサスとはワシントンDCに本部を置く世銀、IMF、米国財務省の3者の間の暗黙の了解を指し、具体的には:
発展途上国が債務危機に陥ったら:
1.財政赤字を削減する
2.税制改革で徴税ベースを拡充する
3.貿易の自由化を一層推進する
4.規制緩和をする
などの方法で難局を切り抜けるという危機対応の処方箋を指します。
ギリシャ問題が発覚した際もIMFは当初このレシピをギリシャに強要しました。
しかしこれまでのところこの処方箋は上手く行くどころか問題を一層深刻なものにしています。
その理由はただでさえ景気が悪いのに、ここで余りにも厳格な切り詰めをするとPro-cyclical (景気サイクルの上下動を増幅すること)な作用をもたらし、崖っぷちのギリシャ経済をわざわざ奈落の底に突き落とすような作用をもたらしてしまうからです。
新しくIMF専務理事に就任したクリスティーヌ・ラガルドはこれまでの処方箋が上手くいっていないという理解を踏まえた上で、敢えて欧州連合(EU)、具体的にはドイツの主張と袂を分かつことを決めました。
言い換えればIMFはアンチ・グロース(経済成長後回し主義)からプロ・グロース(経済成長優先主義)へと大きく舵を切ったのです。
IMFはユーロ問題の本質はギリシャを切り捨てるか、切り捨てないか?という議論ではなく、ギリシャに沢山貸し込んでいるフランスの銀行をちょうどリーマンを見殺しにしたように見て見ぬフリをするのか、それとも徹底的に盛り立てるのか?の議論だと捉えています。
そしてフランスの銀行に危害が加わるシナリオを全力で回避するという姿勢に軌道修正したのです。
フランスの銀行を見殺しにしないということは、ギリシャも見殺しにしないということを意味します。
だからIMFはこれまで金科玉条の如く護ってきたワシントン・コンセンサスを自ら否定し、ギリシャの経済成長を支援する方向を模索しはじめているのです。
ローレンス・サマーズは「ラガルドはこれまでのIMFのドグマから決別し、成長を強調する路線を打ち出した。これは正しい。」と評価しています。
ギリシャの経済成長を支援するということになると、これまで杓子定規に当てはめてきた財政削減ターゲットに照らしたギリシャの進捗状況の査定は後回しになり、なりふり構わずの支援が優先されることになります。
そのためにはユーロ圏共同債を推進しなければいけません。
現在のところIMFは公式にはユーロ圏共同債を提唱していません。しかし11月に欧州中央銀行(ECB)総裁に就任するマリオ・ドラギは既にユーロ圏共同債への支持を表明しています。
つまり汎ヨーロッパ的な問題解決の機運がグッと高まっているということです。
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