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米国の貧困事情:窮地に追い込まれて
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投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 22 日 00:08:19: 6WQSToHgoAVCQ
 

米国の場合、日本以上に社会保障、特に医療システムを改革して
暴利を貪る保険事業者を排除し、過剰な医療訴訟や濃厚診療を中止しないと
供給不足で、さらに悲惨なことになる

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23243
The Economist
米国の貧困事情:窮地に追い込まれて

2011.09.22(木)

折しも国民に犠牲が求められる時に衝撃的な数字が明らかになった。
2010年の貧困比率、93年以来最悪の15.1% 米国

米国の貧困者の数は統計開始以来最多となった〔AFPBB News〕

米国の景気後退は、少なくとも数字上は、バラク・オバマ大統領の就任からわずか6カ月後には終わっていた。

 多くの有権者にとっては、そんな実感はない。8月の失業率は依然9.1%と、景気後退が始まった時の2倍近くに上っている。

 米国勢調査局は9月13日、所得、貧困率、そして健康保険に関する最新の数字を公表した。2010年が対象の統計データは、2009年6月に景気後退が終わって以来、最初の通年の数字だ。

 一般の人が変化に気付かなかったとしても無理はない。

記録を塗り替える悲惨な統計

 統計は記録をいくつも塗り替えるほど際立つ内容で、良い記録は1つもなかった。過去の景気後退の後も所得は否応なく落ち込んだが、今回ほど大きく減少したことは1度もなかった。

 2010年の世帯年収の中央値(実質ベース)は4万9445ドルと、2009年から2.3%減った。実際、所得は景気後退の最終年より、不況を脱した後の1年の方が減少幅が大きかった。

 悪い状態は10年以上も続いていることになる。1999年にピークをつけて以来、世帯年収の中央値は7%も減少し、現在は1996年当時の水準に戻ってしまっている。

 貧困者の数は増え続けている。貧困線以下(昨年は単身世帯で1万1139ドル、4人家族で2万2314ドルと定義づけられた)の生活を送る人の数は4620万人に達し、1959年に国勢調査局が調査を開始して以来、最多となった。

貧困率は2009年の14.3%から15.1%に上昇し、景気後退終了後の1年としては過去2番目の増加幅を記録、1993年以来の高さとなった。

米国の雇用再び悪化、6月失業率9.5%

仕事がないせいで、シングルマザー世帯や黒人の間では特に貧困者が増えている(写真はニューヨーク州労働局の雇用サービス室で娘を抱きかかえながら仕事を探す失業した母親)〔AFPBB News〕

 一部の集団にとって、これは特に深刻な問題だ。2010年にはシングルマザー世帯の3分の1近くが貧困に陥った。

 子供の5人に1人以上、そして黒人とヒスパニックの27%も貧困状態にあった。賃金の低下よりも、雇用不足の方が大きな問題だった。最も恵まれていたのは高齢者で、貧困率は9%にとどまった。

 健康保険に関する数字は、相対的に多少ましだったに過ぎない。

 保険の未加入者の割合は16.3%と横ばいのままだ。若年成人の加入率は上昇したが、これは25歳まで親の保険に加入していられるようになった改革のおかげだろう。

 だが、オバマ大統領が進めた医療保険制度改革の主要条項の実施が数年先となるため、35歳以上の未加入率は上昇した。しかし、こうした数字さえ、医療費の負担の重さを覆い隠している。

中流家庭の所得を圧迫する医療費

 企業が提供する健康保険に加入している中流家庭では、保険料が従来以上に賃金を圧迫している。

 シンクタンク、ランド研究所のデビッド・アワーバック氏の説明では、1999年と比べると、2009年に平均的な世帯が使えたお金は医療費の増加ペースが物価上昇率と同じだった場合よりも5400ドル少なかったという。

 そんな中で貧困層は所得の20%以上を医療に充てている、とジョージア州立大学は指摘する。

国勢調査の結果は厳しいものだが、もっと悪くてもおかしくなかった。社会制度が役に立ったからだ。

 現在、何百万人もの人が受給期限切れを迎えつつある失業保険がなければ、さらに320万人以上が貧困者に数えられていた。

 また社会保障制度がなければ、高齢者の貧困者数は5倍に膨れ上がっていたはずだ。

 これらはどれもオバマ大統領にとって厄介な問題だ。来年は大統領の雇用対策によって、300万人の人が貧困に陥るのを防げるかもしれない、とブルッキングス研究所のイザベル・ソーヒル氏は言う。

行く手に待ち受けるさらなる苦境

 だが、米国の有権者はまだ医療制度改革の恩恵を受けていない。また、大統領が雇用対策法案を通すために数千億ドル規模でメディケア(高齢者医療保険制度)とメディケイド(低所得者向け医療保険制度)のコストを削減すれば、彼らはさらに苦境を強いられることになる。

 こうした惨事から守られてきた高齢者の集団は、以前にも増して社会保障を守ろうとするだろう。米国人に各種手当を諦めるよう求めることは、たとえ豊かな時代であっても難しいのだ。
 

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